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マーケティング・マネジメント編②~4.PPM 5.SWOT 分析 6.差別化

KNOW-HOW

マーケティング・マネジメント編では、マーケティングの基本的な考え方を解説します。難しそうと感じる人もいるかもしれませんが、役職につくことの醍醐味は、マーケティングを含めた会社経営に触れていくことといえるかもしれません。ただ知識を取り入れるだけではなく、実際の戦略や戦術立案に活かしてみてください。

 

今回は「PPM」「SWOT分析」「差別化」の3つの要素について理解を深めてみましょう。

 

4. PPM

 

プロダクト・ポートフォリオ・マネジメントは、複数の事業分野を持つ企業が、育成・維持・回収・撤退するべき分野なのかを決定する手法です。判断にはマトリクス図を使い、用意に識別できる座標軸が準備されています。

 

事業分野を複数保有する企業は数多くあります。そのような中での最適な事業構成(ポートフォリオ)を決定するための手法のことを、PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)といいます。企業が展開する各事業について、

 

  1. 育成段階か
  2. 現在の取り組みを維持・継続する段階か
  3. 事業への投資を控え、収益を回収・収穫する段階か
  4. 撤退段階か

 

を見極め、事業戦略の立案に役立てるのです。このときに使用されるのが「マトリクス」です。P P M では、2 つの座標軸で、S B U(Strategic Business Unit =戦略事業単位)の市場ポジションを4 つに分類して客観的に評価します。このときの座標軸が、「相対的市場占有率(累積生産量に対応)」と「市場成長率(製品ライフサイクルの各ステージに対応)」です。

 

 

こうしてマトリクス化すると、左側のセルに入った製品については資金投入の価値があることが、容易に理解できます。

 

またPPM は、「経験効果」と「製品ライフサイクル論」を前提としています。

 

経験効果とは、市場経験を積めば積むほど、コストが下がる現象をいいます。累積生産量が増えると生産効率が上がり、単位あたりのコストが下がります。市場に多く流通している製品のメーカーでは、累積生産量が多くなるため「経験効果」が働き、コスト面で優位に立ち、より多くの資金流入がもたらされるというわけです。

 

製品ライフサイクル論とは、すべての製品は4 つのステージをたどる、とする考えです。4つのステージとは、導入期、成長期、成熟期、衰退期。このサイクルと投入コストとの関わりをみると、市場成長率が高い成長期においては、競合相手に勝つための多額の投資が必要となり、資金流出量が大きくなります。しかし、市場成長率がゆるやかになる成熟期には、積極的な投資は必要なくなるため、資金流出量は低くなります。PPM マトリクスは便利な道具ですが、かなり単純化してあるものです。実務上の意思決定では、さらに多角的な分析が必要になります。

 

 

5. SWOT 分析

 

SWOTは、企業戦略立案のための分析に用いるツールです。自社の持つ力を、S・W・O・Tの項目に分類し、そのばらつき具合をマトリクス図にしたもので、自社の現状を単純化して把握できます。

 

企業戦略を立案するとき、一息に戦略を練ろうとする人は少ないはずです。現状の分析と、現段階での自社の市場価値を見極めてから取りかかるというのが順当な道筋です。

 

そのときの代表的な分析手法として、SWOT分析があります。SWOT とは、分析に用いる4つの項目の頭文字を取ったものです。

 

S(Strength=強み)目標達成に貢献する、組織や個人の特質。
W(Weakness=弱み)目標達成の障害となる、組織や個人の特質。
O(Opportunity=機会)目標達成に貢献する、外部的特質。
T(Threat=脅威)目標達成の障害となる、外部的特質。

 

SWOT 分析は、2 つのステップを踏みます。

 

第1のステップでは、事業や組織におけるS・W・O・T、それぞれの要素を抽出していきます。

 

S とW には、企業や組織の持つヒト、カネ、ワザ、オフィスインフラ、情報、事業拠点など、内部要因をあてはめます。内部要因とは人間でいう、長所と短所のようなものです。O とT には、企業や組織を取り巻く経済状況、技術革新、規制、顧客や競合他社との関係、予測されるビジネスチャンスなどの外部環境をあてはめます。外部環境とは、自分の力ではどうにもならないような要素のことです。

 

分類が完了したら、第2 ステップとして、上記の項目をマトリクス図にしていきます。

 

 

図にすると、「機会があり、自社の強みが生かせるゾーン」、「機会はあるが、自社が不得意とする資産や能力が必要なゾーン」、「脅威であるが、自社の強みが生かせそうなゾーン」、「脅威であり、自社には生かせる資産も能力もないゾーン」が、くっきりと分けられます。こうして自社をSWOT分析し、将来、どういった方向にすすむかという明確なビジョンを策定し、そこに向けての最強の戦略を立案します。

 

たとえば、強みに特化して経営資源を集中させる、「売れない商品・サービス」(弱み)をやめる決断を下す、といった営業戦略が立てられます。

 

ただし、SWOT分析の4 つの切り口には、明確な基準がありません。同じ商品に対して「目新しいから売れる」と判断される場合と「認知度が低く売れない」と判断される可能性があることなどは免れません。

 

さらに注意点は、シビアに分析するべきだということ。自社の強みを現実以上に大きく評価したり、市場の厳しさを楽観視したりしないようにすることが必要です。

 

6. 差別化

 

差別化には2つの用法があります。1つは、ターゲット等を絞った戦略、もう1つは自社の特徴を強く打ち出す戦略です。いずれにしても事前の分析が重要です。

 

マーケティングの基本が4P3C という7 つの戦略のミックスで成り立っていることは、既に述べました。これをマーケティングミックスと呼びますが、このマーケティングミックスには3 つのパターンがあります。

 

  1. マスマーケティング……1 つのマーケティングミックスで市場全体を狙う戦略。
  2. 集中化マーケティング……1 つのマーケティングミックスで1 つの特化した市場を集中的に狙う戦略。
  3. 差別化マーケティング……2 つ以上のマーケティングミックスで、それぞれの市場セグメントを狙う戦略。

 

これら3 つの中で、最も効果が大きいのが差別化マーケティングです。マスマーケティングでは、1 つの優れた製品を市場全体に等しく売り出すので、売り出しの方法に差異はありません。一方、差別化マーケティングとは、各セグメントに合った製品を選定して、その製品とセグメントに合ったプロモーションをおこなうので、確実に売れるというわけです。ただし、ターゲティングやプロモーションにかかる費用の増大は免れません。

 

また、「差別化マーケティング」をより大きな意味でとらえる考え方もあります。要は、他社とは一線を画す自社の強みを持つということを、「差別化」と呼ぶのです。

 

この場合の差別化マーケティングとは、企業が自社自身、あるいは自社の製品を競合他社と識別するために、一連の意味のある違いをデザインする活動をさします。この差別化には、大きく3 つの方法があります。

 

  1. 物理的差別化……製品の外観などの違いによる差別化。
  2. ブランドによる差別化……ロゴやブランド名などのブランド要素とブランドの特徴(ベネフィット、情緒的イメージなど)を巧みに組み合わせることによる差別化。
  3. リレーションシップによる差別化……顧客がその店で買う行為や、得意客となることに満足を覚えるようにする差別化。

 

価格や製品、販売場所がほぼ同じ商品があれば、顧客が購入するかどうかはプロモーションにかかってきます。そのときに、1~3のいずれかの差別化がなされていれば、顧客の購入可能性が高まります。ここでも重要なのは「顧客が何を求めているか」を正しく分析することです。

 

おぼえておきたい関連用語  リレーションシップ
顧客と企業の間の信頼関係のこと。カスタマー・リレーションシップ・マネジメント、リレーションシップ・マネジメントといった使い方をし、顧客と良好な関係を築き、維持するための管理手法や戦略のことを意味する。

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