複数の人間が集まって構成されている組織の特性を把握したうえで、いかに効果的に組織を運営していくかは、マネジャーの役割の中で重要なことの1つです。
「組織マネジメント」編では、組織マネジメントの種類を紹介し、マネジャーが組織を運営していくうえで不可欠な、数々のテクニックを学んでいきます。
今回は「パレートの法則」「ワーク・シェアリング」の2つの要素について理解を深めてみましょう。
パレートの法則とは、経済学者パレートによって発見された法則で、あらゆる場面にあてはまる法則です。この法則は2:8の法則とも呼ばれ、ビジネスの世界でも重要視されている法則の1つです。
パレートの法則とは、イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートが発見した法則です。別名2:8の法則とも呼ばれ、たとえば「1つの国の富裕層は全体の2割」「不良品の発生は2割」というように、経済はもちろんのこと、産業、自然現象や社会現象などさまざまな場面で使用されている法則です。
パレートは、社会全体の所得の多くは一部(2割)の高額所得者が占めており、国や時代の制度の問題ではなく社会的自然現象であると主張し、自身の研究の中で所得分布を例に、パレートの法則を説明したことで有名です。
パレートの法則は、早期から所得分布だけではなく自然現象にもあてはまる法則であることがわかっていましたが、現代社会においては品質管理、在庫管理、売上管理、マーケティングなど、主にビジネスの世界で特に適用されています。パレートの法則を利用することで問題解決の方法論が比較的簡単にみえてきたり、改善策の絞り込みやアイデアの創出に役立つといわれているからです。
パレートの法則は、しばしばパレート図として利用されています。たとえば、顧客が100 社あって、顧客によって、売上に大きな差が現れているにもかかわらず、同じように営業担当を配置したり、交通費をかけたりしているなど、顧客管理のためのコストが同じように発生しているとします。
ワーク・シェアリングとは、雇用機会、労働時間、賃金の3要素の組み合わせを変化させることによって、複数の労働者で一定の労働を分かち合うことをさします。
ワーク・シェアリングには、目的にあわせていくつかのタイプがあると考えられています。
雇用創出を目的としたワーク・シェアリングを導入し、成功を収めたことで有名なのがオランダです。1970 年代から80 年代にかけて高失業率に悩まされてきたオランダでは、賃金、年金、社会保障、労働条件など、あらゆる面でパートタイム労働者とフルタイム労働者の均等待遇が、政労使の3者の合意のもとで、保証されました。その結果、パートタイム労働者人口が増え、1人あたりの労働時間も減少。失業率に歯止めをかけることに成功しました。
近年、日本でもワーク・シェアリングが注目されるようになりつつあります。理由の1つは、不景気という厳しい状況下、雇用の創出と維持という視点から、もう1つが、少子高齢化の進展や価値観の変化がすすむ中、働き方が多様化してきたという視点からです。
ワーク・シェアリングの導入は、労働者にとっては雇用の機会が増加し、1人あたりの労働時間が減少するため、余暇が増えることで自己研鑽の機会も増える、などのメリットが考えられます。しかし、企業にとっては、従業員の人数が増えることで社会保障費、従業員の研修にかかるコストが増加するなどのデメリットがあることも考えられ、このことが日本のワーク・シェアリング促進を妨げている要因になっているとも考えられています。