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基礎編④~10.モチベーション 11.人事評価

KNOW-HOW

「マネジメントスキルの基礎の基礎」編では、マネジャーになりたての人が理解を深めるべき、マネジメントの根幹となる要素をそれぞれ解説します。

 

これまでに深く考えることがなかった事柄も含まれるかもしれませんが、1つひとつを理解していくことは難しくないはずです。知識を着実に積み上げ、マネジャーとしてのスキルを伸ばしていってください。

 

今回は、「動機付け(モチベーション)」「人事評価」の2つの要素について理解を深めてみましょう。

 

10.動機付け(モチベーション)

モチベーションとは、欲求に基づき動かす(動かされる)ことです。個人の心の機微を理解し、メンバーが相互によい影響を与えられるような環境をつくることが、マネジャーには求められます。

 

 

モチベーションは「やる気」や「動機付け」と訳され、仕事そのものや、成果を出すことへの意欲や熱意といえます。モチベーション・マネジメントとは、チームのメンバーがモチベーションを高め合えるような人間関係を築くことをいいます。

 

自分自身のことを振り返ってみても、常に高いモチベーションを保つのは難しいことが理解できるでしょう。それがチームとなると、構成員一人ひとりのモチベーションが周囲に及ぼす影響もあります。モチベーションの高い、よい雰囲気がチームに波及したり、あるいは逆の、だらけた雰囲気が蔓延してしまうようなことも起こります。

 

欲求が人間行動の方向性を定めます。中でも、「お金」と「ポスト」は、モチベーションを高める二大報酬といえます。しかし近年は、従来のように、「この2点さえ押さえておけば、たいていの社員のモチベーションを向上できる」というものではなくなっています。仕事のやりがいなどが多様化しているのです。以下のようなことが挙げられます。

 

  1. 会社基盤
    安定した会社で、将来への不安を感じることなく仕事に取り組みたいという欲求です。
  2. 理念戦略
    一貫性のある企業理念やビジョンに自身の意思をリンクさせていきたいと思う欲求です。
  3. 事業内容
    現代は、事業への興味関心はもちろん、事業の将来性、社会への影響力などに意義を求める人が増えています。
  4. 仕事内容
    「やりたいこと」を仕事にしたいという欲求はもちろん、「社会に貢献したい」「仕事を通じて成長したい」「自分自身の市場価値を高めたい」など、仕事に求めるものも多様化しています。
  5. 組織風土
    「自分らしさ」を発揮できる企業風土を求める傾向も強まっています。
  6. 人的魅力
    ともに働く人が魅力的であったり、「ああなりたい」と思う人物が存在したりすることが、企業の求心力を強めます。
  7. 施設環境
    心身に不調をきたすような社内環境は当然望まれませんし、オフィスインフラや立地なども重要なモチベーションファクターです。
  8. 制度待遇
    評価とそれに見合う待遇など。

 

上記を理解したうえで、まずはメンバーに対して仕事や社内行動について、細かなことでもフィードバックをしていくことが、モチベーション向上の基本となります。

 

11.人事評価

 

人事評価とは、各人の行動が組織の求めるところと合致するかどうかの判断です。マネジャーとメンバーの双方が試されるときといえますが、冷静な評価を心がけてください。日々の業務の観察が重要なポイントです。

 

新任マネジャーにとって、最初の大きなハードルのように感じられるのが、「人事評価」かもしれません。マネジャーの評価の結果は、さまざまな面でメンバーの「これから」に関わってきますし、緊張を強いられる場面といえます。

 

しかし評価をすることは、メンバーを育成することにももちろんつながります。さらにはマネジャー自身の成長を促すことにもなるのです。ポイントをつかみ、適正な評価をおこないましょう。

 

人事評価は、「メンバーが納得する評価を下す」ことが最大のポイントです。ではそのために具体的には、どのような評価をおこなっていけばよいのでしょうか。

 

まず人事評価制度は、業務観察による評価のしくみであるという点をよく肝に銘じましょう。人事評価制度では部下一人ひとりの実際の「仕事ぶり」(業績や能力など)を把握して評価します。その点で、統一の昇格試験などの制度とはちがうのです。業務評価は、業務のプロセスと結果をよく観察しておこないます。

 

では評価をおこなううえで守るべき事柄をみていきましょう。

 

  1. 公平性
    まず何よりも、評価のルールとその取り扱いが公平であることが大切です。
  2. 客観性
    主観による評価でないことが必要です。
  3. 透明性
    評価のプロセスや結果が公開されていることです。評価基準は、誰にもわかりやすい形で規定され、なおかつそれが、十分に開示されていなければなりません。マネジャーには、評価のルールをメンバーに対して説明する責任があります。
  4. 納得性
    上記3点の総合判断が満たされれば、ある程度の「納得性」を得ることができます。さらにはメンバーと評価についてのフィードバックをおこなうなど、十分なコミュニケーションが必要です。

 

最後に、人事評価は単に査定のためだけにおこなうのではないことをよく認識してください。人事評価は、評価される側にとって、平均よりよい評価をされるにしろ、悪い評価をされるにしろ、ステップアップの足がかりにならなければ意味がないのです。比較的マイナスの評価をされたときにも、被評価者が「なるほど」と感じ、次からは改善しようと考えたならば、それは適正な評価です。

 

評価者であるマネジャーは、「あの人に評価される仕事人になりたい」とメンバーが思うような仕事ぶりを見せられるよう、日々努めることも重要なエッセンスといえます。

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