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基礎編①~1.経営資源 2.PDCA 3.ビジョン/戦略/戦術

KNOW-HOW

「マネジメントスキルの基礎の基礎」編では、マネジャーになりたての人が理解を深めるべき、マネジメントの根幹となる要素をそれぞれ解説します。

これまでに深く考えることがなかった事柄も含まれるかもしれませんが、1つひとつを理解していくことは難しくないはずです。知識を着実に積み上げ、マネジャーとしてのスキルを伸ばしていってください。

 

 今回は、「経営資源」「マネジメントサイクル(PDCA)」「ビジョン/戦略/戦術」の3つの要素について理解を深めてみましょう。

 

 

 

 

1.経営資源

経営資源とは、企業が活動をしていくうえで必要となる資源のことをいいます。その代表的なものが「ヒト・モノ・カネ」です。これらのリソースが不足していると、会社の経営は継続できません。

 

 

・経営資源の3要素

 

 

ヒト…人材のこと。単に頭数を揃えればいいのではなく、「人的資源」とは「優秀な人材」をさします。

 

モノ…製品や商品のこと。製造業であれば、生産設備なども「物的資源」に含まれますし、PCやコピー機など、オフィスのインフラも重要な「モノ」です。

 

カネ…金銭的な資源をさします。企業価値の最終判断は財務の視点に立っておこなわれるため、重要なポイントです。

 

これらをグッド・バランスで伸ばしていければ、企業の成長が見込めます。ではそれを実現していくために必要なマネジャーの姿勢や考え方をみていきましょう。

 

 

・ヒト資源

 

ヒトがいなければ会社ははじまりません。モノを生産するのもヒトなら、販売してカネを生み出すのもヒト、新しいヒトを育成していくのもヒトです。マネジャーは個人個人の能力を拡大させ、またチームとしてさらなる力を発揮できるよう導く義務があります。

 

 

・モノ資源

 

マネジャーは、よりよいモノ(製品)を生み出すための方法を常に考える必要がありますし、またモノを生産するために必要なモノ(設備)にカネを投資するなどして準備し、不要なものは廃棄していく手腕も必要です。

 

 

・カネ資源

 

単純にすべてのコストをカットすればよいというのではなく、無駄なコストを削減し、必要な部分には十分なだけカネをかけることが必要です。また、目先の売上のみに固執するのではなく、利益を生むためにどのような「ヒト」や「モノ」に投資するべきかを考える、経営的カネ戦略を持たなくてはなりません。

 

ヒト・モノ・カネは独立してあるのではなく、それぞれリンクしていることがわかるでしょうか。マネジャーにはそれぞれの資源を有機的にリンクさせて、企業を発展させていく手腕が求められるのです。

 

 

 

2.マネジメント・サイクル(PDCA)

工業製品の製造や建築施工の管理などにおいて、品質管理のサイクルをまわしていく考えを、マネジメント・サイクルといいます。経営管理とは、このマネジメント・サイクルを常に管理していることだといってもよいでしょう。

 

 

Plan(計画)-Do(実行)-Check(確認)に、Act(調整・改善)を加えた「PDCA サイクル」が最も有名です。では、それぞれを具体的にどのような手順でおこなったらよいのかをみてみましょう。

 

 

・Plan(計画)

 

目標を実現するための方法を決めるのが計画ですから、計画を立てる前に、目標を設定しなければなりません。目標が適切に設定されていないと、計画、ひいては結果も不適切なものになってしまいます。

 

目標を設定したら、目標に対して自分がどの位置にいるのかを確認します。そこから目標に向かって、3~4年程度の長期には何をおこなうべきかを計画します。次に1年程度の中期的な計画、最後に1~3か月の短期的な計画へと落とし込んでいきます。

 

 

・Do(実施)

 

立てた計画を実行します。業務にはルーティンワークも含まれますが、機械的にこなすだけでなく、どうすればもっと効率よくすすめられ、生産性を向上することができるかを、常に考えながら業務を実行します。

 

 

・Check(評価)

 

計画通りに実施されているかどうかを常に把握する必要があります。マネジャーは、売上や資金の状況を常に把握している必要がありますが、前月の状況を当月の後半になってからつかんでも、意味がありません。常に新しい状況を知っておく必要があります。そのための定型的な報告ツールを作成しておくなども、マネジャーの仕事です。

 

 

・Act(調整、改善)

 

状況把握の結果、計画通りに実行されていない場合は、対策をとらなくてはなりません。まず計画と実績の差異の分析をします。そして原因を明確にします。また、計画が達成できるようなら、さらに目標を高くするとか、次の目標を考えるといったことも必要になります。

 

 

PDCA のうち、PおよびDを「モニタリング」、CおよびAを「フィードバック」と呼びます。このサイクルの概念で特に重要なのは「フィードバック」です。

 

マネジメント・サイクルを利用しなくても、仕事の計画と実行はおこなわれるのが通常ですが、改善につながらないことがよくあります。PDCA を利用して、業務のやりっぱなしを防ぎましょう。

 

 

 

 

3.ビジョン/戦略/戦術

企業理念をさらに現実に即した形にしたものがビジョンであり、中長期計画での実現をはかります。戦略・戦術は、1年単位などのより短い期間で結果を生み出し、ビジョンや理念へと近づくことをめざすものです。

 

 

組織のトップは企業の経営理念に基づくビジョンを持っています。企業の将来的願望=理想像というべきビジョンは、現状に比して、壮大で、高遠でなければ価値がありません。

 

マネジャーは、その理念を共有する必要があります。また組織のメンバーの中には「いったいそのようなビジョンが実現可能なのだろうか?」と疑念を抱く者もいるかもしれません。そのようなときにマネジャーは、企業のビジョンと、その現実的な達成方法を、明確に伝えていく役割があるのです。企業の理念は不変ですが、ビジョンは、社会の環境が変化したり、それにともない価値観が変化したりすることによって、定期的に見直されなければなりません。ビジョンは10 年程度の長期計画および、3~5年程度の中期計画によって実現をはかります。

 

そのビジョンを実現するためのツールが「経営戦略」です。ビジョンとはいわば、中期的に達成するべき経営戦略なのです。

 

 

戦略(ストラテジー)や戦術(タクティクス)は、ビジョンの実現のために実際に取られる方策をあらわします。戦略も戦術も軍事用語で、混同されがちです。

 

 

戦略とは、戦闘での勝利に向けて、チームが最大限に力を発揮するために取られる総合的な基本方針のこと。

戦術とは、戦場で勝利に向かって取られる術のことです。

 

 

ビジネスでいえば、メーカーが「これまで20 歳代が主な顧客層だったが、30 歳代以上もターゲットにして利益拡大をめざす」というのは戦略です。その中で「30歳代以上のニーズをマーケティングしたり、その結果に見合った製品を開発、販売地域を検討したりする」ことは戦術になるのです。

 

 

このように、戦略は戦術を包括するものなので、戦略自体の方向性が誤っていた場合、戦術で取り戻すことはできないことがわかります。

 

 

 

戦略を正しく設定したうえで、戦術を選択していく必要があります。戦略や戦術は通常、1年ごとの経営計画などとして盛り込まれます。これらのビジョン(中長期計画)や戦略・戦術(年次計画)の実施にあたっても、PDCA サイクルをまわすことが有効です。

 

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