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オペレーション・マネジメント編④~10.リストラクチャリング 11.ダウンサイジング

KNOW-HOW

組織は、少しの工夫で劇的に改善され、効率的に動く可能性を秘めています。そのために必要なものは、「どうしたいかという目標」と、「それに到達するための手法」です。

 

「オペレーション・マネジメント」編では、多くの企業で導入されている効率的な組織運営の手法を取り上げ、無駄をなくしたり、情報を共有するための方法論などを学んでいきます。

 

今回は「リストラクチャリング」「ダウンサイジング」の2つの要素について理解を深めてみましょう。

 

10. リストラクチャリング

リストラという言葉には人員削減・規模縮小というイメージがつきまといます。しかし、会社を活気付けるためにおこなわれるあらゆる種類の事業再構築という意味のほうがより正確です。

 

リストラクチャリング(Restructuring)というと、不採算部門の事業縮小や撤退、統廃合といった事業整理がまず思い付くのではないでしょうか。たしかに、さらなる成長のために規模縮小(ダウンサイジング)をすることもリストラクチャリングの1つです。しかし、そのほかにも事業の再構築や成長事業への資源集中という意味も持ち合わせています。ここではこの「事業再構築」について説明します。

 

近年、事業再構築がおこなわれる背景には、経済のグローバル化がすすんで企業間競争が激しくなったことが挙げられます。このような、今まで以上に目まぐるしく変化を続ける環境に対応するために、組織や事業を再編することが不可欠となっているのです。

 

事業再構築の要点として必要なものが事業ドメインの選択と、将来におけるコア・コンピタンスの策定です。

 

事業ドメインとは、企業がその力を効果的に発揮できる領域のことで、その中であれば勝てる見込が高いと考えられるエリアです。自社の専門領域や伸びている分野、これから成長が見込める市場などを分析することで明確になります。企業が持つ経営資源は無尽蔵ではないので、成長が頭打ちになっている場合は事業ドメインに集中させる必要があります。

 

そしてコア・コンピタンスですが、これは「他社には真似のできない企業の中核となる強み」という意味です。将来における姿を策定するには、まず現状においてどのような強みを持っているかを把握しなければなりません。そして、社会がどう変化しているかをイメージし、その中において優位性を確立できるスキル・技術・製品をコア・コンピタンスとして策定します。こうして将来に向けた設計図を構想することで、ぶれない基本指針の創出ができるのです。

 

事業ドメインとコア・コンピタンスが定まったら、具体的にどういった機能・事業が必要なのか、どの部門に資源を集中させるかを判断します。そして、目的に合わせて取るべき手法を選択するというのが一連の流れです。

 

事業再構築の規模は、とてもバラエティに富んでいます。サプライチェーン・マネジメントやアウトソーシングなどの社内システムを改革する手法も多くおこなわれていますが、分社化やM&Aといったドラスティックな組織再編も最近では増えています。すべては会社を活気付け、社員に成長を意識して働いてもらうという目的のもとに、実施されているのです。

 

 

11. ダウンサイジング

ダウンサイジングはリストラクチャリングの一環で、組織を縮小する経営戦略です。むやみに人や事業を削るのではなく、適正な大きさ(ライトサイズ)をめざすという理念が必要になります。

 

ダウンサイジングとは、リストラクチャリングの一環で、規模縮小や小型化などと訳され、一般的には人員削減、事業や組織の規模縮小を示します。日本では、人員削減というと「リストラ」という表現のほうが一般的ですが、これは、インパクトの強さと仕事がなくなるという負のイメージがあいまって、あっという間に定着した造語です。この言葉にあらわされるように、規模縮小について多くの人はよいイメージを持っていません。それは企業というものに対して、常に成長しているか、少なくとも定常的な状態は保ってなければいけないという考えがあるためです。しかし、激しい変化がつきものであるビジネスの世界において、浮き沈みは避けられません。ダウンサイジングは、下降期における有効な対処法の1つなのです。

 

ダウンサイジングにおいてまず求められるのは、経営戦略を理想的に実行するためには、組織・人材・配置をどのように運営するかを考え抜くことです。そして規模を縮小するのではなく、適正な大きさ(ライトサイズ)にするという認識を持ち、周囲にもそれを知らせます。通常、縮小のための施策はメンバーの意欲低下を招きがちです。それに歯止めをかけるために、戦略実現のためには組織の現状を変えなければならないという意識を共有化することが必要となるのです。

 

そのうえで組織のメンバー全員で、顧客に対するサービスの価値を失わずに再構築する道を検討します。サービスレベルを維持しながらも削減できるところを全員で洗い出すために、すべての作業をゼロから見直すのです。

 

さらに、単なる危機対応策としてではなく、継続的な経営管理プロセスとしてダウンサイジングをすることが大切です。メンバーにとって、最も安心感を感じるのは、リーダーが常に変化する経営環境の中で自分達のことをよく考えていて、合理的な決定をしていると知っている場合です。いつも組織を適正な規模に保つよう気を配り、それを全員に示すことでこの安心感を生み出すことができるのです。

 

ダウンサイジングの実施方法として、人員削減・組織縮小のほかにも分社化があります。分社化は一事業部門を切り離して独立させるもので、部門を丸ごと切り離すダウンサイジングです。そのメリットとして、独立採算制をとることで企業会計の明瞭性を確保できること、本体も分社も機能が特化され専門性を高めることができること、機動的意思決定の実現などが挙げられます。

 

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