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組織マネジメント編①~1.組織開発 2.マトリックス組織 3.学習する組織

KNOW-HOW

複数の人間が集まって構成されている組織の特性を把握したうえで、いかに効果的に組織を運営していくかは、マネジャーの役割の中で重要なことの1つです。

 

「組織マネジメント」編では、組織マネジメントの種類を紹介し、マネジャーが組織を運営していくうえで不可欠な、数々のテクニックを学んでいきます。

 

今回は「組織開発」「マトリックス組織」「学習する組織」の3つの要素について理解を深めてみましょう。

 

1.組織開発

 

組織開発とは、OD とも呼ばれ、組織の業務効率を高め、理解と変革と開発をすすめるためのさまざまなテクニックの総称です。たとえば、チームビルディング、サーベイフィードバックなどが、OD に該当します。

 

 

組織開発とは、従業員を変える方法を一括して呼ぶときに使われる言葉です。英語でいうとOrganizational Development と訳され、その頭文字からOD とも呼ばれています。組織開発は、組織の業務効率や健全性を高めたり、環境の変化に対応していくために、組織のメンバーの価値観や態度、風土、人間関係などをよりよい方向に変革するためのさまざまなテクニックをさします。

 

組織開発が重要ととらえる条件は以下の通りです。

 

  1. 民主的な価値を重んじる
    組織開発は、人道的で民主的な価値の上に成り立つマネジメントスキルです。そのため、人間と組織の成長、協力的・参加的プロセス、質問することを重要ととらえています。
  2. 個人への信頼のもとに成り立つ
    組織開発は、「個人は責任感があり、良心的である」という前提に立っておこなわれます。信頼と平等を重視し、問題にはしっかりと立ち向かうというスタンスをとります。
  3. 革新的議論を重視
    革新をめぐる議論に参加する人が多ければ多いほど、決定したことについて参加する人が多くなる、などの特徴があります。

 

要するに組織開発とは、組織の改変や制度、手続きの変革に重きを置くのではなく、メンバーが持っている力を発揮し、相乗効果によって大きな成果をあげられるような組織風土づくりをめざすことに焦点を置いた活動といえます。

 

一般的な組織開発には、サーベイフィードバック、チームビルディング、およびグループ相互の開発などのテクニックがしばしば使われます。

 

チームビルディングとは、グループをチームとして機能させるための技法で、メンバー間の信頼と開放性をアップさせるテクニックです。サーベイフィードバックとは、組織のメンバーの態度を評価したり、メンバー間の受け止め方の食い違いを確かめ、食い違いが生じていることが明らかな場合は、解決するという方法です。

 

たとえば、組織のメンバーに慣例的な意思決定の方法、コミュニケーションの有効性、各部門間の協力などのアンケート結果を元に、特定の部署に関するデータと組織全体に関するデータを比較する表をつくり、従業員に配布します。

 

アンケートから得られたデータは、従業員の潜在的な問題を明らかにする手がかりです。データをもとにディスカッションをおこない、アンケートの結果の意味を参加者全員が理解して結論を皆で導き出します。

 

このような組織開発は、グループ間の対立によって機能不全に発展する可能性のある場合などに特に効果を発揮するマネジメントスキルといえます。

 

 

2.マトリックス組織

 

複数の異なる組織構造を混合し、指示命令系統を多次元的に構成した組織のことをマトリックス組織といいます。マトリックス組織のメリットは、少人数の専門家を、部門を越えてフル活用できるという点にあります。

 

マトリックス組織とは、ある部署で働いている専門家が、専門や部署を超えたチームでも働くことができるようにする組織構造のことです。ピラミッド型の組織に代わって、1980 年代の後半には、多くの多国籍企業がマトリックス組織を採用し、今日でも多種多様な業界で採用されています。

 

●マトリックス組織の特徴

  1. 職能別、事業別、製品別、顧客別、時間別というように、異なる組織構造がミックスされた状態になっています。
  2. マトリックス組織の下で働く従業員には、上司が複数存在します。

 

●マトリックス組織のメリット

  1. マトリックス組織では、それぞれ異なった専門家同士が直接コンタクトを取り合うことが可能になるため、コミュニケーションが円滑になります。また、情報を効率的に伝達することが可能になります。
  2. マトリックス組織は、専門家を効率よく割り当てることが可能になります。人的資源のムダを省き、効率的な経営が期待できます。

 

●マトリックス組織のデメリット

  1. 組織に混乱と力関係の闘争を促進する傾向があるため、個人はストレスを増加させる可能性があります。
  2. 上司が複数いることから、命令に統一性がなくなることが多く、混乱を生みやすい傾向にあります。

 

複数の上司が存在することで、意思統一が図られず、部下に対する指示命令が矛盾すると、組織が機能不全に陥ってしまいます。そのため、一方の上司には大きな権限を与えるなど、与える権限や役割を差別化することで、混乱を防ぐという方法が一般的に取られています。

 

3.学習する組織

 

個人が学ぶのと同じように組織も学びます。「学ぶ」ということが、組織が存続し続けるために必要だからです。要するに「学習する組織」とは、あらゆる状況に適応できる能力を身に付けていく組織のことをいうのです。

 

これまで、たいていの組織が、「シングル・ループ学習」と呼ばれる方法で学んできました。これは、間違いを発見した際に、過去の慣例と現在の方策に頼って解決するという方法です。

 

これに対して「学習する組織」は、「ダブル・ループ学習」をおこなっています。この方法は、過ちが発見されると、組織内の根強い慣習や規範に流されることなく、従来とは大きく異なる問題解決や飛躍的な改善をおこなうものです。

 

学習する組織には以下のような5 つの基本的特徴があります。

 

●基本的特徴

  1. 全員が同意した共有ビジョンがある。
  2. 組織のメンバーは古い思考方法や、問題解決や仕事上用いてきた標準的慣例を破棄する。
  3. 組織のメンバーは、組織のプロセス、活動、職務、環境との相互活動を、相互関係システムの一部として考えている。
  4. 組織のメンバーは、批判や罰を恐れることなく、上下関係や横の境界を超えて、自由にコミュニケートする。
  5. 組織のメンバーは、個人的利害や多くの部門の利害を昇華し、組織が共有するビジョン達成のために共に働く。

 

学習する組織は、リスクを犯す行動、開放性、成長などを重視し、独特の文化を持っています。また、階層化と細分化によって生み出された障壁を壊し、「無境界性」を求めます。学習する組織は、意見の不一致、建設的批判、職務上の争いを支援し、共有するビジョン実現のために変化をもたらすリーダーを求めています。

 

では、学習する組織にするためにマネジャーには、どのような行動が求められているのでしょうか。学習する組織を語るうえで欠かせない人物がピーター・M・センゲです。センゲは、学習する組織を実現するための要素を5つ挙げています。

 

●実現するための要素

  1. システム思考
    あらゆる物事を相互関係でとらえることで、一連のシステムとして理解する考え方を意味し、その他の4つの要素を統合するという役割も持っています。
  2. 自己マスタリー
    あるべき姿と現状とのギャップを明確にし、継続的に能力向上に努めることをさします。
  3. メンタルモデルの克服
    慣例や古いしきたりを検証・改善すること。
  4. 共有ビジョン
    組織のあるべき姿をメンバーで共有すること。
  5. チーム学習
    意見交換やディスカッションにより、共同してチームの能力を向上させること。

 

絶えず学習し続ける組織の実現へ向けて、強いリーダーシップによって行動を実践し続けていくことが、マネジャーには求められています。

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