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第12回 不思議じゃないけど素敵な台湾人、香港人

COLUMN

強烈な個性と奇想天外な行動で楽しませて(ときに呆れさせて)くれる中国人と比べると、同じ中華民族でありながら、台湾人、香港人は日本人の感覚に近い常識人という印象があります。ですから、街全体が自由な空気に包まれていることもあり、台湾や香港を訪れたときは、ついつい緊張感が緩んでしまいがちです。

 

まずは台湾人のキャラクターについて触れてみたいと思います。ご存知のとおり、台湾人は日本と日本人が大好き。年齢・性別を問わず、「哈日族」(日本フリーク)と呼ばれる人がたくさんいます。かつて日本統治時代があったにもかかわらず、なぜこれほど親日的(間違いなく世界一の親日国家)なのか、正直、説明がつきません。

 

先の東日本大震災でも、台湾から寄せられた義援金は、あの米国をも上回る突出した額で、九州ほどの小さな国であることを考えると、驚異的という表現がふさわしいでしょう。長年、親しくしているSさん夫妻は、震災直後、「大丈夫でしたか?」と電話をくれました。

 

このSさん夫妻、3年前には共通の友人の結婚式に出席するため、寸暇を惜しまずわざわざ神戸まで駆けつけてくれ、「あの○○ちゃんが・・・」と、あたかも新婦の両親のように、感涙にむせんでいたのを思い出します。こうした細かな感情の機微が、日本人の感覚に近いといわれる所以なのです。Sさん夫妻以外の台湾人の友人も、善良な人ばかりで「一長一短」の「長」の部分しか思い浮かびません。国際結婚の難しさは承知していますが、「台湾人女性とならば、うまくやれるのでは」と密かにチャンスを狙っています。残念ながら、具体的な相手はまったく見つかっていないのですが(笑)

 

政治問題に言及するつもりはないものの、僕にとってどちらも大事な中国人と台湾人が反目しあう関係は好ましくありません。最近の両岸関係の大幅な改善は喜ばしい状況であり、日本と中国の関係もかくあってほしいと願っています。

 

次に香港人。彼らは台湾人ほどの圧倒的な親日家ではありませんが、とにかく所作がスマートで、日本人以上に国際感覚を備えているので、非常に付き合いやすい相手といえます。香港人が洗練されているのは、長らく英領だった環境と無縁ではないでしょう。インド系、アフリカ系、アラブ系、東南アジア系、欧米系など、世界中の人が集まる人種の坩堝と呼ぶにふさわしい国際都市であるため、広東語、北京語に加え、流暢な英語を操る人が少なくありません。中国人特有の「中華思想」も持ってはいるのでしょうが、同時にワールドワイドな視点も持ち合わせてい人たちなのです。

 

つい最近、地下鉄車中で起きた、香港人と中国人観光客の壮絶な口論が話題となりました。車中で娘にお菓子を与えた中国人女性の行為を香港人が注意したところ、中国人女性が激しく反発し、彼女の連れや他の乗客も巻き込んだバトルに発展したという騒動です。

 

日本人の場合、「マナーを守らず、なおかつ素直に謝らない中国人に非がある」と考える人が多いのではないでしょうか。事実、香港地下鉄では構内での飲食が禁止されており、違反者には罰金が科せられます。その点で香港人の注意は正しいのですが、とはいえ、一方的に中国人女性を責めるのは気の毒な気がします。中国では車中での飲食など当たり前ですし、すぐには謝らないのも一種の文化。単に香港のルールを知らなかっただけであり、「だから中国人は」との論調には違和感を禁じ得ません。この騒動は、喧嘩両成敗が妥当でしょう。

 

日本語が広く通じる台湾、英語が広く通じる香港は、中国語ができない日本人にとって、最も旅行しやすい場所。百聞は一見に如かず、ぜひ気軽に訪れてみてください。台湾、香港という「もうひとつの中国」を通して、喜怒哀楽をすべて刺激してくれる、中国の不思議な魅力を改めて実感できるはずです。

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