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第8回 中国人女性はこんなに素敵!

COLUMN

みなさんは中国人女性に対し、どんなイメージをお持ちでしょうか? おそらく多くの人が「性格がきつそう」と答えることと思います。実際、街を歩いていると、しばしば中国人女性が男性(ときには公安)を相手にして、大声で激しくやり合っている場面を目にします。その迫力は男性も顔負け。マシンガンのような「口撃」で、相手を圧倒しているのですが、公衆の面前で男性と本気でケンカする女性は、さすがに日本では滅多にお目にかかれませんよね。

 

ただ、個人的な感想としては、こうした行為は性格のきつさとは関係がなく、自己主張の強さの表れという気がするのです。自己主張はもちろん、人間的にも強いのが中国人女性の特徴。その強さ、逞しさは、あらゆる職種で活躍する女性に垣間見ることができます。

 

中国社会に「専業主婦」の概念は浸透していませんから、ほとんどの家庭が共稼ぎ。共稼ぎといっても、パート的な軽い仕事よりも本格的な仕事を持っている人のほうが多く、彼女たちは総じて働き者です。息も凍るほど寒い真冬の早朝、駅前に立ち商売をしている女性に出会ったときは、「母は強し」と感動せずにはいられませんでした。家族のため、必死に働く女性は、年齢を問わず美しいものです。もちろん、これは中国人に限らないのですが。

 

中国人女性の魅力を語るうえで、「強さ」に加え「優しさ」も挙げないわけにはいきません。

 

かつて湖南省で日本語講師を勤めていた頃、教え子の7割は女の子でした。若くして親元を離れ、寮生活を送る彼女たちは、厳しい環境に置かれているにもかかわらず、具合が悪くなれば親身になって介抱してくれ、現地生活で困ったことがあれば骨惜しみをせず助けてくれ、休日になれば「遊びましょう」と誘ってくれるなど、家族と接するかのごとく、徹底的に尽くしてくれました。幸か不幸かロマンスに発展することはなかったのですが、彼女たちのサポートがなければ、せっかくの中国生活が無味乾燥な日々になっていたに違いありません。また、生徒だけではなく、同僚の女性教師や知人の奥さんなどにも、いろいろとお世話になりました。

 

自立した生き方を選ぶ女性が増えている日本とは対照的に、中国では今も子子孫孫の繁栄を第一に願う女性が少なくありません。ですから、日本と比べれば早婚傾向が顕著ですし、「ひとりでも多く子どもを産みたい」との考えも根強い印象があります。もし「一人っ子政策」が実施されていなければ、昭和の日本のように、大家族が当たり前だったはず。中国人女性に母性の強さを感じる場面が多いのは、このような伝統的思想が背景にあるからではないでしょうか。

 

市場で働く女性たち。早朝から頑張っています。

ちなみに、育児放棄、幼児虐待といった歪んだ社会問題は、あまり耳にしたことがありません。逆に(祖父母も含めた)行き過ぎた溺愛、甘やかしが目立っており、「わがままな子を増やす」と懸念されています。

 

中国の貧しい農村部には「留守児童」という言葉があります。両親ともに都市部へ出稼ぎに行ってしまい、祖父母や親戚に預けられている子どものこと。「留守」といっても、かなり長期に及ぶケースが多いため、母子再会のシーンでは、お互い涙、涙、涙となります。中国で見たドキュメンタリー番組で、母親は「我が子と離れて暮らすのは、身を切られる以上につらい」と号泣していました。都会で奮闘する出稼ぎ女性の強さは、「子どもを一人前に育てなければ」という決意に支えられているのです。

日本メディアの取材を受ける「女強人」の知人。職業は日本語通訳。日本人的な気配りができる優しい女性です。

中国語の「女強人」は「キャリアウーマン」の意味。近年、女性の地位向上とともに、広く使われるようになりました。しかし、芯が強いのは、キャリアウーマンだけではありません。家族のため、必死に働くすべての女性に、「女強人」の言葉を捧げたいと思います。

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