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創考喜楽

デザイン思考で世界を変える 第10回

Re-Designing HR 人事をリ・デザインする~米国発・最新事例研究レポート~25 COLUMN

デザイン思考に欠くことのできない重要な段階がアイデア出しためのブレインストーミング(ブレスト)だ。そのために必要となるテーマ設定は、ブレストの展開そのものを大きく左右する重要な要素となる。それらがブレストの運営に関していくつかの注意点や行き詰まった際のヒントとともに、d.schoolのテキストにおいて紹介されている。

 

メソッド:How might we questions(HMW) / **してはどうだろう?

 ■Why create how might we questions / どうしてHMWを作るのか

 

「How might we / **してはどうだろうか?」という問いかけは、チームがブレインストーミングをスタートさせる時に使用できる効果的なフレーズだ。というのも的確なHMWでブレインストーミングを始めれば、それまでに得られた着眼点やデザイン原則とは少し離れたところからスタートできるからだ。ソルーションに近づくキッカケを作り出せるだけの十分な広がりと、チームを道に迷わせないための境界線となるような狭さを兼ね備えたフレーズ作りを目指そう。
たとえば「これまでにないような全く新しい形状のアイスクリームを開発する」というような場合には・・・
狭すぎる例:溶けたアイスクリームのしずくが落ちないようなアイスクリームコーンを作ったらどうだろうか?
広すぎる例:デザートをリ・デザインしたらどうだろうか?
適切な例:歩きながら食べるのにちょうど良いアイスクリームをリ・デザインしてみたらどうだろうか?
注意しなければいけないのは、プロジェクトの進捗状況に応じて、質問の幅は異なってくる、ということ

メソッド:Brainstorming / ブレインストーミング

■Why Brainstorming / どうしてブレインストーミングをするのか

 

一人で机に向かってペンと紙を使って考えているだけでは出てこなかったようなアイデアが、ブレインストーミングを行うことによってたくさん得られる。ブレインストーミングはたくさんのアイデアを生み出すための優れた手段だ。互いの意見や他者のアイデアにかぶせて考えを発展させていくと、グループとしての集団的な思考が大きく影響されて、さらに広がっていく。評価したり批判したりするという行為に対するフォーカスを外し、ブレインストーミングによって脳の中の創造的な部分だけに意図的に意識を集中させて自由な発想を可能にすることで、2つの異なるセグメントを生み出すことができる。ブレインストーミングはプロセスのすべて、様々な局面において使用可能だ。ソルーションを目的とする以外にも、共感観察を行う場所についてのプランを考えている時や、プロジェクトに関わる製品やサービスを考える際にも効果的な手法だ。

 

 

■How to brainstorm / どのようにブレインストーミングを行うか

 

たくさんのアイデアを得ることが目的である場合には、グループそのものが「ブレインストーミングモード」に入ることを目指し、生み出されたアイデアの評価や判断、そして批判は別のタイミングで行うようにする。投下する時間も15~30分程度に限定し、その中で精一杯コミットしてエネルギーを注ぎこむようにする。ホワイトボードを用意して、その前に全員が立つか、全員でテーブルを囲むようにして、積極的にアイデアを出し合う。その際、互いの距離は近いほうが良い。

 

そこで出されたアイデアははっきりと書き残しておく。HMW(前項参照)を利用することも、一つのフレームの中で優れたブレインストーミングを行うためには重要なポイントだ。
ブレインストーミングでアイデアを出すことにチームを集中させるためには、以下に示すような2つの方法がある。

 

  1.  記録する:出てきたアイデアを、ホワイトボードに読みやすく、視覚的にも理解しやすいように描いていき、それを声に出して読む。この作業は、そのアイデアに対して自分がどのように感じているかということとは無関係に、全アイデアを無駄にせずに捉えていくために重要だ。
  2. オールイン:出されたアイデアを紙に書き、声に出してグループ全体で共有する。この時にポストイットを使用するのが便利。アイデアを出してポストイットに書き、それをホワイトボードに貼り付ける。
    このようなルールに従って、うまくブレインストーミングを運営していけば、あなた自身を含めたグループメンバー全員からクリエイティブなアウトプットが自然に引き出されてくる。

メソッド:Facilitate a Brainstorm / ブレインストーミングをファシリテートする

■Why facilitate a brainstorm/ どうしてブレインストーミングをファシリテートするのか

 

ブレインストーミングをよりプロダクティブにするためには、良いファシリテーションが重要な鍵となる。ブレインストーミングは広範囲にたくさんのアイデアを生み出すが、良いファシリテーターはチームが良いアイデアを出すことのできる舞台をうまく作ることができる。

 

■How to facilitate a brainstorm/ どのようにブレインストーミングをファシリテートするのか

 

エネルギー:ファシリテーターの一つの役割は、チームからアイデアが次々に出てくるような状態を維持すること。その中でももっとも重要なのが、ブレインストーミングを始めるきっかけとなる問いかけだ。(HMW:前述)チームが発信する強力なエネルギーが創りだしたアイデアの波が、継続的に押し寄せるように努力する。時にはスピードが低下したり、止まってしまうこともあるので、そうした時には調整が必要になる。常に変化が生まれるように、HMWをたくさん用意しておき、チーム全体が常に新しいアイデアを生み出し続けるように、常に「たとえば**してみたら、どうだろう?」という問いかけが止まらないようにする。チームがエネルギーを切らさないように、前もって刺激を与えることのできるプランを用意しておくことが重要だ。

 

制約:新鮮なアイデアに繋がりそうな制約条件を持ち込む。たとえば「それがもしも丸くなかったら?」「スーパーマンだったらどうするか?」「奥さんだったらそれをどんな風にデザインするか?」「100年前に戻ったとしたら、当時の技術ではどうするだろう?」などのような制限条件になるような様々な要素をブレインストーミングに持ち込むことも、時には有効だ。20分程度の時間制限を設けて、それぞれのHMWについて50個のアイデアを出してみる。

 

スペース:ブレインストーミングする場所に対しても配慮することが重要。水平方向だけではなく、垂直方向にも十分な書き込みスペースを用意する。参加者の誰にとっても十分な広さを確保することは重要だが、同時に参加意識が薄れてしまうほどに大きなスペースは避けるべき。常にバランス意識を持つことが重要だ。一般的に、チームメンバーが二歩進めばホワイトボードに触れることができるような距離が理想的。また記録係がいてアイデアをポストイットに代筆してくれるような場合、発案のスピードが早すぎて、筆記が間に合わないケースも出てくる。それを避けるために、参加者自身で書き込めるようにポストイットとマーカーをたくさん用意することも重要だ。

 

Hasso Plattner Institute of Design at Stanford University 
d.School

 

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