イノベーションに不可欠と考えられるようになった「デザイン思考」について、その具体的なプロセスを伝える実践的ガイドブックの意訳&要約を行う第二回目の今回は、アイデア創出、プロトタイピング、テスティングという3つのモード(段階)についてお伝えする。
アイディエイトというのは、アイデアを出すことに集中するあなたのデザインプロセスにおけるひとつの段階を指している。鋭いコンセプトや明快なアウトプットを得るために、焦点を絞るのではなく、むしろ意識的にどんどん広げる段階だ。アイディエイションが目指すのは、多種多様なアイデアが大量に出ていて、最適なソルーションを広い範囲から探索できるような状況。このアイデア保管庫の中で、あなたはユーザーとともにプロトタイプを創りテストできるようになる。
問題を特定するというところから、ユーザーのためのソルーションを見つけ出すというところへと移行するために、アイディエイトが必要になる。様々な形のアイディエイションが考えられるが、それらはおもに次にあげるようなことに影響を与える。
どのようなアイディエイションメソッドを用いているにしても、アイディエイションにおける最も基本的な原則は以下の通り。チームがアイデアの創出を行っており、あなたはアイデアの評価を行うという場合、その二つを一緒にするのは、そうすることを本当に強く意識したときだけにとどめ、そうでない場合には二つの行為を分離するということだ。
プロトタイピングとは、アイデアやリサーチした内容を頭の中から取り出して、いったん物理的な世界へと移すこと。その結果できあがるプロトタイプは物理的にいろいろな形式をとる。たとえば、壁一杯に貼られたポストイット、ロールプレイング・アクティビティ、空間やモノ、インターフェイス、さらにはストーリーボードなどもその一例だ。
プロトタイプから作られる結果はプロジェクトの進行に応じて作られている必要がある。探索の初期段階において、プロトタイプはきわめてラフな素早く作れるレベルのものになってしまうが、それはそこに潜んでいる無限の可能性を学び取るための方法だ。プロトタイプは、デザインチーム、ユーザー、その他の人々がそれを実際に体験し、それに触った時に大きな成功へとつながっていく。このような物理的な交流から学んだことが、より深い共感へあなたを導き、成功するソルーションを形作って行く。
伝統的にプロトタイピングはモノの機能性をテストするために行われてきた。しかしここでは、時には相反するようなカテゴリーを含む、以下のようなたくさんの理由でプロトタイピングを行う。
現実的には、プロトタイピングのゴールは上記4つの要素を併せ持つことが多い。さらに、
テストはソルーションを精緻化しより良いものに練り上げるための絶好のチャンス。テストのモードにおいて、まだ未完成で未熟な状態にある解決策を、ユーザーの実際のくらしに沿った文脈の中で確認する段階。プロトタイプの段階ではたとえそれが正解であると確信していても、どこかに過ちがあるに違いないと考え直してから、テストに臨む方が良い。
さて、以上でモード編は終了。次回はデザイン思考者となるための様々なヒントについてお伝えする予定。
Hasso Plattner Institute of Design at Stanford University
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