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共感力のある人はここが違う!身に付けるメリットとトレーニング方法は?

現代のビジネスや人間関係において、他者との信頼関係を築く力が重要となる中、注目されているのが「共感力」です。共感力とは、相手の感情や立場に思いを巡らせ、理解しようとする姿勢のことを指します。ただ話を聞くだけでなく、言葉の裏にある気持ちや状況までくみ取ろうとする態度が、良好な関係の土台となります。
当記事では、共感力についての基本や、共感力が高い人の特徴、仕事におけるメリット、共感力を高める方法などを詳しく解説します。
共感力とは?

共感力とは、他者の感情や立場を理解し、寄り添おうとする力のことです。エンパシーと呼ばれ、ビジネスにおいては信頼関係の構築に欠かせない要素とされています。
心理学では、共感力はカウンセリングにおける「聴く側の3要素(共感的理解・無条件の肯定的関心・自己一致)」の1つに数えられています。単に相手の話を聞くだけではなく、心の動きや背景にまで思いを巡らせる姿勢が求められます。
共感力は、円滑な人間関係や安心して挑戦できる職場環境をつくるための基盤となる重要なスキルです。リーダーや管理職にとっては、特に磨くべき力の1つと言えるでしょう。
たとえば、味の素グループでは「心理的安全性」を高める取り組みの一環として、挑戦する社員を社内で発信・応援する「Team Flags」プロジェクトを実施しました。挑戦を応援する文化の育成は、共感的な理解を通じてチーム全体の関係性を強化する効果があります。
共感力が高い人に見られる特徴

共感力が高い人には、いくつか共通した行動や考え方の傾向があります。共感力は、日々のコミュニケーションにおいて相手からの信頼を得やすくし、チームや組織内での関係性を良好に保つための基盤です。
ここでは、共感力が高い人に見られる代表的な3つの特徴について解説します。
周囲の人に関心を向けている
共感力が高い人は、常に周囲の人に強い関心を持っています。相手の言動だけでなく、その背後にある感情や考えにも意識を向け、深いレベルでの理解を目指しているのが特徴です。たとえば「なぜこのような行動を取ったのか」「何を大切にしているのか」など、自分とは異なる価値観を尊重しながら対話を重ねます。
このような姿勢は、相手に「理解されている」という安心感を与えるだけでなく、新たな発見や学びを得る機会にもつながります。管理職やリーダーの立場では、部下の変化や声にならない感情に気づける観察力が求められます。周囲への関心を持つことは、組織全体のコミュニケーションの質を高めるための第一歩と言えるでしょう。
相手の話にじっくり耳を傾けている
共感力の高い人は、相手の話に最後まで集中して耳を傾けます。相手の言葉を途中で遮ったり、自分の意見を急いで挟んだりせず、相手の気持ちや意図を丁寧に受け止めようとします。
大切なのは、言葉そのものだけでなく、表情や口調、間合いなど非言語的な情報にも注意を払うことです。共感的な聞き手は適切なタイミングでうなずいたり、相づちを打ったりして、相手が安心して話し続けられる環境をつくります。
会話の配分としては「相手7割・自分3割」が理想的です。特にリーダー職においては、部下の声に耳を傾けることが、エンゲージメント向上や早期の課題発見にもつながります。
多様な経験を通じて相手の感情に寄り添っている
共感力の高さは、豊かな人生経験に裏打ちされることが多い傾向にあります。成功や失敗、喜びや悲しみなど、さまざまな経験を通じて得られた感情の「引き出し」があることで、相手の置かれている状況や気持ちをより具体的にイメージしやすくなります。
たとえば、困難を乗り越えた経験がある人は、他者の感情の奥行きまで想像でき、同じように苦しんでいる相手の気持ちに深く寄り添えます。ビジネスにおいても、異なる立場の人との関係性を築く上で、経験に裏打ちされた共感力は大きな武器となります。
共感力を高めて得られるメリット

さまざまな人々と協働する現代のビジネス環境において、共感力は基盤となる力です。共感力を高めることは、職場や取引の場面において多くのメリットをもたらします。ここでは、共感力を高める3つのメリットについて紹介します。
社内コミュニケーションを円滑にする
共感力を持つ人は、相手の立場や感情を理解しながら会話を進めるため、職場内でのコミュニケーションをスムーズに行いやすくなります。たとえば、業務上の行き違いや誤解が起きた際でも、相手の意図をくみ取って柔軟に対応できるため、無用なトラブルを防げます。プレゼンテーションや会議でも、相手の関心や疑問に応じた説明が可能となり、説得力や納得感を高められるでしょう。
共感力は、社内の良好な人間関係と業務効率を支える力と言えます。
取引先や顧客と信頼関係を築く
ビジネスでは、相手の立場や課題に寄り添う姿勢が、信頼を得るための出発点となります。「この人は理解してくれている」と相手に感じてもらえることで、商談や契約にも良い影響が生まれるでしょう。
特に長期的な関係構築を目指す場合には、共感力に裏打ちされた信頼が大切です。相手の視点に立った誠実な姿勢が、新たなビジネスチャンスを広げるポイントです。
ニーズに寄り添った提案で成果を上げる
共感力があると、相手のニーズや課題をより深く理解し、それに即した提案が可能です。営業やマーケティングの場面では、「顧客が本当に求めているものは何か」を見極める力が成果に直結します。共感力は、単なる感情面での寄り添いにとどまらず、事業の成長を後押しする実践的なスキルとしても位置づけられます。
共感力を高めるための方法

共感力は生まれつきの資質ではなく、日々の行動や意識によって育てることが可能です。共感力を高めるための実践的な方法を取り入れることで、職場の人間関係や業務の質に良い影響を与えられるでしょう。
相手の気持ちを想像しながら接する
共感力を高める上で最も基本となるのは、相手の立場や気持ちを想像しながら接する姿勢です。
たとえば、部下がミスを報告してきた場面では、頭ごなしに叱るのではなく、「それはつらかったね」と共感を示しながら一緒に振り返る姿勢が求められます。
部下:「ミスしてしまって、クライアントに迷惑をかけました」 NG対応:「なんでそんなことしたの?ちゃんと確認しろよ」 OK対応:「まずは報告してくれてありがとう。どのあたりでミスにつながったのか、一緒に振り返ってみようか」 |
また、顧客対応の際も、相手の戸惑いに寄り添う言葉が信頼を生みます。
顧客:「先月買った商品が使いにくくて困っています。説明書を読んでも分かりません」 NG対応:「弊社の製品は十分にテストされています。説明書通りに操作すれば問題はありません。お客様が誤って使用されているのではないでしょうか」 OK対応:「初めてですと迷いますよね。お電話口で一緒に操作してみましょうか?」 |
共感とは、まず相手の感情に寄り添う言葉をかけることから始まります。
苦手な人とも深い話をしてみる
共感力を高めたい場合、苦手意識を持つ相手との対話にも積極的に取り組みましょう。普段あまり関わらない人とあえて話してみると、「なぜこの人はこういう言動をとるのか」といった背景が見えてくることがあります。
対話を重ねると、自分の視野が広がるだけでなく、職場の関係性も徐々に柔らかくなります。「避けていた相手」にこそ、共感の種があるのかもしれません。
専門的な方法で共感力を鍛える
共感力は、外部研修を通じて体系的に習得できます。たとえば、専門の講師によるワークショップでは、ロールプレイや実例を通じて「聴く力」「共感的フィードバック」などを実践的に学べます。
企業によっては、部署や役職ごとの課題に応じてカスタマイズされたプログラムを導入すると、より効果的にスキルを高めることが可能です。特に管理職層には、共感力をベースにしたリーダーシップの強化が求められています。
また、社員同士が共感的に接する文化づくりの起点にもなるため、組織全体の心理的安全性を高める取り組みとしても注目されています。
『部下の成長意欲を促すメンタリングマネジメント研修』について詳しくはこちら
『即戦力の社員を育てる社内研修|効果的な研修内容も解説』について詳しくはこちら
まとめ
共感力は、他者と深く関わりながら信頼関係を築くために欠かせないスキルです。特にビジネスシーンにおいては、相手の立場に立って考える姿勢が成果や組織の活性化に大きく寄与します。
共感力の高い人は、周囲への関心を持ち、相手の話に真摯に耳を傾け、自らの経験を生かして相手の心情に寄り添っています。こうした行動は、社内外を問わず円滑な関係構築を可能にし、信頼される人物像を形づくるでしょう。
共感力は先天的なものではなく、日常の積み重ねや意識的なトレーニングによって育てることが可能です。相手の気持ちを想像し、対話を重ね、学びを深めていけば、より豊かな人間関係と充実した仕事環境を実現できます。
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