企業研修

中堅社員の役割とは?社員研修の目的と人材育成のポイントを解説

中堅社員の育成に力を入れたいと考えている企業のHR担当者の中には「中堅社員の方にはこうなってほしい」という理想像をもっている方もいるのではないでしょうか。

企業における中堅社員の立ち位置や求められる役割は、リーダーとして新人・若手社員の育成やサポートをするだけではありません。

当記事では、中堅社員に求められる役割は何かという点にくわえて、中堅社員研修で身につけられることや人材育成する上で大切なことについて解説します。

中堅社員に求められる役割とは?

中堅社員は、チームの中核的存在です。若手社員のサポートから上司の補佐まで、中堅社員が担う役割はさまざまです。いずれの部門部署でも、中堅社員には「達成力=大きな成果をあげること」が特に求められます。

具体的にどのような役割が求められるのか、ここでは3つに分けて紹介します。

リーダーシップ

一般的に中堅社員は、1人で一通りの業務をこなせる知識や経験を有している層のことです。個人として高い成果をあげるだけでなく、これまでの経験を生かしてチームをまとめあげる能力も求められます。

例えば、中堅社員になるとプロジェクトリーダーを任されることがあります。自分1人ですべての業務を引き受けるのではなく、チーム内で分担させたり後輩社員に任せたりと、人を信頼して仕事を任せる能力が必要です。

プロジェクトの内容によっては、ほかの部門部署とこまめにやり取りする場合があります。中堅社員には、チームのリーダーとして技術者と専門的な相談をしたり、なんらかの変更が生じたときに社内調整したりと、柔軟な対応力も求められるでしょう。

新人・若手社員の育成やサポート

業務や企業文化を熟知している中堅社員は、新人・若手社員の育成やサポート役も任されます。

入社数年の若手社員でも、定型的な内容であれば業務を教えたりサポートしたりすることは可能です。しかし現場での業務進行も考慮しつつ、状況に応じてフォローや柔軟なサポートをするとなると、中堅社員レベルの能力や視野の広さが欠かせません。

例えば、中堅社員が新人・若手社員を指導するとき、目標を設定するケースがあります。本人の能力を伸ばすためには、設定する目標は実現できる範囲でありながらも容易ではないレベルであることが大切です。

若手社員以上に経験や知識のある中堅社員は、指導相手の能力を見極めた目標設定ができるため、後輩社員の育成・サポートを担う人物として最適です。育成・サポートの経験を積むことで、人材育成に関連する実践的な能力の習得も求められます。

若手社員と管理職を繋ぐ架け橋

ほかの部門部署の社員や管理職と関わることの多い中堅社員は、緩衝材や架け橋としての役割も担っています。

新人・若手に分類される社員は、管理職へ気軽に意見を言ったり相談したりするのは困難です。社内や現場の事情をある程度理解しており、管理職よりも身近な存在である中堅社員なら、新人・若手社員も気軽に相談できます。新人・若手社員の代わりに管理職へ報告すれば、上層部への情報共有につながります。

管理職側にとっても、新人・若手社員との良好な関係構築を図るためには中堅社員の存在が欠かせません。中堅社員が管理職の意図を新人・若手社員に寄り添った言い方で伝えることで、モチベーション低下や誤解が生まれる事態を避けられます。

中堅社員研修を行なう目的について

中堅社員が会社から求められる役割を果たせるように、中堅社員向けの研修制度を用意している企業も少なくありません。

企業が中堅社員研修を行なう目的としては、新人・若手社員の教育やチームを牽引する力を鍛えることなどさまざまです。

ここからは、中堅社員研修を行なう目的について、詳しく確認します。

チームを先導・まとめる力を身につける

プレイヤーとしての能力が高い中堅社員であっても、研修を受けずに新人・若手社員の人材育成を行なったり管理職との間を取りもったりできるとは限りません。中堅社員向けの研修では、プレイヤーとしてではなくリーダーとしての自覚や能力をもってもらいます。

チームを先導・まとめる力の育成は、達成力の向上も期待できます。達成力とは、掲げた目標を達成する能力のことです。中堅社員ともなると、自分自身の成果のみならず、チームメンバーを率いて大きな目標を達成する能力が求められます。

しかし、リーダーシップはすべての中堅社員にあらかじめ備わっているわけではありません。専門的な研修を行ない、個人プレーに頼らず周囲とともに目標達成を目指す意識を醸成する必要があります。

リーダーシップ研修


新人・若手社員を育成する能力の習得

研修では、新人・若手社員を育成する能力の習得を目指します。中堅社員が過去に先輩社員から教わった方法を模倣しようとしても、効果的な指導ができるとは限りません。業務内容や新人・若手社員それぞれの特性を理解した上で、臨機応変に指導方法を工夫する必要があります。

どのように指導するべきか、どのように接するべきか研修を行ない、正しい育成方法を身につけてもらうことが大切です。新人・若手社員の育成には、業務内容を伝えるのみならず、トラブルに対処したりメンターとして寄り添ったりするといった内容も含まれます。

誤った方法で接すると、メンタルヘルスの不調や離職などに発展するおそれがあります。新人・若手社員がもつ個々の能力を引き出せるリーダーとなってもらうためには、正しい育成方法を学べる研修が必要です。

す。

OJT担当・後輩育成研修


周囲を巻き込むコミュニケーション能力を養う

中堅社員は社内外で人と関わる機会が増えるため、コミュニケーション能力が求められます。プロジェクトによっては、ほかの部門部署や他社と交渉したり協力したりしなくてはなりません。研修では、目的に応じて周囲を巻き込めるコミュニケーション術を身につけます。

円滑なコミュニケーションには、双方が伝えたいことを正しく伝え合えることが大切です。自分やチーム側の事情、要望を一方的に伝えるのではなく、相手の気持ちや状況を理解できる能力も養う必要があります。

社内外のコミュニケーションが円滑にとれるようになると、ビジネスチャンスの獲得や事業の成否につながり、業績向上など企業全体のメリットも期待できます。

ファシリテーション研修


中堅社員の人材育成をする上で大切なこと

中堅社員の人材育成は、研修そのものを効果的な内容・方法で行なうことが大切です。研修時に意識したいポイントは、下記の通りです。

1.目的を明確に伝える
目的が曖昧な状態で研修を行なっても、中堅社員が真面目に参加してくれるとは限りません。「意味がない」と感じる人や業務の片手間に講義を受ける人が出る可能性があります。

どのような狙いがあるのか目的を共有しておき、有意義な研修であることを理解してもらいましょう。
2.中堅社員の役割を理解してもらう
中堅社員が社内でどのような役割を担うのか、どのような立ち位置であるのかを明言するのも大切です。単純に会社へ在籍している期間が長いということではなく、業務経験や知識に応じた役割が求められている点を自覚してもらう必要があります。
3.部下をもつ経験をしてもらう
中堅社員は、いずれマネージャークラスにステップアップする人材です。実際に部下をもつ経験をしてもらい、人材育成の複雑さややりがいを感じてもらいましょう。後輩社員とは異なる接し方や責任が求められる立場を経験すれば、効果的な人材育成の方法を模索できるようになります。
4.複数の職種で業務を経験してもらう
マネージャークラスへのステップアップを視野に入れると、現場のさまざまな人間の立場や考えを知っておく必要があります。中堅社員のうちに複数の職種を経験すると、多くの人材が関わるプロジェクトで個々に適切な指導やサポートができるようになります。

中堅社員ともなると価値観が固定化しており、一方的な指導は受け入れてもらえないケースがあります。さまざまな立場・職種での経験を通じて、中堅社員に新しい知識や価値観を受け入れてもらえるように土壌づくりしましょう。

まとめ

中堅社員は、企業にとって重要な役割を担うポジションと言えます。リーダーシップを発揮してチームを牽引し、プロジェクトを成功へと導く存在です。

さらには、新入社員の教育や若手社員と管理職の架け橋になるなど、業務上だけでなく人間関係の観点からも重要な立ち位置になります。

中堅社員がしっかりと求められている役割を発揮できるようにするためには、然るべき能力の習得につながる研修・人材育成制度を導入するのがおすすめです。

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