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逆パワハラ対策と事件判例|部下に萎縮する上司を守る企業の対応

この記事は2024.8.13に公開した記事を再編集しています
2026年10月13日更新
パワハラの一種として、逆パワハラが話題になっています。一般的なパワハラが上司から部下へのものであるのに対し、逆パワハラはその反対で、部下が上司に対して行うハラスメント行為です。逆パワハラは職場の人間関係や組織運営に深刻な影響を与える可能性があり、企業による対策が求められています。
当記事では、逆パワハラの具体的な行為や発生原因、防止策を詳しく解説します。逆パワハラについて知識を深めたい方は、ぜひ当記事を参考にしてください。
※この記事では、理解度をその場でチェックできるミニテスト(全3問)を章の最後に用意しています。ぜひ知識の整理にご活用ください!
目次
Toggle逆パワハラとは?

逆パワハラとは、部下から上司に対して行うパワーハラスメントのことです。上司から部下に対して行われる一般的なパワハラとは反対に、部下から上司に対するパワハラとなるため、逆パワハラと呼ばれます。逆パワハラにおける「上司と部下」とは、正社員と非正規社員や、先輩と後輩などの関係も含まれます。
逆パワハラは、職場の秩序を崩すきっかけになる重大な問題です。しかし、逆パワハラの被害者が誰にも相談できずにいたり、逆パワハラにあたら状況なのか判断に迷っていたりするケースも珍しくありません。
そもそもパワハラとはどのような行為を指すのか、ここではその詳細を解説します。
そもそもパワハラとは
厚生労働省では、パワハラの定義として下記の3つの要素を挙げています。
| 優越的な関係を背景とした言動 | 優越的な関係とは、パワハラの被害者が加害者に対して、抵抗や拒絶できない関係のことです。上司から部下に対する言動や、個人や集団の部下による言動も含まれます。地位や優位性を利用した行為です。 |
| 業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの | 客観的にみて明らかに業務上必要がない言動や、目的から大きくそれている言動がこの項目にあたります。土下座の強要や過度な注意指導などが、相当な範囲を超えたと判断される言動です。 |
| 労働者の就業環境が害されるもの | 加害者の言動により、被害者が身体的もしくは精神的な苦痛を受けた結果、業務の遂行に支障が生じる状態を指します。 |
上記にあてはまる言動は、その態様や実際に行われた回数などを含めて、パワハラに該当するか判断されます。なお、業務上必要な範囲で適切に行われる注意指導は、パワハラになりません。
逆パワハラに該当するかを判断する3つの要素
部下からの言動に悩んでいても、これは果たしてパワハラなのかと判断に迷う方は少なくありません。逆パワハラという言葉自体に、独立した法的要件はないためです。
ただし、部下から上司への言動でも、職場のパワーハラスメントに該当するかは3つの要素で判断されます。部下側の専門性や集団性により、上司が抵抗・拒絶しにくい関係に置かれる場合は、パワハラにあたる可能性があります。以下で、判断のポイントを確認しましょう。
※出典:あかるい職場応援団「パワーハラスメントとは」
※出典:厚生労働省「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」
※出典:e-Gov 法令検索「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」
部下側に優越的な関係があること
職場の力関係は、役職の上下だけで決まるものではありません。業務を進める上で、相手に抵抗・拒絶しにくい関係がある場合は、部下側に優越的な関係が認められる可能性があります。
たとえば、部下が業務に不可欠な専門知識や豊富な経験を持ち、その協力がなければ業務が滞る場合は、部下側が強い立場に置かれることがあります。複数の部下が集団で上司に反発したり、指示を拒んだりして、上司が対応しにくい状況に置かれる場合も、同様に判断対象となります。
業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動であること
業務上の意見や相談であっても、目的や伝え方によっては問題となります。単なる意見表明ではなく、業務上の必要性がない言動や、業務目的から大きく逸脱した言動、手段として不適当な言動は、パワハラに該当する可能性があります。
たとえば、部下が上司の判断に意見を述べるだけであれば、直ちに問題とは言えません。一方で、人格を否定する発言を繰り返す、集団で執拗に責める、業務と関係のない非難を続けるといった場合は、回数や態様によって、社会通念上許容される範囲を超える可能性があります。
上司の就業環境が害されていること
部下の言動によって上司が強いストレスを受けても、直ちにパワハラと判断されるわけではありません。問題となるのは、身体的または精神的な苦痛により、業務への集中や判断、指導などに重大な悪影響が生じ、就業する上で看過できない程度の支障が出ている場合です。判断にあたっては、上司本人の受け止め方だけでなく、同じ状況に置かれた一般的な労働者が、業務に支障が出ると感じる言動かどうかも考慮されます。
なお、言動の頻度や継続性は重要ですが、強い苦痛を与える態様であれば、1回でも就業環境を害する可能性があります。
どのような行為が逆パワハラにあたる?

逆パワハラにあたる行為は、身体的・精神的なものや人間関係の隔離などさまざまです。近年ではデジタルツールの普及により、SNSを利用した逆パワハラなども発生しています。
具体的に逆パワハラにあたる行為として挙げられるのは、以下の通りです。
上司への暴力
殴ったり蹴ったりする行為や、胸ぐらを掴むような上司への暴力は逆パワハラにあたります。身体的な逆パワハラであり、物を投げる、上司の机を蹴るなどの物にあたる行為も含まれます。
身体的な逆パワハラの例としては、上司からの指導があった際に逆上して暴力をふるうケースが挙げられます。上司の指示を受け入れず、暴力によって職場の秩序を乱す行為はパワハラです。
上司への暴言
上司への暴言は、逆パワハラの中でも発生しやすい行為です。たとえば、下記のような言動が上司への暴言にあてはまります。
| ・「お前の言うことは聞かない」など、上司の指示を受け入れない ・人前で無能扱いする ・呼び捨てにする |
当該上司を含む複数人に上司の悪口を記載したメールを送信するなど、上司の名誉を傷つけたり侮辱したりする行為も逆パワハラにあたります。状況に応じて「業務命令違反」や「誹謗中傷行為」にあたるかどうかを判断し、対応する必要があります。
上司への誹謗中傷
上司の悪口を言ったり、根拠のない悪い噂を広めたりする誹傷中傷も逆パワハラにあたります。たとえば、上司がセクハラ・パワハラをしている、窃盗している、といった中傷内容を広める行為です。
近年ではSNSを利用した誹謗中傷や、ITリテラシーの格差を利用した誹謗中傷も発生しています。SNSは情報の拡散力が高い上、一度投稿された内容を完全に削除することは困難です。中には誹謗中傷で実名を挙げて投稿するケースもゼロではありません。
ITリテラシーの格差を利用した誹謗中傷とは、IT業界に関する知識や経験をネタに部下が上司を中傷するケースです。ITに関する情報は移り変わりが激しく、上司よりも部下のほうが知識・経験が豊富といった状況は珍しくありません。その格差を利用して、上司を誹謗中傷する逆パワハラが発生するケースもあります。
上司を人間関係から切り離す行為
人間関係から切り離す行為とは、上司の指示に従わず無視したり協力を拒否したりして、上司を孤立させる行為を指しています。
チーム全体や複数人の部下など、集団で上司を無視するケースも人間関係からの切り離しに該当する行為です。上司が孤立するため業務が円滑に進められず、また切り離し行為への対応もより困難になります。人間関係からの切り離しは、集団による逆パワハラの代表とも言える行為です。
ハラスメントをでっちあげる行為
部下が上司を陥れるためにハラスメントを捏造し、虚偽の訴えを起こすのも逆パワハラとして挙げられる行為です。訴えを起こされた上司はハラスメントをした実態がないにもかかわらず、疑いの目を向けられてしまいます。
万が一ハラスメントとして認定されると社会的評価が下がるほか、損害賠償の請求や懲戒処分が下される可能性も否定できません。ハラスメントが捏造であったとしても上司の名誉が傷つけられるのにくわえ、精神的に大きな負担がかかるのも事実です。
また、部下がハラスメントにあたる行為を正しく理解していないことが原因となり、逆パワハラが発生する場面もあります。たとえば、上司からの指示や注意指導に対して過剰に反応し、パワハラ行為にあたるとして訴えを起こすケースなどが挙げられます。
業務命令や注意指導に執拗に反発する行為
業務命令や注意指導に執拗に反発する行為とは、正当な理由なく上司の指示を拒否したり、注意を受けても反論を繰り返したりする行為を指しています。
単なる意見や相談ではなく、業務命令を一方的に拒んで業務を滞らせる場合は、職場秩序を乱す行為に該当する可能性があります。特に、その部下の協力がなければ業務を進められない状況では、上司の業務遂行に大きな支障が出るおそれがあります。同じ態度が継続すれば、上司が指導や判断をしにくい状態にもつながります。ただし、部下の問題提起が正当な内容である場合もあるため、発言の経緯や態様を確認して判断することが大切です。
【第1問ミニテスト(発展編)】
部下から上司に対する言動がパワーハラスメントに該当するかどうかを判断する3つの要素に関して、実務上最も勘違いされやすい法的・組織的な解釈はどれ?
逆パワハラの事例

過去に逆パワハラがきっかけとなり、裁判に発展した事件が存在します。どのような事件か詳細を知り、逆パワハラに該当するポイントや問題点を把握しましょう。事例を知ると、逆パワハラにあたる状況を具体的にイメージしやすくなります。
ここでは、2009年に判決が下された逆パワハラに関する裁判例を紹介します。
小田急レストランシステム事件(渋谷労基署長事件)
小田急レストランシステム事件は、株式会社小田急レストランシステムの従業員(以下「X」と表記)が、逆パワハラによって精神障害(うつ病)を発症し自殺した事件です。
●事件の概要
| Xがうつ病を発症し自殺したのは業務に起因するものとして、遺族が労働者災害補償保険法による遺族補償給付の支給を申請しました。しかし、支給しない旨の処分を受けたため、その処分の取消しを求めて遺族が提訴し裁判が起きています。 逆パワハラの発生は、Xの部下であるYが自らの処遇に不満をもったのがきっかけです。Yは、Xを含む上司が下記の不正をしていると中傷するビラを、1997年2月に親会社に持ち込みました。 ・売上金の着服 ・現金を窃盗や親会社商品の窃盗 ・女性社員へのセクハラ Yは1998年3月にも、親会社に対し上記と同様のビラを再度送付しています。 XはYが持ち込んだビラの件についてたびたび調査対象となり、聴取を受けるほか、始末書の提出を求められました。くわえて、調査後には例外的な配置転換も行われ、精神的に追い詰められたと考えられています。 |
●判決・結果
| 裁判所は業務を起因とする心理的負荷により、Xがうつ病を発症し自殺に至ったことを認め、遺族補償給付の不支給処分を取り消しました。 |
Yが行った親会社へのビラの持ち込み・送付により、Xは会社から配慮のない厳しい調査と処遇を受け、結果的にうつ病を発症したのち自殺しています。この事件は逆パワハラが関与した労災認定の裁判であり、逆パワハラによってどのようなことが起こりうるのか、自社に置き換えて考えられる事例です。
逆パワハラが職場で発生してしまうのはなぜ?

逆パワハラには、発生しやすい原因が存在します。原因を知り、逆パワハラが発生しやすい職場の特徴や自社で発生する可能性の把握に役立ててください。
ここでは、逆パワハラの発生を招く4つの原因を紹介します。
上司と部下の能力が逆転している
近年は人材の流動化により、上司よりも経験を多く積んでいる部下や、年上の部下がいる状況が発生しやすくなっています。上司のほうが年上、かつ経験豊富といった従来の組織構成が少なくなり、年上部下への接し方に悩む声もあるなど、上司と部下の関わり方が難しくなっている実状があります。
職場によっては、能力の高い部下のほうが業務に関する実質的な権限を握るケースもゼロではありません。部下が、自身よりも経験が浅く能力が低い上司を軽んじている場合、逆パワハラにつながる可能性は高まります。特にチェーン展開をしている店舗などは、新任の店長よりも経験豊富な非正規雇用者がいる場合も多く、上司と部下の能力が逆転しやすい環境です。
上司のマネジメント力が不足している
基本的に上司には、業務の進捗状況の把握や部下に任せる仕事量を調整したり、割り振りをしたりするなどのマネジメント力が求められます。しかし、上司のマネジメント力が不足していると業務が円滑に進まず、部下が不満を抱く原因になりかねないため注意が必要です。
たとえば、マネジメントができない上司の特徴として、下記が挙げられます。
| ・意思決定ができない ・はっきりした意見を言わない ・指示が不明瞭で曖昧 |
優柔不断で意思決定に時間がかかる上司や、はっきりとした意見、明確な指示がない上司のもとでは、部下に不安が広まることが否定できません。不明瞭なマネジメントは部下が上司を軽視する状況を招きやすく、逆パワハラが発生する可能性を高めます。
価値観が変化している
「風通しのよい職場」という言葉があるように、近年では意見を言い合うのをよしとする価値観が広まっています。近年では、上司への反論が難しい時代から、立場に関係なく意見を主張できる環境への変化が進んでいます。実際に役職や年齢、性別関係なく意見を交わせる環境が、企業の生産性を左右するとも言われています。
ただし、風通しのよい職場を意識する一方で、ロジハラと呼ばれる問題があることも把握しなければなりません。ロジハラとは「ロジカル」と「ハラスメント」を組み合わせた言葉で、正論を突きつけて相手を追い詰める行為を指しています。過度な主張は生産性を高めるどころか、ハラスメントにつながる恐れがあると理解しておきましょう。
「その指摘、ロジハラかも?ロジハラの事例や起こりやすい場面を解説」はこちら
ハラスメントの浸透により「指導がハラスメントにあたるのではないか」と上司側が萎縮するケースも珍しくありません。自信をもって注意指導できないことが周囲に伝わると、部下から甘く見られる可能性を高めます。
ハラスメントに関する教育が十分に行われていない
ハラスメント教育が不十分な職場では、上司が正当な指導とハラスメントにあたる行為を適切に判断できず、毅然とした態度で部下に対応できません。部下の場合は、上司への行きすぎた言動を自覚できずに、逆パワハラを発生させる可能性があります。認識不足を起因とする逆パワハラを防ぐには、上司と部下のそれぞれがどのような状況や言動がハラスメントにつながるのか、正しく理解することが大切です。
実際にハラスメント教育が不十分な企業は多く、講習会・勉強会などを行わないことが、ダイバーシティやLGBTQへの理解不足につながっているケースも見られます。一定の組織に属する以上、年齢や性のあり方、国籍などのあらゆる物事を多角的に捉える姿勢が必要です。相手に対する配慮をもつことで、ハラスメントの発生リスクを減らせます。
逆パワハラ対応で人事・管理職が陥りがちな失敗パターン
逆パワハラへの対応では、制度や相談窓口を整えるだけでなく、人事や管理職が現場で判断を誤りやすい場面を把握しておくことが重要です。部下への配慮を重視するあまり必要な注意指導を避けたり、上司側の疲弊を見落としたりすると、問題が長期化するおそれがあります。部下を一方的に悪者と決めつけるのではなく、組織として状況を早期に確認し、適切な線引きと支援を行う必要があります。
「パワハラと言われたくない」と注意を控え続けてしまう
部下に遅刻や報告漏れ、業務ミスがあっても、下手に注意して関係がこじれるくらいなら、と考えて注意を控えてしまうケースがあります。たとえば、最初は穏便に済ませていたものの、問題が続いたため後からまとめて指導したところ、部下から「今まで何も言われなかったのに、急に厳しくなった」と反発される場合です。
注意を控えることは一見やさしい対応に見えますが、指導基準が曖昧になり、上司はさらに萎縮し、部下側にも不満が残りやすくなります。その状態が続くと、職場全体にも不公平感が広がります。企業としては、問題行動を放置せず、事実を記録した上で早い段階から一貫した注意指導を行う必要があります。
部下の不満を聞くことに偏り上司側の疲弊を見落としてしまう
人事が部下の相談や不満を丁寧に聞くことは大切ですが、声を上げた側の主張ばかりが拾われ、黙って耐えている上司の疲弊が見落とされることがあります。たとえば、部下から「上司の言い方がきつい」と相談を受けていた一方で、実際には上司が会議中に強い口調で詰められたり、チャットで責められたり、業務指示を無視されたりしている場合です。
上司は対応に追われながらも、人事に相談しづらく、孤立してしまうことがあります。部下の声を尊重することは必要ですが、それだけで判断すると問題の全体像を見誤ります。企業としては、双方から事実を確認し、上司側の負担や職場への影響も含めて客観的に把握することが重要です。
心理的安全性を「何を言っても許される職場」と誤解させてしまう
良かれと思って進めた心理的安全性を高める取り組みが、現場では「何を言っても許される」という誤解につながってしまうケースがあります。たとえば、会議で部下が上司の方針を必要以上に強い言葉で否定し続けたり、期限や役割を守らない理由を「自分らしく働きたいから」と主張したりする場合です。
安心して意見を言える職場づくりは大切ですが、人格攻撃や業務命令への過剰な反発まで許容するものではありません。線引きが曖昧なままだと、上司は注意しにくくなり、周囲の従業員にも不公平感が広がります。企業としては、発言の自由と職場秩序の違いを明確にし、問題となる言動には早期に対応することが大切です。
【第2問ミニテスト(発展編)】
ハラスメント訴えへの恐れから、管理職が正当な業務上の注意・指導を過度に萎縮・放棄してしまった場合、現場の組織運営に波及する最も深刻な構造的リスクはどれ?
逆パワハラを放置するリスク
逆パワハラを放置すると、被害を受けた上司の精神的負担が大きくなり、休職や離職につながるおそれがあります。対応を現場任せにしたり、問題行動を見過ごしたりすると、上司だけでなく周囲の従業員にも不公平感や不信感が広がり、職場秩序や業務効率の低下を招きます。
また、企業が適切な調査や支援を行わなければ、安全配慮義務やハラスメント防止体制への信頼を損なう可能性もあります。深刻化すれば、従業員同士の対立が固定化することもあります。問題が大きくなってから対応するのではなく、早い段階で事実関係を確認し、上司への支援と職場環境の改善を進めましょう。
逆パワハラを防ぐために企業ができることは?

逆パワハラが発生すると業務に支障が出るほか、上司に精神的な大きな負担もかかります。上司が誰にも相談できず逆パワハラが潜在化するケースもあるため、そもそも逆パワハラの発生を防げるように対策しましょう。
逆パワハラを防ぐために企業ができる対策として、以下の4つが挙げられます。
ハラスメント意識の低い人材を見極める
逆パワハラの発生を防ぐには、いわゆる「モンスター社員」と呼ばれるハラスメント意識の低い人材かどうか、採用段階での見極めが大切です。モンスター社員とは、職場での勤務態度や人間関係において著しい問題があり、周囲に悪影響を及ぼす従業員のことを指しています。
モンスター社員になりうる人材かどうか見極める方法として、適性検査の実施が挙げられます。応募者の能力や人柄が、自社の環境に合うか判断する材料として活用できる方法です。また、リファレンスチェックによって前職での実績や勤務態度、どのような人柄であったか情報を集めるのも有効な方法として考えられます。
上司にマネジメント研修を行う
社内全体でハラスメント研修を行う
逆パワハラへの対処法を検討しておく
逆パワハラへの対処法を決めておくと、実際に逆パワハラが発生した際にスムーズに対応できます。逆パワハラが発生した際、企業は該当社員への注意や事実確認を行う必要があります。どのようなフローで企業が対策を行うかを決め、社員にも周知しておきましょう。
企業が行う逆パワハラ対策を周知するだけでも抑止力となり監視の目が働くほか、社員側が行える対処法を共有しておくと、被害者にとっても声を挙げやすい環境になるためおすすめです。
具体的な対処法としては下記が挙げられます。
| ・加害者の発言や、それに対する注意指導内容を録音する ・対応日時や内容が残るメールやチャットを使用し、複数人で共有する ・注意指導日時や内容と、加害者の態度をメモに記録する |
対応日時やその時の状況を把握できる記録があるだけで、逆パワハラの証拠として活用できる可能性があります。適切な注意指導状況も残せるため、都度記録することを対処法に組み込みましょう。
逆パワハラが起きたときの対処法
問題が表面化した際は、被害を受けた上司だけに対応を任せず、企業として初動対応を行う必要があります。事実確認や証拠保全、相談窓口での支援を早期に進め、再発防止まで見据えて対応しましょう。
事実関係を確認する
相談を受けた段階で、企業や管理部門は上司だけに対応を任せず、双方から丁寧に聞き取りを行います。上司には受けた言動の内容や日時、業務への影響を確認し、部下には発言の意図や背景、業務上の不満や問題提起の有無を確認します。
あわせて、メールやチャット、会議の参加者など周囲の状況も整理します。どちらか一方の主張だけで判断すると、正当な意見まで問題視したり、反対に行きすぎた言動を見逃したりするおそれがあります。業務上相当な範囲内の相談なのか、上司の就業環境を害する言動なのかを慎重に見極め、記録に残すことが大切です。
注意・指導の記録や証拠を残す
口頭でのやり取りだけに頼ると、後から「言った」「言わない」の争いになりやすくなります。逆パワハラが疑われる場合は、メールやチャット、書面、メモ、録音など、客観的に確認できる記録を残すことが重要です。上司が注意指導を行ったときも、日時、場所、指導内容、相手の反応を記録しておくと、後から「パワハラだ」と主張された際の確認材料になります。
記録は担当者だけで抱えず、人事や管理部門と共有し、対応の経緯を整理しておきましょう。証拠を残すことは、上司を守るだけでなく、企業として公正に判断するためにも必要です。
上司だけで抱え込ませず相談窓口につなぐ
逆パワハラを受けた上司が一人で対応を続けると、精神的な負担が大きくなり、事実確認や注意指導も遅れやすくなります。部下との関係悪化を恐れて相談できず、問題を抱え込んでしまうケースも少なくありません。企業や管理部門は、上司の訴えを個人の悩みとして扱うのではなく、社内の相談窓口や上長、人事部門につなぎ、組織として対応する体制を整える必要があります。
必要に応じて産業医や外部相談先とも連携し、上司の心身の負担を軽減しながら、事実確認や再発防止策を進めましょう。相談したことによる不利益な扱いを防ぐ視点も欠かせません。
必要に応じて配置転換や懲戒処分を検討する
事実確認の結果、逆パワハラに該当する行為が認められる場合は、注意指導だけでなく、配置転換や懲戒処分も検討します。たとえば、上司と部下の関係が悪化し、同じ部署で業務を続けることが難しい場合は、双方の負担を軽減するために配置転換を行う選択肢があります。
また、注意しても反発や業務命令の拒否が続く場合は、就業規則に基づいて戒告や譴責などの処分を検討することも必要です。ただし、配置転換や懲戒処分は安易に行えません。証拠や記録を確認し、処分の重さが行為の内容と釣り合っているかを慎重に見極め、再発防止と職場環境の回復につながる対応を選びましょう。
【第3問ミニテスト(発展編)】
部下からパワハラを受けたとの申し立てがあり、上司側からは業務上の正当な指導に対する反発や捏造であると主張が対立している場合、人事・企業が法的なリスクヘッジを考慮して最初に行うべき最も適切な実務対応はどれ?
逆パワハラ対策に役立つアイ・イーシーの研修
まとめ
逆パワハラは、部下が上司に対して行うハラスメント行為であり、職場の秩序を乱す重大な問題です。逆パワハラには、暴力や暴言、誹謗中傷、孤立化など多様な種類があります。上司と部下の能力差やマネジメント力の不足、価値観の変化などによって発生するため、企業はパワハラの防止に向けて対策を講じましょう。
企業ができる対策としては、ハラスメント意識の低い人材を採用段階で見極めることや、上司へのマネジメント研修、全社的なハラスメント教育などがあります。逆パワハラの事例を把握し、すべての人にとって働きやすい環境を作ることが大切です。
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