【不機嫌を放置しないで】フキハラの正しい対処法と組織を守る予防策

溜息をついて周囲に不機嫌さを表現する人形

この記事は2024.9.4に公開した記事を再編集しています
2025年12月17日更新

フキハラ(不機嫌ハラスメント)は、不機嫌な態度や口調で相手を威圧し、不快感を与える行為を指します。この現象は職場の上司・部下や夫婦間など、さまざまなシーンで見られるため、悩んでいる方も多いかもしれません。フキハラは人間関係に悪影響を与え、職場で発生した場合は業務の生産性やモチベーションの低下を招く可能性があります。

当記事では、どのような行為がフキハラに当たるのか、具体例とともに対処法を詳しく解説します。

フキハラ(不機嫌ハラスメント)とは?

職場で不機嫌な態度を取り続ける女性社員

フキハラとは、不機嫌な態度や口調をとって、相手を威圧したり不快感を与えたりする行為のことを指します。職場の上司・部下や夫婦間など、さまざまなシーンで見られるフキハラに悩む人も少なくありません。

フキハラの具体例として、話しかけられたときに舌打ちをして威圧感を与える、指導に対してふてくされた態度を取るなどが挙げられます。フキハラは人間関係に悪影響をもたらすほか、業務の生産性・モチベーション低下を招く可能性があるため注意が必要です。また、周囲への影響によっては犯罪行為にあたる場合もあります。

フキハラはパワハラに発展することも

フキハラは、不機嫌な態度が他の社員に伝播して広がりやすい傾向があります。不機嫌な態度が相手を不機嫌にさせ、その不機嫌が連鎖していくため要注意です。

また、フキハラはパワハラに発展する可能性もあります。パワハラとは、職場において優越的な立場の人間から、業務上必要な範囲を超えた指示・指導を行うことです。不機嫌な態度や言動がエスカレートすると、場合によってはパワハラと認められます。

フキハラと混同されるハラスメントにモラルハラスメント(モラハラ)があります。モラハラとは、相手の人格を強く傷つけるような態度・言動をとって精神的苦痛を与えることです。

フキハラとモラハラには複数の共通点があります。不機嫌な態度が長期間続いたり、相手から強い支配を受ける状況に陥ったりしている場合は、フキハラだけでなくモラハラにも該当します。

どのような行為がフキハラにあたる?

同僚からフキハラを受ける女性社員

フキハラという言葉に聞きなじみがなく、実際にどのような行為がフキハラに該当するのか分からない人も多いでしょう。フキハラにあたる行為として、主に下記の3点が挙げられます。

・仕事を頼むと嫌な顔をする
仕事を頼んだときに嫌な顔をすることはフキハラです。毎回仕事を断るのではなく、そのときの気分によって対応が異なる場合もフキハラに該当します。気分によって対応が変わると、そのときの空気を読まなければならず、業務スケジュールや人間関係に支障が出る可能性があります。

・特定の人に嫌な態度を取る
特定の人に嫌な態度を取ることも、フキハラに該当する行為です。特に、部下など立場の弱い人や文句を言いやすい人がターゲットとして狙われやすい傾向です。何度もフキハラの被害を受けると、言われたほうは自己肯定感やパフォーマンス低下を引き起こす原因となるでしょう。

・一方的な攻撃を行う
相手を一方的に攻撃するのも、フキハラの特徴の1つです。自分に非がない場合でも、不機嫌さをぶつけるために、文句を言われたり無視されたりと、攻撃されることがあります。また、無意識のうちにため息や舌打ちをして、特定の誰かではなく周囲の人に広く不機嫌さを振りまくことも考えられるでしょう。

そのほか、フキハラに該当する具体的な行為としては、下記のものが挙げられます。

・わざとため息をつく
・わざとタイピング音を立てる
・接し方を変える
・挨拶をしない

ハラスメント発言・行動は、人間関係の悪化や業務パフォーマンスの低下を招く大きな要因です。不機嫌な態度が周囲に伝播していって、新たなフキハラを生む悪循環は避けたいケースです。

職場でフキハラに悩む人がいるときは、被害者・加害者両方に向けた取り組みが必要になるでしょう。

フキハラが発生する原因

周囲へ不満として愚痴をこぼす人形

フキハラの加害者は、なぜフキハラをしてしまうのか疑問に感じる人もいるでしょう。フキハラをしてしまう背景には、いくつか原因があります。ここからは、フキハラが発生する原因として、主な理由を解説します。

加害者本人の深層心理

フキハラが発生する原因として、加害者本人の深層心理が関係している場合があります。フキハラをする人は、不機嫌な態度をとって相手を委縮させ、マウントをとったり思い通りの行動を取らせたりしたいと考えています。

相手をコントロールしたいという心理の裏側には、「自分にかまってほしい」「相手に持ち上げられたい」などの感情が隠れているものです。相手を支配するための手段として、フキハラが行われています。

自己評価への不満

自分に自信が持てず、周囲からの評価に敏感になることで不満が募り、不機嫌な態度として表れるケースがあります。努力しても成果が認められない、昇進や昇給が期待どおりでない、同僚と比較して劣等感を覚えるといった経験は誰にでもあるものです。しかし、それが積み重なると「評価されていない」という思い込みが強まり、フキハラへとつながることがあります。

近年では「コミュ障だから仕方ない」と自らレッテルを貼り、改善を諦めてしまう人も見られます。フキハラを防ぐためには、自分自身を客観的に見つめ直す中で自己評価の低さを正しく認識し、コミュニケーション能力を高める努力が必要です。

相手への支配欲

他者を思い通りに動かしたいという支配的な気持ちが、不機嫌という形で表れることがあります。たとえば、上司が部下に対して権力を誇示するために無言で睨みつけたり、意図的に不機嫌な態度を取ることで相手を萎縮させたりするケースが挙げられます。また、自分の責任を回避するためにプロジェクトの失敗を部下に押し付けるなど、不機嫌な態度で相手をコントロールすることもフキハラの一種です。

こうした態度は一時的に相手を支配できたとしても、信頼関係を損ない、職場の雰囲気を悪化させる原因となります。不機嫌を武器にした支配的な行動はフキハラの典型例であり、根本的な改善を図る必要があります。

周囲への不満

周囲への不満が募り、フキハラの原因となっているケースも考えられます。特に、「自分は優れた人間だ」と思っている人は、周りが褒められたり評価されたりすると、不機嫌な態度・言動をとる人が多い傾向です。

「自分は正当な評価を受けられていない」というネガティブな感情から発生したフキハラは、容易に解決するのが難しいタイプです。フキハラの加害者に合わせて評価制度を変えるわけにはいかないので、評価のポイントをうまく伝える工夫を行いましょう。

体調不良

加害者側の体調不良もフキハラと関連性のある事項です。体調が優れず、自身でも意図せず周りへの配慮不足となり、自分本位に振舞ってしまっている可能性があります。

体調不良とは、病気や障がいのほかに、過労や寝不足など一時的なものも含まれます。過労や寝不足からフキハラが発生しているのであれば、長時間勤務や休みが取れないなど、職場環境が本人に悪影響を及ぼしていないか考えることが大切です。

ストレス

日々のストレスは、フキハラを発生させる大きな要因です。ストレスを抱えると、イライラしたり精神的に余裕がなくなったりして、無意識のうちに周囲へ攻撃的な態度を取ってしまいやすくなります。

特に、仕事でストレスを抱える人は少なくありません。「頑張っているのになかなか成果につながらない」と悩んでいる人がいれば、フキハラに発展する前に十分なケアを考えましょう。

フキハラが企業にもたらす影響

「Demerit」と書かれたボードを持つ男性

不機嫌な態度が常態化すると職場の雰囲気や人間関係が悪化し、生産性の低下や離職率の上昇、さらには企業イメージの毀損につながる恐れがあります。ここからは、具体的にどのような影響があるのかを解説します。

職場全体の雰囲気が悪化する

フキハラは個人の問題にとどまらず、職場全体に悪影響を及ぼします。不機嫌な態度は周囲に伝染しやすく、上司や特定の社員がフキハラを行えば、ほかの社員も不機嫌な態度を取るようになり、職場全体が重苦しい雰囲気に包まれてしまいます。たとえば、上司が不機嫌をあらわにすれば部下は常に萎縮し、発言や行動に過度な気を遣うようになります。その結果、部下同士の会話や相談が減り、チームワークが機能しなくなるでしょう。

また、社員同士がお互いに冷たい態度を取り合うようになれば、協力して業務を進めることも困難となり、モチベーションが著しく低下します。このように、フキハラは一人の態度から職場全体に広がり、組織の活力を根本から損なう大きなリスクをはらんでいます。

企業のイメージが悪化する

フキハラが社外に伝わると、「ハラスメントを放置する企業」「職場環境の悪い企業」といった否定的な印象を与え、企業イメージを大きく損ないます。現代ではSNSを通じて情報が瞬時に拡散されるため、一度ネガティブな評価が広がれば、回復には多大な労力と時間を要します。

その結果、新規顧客の獲得が困難になるだけでなく、長年築いてきた取引先との信頼関係が揺らぐことで、売上や市場シェア、株価の低下といった経営上の深刻なリスクに直結する恐れがあります。さらに、悪評が定着すると採用活動にも影響が及び、優秀な人材の応募減少や内定辞退といった問題も発生しかねません。フキハラは社内だけでなく社外の評価をも揺るがす、極めて重大な課題と言えるでしょう。

生産性が低下する

フキハラによって不快な雰囲気が職場に広がると、社員のモチベーションは大きく損なわれ、生産性の低下を招きます。不機嫌な態度にさらされることで社員は精神的ストレスを抱え、集中力や判断力が落ちやすくなるためです。たとえば、上司がフキハラを行えば部下は意欲を失い、報告書作成の遅延やミスの増加につながる可能性があります。

同僚間でフキハラが横行すれば、お互いに気を遣い合うために業務に集中できず、進捗の遅れや品質の低下を招くこともあるでしょう。不機嫌な態度が原因で休職や長期病欠が増えると、残った社員に負担が集中し、組織全体の効率が低下します。ストレスが積み重なることで創造性や柔軟な対応力も発揮されにくくなり、結果として企業の業績にも深刻な悪影響を及ぼすでしょう。

離職率が増加する

フキハラが蔓延する職場では、社員の精神的な負担が大きくなり、最終的に離職へとつながるリスクが高まります。不機嫌な態度を日常的に受けることで強いストレスを抱える社員の中には、うつ病などのメンタル不調に陥り、休職や退職を余儀なくされるケースも少なくありません。

また、モチベーションの低下した職場では優秀な人材ほど早く見切りをつけ、転職を決断する傾向にあります。一度高まった不信感や不安が残った社員の間にも広がることで、さらなる離職の連鎖を招く可能性も否めません。フキハラが解消されなければ、新たな人材を採用しても早期離職を繰り返す悪循環に陥り、企業の持続的な成長に深刻なダメージを与えるでしょう。

職場でのフキハラを予防する方法はある?

「予防」・「対策」と書かれた2枚のプレート

現在の職場でフキハラを行う人が見られなくても、業務内容や環境の変化によって、フキハラの発生につながることもあります。職場でのフキハラ対策や予防法について解説します。

『ため息は不機嫌ハラスメントになる?職場への影響・対策方法を解説』について詳しくはこちら

対処方法を決めておく

現在の職場環境が良好だとしても、万が一フキハラ発生の声があった際の状況を想定して対処方法をあらかじめ決めておくとよいでしょう。

例えば、不機嫌な態度が周囲との関係性に悪影響を与えているとフキハラ被害にあった人や第三者から通報があった際、加害者への指導方法について決めておくとスムーズに対応できます。また、現在の職場環境では人間関係の修復が難しい場合は、配置換えを検討することも効果的です。

ただし、フキハラの事実が社内中に広まっていると、受け手となる部署を見つけるのが困難なケースも考えられます。ただ配置換えを行うのではなく、その後のフォロー体制や引き継ぎ、トラブル回避などを入念に想定することが大切です。

また、フキハラを行う当人への指導も行いましょう。フキハラを防止するためには、自身が不機嫌であると自覚し、自分の機嫌を自分で取れるよう、各自でやり方を見つけておく必要があります。

相談窓口を設置する

フキハラを含む、ハラスメント関係に対応する相談窓口を設置することも重要です。

職場内で起こりやすいパワハラに関して、パワハラ防止措置を行うことが全企業に義務化されています。厚生労働省が発出するガイドラインでは、パワハラを含むハラスメント関係の困りごとを相談する窓口設置に関して明記されています。

相談窓口では、個人情報の取り扱いや加害者への接触、企業の人事担当者との連携など、慎重な対応が求められます。窓口を設置する際は、丁寧なマニュアルの作成や相談ツールの充実など、可能な限り被害者の気持ちに寄り添った方法を検討し、相談しやすい環境を作りましょう。

ハラスメント研修を行う

フキハラに限らず、ハラスメント全般に関する職員研修の機会を設けるのも1つのポイントです。

特にフキハラのように、不機嫌な態度を取って人を傷つけるハラスメントは、研修を行うことで自覚がなくても加害者となっている場合があると認識してもらう機会となります。

また、ハラスメントへの対応方法が分からない管理職に対して、具体的な指導法や対策について理解してもらうことも大切です。

ハラスメント防止研修

ハラスメント予防研修

フキハラ予防につながるハラスメント研修とは?

女性講師が「ハラスメント研修」を実施している模様

ハラスメント研修とは、職場で起こり得るさまざまなハラスメントの正しい理解と防止策を学ぶための取り組みです。フキハラも例外ではなく、研修を通じて原因や影響を知り、適切な対応を習得することが予防につながります。ここからは、研修の内容や実施方法について詳しく説明します。

ハラスメント研修の目的

ハラスメント研修の最大の目的は、職場全体のリテラシーを高めることです。単にハラスメントの種類や定義を知るだけでは不十分であり、研修を通じて「無自覚な言動がハラスメントに該当する」という認識を全社員で共有することが求められます。

また、一人ひとりの価値観や境遇の違いに気づき、相互理解を深めることは、風通しのよい職場づくりの第一歩です。管理職にとっては発生時の適切な対応力を養う機会となります。ハラスメント研修を通して心理的安全性が高まり、社員が安心して働ける環境が整えば、チームワークや生産性の向上、企業への信頼強化が期待できます。

『心理的安全性の高い職場を作る5つのポイント|ぬるま湯組織との違い』について詳しくはこちら

『心理的安全性を高める研修とは?信頼と対話を生む研修の作り方を解説』について詳しくはこちら

ハラスメント研修の内容

ハラスメント研修では、まずハラスメントの定義や現状、そして被害者や企業に及ぼす影響について学びます。研修内では「受け手の感じ方」に左右される側面を理解することで、無自覚な言動を防ぐ意識を高める点がポイントです。

そして、自身の言動や職場環境を振り返り、グループディスカッションを通じて多様な価値観や受け止め方の違いを共有します。被害者・加害者・第三者の立場ごとの対応方法を学び、具体的な予防策や対処法の習得を目指します。研修の一環として、職場環境のチェックリストを活用し、指導とハラスメントの線引きを明確にする方法が取られる場合もあります。

フキハラ予防につながるハラスメント研修なら「アイ・イーシー」で!

フキハラをはじめとする職場のハラスメントを予防するには、知識を学ぶだけでなく「理解を行動に変える」研修が必要です。アイ・イーシーでは、長年培った人材育成のノウハウをもとに、従業員が主体的に考え、実践できるカリキュラムを提供しています。基礎知識の習得から裁判事例の学習、グループ討議、ロールプレイング演習まで幅広く取り入れ、加害者にも被害者にもならないための具体的な対応力を身につけられるのが特徴です。

また、管理職向けには判例を用いたケーススタディを行い、指導とハラスメントの線引きを明確にする研修も用意しています。個別指導や職場全体を巻き込む仕掛けにより、組織全体で共通認識を持ち、健全な環境づくりを支援します。

ハラスメント防止研修

ハラスメント予防研修

まとめ

フキハラは不機嫌な態度や口調で相手を威圧し、不快感を与える行為です。職場でのフキハラを放置していると、人間関係や業務に悪影響を及ぼします。

フキハラを防ぐためには、相談窓口の設置やハラスメント研修の実施を行い、職場全体でフキハラに対して理解し対策を講じることが不可欠です。個人としても、不機嫌な態度を自覚し、適切に対処する姿勢を取れるよう促す必要があります。職場全体で健全な環境を築くために、フキハラへの理解と予防策を徹底しましょう。

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