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モラハラよりも深刻!?職場でイライラを振りまくフキハラ問題
フキハラ(不機嫌ハラスメント)は、不機嫌な態度や口調で相手を威圧し、不快感を与える行為を指します。この現象は職場の上司・部下や夫婦間など、さまざまなシーンで見られるため、悩んでいる方も多いかもしれません。フキハラは人間関係に悪影響を与え、職場で発生した場合は業務の生産性やモチベーションの低下を招く可能性があります。
当記事では、どのような行為がフキハラに当たるのか、具体例とともに対処法を詳しく解説します。
フキハラ(不機嫌ハラスメント)とは?
フキハラとは、不機嫌な態度や口調をとって、相手を威圧したり不快感を与えたりする行為のことを指します。職場の上司・部下や夫婦間など、さまざまなシーンで見られるフキハラに悩む人も少なくありません。
フキハラの具体例として、話しかけられたときに舌打ちをして威圧感を与える、指導に対してふてくされた態度を取るなどが挙げられます。フキハラは人間関係に悪影響をもたらすほか、業務の生産性・モチベーション低下を招く可能性があるため注意が必要です。また、周囲への影響によっては犯罪行為にあたる場合もあります。
フキハラはパワハラに発展することも
フキハラは、不機嫌な態度が他の社員に伝播して広がりやすい傾向があります。不機嫌な態度が相手を不機嫌にさせ、その不機嫌が連鎖していくため要注意です。
また、フキハラはパワハラに発展する可能性もあります。パワハラとは、職場において優越的な立場の人間から、業務上必要な範囲を超えた指示・指導を行うことです。不機嫌な態度や言動がエスカレートすると、場合によってはパワハラと認められます。
フキハラと混同されるハラスメントにモラルハラスメント(モラハラ)があります。モラハラとは、相手の人格を強く傷つけるような態度・言動をとって精神的苦痛を与えることです。
フキハラとモラハラには複数の共通点があります。不機嫌な態度が長期間続いたり、相手から強い支配を受ける状況に陥ったりしている場合は、フキハラだけでなくモラハラにも該当します。
どのような行為がフキハラにあたる?
フキハラという言葉に聞きなじみがなく、実際にどのような行為がフキハラに該当するのか分からない人も多いでしょう。フキハラにあたる行為として、主に下記の3点が挙げられます。
・仕事を頼むと嫌な顔をする 仕事を頼んだときに嫌な顔をすることはフキハラです。毎回仕事を断るのではなく、そのときの気分によって対応が異なる場合もフキハラに該当します。気分によって対応が変わると、そのときの空気を読まなければならず、業務スケジュールや人間関係に支障が出る可能性があります。 ・特定の人に嫌な態度を取る 特定の人に嫌な態度を取ることも、フキハラに該当する行為です。特に、部下など立場の弱い人や文句を言いやすい人がターゲットとして狙われやすい傾向です。何度もフキハラの被害を受けると、言われたほうは自己肯定感やパフォーマンス低下を引き起こす原因となるでしょう。 ・一方的な攻撃を行う 相手を一方的に攻撃するのも、フキハラの特徴の1つです。自分に非がない場合でも、不機嫌さをぶつけるために、文句を言われたり無視されたりと、攻撃されることがあります。また、無意識のうちにため息や舌打ちをして、特定の誰かではなく周囲の人に広く不機嫌さを振りまくことも考えられるでしょう。 |
そのほか、フキハラに該当する具体的な行為としては、下記のものが挙げられます。
・わざとため息をつく ・わざとタイピング音を立てる ・接し方を変える ・挨拶をしない |
ハラスメント発言・行動は、人間関係の悪化や業務パフォーマンスの低下を招く大きな要因です。不機嫌な態度が周囲に伝播していって、新たなフキハラを生む悪循環は避けたいケースです。
職場でフキハラに悩む人がいるときは、被害者・加害者両方に向けた取り組みが必要になるでしょう。
フキハラが発生する原因
フキハラの加害者は、なぜフキハラをしてしまうのか疑問に感じる人もいるでしょう。フキハラをしてしまう背景には、いくつか原因があります。
フキハラが発生する原因として、主な4つの理由を解説します。
加害者本人の深層心理
フキハラが発生する原因として、加害者本人の深層心理が関係している場合があります。フキハラをする人は、不機嫌な態度をとって相手を委縮させ、マウントをとったり思い通りの行動を取らせたりしたいと考えています。
相手をコントロールしたいという心理の裏側には、「自分にかまってほしい」「相手に持ち上げられたい」などの感情が隠れているものです。相手を支配するための手段として、フキハラが行われています。
体調不良
加害者側の体調不良もフキハラと関連性のある事項です。体調が優れず、自身でも意図せず周りへの配慮不足となり、自分本位に振舞ってしまっている可能性があります。
体調不良とは、病気や障がいのほかに、過労や寝不足など一時的なものも含まれます。過労や寝不足からフキハラが発生しているのであれば、長時間勤務や休みが取れないなど、職場環境が本人に悪影響を及ぼしていないか考えることが大切です。
ストレス
日々のストレスは、フキハラを発生させる大きな要因です。ストレスを抱えると、イライラしたり精神的に余裕がなくなったりして、無意識のうちに周囲へ攻撃的な態度を取ってしまいやすくなります。
特に、仕事でストレスを抱える人は少なくありません。「頑張っているのになかなか成果につながらない」と悩んでいる人がいれば、フキハラに発展する前に十分なケアを考えましょう。
周囲への不満
周囲への不満が募り、フキハラの原因となっているケースも考えられます。特に、「自分は優れた人間だ」と思っている人は、周りが褒められたり評価されたりすると、不機嫌な態度・言動をとる人が多い傾向です。
「自分は正当な評価を受けられていない」というネガティブな感情から発生したフキハラは、容易に解決するのが難しいタイプです。フキハラの加害者に合わせて評価制度を変えるわけにはいかないので、評価のポイントをうまく伝える工夫を行いましょう。
職場でのフキハラを予防する方法はある?
現在の職場でフキハラを行う人が見られなくても、業務内容や環境の変化によって、フキハラの発生につながることもあります。職場でのフキハラ対策や予防法について解説します。
対処方法を決めておく
現在の職場環境が良好だとしても、万が一フキハラ発生の声があった際の状況を想定して対処方法をあらかじめ決めておくとよいでしょう。
例えば、不機嫌な態度が周囲との関係性に悪影響を与えているとフキハラ被害にあった人や第三者から通報があった際、加害者への指導方法について決めておくとスムーズに対応できます。また、現在の職場環境では人間関係の修復が難しい場合は、配置換えを検討することも効果的です。
ただし、フキハラの事実が社内中に広まっていると、受け手となる部署を見つけるのが困難なケースも考えられます。ただ配置換えを行うのではなく、その後のフォロー体制や引き継ぎ、トラブル回避などを入念に想定することが大切です。
また、フキハラを行う当人への指導も行いましょう。フキハラを防止するためには、自身が不機嫌であると自覚し、自分の機嫌を自分で取れるよう、各自でやり方を見つけておく必要があります。
相談窓口を設置する
フキハラを含む、ハラスメント関係に対応する相談窓口を設置することも重要です。
職場内で起こりやすいパワハラに関して、パワハラ防止措置を行うことが全企業に義務化されています。厚生労働省が発出するガイドラインでは、パワハラを含むハラスメント関係の困りごとを相談する窓口設置に関して明記されています。
相談窓口では、個人情報の取り扱いや加害者への接触、企業の人事担当者との連携など、慎重な対応が求められます。窓口を設置する際は、丁寧なマニュアルの作成や相談ツールの充実など、可能な限り被害者の気持ちに寄り添った方法を検討し、相談しやすい環境を作りましょう。
ハラスメント研修を行う
まとめ
フキハラは不機嫌な態度や口調で相手を威圧し、不快感を与える行為です。職場でのフキハラを放置していると、人間関係や業務に悪影響を及ぼします。
フキハラを防ぐためには、相談窓口の設置やハラスメント研修の実施を行い、職場全体でフキハラに対して理解し対策を講じることが不可欠です。個人としても、不機嫌な態度を自覚し、適切に対処する姿勢を取れるよう促す必要があります。職場全体で健全な環境を築くために、フキハラへの理解と予防策を徹底しましょう。
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