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創考喜楽

2020.03.19
KNOW-HOW

第1回:
独創性を高めるために、
まず身に付けるべきマインドとは


人間学連載の初回は、「独創」することについて取り上げたいと思います。

 

 

「独創」とは、アイデアや創作物、または仕事において、オリジナリティを発揮することを意味します。「発想」の場合には、アイデアを出すことにプライオリティがおかれますが、「独創」の場合は、アイデアの数や発想するスピードよりも、アイデアに人が真似できない独自性やユニークさがあるかどうかが重要になります。

 

 

「独創」の精神を養うために必要なこと

 

 

今回は、この独創力に関して、多くの教訓を含んだ故事をとりあげ、解説を加えていくことにしましょう。みなさんがよくご存知の逸話に、“コロンブスの卵”という話があります。コロンブスがスペイン貴族の厚顔無恥な俗物根性をやりこめたエピソードとして、よく知られています。しかし、これととてもよく似た話が、15世紀前半のフィレンツェにありました。それは、以下のようなエピソードです。

 

 

 

 

 

フィレンツェは、かつてフィレンツェ共和国、トスカーナ大公国の首都として繁栄した街で、長期にわたりメディチ家の支配下にありました。あるとき、そのフィレンツェで、サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂のドームを建設することになりました。

 

 

メディチ家の当主は、その設計および工事監督を、建築家のフィリッポ・ブルネッレスキに依頼しました。それは直径138フィートに及ぶ巨大ドームで、足場を組むのさえ難しく、当時の技術水準では完成不可能と思われた難事業です。

 

 

しかし、ブルネッレスキは、足場がなくても完成できると断言します。実は、ブルネッレスキには自分だけしか知らない独自のノウハウがあったのです。当時ブルネッレスキはまだ20代。気難しいけれど、天才的な才能の持ち主でした。同業者は、ブルネッレスキが脚光を浴びるのをねたみ、批判を浴びせます。会議を開いても、ブルネッレスキの主張はなかなか受け入れられず、いつまでたっても結論が出ません。

 

 

そんなある日、会議の席上に、彼はやにわに一個の卵を取り出して、こう言います「自分はこの卵を立てることができるが、みなさんはどうか」と。メンバーの誰もが、自分にはできないことを認めます。するとブルネッレスキは、卵のはじをつぶして、テーブルの上に立ててみせたのでした。

 

 

メンバーは「そんなことなら誰でもできる」と抗議します。とたんにブルネッレスキは痛烈な皮肉を飛ばしました。

 

 

「もし私がドームの作り方を話せば、あんたがたは全く同じように言うだろうよ」

 

 

その後、紆余曲折を経て、結局この大ドームを完成させられるのはブルネッレスキ以外にいないということになり、彼は総指揮を任されます。ブルネッレスキは角が多く、人と衝突ばかりしていましたが、腕はたしかでした。最終的には、ふたつのお椀をすっぽり重ねたような二重構造にすることによって、ブルネッレスキは見事に間題を解決し、16年後に大ドームは見事に完成したのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コロンブスとブルネッレスキのエピソードは、独創的精神が似たような目にあうということを伝えて、興味深いものがあります。独創の精神を養うには、独立自尊の感情、自分の信じる道を行く気概、自己決定力を育てることは、非常に大切な要素だといえるでしょう。

 

 

独創するには、まず学ぶ

 

 

独創において、個性、独自なものの見方、思考力、表現法などが重要なのは言うまでもありません。そして、こうした要素を鍛えるためには、多くの先人たちから、自分の創造性アップに役立つことを貪欲に学び、また謙虚に周りの人たちの力を借りることも、ときには必要です。

 

 

“自力”はとても大切なことですが、さまざまな困難が降りかかる人生を生きていくには、自力だけでは限界があります。ですから、経験のある周囲の人たちの力、つまり“他力”も上手に活用していきましょう。それによって視野はもっと広がりますし、創造活動の生産性もグンと高まるはずです。

 

 

 

「私にあなたよりもっと遠くが見えたとしたら、それは巨人たちの肩の上に立ったからです」

 

 

 

これはニュートンが残した言菓です。ニュートンは独創力にあふれた歴史に残る天才のひとりですが、そんなニュートンでさえ、偉大な先人たちの業績や研究の蓄積があってはじめて、自分の業績が生まれたと語っているのです。私たちも、ぜひこのニュートンの姿勢に学びたいものです。

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