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フレームワークとは?ビジネスに役立つフレームワークを一覧で紹介
ビジネスにおける課題解決や意思決定を効率的に行うために、多くの企業が「フレームワーク」を活用しています。フレームワークとは、論理的に物事を整理し、効果的に進めるための「型」を提供するものです。
例えば、市場分析や経営戦略、業務改善など、さまざまな場面で使用されるフレームワークは、企業が直面する多様な課題に対応するための強力なツールとなります。この記事では、特にビジネスに役立つフレームワークの特徴や活用方法について解説します。
フレームワークとは
フレームワークは「枠組み」や「骨組み」を意味する言葉であり、物事を論理的に考えたり効率的に進めたりする際に役立つ型を指します。
ビジネスの場で利用される場合は「ビジネスフレームワーク」と呼ばれます。課題の洗い出し・分析・アイデア共有などのシーンでフレームワークを取り入れれば、必要なポイントを網羅してスムーズに業務を進めることが可能です。
現代社会では消費者の行動パターンや考え方が細かく変化しているため、フレームワークの内容・要素も最新の情報を取り入れながらアップデートされています。
フレームワークをビジネスに活用するメリット
フレームワークをビジネスに活用するメリットは、業務効率化・生産性向上が叶うことです。
フレームワークでは課題の本質に近づくために必要なポイントが網羅されており、意思決定や問題解決を適切な流れに沿って進められます。そのため、課題の複雑さやチームメンバーなどの条件が変わっても、ロジカルシンキングに基づいた一貫性あるアプローチが可能です。
また、あらかじめ用意されている型に当てはめて思考を展開することから試行錯誤の時間が不要となり、効率的に課題解決できます。
経営戦略を立てるときに役立つフレームワーク4選
PEST分析
PEST分析とは、自社を取り巻く環境分析に役立つフレームワークです。「PEST」はマクロ環境分析に必要な以下の4つの視点の頭文字です。
Politics(政治) | 政治動向、法律、税制など |
Economy(経済) | 経済水準、為替、金利など |
Society(社会) | 世論、流行、宗教など |
Technology(技術) | 特許、イノベーション、インフラなど |
PEST分析により自社ではコントロールできない外部環境を分析することで、経営戦略立案のための基礎情報として役立てられます。現状把握によって今後の戦略が具体化されるのはもちろん、現在のトレンドを知れる・思わぬリスクを把握できるといったメリットもあります。
ファイブフォース分析
ファイブフォース分析とは、外部環境において自社の脅威となる5つの要素を分析するためのフレームワークです。アメリカの経営学者マイケル・ポーターによって提唱されました。
ファイブフォースで分析する脅威となる5つの要素は、以下の通りです。
・業界内での競争 ・業界への新規参入 ・代替品の存在 ・買い手(顧客)の交渉力 ・売り手(サプライヤー)の交渉力 |
ファイブフォースによって業界全体と競合他社の状況を網羅的に分析することで、自社の優位性と収益の確保に必要な要素を判断できます。新規参入・撤退を検討する際にも役立ちます。
SWOT分析
SWOT分析とは、自社を取り巻く外部環境・内部環境におけるプラス面とマイナス面を4つの視点から分析するフレームワークです。SWOTは以下の分析要素の頭文字です。
プラス面 | マイナス面 | |
内部環境 | S(Strength):強み 自社や自社製品に好影響を与える 内部環境の要素 | W(Weakness):弱み 自社や自社製品に悪影響を与える 内部環境の要素 |
外部環境 | O(Opportunity):機会 自社や自社製品に好影響を与える 外部環境の要素 | T(Threat):脅威 自社や自社製品に悪影響を与える 外部環境の要素 |
SWOT分析は経営戦略立案における現状分析に役立ちます。視点を偏らせず客観的に現状把握できることから、もっとも有名で基本的なフレームワークの1つとして知られています。
7S
7Sとは、組織を3つのハード面と4つのソフト面の構成要素に分解し、それぞれの問題点を総合的に考えるためのフレームワークです。マッキンゼー・アンド・カンパニー社によって提唱されました。
7Sでは、それぞれの要素の相互関係を見ながら整合性をとることがポイントとなります。具体的な7つの要素は以下の通りです。
ハード面 | 組織構造に関する要素 | ・戦略 ・組織構造 ・システム |
ソフト面 | 人材に関する要素 | ・共通の価値観 ・スキル ・人材 ・組織風土 |
7Sを活用することで、企業の課題とその優先順位を明確化できます。課題や改善点をより具体的にするには、企業単位だけでなく部署単位・チーム単位でも7S分析を行うのが効果的です。
市場分析やマーケティングに役立つフレームワーク5選
AISAS
AISASとは、消費者が商品・サービスを認知してから購入に至るまでの行動モデルです。インターネット上での買い物を想定したフレームワークであり、2004年に電通が提唱しました。
AISASは、消費者の行動パターンを表す以下の英単語の頭文字です。
Attention(注目・認知) | 潜在顧客が商品やサービスを認知する |
Interest(興味・関心) | 商品やサービスに興味を持つ |
Search(検索) | インターネットで商品・サービスについて調べる |
Action(購買) | 実際に商品やサービスを購入する |
Share(共有) | 商品レビューをSNSなどでシェアする |
AISASの行動プロセスでは、インターネットを使い慣れた現代の消費者の行動モデルをリアルに反映しています。そのため、特にウェブマーケティングにおいて役立つでしょう。
4C分析
4C分析とは、顧客視点を基準としたマーケティングの分析方法です。4C分析における4つの分析要素は、以下の通りです。
CustomerValue(顧客価値) | 顧客が商品に対して抱く価値 |
Cost(顧客コスト) | 商品購入時に必要な費用 |
Convenience(利便性) | 商品購入の過程におけるスムーズさ |
Communication(コミュニケーション) | SNS発信やイベントなどの顧客との接点 |
4Cによってマーケティング戦略立案に顧客視点を取り入れれば、商品・サービスのスムーズなシェア確保を目指せます。また、顧客満足を追求した商品開発により競合他社との差別化を図れるのもメリットです。
STP分析
STP分析とは、効果的なマーケティング戦略を策定するための流れを定めたフレームワークです。STPは以下の3ステップの頭文字を表します。
1 | Segmentation(セグメンテーション) | 市場を細分化する |
2 | Targeting(ターゲティング) | 細分化された市場のうち、どの市場を狙うかを決定する |
3 | Positioning(ポジショニング) | ターゲティングした市場内での自社の立ち位置を決める |
STP分析を取り入れれば、利益を効率的に獲得できる市場を特定することが可能です。また、ポジショニングによって自社商品の位置づけを明らかにすると、競合他社に対する優位性を築けます。
RFM分析
RFM分析とは、顧客を3つの指標でグループ分けする顧客分析のフレームワークです。RFMは以下の3つの指標の頭文字です。
Recency(最終購入日) | 顧客が商品を最後に購入した日を算出し、最終購入日からの期間が短い顧客を高く評価する |
Frequency(購入頻度) | 顧客が商品を何度購入したかを算出し、回数が多い顧客を高く評価する |
Monetary(購入金額) | 顧客の商品購入金額を算出し、金額が高い顧客を高く評価する |
RFM分析により顧客の分布を確認すれば、自社が置かれている状況を可視化できます。また、顧客グループごとに必要なアプローチやその優先順位が明確になり、限られたリソースを有効に活用することが可能です。
パーセプションフロー・モデル
パーセプションフロー・モデルとは、P&Gが考案した「消費者の購買行動を、認識の変化(パーセプション・フロー)に沿って分析する」フレームワークです。消費者が各購買行動のステップの中で、どのようにブランドに対する認識を変えるかを、以下のような要素に落とし込んで描くことで、マーケティングに活かします。
構成要素 | 記載する内容 | 例 |
行動・態度 | 顧客の状態に応じて、どのような行動や態度を取っているか記載する | 競合製品を使っている |
パーセプション | 顧客が感じたこと、認識したことを記載する | 競合製品には満足していない。代替品が欲しい |
知覚刺激 | 顧客の行動・態度を変容させるために、顧客の感覚を刺激する方法を記載する | ブランドがもたらす便益や課題解決効果を知らせる |
KPI | 量的・質的なKPIを記載する | 課題の認知率 |
メディア・媒体 | 知覚刺激のためにどのようなメディアを使うかを記載する | オウンドメディアを使った課題の発信 |
パーセプションフロー・モデルでは、各構成要素を以下の8段階の購買行動のステップに分け、それぞれに各要素を記載することでフレームワークができます。
1 | 現状 |
2 | 認知 |
3 | 興味 |
1 | 購入 |
2 | 試用 |
3 | 満足 |
2 | 再購入 |
3 | 発信 |
パーセプションフロー・モデルは各ブランドに対する顧客の認識をどのように変化させるかを重視したフレームワークです。今後新たな市場を創造する上で、何をするべきか考える場合、パーセプションフロー・モデルが向いています。
論理的・創造的思考を助けるフレームワーク4選
ビジネスシーンにおいて現代社会のスピード感に乗り遅れないためには、論理的かつ創造的な思考力を鍛え、チャンスを逃さないことが求められます。
クッキーのオレオで有名なナビスコは、アメリカの人気スポーツイベントで停電が起こった際、停電と商品をかけたジョークを即座にSNSに投稿しました。ナビスコの投稿は2万件以上の「いいね」を獲得し、莫大な費用がかかるスポーツイベントの広告以上とも言える宣伝効果を生み出しました。
当事例はソーシャルメディアチームが待機していたことによる功績であり、フレームワークの1つである「OODAループ」の活用シーンの代表例です。ここでは、論理的・創造的思考を助けるフレームワークを4つ紹介します。OODAループ
OODAループはビジネスシーン以外でも広く活用されているフレームワークであり、変化が速い環境に適応しながらスムーズに意思決定するための方法です。OODAは以下の4つのプロセスの頭文字を表します。
1 | Observe(観察) | 自社の周り(業界・顧客・競合など)を観察してデータを集める |
2 | Orient(状況判断) | 観察結果をもとに現状を判断する |
3 | Decide(意思決定) | 判断状況に基づいて計画や手段を決定する |
4 | Act(行動) | 計画を実行に移す |
OODAループは4つのステップを繰り返して行うことで成果を生み出しやすくなるのが特徴です。「Act」の段階で計画を実行に移した後は、「Observe」に戻ってループを再開します。
PDCAサイクルのように先にPLAN(計画)ありきではなく、OODAループでは周囲の状況を確認した上で状況の変化に合った計画を立て、実行します。そのため、社会の変化するスピードが加速している現代の社会において、PDCAサイクルよりも意思決定に適していると言われるフレームワークです。
MECE
MECEは物事を整理する際に必要な要素を漏れなく・重複なく考えるためのフレームワークです。もともとはコンサルティング会社で使われていた社内用語であり、以下の4つの言葉の頭文字を表します。
・Mutually(お互いに) ・Exclusive(重複せず) ・Collectively(全体に) ・Exhaustive(漏れがない) |
ビジネスにおいて1つの結論を導き出す際、検討すべき要素に漏れや重複があれば結論の妥当性が高いとは言えません。MECEの考え方はロジカルシンキングに欠かせない要素であり、顧客属性や業務プロセス、因果関係などのさまざまな切り口で活用できます。
マインドマップ
マインドマップとは、情報を視覚的に整理するために活用されるフレームワークです。メインとなるテーマを中心に据えて関連する要素やアイデアを枝分かれさせることで、思考の流れや脳内のイメージを可視化できます。
マインドマップは無地の用紙にカラフルに・イメージ豊かに描くのが基本です。単に枠の中に言葉を書いて線でつなぐのではなく、中央から放射的に広がる図に脳内のイメージをそのまま映し出したようなスタイルを意識するのがコツです。
マインドマップは思考を整理しながらアイデアをブラッシュアップしたり、会議を効率化したりするためのツールとして役立ちます。
マンダラート
マンダラートとは、曼荼羅(マンダラ)模様のような正方形のマス目にアイデアを書き込んで思考を整理するフレームワークです。作成方法の例は以下の通りです。
1 | 3×3マス、合計9マスの正方形を書く |
2 | 中心のマスにメインとなる課題を書き込む(「中途採用応募数増加」など) |
3 | 周りの8マスに関連するキーワードを書き込む (「採用サイトページ作成」「採用パンフレット作成」「SNS運用」など) |
4 | 工程3で記載したキーワードの1つを別の3×3マスの正方形の中央のマスに書き込む |
5 | 工程3に戻り、工程4の正方形の周りの8マスを埋める |
上記の工程を繰り返してキーワードを深掘りすると、目標達成に必要なアクションを明確化できます。実際にアイデアを書き出すことで思考の可視化やブラッシュアップができるほか、意見の共有がしやすくなるのもメリットです。
業務の改善に役立つフレームワーク4選
ECRS
ECRSとは、業務フローにおいて改善すべきポイントを洗い出すためのフレームワークです。ECRSは課題を洗い出す際のポイントである以下の頭文字を表します。
Eliminate(排除) | 業務を排除できないか検討する |
Combine(結合) | 業務を1つにまとめられないか検討する |
Rearrange(交換) | 業務の順序や担当者を入れ替えられないか検討する |
Simplify(簡素化) | 業務をより簡単にできないか検討する |
ECRSでは頭文字の順序通りに検討するのが基本であるため、まずは排除可能であるかどうか、次に結合できるかどうかを考えます。順序に沿って検討すれば高い改善効果を得られるほか、過小・過剰な改善を避けることも可能です。
BPMN
BPMNとは、業務フローを簡単な表記で図式化するフレームワークを指します。国際標準規格に認定されている表記方法であり、丸や四角、矢印などの図形を用いるのが特徴です。
BPMNには内容・目的に応じて以下の3パターンのフロー図があります。
記述レベル | 業務フローの俯瞰を目的としたもっとも簡単な図式 |
分析レベル | 業務の分析・改善を目的として例外的な業務フローまで取り入れた図式 |
システムで実行可能レベル | 外部システムとの連携や詳細なデータ項目まで考慮したもっとも複雑な図式 |
BPMNを作成すれば、業務の流れを整理しながら課題や改善点を把握することが可能です。また、立場の違いによる解釈の齟齬が発生しづらく、誰でもひと目で業務フローを理解できる資料として役立ちます。
QCD
QCDは主に製造業での業務改善に必要な視点を示すフレームワークです。QCDは以下の3つの視点の頭文字を表します。
・Quality(品質) ・Cost(コスト) ・Delivery(納期) |
QCDの3要素はそれぞれが相互に関係しているため、全体のバランスを最適化することが重要です。たとえば製品の品質のみを過剰に追求しすぎると、その分コスト・納期に悪影響が及びやすくなります。
また、QCDを取り入れる際は、品質、コスト、納期だけでなく、顧客満足度や利益、製造現場の状況などを総合的に考慮することもポイントの1つです。複数の観点から3要素のバランスと優先順位を検討すれば、企業としての競争力や生産性を高められます。
ロジックツリー
ロジックツリーとは、ある業務に関する問題やその原因を要素ごとに分解し、枝分かれしたツリー状に書き出して解決法を導くフレームワークです。
たとえば、ある商品の売上低下を課題とする場合、まずは理由として考えられる事柄を網羅的に挙げて課題にぶら下げます。さらに、それぞれの理由についても「なぜ」を考えるというサイクルを繰り返すと、根本的な原因を探ることが可能です。
業務改善にロジックツリーを取り入れるメリットは、必要なアクションの優先順位が付けやすくなる点や、アクションに行き着いた経緯を簡単に共有できる点です。
まとめ
ビジネスフレームワークは、課題解決や戦略立案の場で大きな力を発揮します。例えば、経営戦略の場では、外部環境を理解するためのPEST分析や競争状況を把握するファイブフォース分析が有効です。一方、市場分析やマーケティングでは、消費者行動を捉えるAISASやSTP分析が重要な役割を果たします。
論理的思考や創造的思考が必要な時は、MECEやマインドマップなどのフレームワークを取り入れると、頭を整理しながら考えやすくなるでしょう。業務の改善においても、ECRSやロジックツリーなどのフレームワークを活用することで、効率的な改善が期待できます。
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