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いくらか知ってる?研修費用の平均額と内訳・予算内に抑える方法

社員研修が人材育成に不可欠な投資の1つであると分かっていても、気になるのはやはり費用面です。「一般的に法人研修はいくらかかるのだろう?」と疑問を持っている方は多いでしょう。研修費用は、企業の規模や業種、研修内容、講師の選定など、さまざまな要因によって変動します。
この記事では、研修費用の平均額とその内訳を詳しく解説します。研修担当者の方だけでなく、経営者の方、将来的に人材育成に関わる可能性のある方も含めて、ぜひ参考にしてください。
従業員1人あたりの研修費用の平均は「3万円前後」

産労総合研究所の資料によると、2023年度の調査において従業員1人あたりの教育研修費用は平均34,606円となり、前年度から2,194円増加しました。この傾向は2020年度以降継続しており、コロナ禍前の水準に近づいています。
2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 |
24,841円 | 29,904円 | 32,412円 | 34,606円 |
企業規模別に見ると、大企業が41,050円・中堅企業が32,268円・中小企業が31,087円と、いずれも増加傾向にあり、特に大企業では大幅な増加が見られました。
今後の教育研修費用総額の見通しについては、「かなり増加する見込み」と「やや増加する見込み」を合わせると約6割で、前年と同様に増加傾向が続いています。
研修費用の変動要素

研修費用はさまざまな要因によって変動します。ここでは、企業規模・業種、研修の実施方法という側面から解説します。研修費用の見積もりや予算策定を行う際に、ぜひ参考にしてください。
企業規模・業種
産労総合研究所が公表している、教育研修費用(従業員1人あたりの額)の2021年の実績データは以下の通りです。
【企業規模別】
従業員1,000人以上 | 従業員300~999人 | 従業員299人以下 |
29,629円 | 31,323円 | 28,682円 |
【製造業/非製造業別】
製造業 | 非製造業 |
27,886円 | 31,155円 |
企業規模では、大企業や中小企業より、中堅企業が研修費用をかけていることが分かります。また、製造業より非製造業のほうが研修費用は高い結果となりました。
研修の実施方法
研修費用は、研修の実施方法によっても異なります。社内研修や公開研修、eラーニングの平均費用は以下の通りです。
社内研修(研修サービス会社に依頼する場合) | 公開研修 | e-ラーニング |
約200,000~500,000円/1日 | 約18,000~30,000円/1人 | 導入初期費用:約100,000~400,000円 月額費用:約1,000~3,000円 |
研修費用の内訳と相場

研修費用に含まれる項目は多岐にわたり、ここでは内訳ごとの相場も含めて解説します。ただし、相場は研修内容、講師のレベル、地域などによって変動するため、あくまで目安として捉えてください。
研修費(講師料) | 外部講師を招く場合、その講師に支払う費用です。 相場は1時間あたり約10,000円~100,000円です。若手講師や専門性の低い内容であれば価格は安くなりますが、著名な講師や高度な専門知識を要する研修では100,000円を超えるケースもあります。 |
教材費 | 研修で使用するテキスト・資料・ワークブックなどの作成・購入費用です。 相場は1人あたり数百円~数千円です。市販のテキストを使用する場合は比較的安価ですが、オリジナルの教材を作成する場合はデザイン費や印刷費などがかかるため、高くなる傾向にあります。 |
会場費 | 研修会場のレンタル費用です。 相場は1時間あたり約3,000~30,000円です。会議室や研修センターであれば比較的安価ですが、ホテルや大規模なイベントホールなどを利用する場合は高くなります。 |
交通費・宿泊費 | 講師や参加者の交通費・宿泊費です。基本的に実費精算です。 |
食事代 | 研修期間中の食事費用です。相場は1食あたり約1,000円です。 |
備品・設備費 | 研修で使用するプロジェクター、スクリーン、ホワイトボード、マイクなどのレンタル・購入費用です。 アイテムによりますが、相場は約1,000円~50,000円です。 |
重要なのは、研修担当者が「研修を通して何を実現したいのか」という目的意識です。単に予算内に収めるだけでなく、選んだ研修会社がその目的を達成できるパートナーとなり得るのかを見極めることが大切です。フォーマットに沿った研修だけでは、企業固有の文化や課題に対応できない場合もあります。企業文化を踏まえ、個々のニーズに合わせた研修を提供できる会社や講師を選ぶことが、研修の成功につながります。
「効果的な研修を予算内で実施できる会社を探したい」という場合はアイ・イーシーにご相談ください。アイ・イーシーでは、典型的なフォーマットに沿うだけでなく、企業文化も踏まえた研修を実施しております。研修を介して実現したいことがございましたら、ぜひお聞かせください。
研修費用は自己負担?会社負担?

研修費用の負担については、原則として会社負担のケースがほとんどです。新入社員研修や業務に必要な資格取得のための研修、法令で義務付けられた研修など、業務上必要な知識やスキルを習得するための研修は、業務の一環とみなされます。従業員が業務を円滑に進めるのに必要な研修費用を会社が負担することは、労働環境の整備という観点からも重要と言えるでしょう。
また、研修費用を会社負担とする場合、研修の参加履歴を残すことは、従業員のスキルアップやキャリア形成を支援する上で重要です。参加履歴を記録することで、従業員の成長過程を可視化し、今後の人材育成計画に役立てられます。
研修費用を予算内に抑える方法

研修費用を予算内に抑える方法には、「社員が教材作成・講師を担当する」と「助成金制度を活用する」の2種類が挙げられます。ここからは、それぞれの方法について詳しく解説します。
社員が教材作成・講師を担当する
外部の研修会社や講師に依頼する場合、講師料や教材費などの費用が発生します。そこで、社内の人材を活用し、教材作成や講師を社員自身が担当することで、講師料や教材費を削減できます。
たとえば、味の素AGF株式会社では「社内勉強会(出前講座)」を実施し、部門間での専門知識の共有とコミュニケーション活性化を図っています。講師役は知識を持つ部門の社員が務め、部門が持つ専門的な知識やノウハウ、業務経験などを、それを必要とする別の部門の社員に向けて講義形式やワークショップ形式で伝えます。
ただし、教材作成や研修準備に時間を要するため、担当者の業務負担が増加しやすい点に注意しましょう。講師の経験やスキルによっては、研修の質が外部講師に劣る可能性もあります。
助成金制度を活用する
国や地方自治体などが提供する助成金制度を活用することで、研修費用の一部または全部を補助してもらえます。厚生労働省が提供する「人材開発支援助成金」と「キャリアアップ助成金」は、研修費用の助成にできる代表的な制度です。
たとえば、ある中小企業(製造業)では、外部教育訓練機関の営業職研修受け放題講座を受講させる際に、人材開発支援助成金の「人への投資促進コース(定額制訓練)」を活用し、252,000円の経費助成を受けています。
詳細な要件や申請方法については、厚生労働省のウェブサイトで確認してみてください。
まとめ
研修費用は、企業の人材育成において重要な投資です。研修費用を抑える方法としては、社内講師の活用、eラーニングの導入、助成金制度の活用などが挙げられます。
しかし、研修費用を検討する上で重要なのは、費用を抑えるだけでなく、研修を通して何を実現したいのかという目的意識を持つことです。企業文化を踏まえた研修を提供できる会社や講師を選ぶことで、より効果的な研修を実施できるでしょう。
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