失敗しない目標設定のコツは?具体例や目標の立て方・手法を紹介

目標設定

個々の社員や各チームが設定する目標は、企業の発展にとって重要です。適切な目標を立てれば、自分が今何をすべきかが明確になり、各従業員が目標達成に向けて邁進できます。ただし、不適切な目標を立てれば、間違った方向に力を注いでしまう場合や、達成できない・公平でないと感じた従業員のモチベーションを落とすため、注意が必要です。目標設定で失敗しないように、各従業員に目標を立てるコツを伝えておくとよいでしょう。

この記事では目標設定に失敗しないコツや、適切な目標の立て方、目標設定の手法、目標設定のメリットについて解説します。

仕事をする上で目標設定が重要な理由

重要

目標とは、「最終的なゴールに到達するために設定した指標」を意味する言葉です。「目指すべき到達点までの過程で設定する通過点」と言い換えることもできるでしょう。

目標と似た言葉に「目的」がありますが、目的が到達すべきゴールであるのに対し、目標は目的にたどり着くために設定するチェックポイントであるという違いがあります。適切に設定された目標を着実にクリアすれば目的の実現に一歩ずつ近づけるので、目標を立てるのは、目的達成への道筋を立てることと同義であると言えるでしょう。

目標目的
意味ゴールに到達するための指標・通過点最終的に到達すべきゴール
・広告の反応率5%達成
・月間売上1000万円以上
・新規案件3件受注
など
・赤字から回復する
・会社の規模を大きくする
・社員に分配する利益を増やす
・お客様の幸せを実現する
など

ビジネスにおいては、企業ビジョンや長期的な経営戦略が「目的」に該当します。その目的を達成するための指標(目標)として「従業員がとるべき行動」や「必要な業務」「達成すべき数値」などを設定することになります。

企業が具体的な目標を適切に設定すれば、目標に基づいた行動設定を明確化できるため、従業員が効率的かつ効果的に業務を進められるようになるでしょう。また、目標をクリアすることによる達成感は、従業員のモチベーションアップにもつながります。

このように、仕事をスムーズに進めるためには、目的に対する目標を適切に設定するのが大切です。企業が具体的な目標を適切に設定し、設定した目標を着実に達成していけば、実現したい企業ビジョンや描いている経営戦略に効率よく近づくでしょう。

適切な目標設定をするためのコツ

ポイント

最終的な目的に到達するためには、以下のようなコツを押さえた適切な目標設定が大切です。

◆適切な目標設定をするための6つのコツ
・目標を具体的にする
・優先度でカテゴライズして重要な目標1つを設定する
・5W1H思考で目標内容や期限を設定する
・最初は小さい目標にする
・公平な目標にする
・従業員の経験値に合わせた目標にする

ここでは、上記6つのコツについて、押さえるべき理由と併せて解説します。

目標を具体的にする

目標を立てる際には、なるべく具体的な指標を詳細に設定することが大切です。「努力する」「業務改善を図る」といった漠然とした内容ではなく、「新規顧客を月に3件獲得する」「残業時間を10%削減する」など具体的に数値化するようにしましょう。

目標を具体化・数値化することにより、やるべき内容が明確になるため、目標の達成に向けて効率よく行動できます。週単位・月単位で目標達成度を確認すれば、進捗管理も行いやすいでしょう。

優先度でカテゴライズして重要な目標1つを設定する

目標を着実に達成するためには、目標を一度に多く立てすぎないことも大切です。達成したい目標が多すぎると、従業員にプレッシャーがかかりすぎてしまう上に、労力や集中力が分散してしまうため、かえって目標が達成しにくくなる可能性があります。目標を立てる際には、優先度を考慮した上で重要な目標を1つ設定してください。

目標を1つに絞る際には、達成したい項目をすべて書き出し、それぞれの項目に優先順位をつけましょう。それほど重要ではないと思われる項目から消していくことで、重要な項目を洗い出せます。

5W1H思考で目標内容や期限を設定する

目標の内容や期限を具体的に設定するためには、5W1Hを意識することも大切です。目標設定では、特に「What」「When」「Why」の3つの要素に注目するとよいでしょう。

What何を目標とするか
When目標をいつまでに達成するか
Whyその目標が必要なのはなぜか

Whatで何を目標とするか決めたら、Whenで目標の内容や難易度に応じた期限を設定しましょう。その目標が必要な理由をWhyで定義し、目標達成に向けた行動を行う重要性を認識することもポイントです。

最初は小さい目標にする

重要な目標は大きなものになりがちですが、最初から大きな目標を立てると達成まで時間がかかり、挫折やモチベーションの低下につながる恐れがあります。「行動することで目標をクリアできる」という成功体験を積むためにも、達成しやすい小さな短期目標からスタートするようにしましょう。

例えば、「新規顧客を月に3件獲得する」を大きな目標とした場合、毎日取り組める小さな目標として「見込み顧客3件にアプローチをかける」などが挙げられます。スモールステップな目標を着実に達成していくことは、モチベーションの向上や自己肯定感の獲得にもつながるでしょう。

公平な目標にする

チームや従業員個人のそれぞれに異なる目標を設定する場合は、なるべく不公平感のない目標を考えることが大切です。チーム間や個人間で、達成難易度に大きな差が出ないよう配慮しましょう。

また、難易度に応じた報酬を設定することも公平性を担保する1つの方法です。人間は「仕事に投じたコスト」と「仕事から得た利益」の割合を比較し、他者の割合とほぼ同じであれば公平感を抱くと言われています。難易度が異なる目標を設定する必要がある場合は、難易度に応じたアウトプット(昇給・昇進など)を検討するとよいでしょう。

従業員の経験値に合わせた目標にする

目標設定を行う際には、従業員の経験値や能力を考慮することも重要です。高すぎて達成が困難に思える目標はモチベーションを低下させる一方、低すぎる目標は向上心や挑戦意欲を低下させます。能力や経験値をふまえ、達成可能かつ適度なチャレンジ性を持つ目標を設定しましょう。

従業員に個別の目標を設定する場合、上司やリーダーが部下に対して目標を一方的に与えるのではなく、従業員自身が主体的に目標を具体化・可視化させることが大切です。目標が決まったら、優先して取り組むべき事項を明確化しましょう。

また、目標や進捗を数値化・図表化すると成果を把握しやすくなります。従業員自身も到達度を確認できるため、個人のスキルアップ・キャリアアップにもつながるでしょう。

「主体性とは?社員の主体性を高める方法や自主性との違いを解説」はこちら

適切な目標設定の立て方

ハウツー

目標を適切に設定するためには、必要なステップを適切な手順で行うことが大切です。目標の大まかな立て方を理解し、適切な目標設定を目指しましょう。

【4STEP】目標設定を適切に行うための手順

【STEP1】「発生型目標」か「設定型目標」かを見極める
すでに発生している問題の解決を目標とする「発生型目標」では、解決すべき問題を正確に理解することからスタートしましょう。

現状をもとに自発的に設定する「設定型目標」では、目標を設定する理由や妥当性について十分考えることが大切です。
【STEP2】目標を具体的に決める
目標達成後の理想像をもとに目標設定の方針を決定し、方針に沿って優先度・重要度の高い目標を絞り込みます。達成したい目標が定まったら、目標の内容を具体化しましょう。
【STEP3】具体的な行動を決定する
目標の達成に向けて取り組むべき行動を具体的に考えます。現状を整理した上で目標とのギャップを洗い出し、ギャップを埋めるための行動・タスクを細かく考えることが重要です。
【STEP4】期限を設定する
洗い出した行動をもとに、目標達成の期限設定を行います。定期的に見直しを行い、進捗状況を確認するようにしましょう。

上記の手順は多くの部署・個人に共通する目標設定プロセスですが、部署やチーム、個人によって細かい部分が異なる場合もあります。上記のプロセスをもとに、会社や部署、求められる役割・スキルにリンクした目標設定が行えるよう調整しましょう。

目標設定の手法5つ

適切かつ効果的な目標設定を行うためには、確立されたフレームワークを活用するとよいでしょう。目標設定における代表的なフレームワークとして、下記の5つの手法が挙げられます。

手法概要
SMART5つの要素(SMART)を満たすことで、適切かつ効果的な目標設定が実現できる
KPI最終的な目標までの中間目標を具体的な数値で設定する
OKR組織全体の目標と部署・従業員の目標をリンクさせて決定する
ベーシック法「目標項目の設定」「達成基準の具体化」「期限の具体化」「行動計画の具体化」の4ステップで構成される基礎的なフレームワーク
ベンチマーク法設定したライバルとの比較により、自身の改善点や達成すべき目標を設ける

ここでは、上記5つの手法について詳しく解説します。

SMART

SMARTとは、適切かつ明確な目標を設定するのに不可欠な5つの要素を含む、目標設定におけるフレームワークを指します。下記の5つの要素を満たしているかチェックしながら考えることで、具体的でモチベーションを維持しやすい目標を設定できるでしょう。

要素概要
Specific
(具体的に)
目標の内容を明確な言葉・表現で具体的に示す
Measurable
(測定可能な)
目標の内容を数値化・定量化して示す
Achievable
(達成可能な)
現実的な目標かどうか確認する
Related
(経営目標に関連)
自身の業務や会社・部署・チームの目標に沿った内容かどうか確認する
Time-bound
(時間制約がある)
目標達成の期日を設定する

KPI

KPI(Key Performance Indicator)とは、目標の達成率を計測・評価するための指標であり、「重要業績評価指標」「重要達成度指標」とも呼ばれています。最終的な目標に向かうプロセスの途中に設定される、中間目標を数値化・視覚化したものと捉えるとよいでしょう。

KPIの考え方をもとに客観的で具体的な目標を設定すれば、取り組むべき行動や成果の目安が明確になるため、従業員はそれぞれの業務をスムーズに進めやすくなります。結果として組織全体の能力も向上するでしょう。評価基準の統一や、進捗状況の定量的な分析の実現も期待できます。

「企業の成長に繋がる目標管理制度(MBO)|注意点や具体的な導入方法も」はこちら

OKR

OKR(Objectives and Key Results)とは、「目標(Objectives)と成果指標(Key Results)」を意味する目標設定におけるフレームワークの1つです。

OKRの大きな特徴として、全社目標・組織目標である「Objectives」と、従業員の目標となる「Key Results」をリンクさせる点にあります。組織が掲げる目標に対し、「どのように行動すると近づけるか」「達成度合いをどのように計測するか」を示すのが成果指標と考えるとよいでしょう。

OKRを導入するメリットとして、企業の目標と従業員の個人目標・業務内容との関連性が明確になることが挙げられます。自身の業務の重要性を認識できるため、仕事へのモチベーションアップも期待できるでしょう。

ベーシック法

ベーシック法は、目標設定における最も基礎的なフレームワークであり、下記の4つのステップで構成されています。

◆ベーシック法における4つのステップ
(1)目標項目の設定
(2)達成基準の具体化
(3)期限の具体化
(4)行動計画の具体化

ベーシック法はシンプルで分かりやすいため、目標設定が苦手な方でも取り組みやすいというメリットがあります。定期的に振り返りを行い、進捗状況を確認するようにしましょう。

ベンチマーク法

ベンチマーク法(ベンチマーキング)とは、自身の目標となる他者(ライバル)を設定し、そのライバルを指標(基準)として比較・模倣する手法を指します。ベンチマーク法では、次のようなステップで目標設定を行います。

◆ベンチマーク法における4つのステップ
(1)ライバル(指標となる他者)の選定
(2)ライバルに関する情報収集・自分の現状との比較・分析
(3)目標の設定と達成計画の立案
(4)計画の実施・振り返り

ベンチマーク法には、他者(基準値)と比較することにより、自分の視点のみでは認識できなかった問題点や、他者の優れた点に気付けるというメリットがあります。競合となる他社や製品が多い企業に向いている方法と言えるでしょう。

【部門別】目標設定をするメリットと具体例

メリット

適切な目標設定を行うメリットとして、取り組むべき業務や行動の方向性が定まることにより、従業員が日々の業務に主体的に取り組めるようになる点が挙げられます。業務に必要な知識やスキルを習得できるだけでなく、目標達成に向けた判断力や決断力を磨けるため、従業員のキャリア形成にも役立つでしょう。企業の生産性向上にもつながります。

「主体性とは?社員の主体性を高める方法や自主性との違いを解説」はこちら

目標設定には、従業員や組織全体が成長することのほかにも、進捗状況の把握が容易になるというメリットもあります。達成状況が分かりやすいため、従業員のモチベーションアップや公平な評価方法・評価制度の実現にもつながるでしょう。遅れがあった場合に対応策を考えやすい点も、大きなメリットと言えます。

目標を設定することにはさまざまなメリットがあり、多くの企業で組織の性質に応じた目標設定が行われています。ここでは、企業における目標設定の具体例を部門別に確認しましょう。

営業部門

営業部門には、自社商品の販売数量やサービスのユーザー数、売上金額などの数値を定量目標としやすいという特徴があります。SMARTやベーシック法といったフレームワークを活用しつつ、チームや個人のKPIを営業目標として設定すると、営業活動をより効率化・有効化できるでしょう。

◆営業部門における目標設定の具体例
・SNSでの集客をスタートし、半年後までに新規顧客数を前年度より5%以上増やす
・第三四半期末までに見込み顧客層にアンケート調査を行い、1年後までにユーザー数を5000人以上増やす

マーケティング部門

マーケティング部門も営業部門と同様に、数値目標を立てやすい部門と言えます。SMARTなどのフレームワークを活用して最終目標を数値化し、KPIの設定に落とし込みましょう。施策ごとに中間目標となるKPIを設定すれば、振り返りもこまめに行えるため、マーケティングを行う上での無駄も省けます。

◆マーケティング部門における目標設定の具体例
・第二四半期末までに関連書籍やセミナーで研究を行い、効果的なSEO・MEO対策を行った上で、1か月のセッション数を8000以上にする
・SNS上で自社商品に関するキャンペーンを行い、企業アカウントのフォロワー数を10%以上増やす

事務部門

総務や経理、人事などの事務部門は、日頃の業務の成果が数値化されにくい部門です。明確な目標を立てることにより、モチベーション向上が期待できるでしょう。事務部門の職種で目標設定を行う際には、まず「部門全体の業務を停滞させない」などの定性目標を考えます。具体的な行動や数値、期限などを検討し、明確な目標に落とし込みましょう。

◆事務部門における目標設定の具体例
・今年度末までに購入する備品の見直しを行い、来年度の消耗品費を今年度より3%以上減らす
・担当従業員の不在時も対応できるよう、2年後までに各業務のマニュアルを整備する

間接部門

情報システムや研究開発、カスタマーサポートといった間接部門も、業務の成果が分かりづらい部門と言えます。会社や従業員への貢献度が明確になる目標を設定することで、仕事へのモチベーションだけでなく組織への帰属意識も高まるでしょう。

間接部門では、現状の改善に向けた目標設定を心がけることが大切です。他社(他者)と比較して課題や改善点を洗い出すベンチマーク法を取り入れるのもよいでしょう。

◆間接部門における目標設定の具体例
・今年度までに新規システムの整備を完了し、問い合わせから対応までの時間を現状から10分短縮する
・1年間で5つの展示会に参加して他社の製品を研究し、2年間で5つの新規商品開発を達成する
・来年度末までに月に1回研修を行い、来年度の月間クレーム率を5%削減する

まとめ

目標設定の手法にはSMART・KPI・OKR・ベーシック法・ベンチマーク法などがありますが、いずれも数値的な具体性のある目標設定が望ましいと言えます。また、目標設定をするにあたっては複数の目標を立てるのではなく、重要目標を1つ設定しましょう。「What」「When」「Why」の3つの要素を盛り込み、最初はクリアしやすい小さい目標を設定し、着実にクリアするのも大切です。

適切な目標設定は従業員の目標達成に向けた判断力や決断力を磨き、主体性を生みます。各従業員の経験値に合わせて公平に目標を立て、評価に反映すれば、モチベーションアップにもつながるでしょう。

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