オフィスの整理収納術を執筆頂いた大法さんは企業向けの整理術セミナーも行っており、今回は番外編として企業向けセミナーについてのインタビューさせて頂きました。
整理術セミナーとはどんなものか、その内容や期待できる効果など、魅力的なお話をお届けします。
IEC:はじめの質問ですが、企業向けの整理術セミナー、研修はどんな内容の実践されるのでしょうか?
大法:まず整理には大きな理論があります。職場ではその理論を応用して整理を実践しくので、職場だから、という切り口からではなく、整理そのものについての頭の切り替えからお話を始めます。
多くの人は忙しくて、整理をするとか、片付けをするということは後回しになりがちで、どうやって効率的にするかなんて、考えたこともないんですね。
だからまず、整理をするってどんなことか考えて頂きます。そうすると、「ちゃんとやるとこんないいことがあるじゃないか!」とみなさんすぐに思いつきます。整理について知り、考えることで「じゃあやったほうがいいね」という土台を作っていきます。
IEC:普段は意識していないことを、まずは意識に持ってくるところが第一ステップなんですね。
大法:そうです。普段は仕事のおまけでしかないので、整理についてはまず意識していません。でも実は大事なことなので、そこをちゃんとしたらもっと仕事がしやすくなるということを分かってもらうところが大切です。
職場の整理はここからやりましょう!みたいなことをやっても、それは表面上の問題です。ご自身が必要か必要じゃないかを見極められていないとモノが減らないんです。
ですので、まずは職場だからということではなく、整理についての大きな話をさせて頂いています。
IEC:なるほど。ちなみに整理“術”なので、技術的なお話も当然あると思いますが、どういった技術を紹介していくのかはお客様の要望に応じて変化させているのでしょうか?
大法:はい、内容はご要望に応じて変えていますが、まずは自分の机からです。職場の机をキレイにするにはどうしたらいいか、そのスキルを教えてほしいとどの企業のお客様も仰います。
IEC:企業だと共用エリアまでは簡単には手を出せないですもんね。
大法:共用スペースという話もあるんですけど、本当にやろうと思うと総務部さんなんかを巻き込んで全体でやらないと効果が見えにくいです。そこまで出来るとガラッと変わるのですが。。
IEC:通常は個々人で出来る事から…
大法:そうですね。それからよくあるのが、部署の中の一部、例えば島机を対象に、実際にそこを利用する方たちと島を整理するケースです。
IEC:個人から少し広げたケースですね。
大法:そうです。
IEC;研修やセミナーという形式ですと、そういった部署単位のもの(グループ)と、手上げ式(個人の集まり)だとどちらの方が効果的ですか?
大法:どちらも効果的です。手上げ式のいいところは個々人に問題意識があるので、非常に精力的に取り組んでくださいます。そうすると効果も大きいです。そしてそういった方が各部署に帰ると、何かしら周囲に影響があります。
反対に部署単位で実施すると、最初はあまりやりたくない人もいるんですが、まず部署で一丸になるということ、そして必ずセミナー形式を取り入れるので、整理の効果を知ったり、それが業務にもたらす良い影響を知ったりする学びの時間を作ることの二点で、だんだん前向きになってくれます。その意味では島一つで行うメリットも大きいです。
IEC:やる気のある個人は周囲に良い影響を波及させ、島単位だとやる気のなかった人も一緒に働く仲間の影響もあって前向きになってくれるんですね。
大法:はい。あと、島単位でも周囲への影響はあります。周りの人たちがキレイになった横の島を見て、「キレイでいいなぁ」「仕事がしやすそうだなぁ」といったことを思いますので、そこから全体に広がっていいきます。
IEC:整理術セミナーを受ける事の最大の効果はずばり何でしょう?
大法:個人にとっては、整理によって環境が改善し業務効率があがりますし、全体にとってもその波及効果が期待できます。会社全体で取り組んで頂ければ、残業が減ることも充分に期待できます。
あと、私が担当した案件ではないですが、中規模オフィス全体を収納から何から全部入れ替えて、ガラッと全体をリニューアルしたら離職率が減ったという話もあります。
IEC:確かに見栄えが良くなるだけでもうれしいですが、そこに加えて収納回りの利便性が向上していれば、なおのこと良いですね。
IEC:そういえば整理術の記事の執筆にあたり、弊社にお越し頂き、整理を実践して頂きましたが、その際はお世話になりました。
整理の過程を見せて頂いたので、とても勉強になりました。最後に整理後の机に対して、どこにどんな役割があって、どういった目的で仕切りなどを設置したのか説明頂けたので、初めて机の使い方が分かりました。(笑)
それまでは何も考えずにただものを放り込んでいたので。。
大法:そうなんです。みんなあまり考えないでそうしてしまっていますが、効率も悪いし、もったいないことです。
IEC:私は業務中よくガムを噛むのですが、それまではどこにおいたか分からなくなって、引出しをガチャガチャしていました。でも整理してもらったあとには何も考えずにガムに手を伸ばして口に放り込めています。
大法:何も考えずに、というのはポイントです。スムーズだということはスムーズ過ぎると分からなくなるんです。定位置が決まることで、余計なことに気を取られることがなくなるのは理想的です。
IEC:確かに。仕事への集中度があがったと言えますね。
大法:整理ができるようになると、業務の効率もあがりますが、他の部分についても頭の中で波及していきます。
IEC:物理的な整理だけでなく、頭の中も…
大法:理論がしっかりと分かれば、時間の整理、お金の整理などにも影響していきます。まず無駄なものを買わなくなります。だって何がどこにあるのか把握できているので、余計なものは買わなくて済みますよね。もっと言ってしまえば人間関係にも効果がでてきます。
つまり整理を学ぶことはそれだけでは終わらず、その波及効果で仕事に集中ができたり、効率があげられたりする“体質”になるんです。
IEC:整理術は理論と実践の両輪なので、実際に机を整理してもらった私としてはとても実感があります。
大法:整理を学ぶことは仕事に大きく関わる部分に良い影響をもたらします。だからこそ、はじめに頭のスイッチを切り替えることは重要です。単に整理してキレイしましょうというのとは違うんです。私たちが行う実践を教えれば、出来るようにはなるのですが、定着しにくいですし、それでは応用までいきません。そして整理を学ぶことで得られる波及効果も少なくなってしまいます。
故に整理術セミナーでははじめに理論を扱います。
IEC:確かに理論が分からないと応用できないですね。逆に言えば理論さえ知れば人に広げていくこともできるので、効果が広がりやすいんですね。目に見えることですし。
大法:そうなんです。そこが広がっていくポイントです。
IEC:ここまではセミナーの中味や効果についてお話頂きましたが、どういったタイプの企業さんでセミナーを開催されることが多いのでしょうか?
大法:これまでですと、自分のオフィス環境と業務に役立つということで、住宅関係の企業さんが多かったです。あとは建材系の企業さんも多いです。ご自分たちで収納用の商品を作っていらっしゃることもあるので、整理術についての敷居が低いみたいです。
ただ、最近ではそれ以外のメーカーさんや役所や学校なんかでもお声がけ頂くことがあって、もはや業種・業界には問わず需要があります。
整理収納は職場でもプライベートでも、若くても年を取っていても、男でも女でもだれにでも関係があって、一生ついて回りますので。
IEC:ちなみに先ほど各種業界・業種の事例ですと、セミナー、実践の内容は要望に合わせて変えているのでしょうか?
大法:もちろんご要望に応じてカスタムしています。業種・業界が異なれば細かい部分では違いが出てきますし、お客様が重視される観点も変わりますので。もちろん理論自体は共通するので、100%異なるわけではありませんが、セミオーダーといったところでしょうかね。
IEC:セミナーの時間はどうでしょう?
大法:時間もまちまちです。最短では1時間半で導入部だけというケースもありますし、丸二日間で実践までビッシリということもあります。最近の事例で一番良かったのは時間を空けて行った分割研修です。1週間後や2週間後に同じ人に集まってもらうので、その間に自身で実践してもらえますし、整理収納の目線で周りを見てもらえるので、新しい問題点を見つけてきてもらえます。
IEC:間の時間で実践を試してみて、そのあとでもう一度セミナーを聞けるのは理想的ですね。
大法:はい。より効果的ですので分割はオススメです!
IEC:ちなみにセミナーを受けられたお客様からはどんな感想が多いですか?
大法:セミナー後に自分の周りの環境を見渡して「ここも、あそこも整理したい!」といった声をもらうことが多いです。理論を知って、実践して効果が分かるとだんだん楽しくなってきちゃうんです。
IEC:研修の実践編でどういったことをされるのか、一例を教えてください。
大法:色々な種類はありますが、ミニマムだけど面白い実践はお財布を持ってきてもらいます。お財布は性格がもろにでるので、とても面白いですよ~
各テーブルでお財布を開いて見せ合いながら、意見交換するとすごく盛り上がります。中にはカードが50枚入っているような方もいます。
IEC:確かに面白そうですね。
大法:そうなんです。お財布を例にどれくらい要らないものが入っているのか確認することで、整理の考え方を確認できますし、この実践はセミナーの序盤でやりますので、テーマに沿ったアイスブレイクとしても優秀で、その後の意見交換にも効果的です。
IEC:ほかにも面白い実践はありますか?
大法:ほかには場所の制約があるのですが、自分のデスクの棚机の引き出しを一個丸ごと持ってきてもらうケースもあります。
IEC:本当に使っている机なので実践的ですね。
大法:で、いかに自分の引き出しには使っていないものが入っているのかを見てもらいます。
実践を経て、理論の答え合わせができますし、一つできるようになれば、他の棚机も整理ができるようになります。もっと言えば、1段目だけ整理が済むと、帰ったあとに他の引き出しも整理したくなってしまう点でも効果的な実践です。
IEC:うちの会社でもやってみたいですね。人によっては大変なことになってそうです。(笑)
大法:個人格差の大きさというのも整理収納に関する問題点でもあり、面白さでもあります。セミナーを通じて組織のレベルを合わせることも整理術セミナーのメリットの一つですね。
整理収納と聞いても単なる「お片付け」のイメージがあったかもしれません。
しかし、整理術の世界はなかなかに奥深く、整理を通じて業務効率を上げたり、前向きに仕事に取り組む姿勢を得られたり、はたまた理論をしっかりと学ぶことで頭の中まですっきり整理される波及効果も期待できます。
IECでは大法さんによる企業向けのセミナーも実施しておりますので、興味がある!、もうちょっと詳しく話を聞いてみたい!という方はお気軽にお問合せください。
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