今回と次回は実践編です。いままで見てきたスキルを実際に使ってみましょう。ある会社にお勤めの30代のNさん(男性)に協力を仰ぎ、一緒にデスクを整理することになりました。
Nさんのデスク、机の上だけを見ると一見そう散らかっているように見えません。Nさんは何でもモノをため込むタイプではないため、不必要なモノは随時廃棄できているそうです。
ですが、モノを適切に捨てられるNさんでも、センター引出しを開けるとこんな状態でした。
また、机の下には古い資料の入ったダンボールや靴、仕事で使うカメラ類の入ったバッグが置かれています。これでは足が机の下に入らず、姿勢の悪いままPCに向かうことになります。姿勢が悪いということは、作業に集中しずらいということです。
左側にあるキャビネットの上には、紙や資料が積まれています。レジュメやパンフレットなどの紙類・書籍類は立てて置くことが最大の原則です。「資料が見つからない!!」と探してばかりいる人の机は、たいてい紙類がヨコ積みにされ、ヤマのようになっていることが多いようです。
こんな状態のオフィスデスクをどう片づけたらよいのでしょうか。<整理の王道ルール>を思い出してみましょう(詳細は第6回を参照)。
<整理の王道ルール>
①不必要なモノ(使っていないモノ)を処分してモノの総数を減らす
↓
②残った必要なモノを使用頻度やアイテム別に分類し、片づけやすいシステムを考える
↓
③今ある収納家具や収納用品、箱などを使って収納し、システムを試してみる
引出し一段一段に上記のルールをあてはめて、淡々と作業を行っていけばよいのです。一番手ごわそうなセンター引出しは残しておいて、小引出しの整理収納のプロセスを追って見てみましょう。
BEFORE
モノがぎゅうぎゅうに詰め込まれているわけではありませんが、ただ「投入」してあるだけなので、使い勝手はよくなさそうです。空間が区切られていないので、引出しの開け閉めのたびに中のモノが奥に転がってしまったり、雑然と混ざり合ったりしそうです。
さて、本来この小引出しには何を入れると便利なのでしょうか。第7回に書きましたが、ここは使用頻度の高いモノ、たとえばよく使う文房具などを入れると便利なスペースです。
Nさんにお願いして「1年間使っていないもの」「ここに置く必要のないもの」「破棄してよいモノ」を取り除いてもらうと、全体のモノの量は約7割になりました。「紙類の下にふせんやクリップが隠れてしまい、よく探している」とのことだったので、探さなくても文房具がすぐに取り出せることを念頭に引出しをケースで仕切りました。他の引出しにあった文房具もこの段に集結するようにしました。
AFTER
アクリルケースなどで空間をきっちり区切ることにより、立体的に空間を活用することが可能となりました。手前ほど使用頻度の高いモノを入れるようにするとベターです。奥の方は取り出しづらいスペースなので、ペンの替えインクなどストック類を保管します。空いているスペースがあっても、今後モノが増えたときに活用できるのでそのままでかまいません。
引出し一段のこの作業は20分ほどですべて終わりました。少し時間のあるときに、狭いスペースからトライしてみるとよいでしょう。このような流れで行っていけば、オフィスデスクの整理は難しいものではありません。仕事の効率アップにつながる、使いやすいデスクをぜひ手にいれてください。
次回はセンター引出しとその他の部分のビフォア・アフターをご紹介します。