さて、前回に続きデスク整理の実践編です。
モノの総数を減らす → 使用頻度やアイテム別に分類し、モノが滞らないシステムを考える → 箱などを使って収納、システムを試してみる……という流れはどんな場所にも当てはめることができます。
小さなスペースや比較的モノの少ない場所から始めて、何度かやっていくうちにコツがつかめるはずです。整理収納は手を動かしてみることが大切。実際にやってみると、自身の嗜好やモノの溜め方の傾向など、面白いことも色々わかってきます。
<デスク下>
BEFORE
デスクの下を見ると、古い資料の入ったダンボール、予備の靴、仕事で使うカメラ類の入ったバッグが置かれています。Nさんに「ここに置かなくてはならないモノかどうか」を考えてもらうと、答えはどれも「NO」。ダンボールの資料は古くて役に立たないものだったので廃棄、靴とカメラバッグは個人ロッカー内に収納スペースを確保して移動することにしました。
AFTER
机下のスペースは何もなくなってすっきり広々。脚の置き場に困ってイライラすることもなく、リラックスして仕事に取り組めるようになりました。
<センター引出し>
BEFORE
センター引出しにはなかなか多彩なモノが入っていますね。それらを一度すべて出して、文房具類は小引出し、私物は中引出し、必要な書類は大引出しに移動。その他のモノや資料は選別して破棄しました。Nさんが冷静に判断したところ、この引出しにどうしても置かなくてはならないモノは、実はひとつもありませんでした。
AFTER
第7回で「センター引出し」は“秘密のポケット”だと書きました。そこは緊急の避難スペースであり、書きかけの書類やノートPCを置いて離席・退社する際に、机の上にあるものを丸々入れることが本来の目的なのです。
Nさんはその本来の使い方を試してみることにしました。左の引出しにはプラスチック製のA4ファイルケースを開いたまま入れて書類収納用の仕切りにし、PCやタブレットは右側の引出しを指定席と決めました。
<中引出し>
BEFORE
真ん中の引出しは、小引出しよりも高さがあって便利なのですが、薬やお菓子、歯ブラシなどの私物をついつい何でも放り込んでしまいがちです。仕事で使うモノと私物とを、明確に分けて収納する方向で考えてみましょう。
AFTER
必要な文房具類は上段の小引出しに収まったので、よく使う電卓・PC関連の小物を最も手前に置きました。その後ろを私物スペースと決めてケースを設置、必要な薬や嗜好品などはその中にすべて収めることにしました。センター引出しに入っていた私物もここにまとめます。
整理の過程で“引出しにお菓子”はスマートではないと気づいたNさんからは、「今後はバッグの小ポケットに収まるものだけを買います」との発言がありました。ちょっとしたことですが、ライフスタイルの改善はこんなことから始まります。
<大引出し>
BEFORE
キャビネットの一番下、最も深いのが大引出しです。主に個人で管理すべき資料・書籍の保管に使います。その場しのぎでモノを放り込んだ結果、モチベーションを落とす見た目の乱雑な引出しになってしまいました。
AFTER
今回は揃いのファイルホルダーに書類を分類して入れ、ラベリングを施してから立てて収納しました。資料として必要な書籍も、タイトルが一目でわかるように立てましょう。見やすく取り出しやすいだけでなく、収納量もアップします。
書類の保管方法に関しては、第7回で紹介したバーチカルファイリングを活用するのもよいでしょう。
デスクを整理するという行為も、結局は自分と向き合う作業です。「片づけはつまらない」「時間の無駄」と思って取り組むのはもったいないことです。
モノをどこまで減らせば自分の管理が楽になるか、どこに収納すれば自分が使いやすいかを客観的に考えて整理収納してみましょう。しばらく使ってみて、「少し使いづらいな」と思った箇所はいつでも修正できます。試行錯誤しながらベストな結果にたどり着く過程は、整理も仕事も同じかも知れません。