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従業員を蝕む「FOMO」の正体とは?心理的安全性を高め離職を防ぐ方法

SNSやビジネスチャットが日常に浸透した現代では、常に誰かの動きや最新情報が目に入る環境に置かれています。その中で、「重要な情報を見逃しているのではないか」「自分だけが遅れているのではないか」といった不安を抱く人は少なくありません。
このような心理状態はFOMO(Fear Of Missing Out)と呼ばれ、情報社会特有のストレス要因として注目されています。FOMOは、集中力の低下や判断ミス、慢性的な不安感を引き起こすだけでなく、職場においては生産性や心理的安全性にも影響を及ぼします。
当記事では、FOMOの意味や背景にある心理メカニズムを整理した上で、具体的にどのような行動として表れるのかを解説します。さらに、個人が実践できる現実的な対策や、HR担当者が職場で取り組むべきポイントについても紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
ToggleFOMO(Fear Of Missing Out)とは

FOMO(Fear Of Missing Out)とは、「取り残されることへの恐れ」を意味する心理状態です。周囲の行動や新しい情報を把握していないと、不利益を被るのではないかと強い不安を感じる状態を指します。
特にSNSやビジネスチャットが普及した現代では、情報の流れが速く、常に接続していなければ重要な話題や機会を逃すという感覚を持ちやすくなっています。その結果、集中力の低下や慢性的な不安、判断ミスを招く要因になることがあります。
FOMOは個人の問題にとどまらず、職場の生産性や心理的安全性にも影響を与える点で注意が必要です。
FOMOの反対語「JOMO」とは
JOMO(Joy Of Missing Out)とは、「取り残されることの喜び」を意味する概念です。常に情報を追い続けなければならないという思い込みから距離を置き、あえて情報や誘いを選別することで得られる心の余裕を指します。
SNSやインターネットとの関わり方を見直し、目の前の仕事や私生活に集中する姿勢がJOMOの本質です。過剰な比較や焦燥感から解放されることで、精神的な安定や意思決定の質が高まるとされています。FOMOが不安を増幅させる心理であるのに対し、JOMOは主体的な選択を重視する考え方です。
人間がFOMOを起こす理由

人間がFOMOを起こす背景には、心理的な報酬と損失回避の仕組みがあります。
人は楽しい体験や自分にとって得になる情報、他者とのつながりを得たときに安心感や喜びを感じます。反対に、自分だけが重要な情報や機会を得られていない状況では、不安や焦りが生じやすくなります。特にSNSや社内チャットのように、情報が一部の人に先行して届く環境では、「触れていない間に損をしているのではないか」という感覚が強まります。
このとき働くのが、損失を過大に評価しやすい損失回避の心理です。結果として、冷静な判断よりも不安の解消を優先し、FOMOが引き起こされます。
FOMOによる行動の例

FOMOは不安や焦りといった感情にとどまらず、日常の具体的な行動として表れます。特に情報量が多く、他人の動きが可視化されやすい現代では、無意識のうちにFOMOに基づく選択をしてしまう場面が少なくありません。
ここでは、FOMOが引き起こしやすい代表的な行動例を整理します。
SNSをやめられなくなる
FOMOの代表的な行動例が、SNSを必要以上に確認してしまう状態です。タイムラインを頻繁に更新し、通知が来るたびに反応してしまうのは、「重要な話題や流行を見逃したくない」という不安が背景にあります。
誰かが楽しそうに過ごしている投稿や、仕事で成果を上げた報告を見ることで、「自分だけが遅れているのではないか」と感じやすくなります。その不安を打ち消すため、さらにSNSに触れるという悪循環に陥りがちです。結果として集中力が低下し、仕事や休息の質が下がる原因になります。
流行している商品を精査せずに買う
FOMOは購買行動にも強く影響します。「期間限定」「数量限定」「今だけ」といった言葉に惹かれ、十分に比較や検討をせず商品を購入してしまうケースは典型例です。これは「買わなければ損をする」「後で後悔するかもしれない」という不安が判断を急がせるためです。
この心理はマーケティングにも意図的に活用されており、希少性や緊急性を強調する手法はFOMOマーケティングと呼ばれます。冷静さを欠いた購買は満足度の低下や無駄な出費につながりやすく、心理的な疲労を蓄積させる要因にもなります。
相場に影響されて投資判断を誤る
投資の場面でもFOMOは顕著に表れます。価格が急上昇している銘柄を見ると、「今買わなければ利益を逃すのではないか」と感じ、十分な分析を行わずに飛びついてしまうことがあります。
本来、投資判断にはリスクや根拠の確認が不可欠ですが、FOMOが強まると不安の解消が優先され、合理性が後回しになります。その結果、高値掴みや想定外の損失を招く可能性が高まります。特に短期的な値動きに意識が向きすぎると、長期的な戦略を見失いやすくなります。
燃え尽きるまで無理な働き方をする
FOMOは働き方にも影響を及ぼします。他人の成果や忙しそうな様子を見て、「休んでいる間に差をつけられるのではないか」と感じ、過剰に仕事を詰め込んでしまうケースです。実力や状況を無視した非現実的な働き方を続けることで、心身の回復が追いつかず、最終的に燃え尽き症候群に陥るリスクが高まります。
本来は持続可能なペースで成果を出すことが重要ですが、FOMOが強いと「今頑張らなければ意味がない」という思考に偏りやすくなります。結果として、長期的なキャリアや健康を損なう恐れがあります。
【個人向け】FOMOを起こさないための対策方法

FOMOは意志の弱さではなく、情報過多な環境で誰にでも起こり得る心理反応です。そのため、無理に抑え込もうとするほど、かえって不安が強まることもあります。
大切なのは、情報との距離感や自分の思考パターンを見直し、「自分で選んでいる」という感覚を取り戻すことです。日常の小さな行動を変えるだけでも、FOMOによる心理的負荷は軽減できます。
ここでは、個人が現実的に取り入れやすい対策を段階的に解説します。
自分がFOMOであることを受け入れる
FOMO対策の出発点は、自分がFOMOの影響を受けている可能性を素直に認めることです。他人の活躍や楽しそうな様子を見て不安になるのは、人間として自然な反応であり、否定する必要はありません。
「なぜこんなことで焦っているのか」と自分を責めるほど、感情はこじれやすくなります。まずは「今の不安は取り残される恐れから来ている」と言語化してみましょう。感情を受け入れることで、衝動的な行動を取る前に一呼吸置けるようになり、冷静な判断につながります。
SNSやチャットの使用時間を短くする
FOMOは、情報に触れる頻度が高いほど強まりやすい傾向があります。そのため、SNSやビジネスチャットの使用時間を意識的に減らすことが効果的です。
まずは通知設定を見直し、緊急性の低いものはオフにします。次に、閲覧する時間帯や回数を決め、無意識にアプリを開かない仕組みを作ります。特に、比較や焦りを感じやすい投稿はFOMOを刺激しやすいため、フォローの整理も有効です。
情報量を減らすことで、不安を生むきっかけそのものを減らせます。
ジャーナリングを行う
ジャーナリングは、頭の中に浮かぶ考えや感情を制限なく書き出す習慣です。文章のうまさや論理性を気にする必要はなく、思考を可視化することが目的です。不安や焦りを書き出すことで、「何が引き金になってFOMOを感じているのか」が明確になります。
感情を外に出すことで、心の中で膨らみ続ける不安を落ち着かせる効果も期待できます。SNSに感情を吐き出す代わりに、誰にも見せないノートに書くことで、他人の反応に左右されない自己理解が深まります。
自分の時間を意識的に使う
FOMOに影響されていると、時間の使い方が他人基準になりがちです。そこで重要なのが、「自分は何に時間を使いたいのか」を明確にすることです。仕事、休息、学習、趣味などを整理し、優先順位をつけてみましょう。
その上で、SNSを見ている時間が本当にその目的に合っているかを問い直します。時間を自分で選択して使えている感覚が高まるほど、不安は軽減されます。時間を守ることは、自分自身を大切にする行為でもあります。
あえて誘いを断る習慣をつける
FOMOに陥ると、「断ることでチャンスを失うのではないか」と感じやすくなります。しかし、すべての誘いや機会に応じることは現実的ではありません。自分の体力や目的に合わない誘いは、意識的に断る練習をすることが大切です。
断ることは消極的な選択ではなく、限られた時間とエネルギーを守るための判断です。余白を確保することで、結果的に本当に大切なことへ集中しやすくなります。断る経験を重ねるほど、不安は徐々に弱まります。
他人の成功体験に過度に依存しない
他人の成功体験は参考になりますが、そのまま自分に当てはめるとFOMOを助長しやすくなります。成功の背景には、環境やタイミング、役割の違いがあります。表面的な結果だけを見て比較すると、「自分は遅れている」という誤った認識につながります。
大切なのは、成功の要因や考え方を抽象化し、自分の状況に合う部分だけを取り入れる姿勢です。他人の基準ではなく、自分の価値観を判断軸にすることで、FOMOに振り回されにくくなります。
職場でFOMOを防ぐためにHR担当者ができること

職場でのFOMOは、個人の性格や意識の問題だけでなく、組織の制度やコミュニケーションの在り方によって強められることがあります。特に情報共有の偏りや評価基準の不透明さは、「自分だけが置いていかれるのではないか」という不安を生みやすくなります。
HR担当者には、従業員が安心して働ける環境を整え、FOMOを感じにくい組織構造をつくる役割があります。ここでは、職場全体でFOMOを防ぐために実践できる具体策を解説します。
傾聴の場を設ける
職場でFOMOを防ぐ上で、従業員の気持ちを丁寧に聴く場を設けることは非常に大切です。1on1ミーティングなどを定期的に実施し、業務の進捗だけでなく、不安や負荷についても話せる時間を確保しましょう。
大切なのは、すぐに解決策を提示しようとせず、まずは気持ちを受け止める姿勢です。「聴いてもらえている」と感じること自体が、安心感や帰属意識につながります。表面上は問題なく見える従業員でも、内心では強いFOMOを抱えているケースがあるため、継続的な対話の場を作ることが不可欠です。
正直にコミュニケーションを取れる空気を作る
FOMOを感じやすい職場では、「不安を口にしてはいけない」「弱音を吐くと評価が下がる」といった空気が存在しがちです。HR担当者は、心理的安全性のある職場づくりを意識する必要があります。リーダー自身が感情や迷いを適切に共有することで、従業員も本音を話しやすくなります。
知らないことや不安を表明しても否定されない文化が根付けば、「情報を逃してはいけない」という過剰な緊張感は和らぎます。正直なコミュニケーションが、FOMOの連鎖を断ち切ります。
透明性と公平性のある人事評価制度を作る
人事評価の不透明さは、職場FOMOの大きな原因になります。評価基準や昇進の仕組みが曖昧だと、従業員は他人の動向に過度に敏感になり、「自分だけが不利なのではないか」と不安を感じやすくなります。
HR担当者は、「どの行動や成果が評価されているのか」を明確に示す制度設計を行うことが大切です。評価の軸が共有されることで、他人と比較する必要が減り、自分の役割に集中しやすくなります。透明性は、安心感と納得感の土台でもあります。
従業員の自律性を尊重する
過度な管理や細かい指示は、従業員の「自分でコントロールできていない」という感覚を強め、FOMOを助長します。HR担当者は、従業員が自律的に判断し行動できる環境づくりを支援することが求められます。目標や役割を明確にした上で、進め方は本人に委ねることで、周囲の動きを過剰に気にせず仕事に集中しやすくなります。
自律性が高まるほど、「他人と同じことをしなければならない」という不安は小さくなるでしょう。
休日中の連絡を禁止する
休日にも社内チャットやメールが飛び交う環境では、従業員は常に仕事から切り離されず、FOMOを感じ続けることになります。HR担当者は、休日中は原則として業務連絡を行わないなど、明確なルールを設けることが大切です。
オンとオフの切り替えが制度として保障されることで、「見逃すと困る」という心理的圧迫が軽減されます。十分な休息は、バーンアウト防止だけでなく、平日の集中力や生産性の向上にもつながるので、組織として休むことを肯定する姿勢が不可欠です。
職場のFOMOを防ぐためにも通信講座や研修を受講しよう
FOMOを根本的に防ぐためには、情報量を減らす工夫だけでなく、「自分はこのままで大丈夫だ」と感じられる自己肯定感を高めることが欠かせません。自己肯定感が安定すると、他人の評価や動向に過度に左右されにくくなり、職場でも落ち着いて判断・行動できるようになります。そのため、個人と組織の両面から学習機会を設けることが有効です。
個人向けの講座として、自分を責めがちな思考の癖を見直し、自己肯定感を段階的に育てる通信講座があります。受講期間は3か月で、日々の記録やワークを通じて「自分を大切にする考え方」を習慣化します。SNSや職場での比較に疲れやすい人でも、理論と実践を組み合わせて学べるため、無理なく心の安定を取り戻しやすい点が特徴です。
「Self-Esteem 自己肯定感の育て方【通常版】」について詳しくはこちら
一方、職場全体でFOMOを抑えるには、共通言語として自己肯定感の概念を理解することが大切です。職場向けの研修では、内定者から管理職まで幅広く対応し、自己評価の仕組みや歪みを臨床心理学の事例を交えて学びます。ロールプレイングやワークが多く、単なる知識習得にとどまらず、日常の指導やコミュニケーションに落とし込める点が特長です。
「自己肯定感を高める セルフエスティーム研修」について詳しくはこちら
個人の安心感と組織の健全性を同時に高めることで、FOMOの起こりにくい職場づくりにつながります。
まとめ
FOMOは、情報量が増え、他人の行動が可視化されやすい現代において、誰にでも生じ得る自然な心理反応です。SNSの過剰な閲覧や衝動的な購買、無理な働き方など、FOMOは日常のさまざまな場面で行動に影響を与えますが、その背景には損失回避や比較による不安があります。
個人レベルでは、情報との距離を調整し、自分の価値観や時間の使い方を意識することで、FOMOによる心理的負担を軽減できます。一方、職場では、透明性のある評価制度や正直なコミュニケーション、自律性を尊重する環境づくりが大切です。
個人の安心感と組織の健全性が両立することで、他人の動向に過度に左右されず、落ち着いて判断・行動できる状態が生まれます。FOMOを正しく理解し対処することは、持続的に働き続けるための基盤となるでしょう。
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