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社会人は何を勉強すべきか?おすすめのジャンルや効率的な勉強法を解説

社会人になってからも勉強を続けることは、キャリアの選択肢を広げるだけでなく、人生を豊かにする重要な要素です。仕事や日常生活に追われる中で勉強時間を確保するのは簡単ではありませんが、AIやテクノロジーの進化によって業務の自動化が進み、人間に求められるスキルも変化しています。学び、スキルを磨き続けることが、今後のキャリアを切り開く鍵になるでしょう。
当記事では、社会人が勉強を続ける理由や、効率的に学ぶ方法について詳しく解説します。
社会人に勉強は必要?

社会人になってから勉強する時間を確保できている人は、実はそれほど多くありません。総務省の「社会生活基本調査」によると、2021年時点で日本の社会人の平均勉強時間は1週間でわずか38分、1日5分強とされています。
※出典:e-Stat 政府統計の総合窓口「令和3年社会生活基本調査」
しかし、近年のAIやテクノロジーの発達により、従来の仕事が自動化され、人間の役割が変化しつつあるのも事実です。こうした時代の流れの中で、「今のスキルだけでは将来に不安を感じる」という方もいるでしょう。
また、転職市場でもスキルを重視する傾向が強まっているため、キャリアアップを目指す社会人にとって勉強はもはや必須の要素となっています。現状に満足せず、変化に対応する力を養うためにも、日々学び続ける姿勢が求められています。
社会人はなぜ勉強するのか

社会人になってからも勉強を続ける理由は人それぞれです。
スキルを磨いてキャリアの選択肢を増やしたい人もいれば、自分の興味や得意なことを見つけるために学ぶ人もいます。さらに、資格取得や専門知識の習得によって収入アップを目指す人も多いでしょう。ここからは、社会人が勉強を続ける理由について、具体的に解説します。
キャリアの選択肢が広がるから
かつては、1つの会社に長く勤めてキャリアを築くのが一般的でした。しかし、現代ではキャリア形成を企業任せにするのではなく、自らがキャリアを切り開く時代になっています。
キャリアの選択肢を広げるためには新しいスキルを身につけることが不可欠です。たとえば、ITスキルやマーケティング知識を学べば、異業種への転職やフリーランスとしての独立が視野に入ります。また、語学を学ぶことで海外勤務のチャンスが広がるかもしれません。
また、勉強で得られるのは知識だけではありません。学ぶ過程で出会う人々とのつながりも、キャリアの選択肢を広げる要素となります。勉強会やセミナーを通じて得た人脈が、転職や起業のきっかけになる場合もあるでしょう。
勉強は「将来の可能性を広げる投資」とも言えます。学び続ければ、社内のキャリアアップだけでなく、転職・独立・起業といった多様な選択肢を手に入れられます。
自分の軸が見つかる
社会人になると、仕事や生活に追われ、「自分は何が好きなのか」「どんな分野に興味があるのか」を深く考える時間が減ってしまいます。しかし、勉強を続けていると、自分の得意なことや本当に興味がある分野に気づくきっかけになるでしょう。
「プログラミングを学んでみたら、意外と楽しかった」「経済学の勉強をしていたら、資産運用に興味が出てきた」など、学ぶ過程で新たな興味や発見が生まれるケースは少なくありません。こうした経験を積み重ねることで、将来的に「自分が何を大切にして生きていきたいのか」という軸が見えてきます。
自分の軸を持つことは、キャリアだけでなく人生全般においても大きなメリットになります。「自分はこういうことに価値を感じる」「この分野で生きていきたい」という明確な指針があると、日々の選択への迷いが減り、充実した人生を送れるでしょう。
収入アップを目指せる
「収入を増やしたい」というのは、勉強をする動機の1つです。実際、スキルを身につけたり資格を取得したりすることで、収入が上がるケースも多くあります。
プログラミングやデータ分析のスキルを身につけると、エンジニアやデータサイエンティストとして高収入の職種に転職する道が開けます。TOEICや英検などの語学資格を取得すると、外資系企業や海外関連の仕事が可能になり、給与水準が上がるかもしれません。
また、職種によっては資格を取得することで手当が支給されるケースもあります。たとえば、宅地建物取引士(宅建)やファイナンシャルプランナー(FP)の資格は、不動産業界や金融業界での昇給につながります。
直接仕事には関わらないスキルを学んだ場合は、その知識を生かして副業を始めるという選択肢もあります。会社に依存しない収入源を持つことで、経済的な安定が手に入るでしょう。
社会人におすすめの勉強内容8ジャンル

社会人として成長し、キャリアアップを目指すなら、勉強すべき分野を見極めることが重要です。時代の変化に対応し、より市場価値の高いスキルを身につけることが、仕事の選択肢を広げる鍵となります。また、AIやテクノロジーの発展により、仕事のあり方も変わりつつある中で「人間ならではの強み」を伸ばす学びが求められています。
ここでは、社会人に特におすすめの勉強ジャンルを8つ紹介します。
語学
語学スキルは、グローバル化が進む現代において非常に大きな武器となります。話者の多い英語や中国語を習得すると、海外取引のある企業や外資系企業への転職、さらには海外勤務のチャンスが広がります。また、英語を学ぶと情報収集の幅が広がり、英語のニュースや論文、海外のビジネス書籍などから最新の知識を得られます。
近年ではAI翻訳ツールが発展しているため、語学学習の必要性に疑問を感じる方もいるかもしれません。しかし、ビジネスの場では機械翻訳では補えない、細かなニュアンスや文化的背景を理解しながらコミュニケーションを取る必要があります。また、海外の取引先やクライアントと直接やりとりする場合は、リアルタイムでの会話能力が必要不可欠です。他国の方とスムーズにコミュニケーションを取るためには、AIに頼らず自身で語学力を鍛えていく必要があります。
語学力を証明するには、TOEIC、英検、中国語検定、DELF(フランス語)など各言語の資格を取得するのがおすすめです。履歴書に記載することで、転職市場でのアピールポイントにもなります。
マーケティング
マーケティングの知識は、どの業界でも役立つ普遍的なスキルです。特に、商品やサービスを効率よく売るための戦略を理解し、実践できる人材は企業にとって貴重な存在です。営業職や企画職だけでなく、エンジニアやデザイナー、経営者にとっても有益な知識なので、学んでおいて損はないでしょう。
近年では、デジタルマーケティングの重要性が高まり、SNSやWeb広告、SEO(検索エンジン最適化)などの知識が特に求められます。資格としては、マーケティング検定、Google広告認定資格、ウェブ解析士などがあり、基礎から応用まで体系的に学ぶのに役立ちます。
会計知識
会計の知識を持っていると、会社の財務状況を理解できるようになります。決算書や損益計算書を読めれば、自社の経営状況を客観的に分析でき、経営層や管理職としての視点を養えます。また、起業や副業を考えている人にとっても、会計の基礎知識は欠かせません。会計知識は経理や財務の仕事に直接関わる人だけでなく、すべてのビジネスパーソンにとって役立つスキルです。
資格としては、日商簿記(3級~1級)、公認会計士、税理士などがあり、特に簿記は会計の基本知識として多くの企業で重視されています。
金融知識
金融知識を身につけ、お金の流れを理解することで、投資や貯蓄を効果的に行い、長期的な資産形成が可能になります。同時に、経済の理解にもつながるので、市場の動向を読んだり、企業の財務状況を分析したりする力が身につき、経営戦略や企業の成長性を判断する能力が高まります。
金融知識を学ぶには、経済ニュースをチェックしたり、書籍やオンライン講座で基礎を固めたりするのが効果的です。金融に関する資格としては、ファイナンシャルプランナー(FP)、証券外務員、銀行業務検定、CFA(チャータード・ファイナンシャル・アナリスト)などがあります。特にファイナンシャルプランナーは日常生活やビジネスに幅広く生かせる知識が得られるため、おすすめの資格です。
プログラミング
AIや自動化技術が進化する現代において、プログラミングスキルはますます重要になっています。たとえエンジニアの仕事をしていなくても、業務の効率化やデータ処理を行うスキルを持っているだけで、他のビジネスパーソンと差をつけられます。
一部では「ノーコードツールの発展により、プログラミングの知識は不要になる」との意見もあります。しかし、ノーコードツールだけでは複雑なシステムの構築や独自のカスタマイズは難しく、ノーコードツールを正しく使いこなすためにも、ある程度コードに関する知識は必要です。また、プログラミングを学ぶことで論理的思考力が鍛えられ、他の業務にも応用できます。
プログラミングで学ぶ言語としては、Python(データ分析やAI開発)、JavaScript(Web開発)、SQL(データベース操作)などがあります。
動画編集
近年では、YouTubeやTikTok、Instagramのリールなど、企業のプロモーションや個人のブランディングにおいて動画を活用する機会が増えています。特に、企業のマーケティング戦略では、視覚的に訴求できる動画が消費者の関心を引きやすく、売上向上にもつながることから、多くの企業が動画制作に力を入れています。
動画編集は副業としても人気の高いスキルです。フリーランスとして企業のPR動画やYouTubeの編集を請け負い、安定した収入を得ることも可能です。
動画編集を学ぶ場合は、Adobe Premiere ProやFinal Cut Pro、DaVinci Resolveなどの編集ソフトの操作方法を身に着けるところからスタートしましょう。最近では、スマートフォンアプリでも手軽に編集できるツールが増えており、初心者でも始めやすい環境が整っています。スキルを証明する資格としては、「動画編集検定」や「映像音響処理技術者資格認定試験」などがあります。
マナー
ビジネスマナーは、社会人としての基本であり、円滑な人間関係を築くために欠かせないスキルです。適切な言葉遣いや立ち振る舞い、メールの書き方、電話対応の仕方など、正しいマナーを身につけることで、社内外から信頼され、キャリアアップにもつながります。
グローバル化が進む現代では、国際的なビジネスマナーも重要視されます。外資系企業や海外のクライアントと仕事をする機会が増えたため、各国の文化の違いを理解し、適切な対応をしなければなりません。
ビジネスマナーを学ぶには、書籍やオンライン講座、セミナーを活用するのが効果的です。資格としては「ビジネスマナー検定」「秘書技能検定」などがあり、取得すると実務でも役立ちます。
教養
教養は、仕事のスキルとは異なり、幅広い知識や思考力を養うために役立ちます。特に、歴史や哲学、心理学、経済学などの知識は、ビジネスにおいても活用できる場面が多く、物事を多角的に捉え、論理的に考える力を養えます。
たとえば、哲学を学べば、自分の価値観や考え方を深め、リーダーシップや意思決定の際に役立つ視点を得られます。心理学は、顧客の購買行動やチームマネジメントに応用することが可能です。
また、教養があると会話の引き出しが増え、社内外のコミュニケーションが円滑になります。取引先との商談や、上司・部下との会話において、興味深い話題を提供できる人は、人間関係を築きやすく、ビジネスの成功につながることもあります。
教養を高めるためには、読書が最も手軽な方法です。ビジネス書だけでなく、古典文学や歴史書、科学書など幅広いジャンルに触れることで、知識の幅を広げられます。知識を増やして社会人としての総合力を高め、長期的なキャリアにつなげましょう。
忙しい社会人が勉強を続けるためには?

社会人は仕事やプライベートで忙しく、まとまった勉強時間を確保するのが難しいという方もいるでしょう。しかし、限られた時間の中でも効率よく学ぶ方法を工夫すれば、忙しい社会人でも継続的に勉強することは可能です。
ここでは、忙しい社会人が無理なく勉強を継続するための具体的な方法を紹介します。
明確な目標・期限を作る
勉強を継続するには、具体的な目標と期限を設定することが不可欠です。目標が曖昧だと、途中でモチベーションが下がり、学習を続けるのが難しくなってしまいます。「半年後にTOEIC800点を取得する」「3か月で簿記3級に合格する」など、数値を入れた具体的な目標を立てるとよいでしょう。
また、短期目標と長期目標を組み合わせるのも効果的です。例えば、「1週間で単語100個を覚える」など、大きな目標とは別に小さな目標を積み重ねることで、達成感を得ながら継続できます。スケジュール管理には、カレンダーアプリや学習管理アプリを活用し、進捗を可視化するとより実行しやすくなります。
アウトプットを意識する
勉強の効果を最大化するには、アウトプットを積極的に行うことが重要です。学んだことを他人に説明する、ブログやSNSで発信する、問題集を解くなど、アウトプットの機会を増やすなどの工夫で、理解がより深まります。
また、実践的な環境で知識を生かすこともおすすめです。語学ならオンライン英会話をしてみる、プログラミングなら小さなアプリを作る、マーケティングならSNS広告を運用してみるなど、実際の行動に移すと学びが身につきやすくなります。
アプリやツールを活用する
効率よく勉強を続けるには、スマホアプリやオンラインツールを活用するのが効果的です。勉強用のアプリは複数リリースされているため、目的や学習の進め方に合ったアプリを選び活用しましょう。
また、ノートアプリを使って学習内容を整理したり、タスク管理ツールでスケジュールを管理したりすることで、計画的に勉強を進められます。
隙間時間を活用する
忙しくてまとまった時間を確保するのが難しい場合でも、隙間時間を活用すれば効率的に学習できます。通勤時間や昼休み、ちょっとした待ち時間などでも、オーディオブックやポッドキャストで学ぶ、アプリを使って問題集を解くなどの勉強は可能です。
隙間時間での学習では、通信教育やEラーニングを活用しましょう。教材にインターネットでいつでもアクセスできるようにしておけば、好きな時間にスマホやPCで学習でき、通学の必要もありません。特に動画講座を使えば移動中も学習できるため、時間を有効活用しやすくなります。
集中できる環境を作る
自宅で勉強しようと思っても、つい休憩が多くなってしまったり、誘惑が多く集中できなかったりする方も多いでしょう。勉強するときは、コワーキングスペースやカフェ、スクールの自習室を活用するのがおすすめです。勉強をするための空間を確保することで、「ここでは勉強する」という習慣がつき、集中しやすくなります。
また、学習の際にはスマホの通知をオフにする、ノイズキャンセリングイヤホンを使う、決まった時間に勉強を始めるなど、集中力を高める工夫をすると、より効率的に学習を進められます。
適度に休息を入れる
効率的に勉強を続けるためには、適度な休息を取ることも重要です。長時間集中しすぎると、脳が疲れてしまい、学習効率が低下してしまいます。特に、睡眠不足の状態では記憶力や判断力が落ちるので、十分な休息を確保することが大切です。
おすすめの休憩方法として、「ポモドーロ・テクニック」があります。これは、25分間集中した後に5分間休憩するという方法で、短時間の集中と休憩を繰り返すことで、効率よく学習を継続できます。また、合間に軽い運動やストレッチを取り入れることでリフレッシュでき、集中力を維持しやすくなります。
勉強仲間を見つける
1人で勉強を続けるのが難しい場合、勉強仲間を見つけるとモチベーションを維持しやすくなります。オンラインの勉強コミュニティや勉強会に参加することで、同じ目標を持つ仲間と切磋琢磨しながら学べます。
また、学習アプリやSNSを活用して勉強記録を投稿し、仲間と進捗を共有するのも効果的です。仲間と切磋琢磨しあえる環境であれば、勉強が楽しくなり、継続もしやすくなるでしょう。
まとめ
近年では、ビジネスの環境が急速に変化し、社会人が成長しキャリアを広げるには継続的な学習が不可欠になっています。
忙しい日常の中で勉強を続ける際は、具体的な目標を設定し、効率的な学習方法を取り入れることが大切です。隙間時間を活用し、さまざまなアプリやツールを活用すると、効率的に勉強を進められます。変化の激しい時代に適応し、自身の市場価値を高めるためにも、学び続ける姿勢を大切にしましょう。
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