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【速報】2026年「人事・労務」の法改正一覧と企業がすべき対応

2026年に向けて、人事・労務分野では次々と法改正が予定されています。「どこから対応すべきか分からない」「自社への影響が整理できていない」と感じている人事労務担当者の方も多いのではないでしょうか。今後の法改正情報は現場運用に直結するテーマであり、対応を誤れば法令違反や労務トラブルにつながりかねません。
当記事では、2026年に施行が確定している人事・労務の法改正と、労働基準法を中心とした今後の改正議論の方向性を分かりやすく解説します。企業が今から備えるべき法改正対応のポイントも併せて紹介しますので、全体像を把握した上で、安定した労務管理体制の構築を目指しましょう。
目次
Toggle【2026年スケジュール】施行確定の法改正カレンダー

2026年は、人事・労務分野において企業実務へ直接影響する法改正が複数施行される重要な年です。ここでは、施行時期がすでに確定している法改正を中心に、企業が把握しておきたい制度変更を説明します。
【2026年4月施行】労働安全衛生法の改正:個人事業者等の安全対策義務化と50人未満へのストレスチェック拡大
2026年4月施行の改正労働安全衛生法では、個人事業者等を含めた安全衛生対策の義務化と、ストレスチェック制度の対象拡大が行われます。これにより、従来は労働者のみを想定していた労働災害防止対策が見直され、同じ作業場所で働く個人事業主や中小事業者の代表者・役員も法の保護対象かつ義務主体として位置付けられます。注文者には混在作業による労働災害防止のための連絡調整などの措置が求められ、個人事業者等自身にも安全衛生教育の受講や機械使用時の安全確保、業務上災害の報告義務が課されます。
併せて、これまで努力義務にとどまっていた労働者数50人未満の事業場におけるストレスチェックも義務化されます。施行日は公布後3年以内の政令で定める日です。中小企業や小規模事業場の負担に配慮し、ストレスチェック義務化まで十分な準備期間が設けられるほか、実施方法に関するマニュアル整備や、医師による面接指導の受け皿となる地域産業保健センターの体制拡充などの支援策が講じられる予定です。
【2026年4月施行】女性活躍推進法の改正:101人以上企業への「男女間賃金差異」公表義務の拡大
2026年4月施行の女性活躍推進法改正では、常時雇用する労働者数が101人以上の企業に対し、「男女間賃金差異」の公表が義務化され、人事・労務管理における情報開示の重要性が一段と高まります。これまで対象外であった企業も新たに義務の対象となるため、早期の対応準備が不可欠です。
改正により、男女間賃金差異に加えて女性管理職比率の公表も求められ、賃金制度や人材登用の実態がより明確に可視化されます。併せて、女性活躍推進法の有効期限は2036年3月31日まで10年間延長され、女性の健康上の特性への配慮や、政府の基本方針におけるハラスメント対策の明確化など、制度全体の枠組みも強化されます。
※出典:厚生労働省「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律等の一部を改正する法律の概要(令和7年法律第63号、令和7年6月11日公布)」
【2026年4月施行】年金制度の改正:在職老齢年金の「支給停止調整額」の引き上げ(緩和)
2026年4月施行の年金制度改正法では、在職老齢年金制度における「支給停止調整額」が引き上げられ、高齢者が年金を減額されにくくなります。これにより、年金を受給しながら働く場合でも、より多くの賃金を得やすい仕組みへと見直されます。
現行制度では、賃金と老齢厚生年金の合計が月50万円を超えると年金が減額されていましたが、この基準額が月62万円へ引き上げられることになりました(2024年度価格)。見直しの結果、約20万人が新たに老齢厚生年金を全額受給できるようになり、年金の減額を意識した「働き控え」の緩和が期待されます。企業にとっても、高齢人材の就労継続を後押しし、人手不足対策につながる制度改正と言えるでしょう。
【2026年7月施行】障害者雇用促進法の改正:法定雇用率の2.7%への引き上げ
2026年7月施行の障害者雇用促進法改正により、民間企業における障害者の法定雇用率は2.7%へ引き上げられます。これは、障害の有無にかかわらず、希望や能力に応じて誰もが職業を通じた社会参加ができる「共生社会」の実現を目的とした制度改正です。法定障害者雇用率は段階的に見直されており、2024年4月の2.5%への引き上げに続き、2026年7月からは2.7%が適用されます。
併せて、雇用義務の対象となる事業主の範囲も拡大し、常時雇用する労働者数が37.5人以上の企業が対象となります。対象事業主には、毎年6月1日時点の障害者雇用状況をハローワークへ報告する義務があり、障害者雇用推進者の選任も努力義務として求められます。
【2026年内施行見込み】労働施策総合推進法の改正:カスタマーハラスメント防止措置の義務化
2026年内の施行が見込まれる改正労働施策総合推進法では、カスタマーハラスメント防止に向けた事業主の措置義務が新たに明確化されます。これにより、顧客や取引先など第三者による不当な言動から、労働者の就業環境を守る対応が企業に求められます。カスタマーハラスメントとは、業務の性質や状況に照らして社会通念上許容される範囲を超える言動により、労働者の就業環境を害する行為のことです。
改正法では、事業主に対して雇用管理上必要な防止措置を義務付けるとともに、国が具体的な指針を示し、国・事業主・労働者・顧客等それぞれの責務を明確化します。併せて、求職者などに対するセクシュアルハラスメント防止措置の義務化や、職場におけるハラスメントを許容しない社会的規範意識の醸成も進められます。
※出典:厚生労働省「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律等の一部を改正する法律の概要(令和7年法律第63号、令和7年6月11日公布)」
2026年に動きがある「労働基準法改正」の方向性

2026年に向けて、労働基準法の改正に関する議論が本格化しています。2025年12月時点では施行時期や内容が確定していない項目も多いものの、実現すれば企業の労務管理や働き方に大きな影響を及ぼす可能性があります。ここでは、現在検討が進められている主な改正の方向性を紹介します。
「14日以上の連続勤務」の禁止
従業員の健康確保をより重視する観点から、長期間にわたる出勤状態そのものを制限する仕組みが検討されています。現行の労働基準法では、法定休日として週1日の休日付与が原則とされる一方、「4週間で4日の休日」を与えれば足りる特例が認められています。この特例は、どの4週間に休日を配置するかを限定しないため、理論上は24日、さらには48日間の連続勤務も可能です。
しかし、精神障害の労災認定では「14日以上の連続勤務」が心理的負荷の判断基準とされており、健康面でのリスクが問題視されています。こうした背景から、特例を「2週2日」に見直し、連続勤務の上限を13日までとする方向性が示されています。連続勤務日数の上限を明確化することは、過労死・過労自死リスクの予防を制度面から強化する狙いがあると考えられるでしょう。
勤務間インターバル制度の導入義務化
働く時間だけでなく、次の勤務までに十分な休息を確保する仕組みの実効性を高めることが検討されています。勤務間インターバル制度とは、終業時刻から翌日の始業時刻までに一定の休息時間を設ける制度です。労働時間等の設定の改善に関する特別措置法の改正により2019年4月に導入されました。しかし、努力義務にとどまっていたことから、2024年の調査では導入率は5.7%と低水準にとどまっています。
こうした状況を踏まえ、制度の定着を図るため、勤務間インターバル制度の義務化が提言されています。具体的には、インターバル時間を原則11時間とする方針が示されており、残業などで確保が難しい場合には始業時刻を繰り下げる対応が想定されています。これは、労働者の健康確保と生活時間の確保を目的とした見直しです。義務化されれば、労働時間管理や勤怠管理だけでなく、シフト設計や業務量配分の見直しが企業側に強く求められることになります。
副業・兼業における労働時間通算ルールの見直し
副業や兼業を前提とした働き方が広がる中で、企業側の実務負担を軽減しつつ制度の実態に合わせる見直しが検討されています。現行の労働基準法第38条では、事業場が異なる場合であっても労働時間は通算され、本業先と副業・兼業先の労働時間を合算して割増賃金を算定する仕組みとなっています。しかし、このルールは労働時間管理や賃金計算が複雑になりやすく、副業・兼業を認める際の大きな障壁となってきました。
こうした課題を踏まえ、割増賃金の算定に限り、労働時間の通算管理を適用しない方向で議論が進められています。一方で、労働者の健康確保を目的とした労働時間の通算管理は引き続き必要とされ、同一使用者の命令に基づく複数事業場での労働については、従来どおり通算管理が妥当とされています。労働時間通算ルールが見直されることで、労働時間管理や賃金計算の煩雑さを理由に副業・兼業制度の導入を見送ってきた企業も、制度を導入しやすくなると期待されるでしょう。
「法定休日」の特定(曜日指定等)の義務化
労働者の休息確保と権利関係の明確化を目的として、法定休日を事前に明示することを求める方向性が検討されています。現行の労働基準法では、週1日以上の休日付与が義務付けられているものの、どの曜日を法定休日とするかまでは定められていません。その結果、多くの企業で法定休日と法定外休日の区別が曖昧となり、休日労働時の割増賃金算定を巡るトラブルが生じやすい状況が指摘されています。
こうした課題を踏まえ、法定休日をあらかじめ特定することで、労働者の生活リズムを守りつつ、企業の法的リスクを低減する狙いがあります。休日労働に該当するか否かの判断が明確になれば、割増賃金を巡る紛争の予防を図ることが可能です。一方、シフト勤務や変形労働時間制を採用する事業所では、曜日固定が難しい場合もあるため、勤務表や就業規則で基本パターンを示すなど、柔軟性を確保した特定方法を認める制度設計が求められています。
「つながらない権利」に関するガイドライン策定
テレワークの普及などにより、勤務時間外の業務連絡が常態化しやすい環境への対応が課題となっています。そこで議論されているのが、労働時間外に業務上のメールや電話への対応を拒否できる「つながらない権利」に関するガイドラインの策定です。「つながらない権利」は、労働者の心身の健康を守り、ワークライフバランスを確保する観点から重要とされていますが、日本では現時点で法的なルールは整備されていません。
罰則による規制ではなく、勤務時間外に許容される連絡内容や対応範囲について、労使で合意形成を図るための指針を国が示す方向性が検討されています。ガイドラインの策定により、業務指示と私的時間の境界を組織として明確にすることが期待されています。企業には、チャットツールやメールの運用ルールを含め、自社の働き方に即した社内ルールを整理し、従業員の休息確保をつなげる対応が求められるでしょう。
年次有給休暇の賃金算定における「通常賃金方式」への統一
年次有給休暇を取得した際の賃金計算を、より公平で分かりやすい仕組みに整理する見直しが検討されています。現在、年次有給休暇取得時の賃金算定方法は、労働基準法第12条に基づく平均賃金方式、所定労働時間に支払われる通常賃金方式、健康保険法上の標準報酬日額方式の3種類から選択できます。しかし、平均賃金方式や標準報酬日額方式では、月給制の労働者と比べて、日給制や時給制の労働者が不利になるケースがある点が課題とされてきました。
こうした不均衡を是正するため、通常賃金方式を原則とする方向性が検討されています。なお、年5日の年次有給休暇取得義務自体に変更はありません。企業には就業規則や給与計算ルールの見直しなど、実務面での整理が求められます。通常賃金方式への統一は、雇用形態による不利益を抑えるだけでなく、年次有給休暇の取得促進にもつながると考えられています。
特定業種における「週44時間特例」の廃止
法定労働時間の考え方を整理し、全業種で週40時間制へ統一する流れの一環として、特定業種に認められてきた「週44時間特例」の廃止が検討されています。現行の労働基準法では、原則として法定労働時間は週40時間とされていますが、特定業種かつ常時使用する労働者が10人未満の事業場に限り、週44時間まで労働させることができる特例措置が設けられています。ただし、この特例は事業場単位で適用されるため、支店や営業所ごとに判断される点が特徴です。
厚生労働省が実施した調査では、対象事業場の87.2%が特例を利用していないことが明らかとなり、制度としての役割はおおむね終了したとの見解が示されています。今後は週40時間制への一本化が想定され、対象事業場を有する企業には、就業規則や労働時間設定の見直しが求められます。特例廃止後は、これまで慣行的に44時間制を前提としていた業務運営や人員配置の見直しが不可避となり、実質的な業務改革が求められるでしょう。
高市新政権が目指す「労働政策」に関する議論

2025年以降の政権運営において、高市政権は労働政策の見直しにも積極的な姿勢を示しています。特に、労働時間規制の在り方を巡っては、従来の枠組みを見直す発言もあり、社会的な注目を集めています。ここでは、こうした発言や政策を巡る議論の動向を整理します。
2025年の流行語大賞「働いて働いて働いて働いて働いてまいります」
高市新政権の労働政策を象徴する発言として注目を集めたのが、2025年10月、自民党総裁選で選出直後に高市早苗首相が述べた「働いて働いて働いて働いて働いてまいります」という言葉です。この発言は同年の新語・流行語大賞(年間大賞)に選ばれ、初の女性首相としての強い決意を示すものとして広く報じられました。高市首相は授賞式で、長時間労働を肯定する意図ではないと説明しています。
一方で、首相就任後には、上野賢一郎厚生労働大臣に対し、現行の労働時間規制について「心身の健康維持と従業者の選択を前提」とした緩和検討を指示しています。2019年施行の働き方改革関連法は、残業時間の上限に罰則を伴う規制を設けており、今後の見直し議論にどのような影響を与えるかが注目されています。
賛否が分かれる「働きたい改革」
「働きたい改革」とは、労働者一人ひとりの意欲や事情に応じて、より柔軟に働ける環境を整えることを目指す考え方です。高市首相の発言を契機に注目を集めましたが、その受け止め方は立場によって分かれています。
労働者側からは、長時間労働のぜい正が十分に進んでいない現状の職場環境において、労働時間規制の緩和につながるのではないかとの懸念が示されています。特に、人手不足が深刻な職場では、働く意欲の尊重が結果的に現場への負担増を招く可能性も指摘されています。
一方、産業界では、働く意欲や成果を発揮したい人の選択肢を広げる趣旨として理解する動きもあります。ただし、経団連などからは時間外労働の上限規制の緩和に慎重な意見も示されており、健康確保を前提としなければ現実的な制度運用は難しく、慎重な制度設計が求められていると言えます。
変化の激しい法改正に対応して安定経営を実現するアイ・イーシーの「労務管理研修」
2026年に向けて人事・労務分野では複数の法改正が予定され、さらに労働基準法の見直しに関する議論も進んでいます。こうした環境下では、個別の制度対応だけでなく、人事・労務に関する法律の全体構造を理解した上で最新動向を正しく捉えることが重要です。
アイ・イーシーの「労務管理研修」は、管理監督職に必須となる労働法の体系、労働時間管理、36協定、ハラスメント法理などを1日で体系的に学べる研修です。登壇形式・オンライン形式の双方に対応し、企業課題に応じたカスタマイズも可能です。正しい知識を身につけることで、不祥事や訴訟リスク、風評被害を未然に防ぎ、安定した経営基盤の構築につなげられるでしょう。
まとめ
2026年に向けて、人事・労務分野では施行時期が確定した法改正に加え、労働基準法の見直しを含む制度改正の議論が本格化しています。連続勤務日数の上限設定や勤務間インターバルの義務化、副業・兼業ルールの整理などは、従業員の健康確保と企業の実務運用の両面に影響を及ぼします。これらの動きに後手で対応すると、法令違反やトラブルのリスクが高まる恐れがあります。
今の段階から法改正の全体像を把握し、自社の就業規則や労務管理体制を点検・見直しておくことが大切です。法改正の背景や労務管理の基本構造を体系的に理解するためにも、管理監督職向けの労務管理研修を活用し、実務に生かせる知識を早期に身につけましょう。
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