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もう嫌な思いをしたくない!今すぐできるセクハラをやめさせる言い方7選

「また不快なことを言われたけれど、どう返せばいいか分からない」という悩みを抱えたまま、何もできずにやり過ごしている方もいるのではないでしょうか。セクハラは、被害者が我慢すれば収まるものではなく、適切な言葉で意思を伝えることが、状況を変える第一歩になります。
この記事では、相手との関係性を保ちつつも自分の立場を守れる対応方法を中心に、職場でセクハラをやめさせるための実践的な言い方を7つ紹介します。注意点や対処できなかった場合の相談先も説明していますので、職場でのセクハラ被害やセクハラ上司に悩んでいる方はぜひ最後までご覧ください。
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【上司・先輩】セクハラをやめさせる言い方

セクハラをやめさせる言い方には、状況や相手の関係性に応じたさまざまな方法があります。無理なく使える言い回しを知っておくことで、自分を守るセクハラ対策になるでしょう。以下では、セクハラをやめさせる具体的な言い方を7パターン紹介します。
「尊敬していたのにショックです…」と気持ちを伝える
目上の人や先輩からのセクハラに対しては、「尊敬していた○○さんに、そんな発言をされるなんてショックです…」と、失望した気持ちを静かに伝える方法が有効です。たとえば、職場で繰り返される下ネタや身体的な特徴へのコメントに対して使うと、相手に強い印象を与えられるでしょう。
この言い方のポイントは、決して感情的に責めるのではなく、落ち込んだ様子で話すことです。攻撃的ではないため相手も防御的になりにくく、「そんなふうに思われていたのに、自分は何をしてしまったのか」と自省を促しやすくなります。尊敬というポジティブな評価を用いることで、相手の良心に訴えかけ、行動を改めるきっかけを作れるでしょう。
「恋人?デート?」とオウム返しをする
オウム返しは、攻撃的にならずにセクハラの意図をそらせる手段として、特に軽口を装った言動に対して効果を発揮します。「恋人できた?」「今日はデート?」など、プライベートに踏み込む発言をされた場合は、あえてその言葉を疑問形で繰り返してみましょう。「恋人?」「デート、ですか?」と真顔で返すことで、相手にその発言の精神的苦痛を自覚させられる可能性があります。
オウム返しでは、発言の意味をかみしめるように、あえてゆっくりと話すのがポイントです。同じ言葉を繰り返すことで、相手は自分の発言の無神経さに気づき、曖昧な態度に変わることも期待できるでしょう。また、「なぜ結婚しないの?」と聞かれた際は「どうして結婚したんですか?」と返すことで、話題をかわせます。
「え、もう一度言ってください」と再発言を促す
発言に対して「え、もう一度言ってもらっていいですか?」と、あえて再度の発言を求めることで、相手に自分の言葉の重みを意識させる手法です。たとえば、「下着何色?」「男慣れしてそうだよね」など、あからさまな性的発言があった際に、「すみません、聞き取れなかったので、もう一度お願いします」と明るく返すと効果的です。
さらに「メモしますね」と一言添えることで、記録に残す意思をほのめかすことができ、相手にプレッシャーを与えられます。加害者が悪ノリのつもりで発言していた場合でも、自分のセクハラ言動が「残るもの」になると気づけば、態度を改めるきっかけになるでしょう。
「1億円くれたら考えます!」と達成できない条件を提示する
達成不可能な条件を提示するのは、相手に「この人には通用しない」と思わせる一方で、直接的な拒否で空気を悪くすることなくやんわりと断れる手法です。特に「愛人になって」「ホテル行こう」など、露骨な性的要求に対しては、現実的に不可能な交換条件をユーモアを交えて伝える方法が効果的です。
「代わりに1億円くれたら考えます!」「3,000万円を現金で用意してくれるならOKですけど?」というように、大袈裟な条件を明るくテンポよく返すようにしましょう。弱気な態度を見せるとセクハラがひどくなる可能性があるため、あくまでも元気に冗談めかして対応します。そうすることで、加害者は自分の要求の非常識さに気づき、引き下がることが多くなるでしょう。
「今の言動は不快です」と不快感を口にする
発言や行動に対して強い不快感を覚えた場合は、はっきりと言葉にして伝えることも有効です。たとえば、「その服、男ウケ狙ってるでしょ?」「夜、暇?」などの発言に対し、「今の言動は不快です」「そういうことを言われると悲しいのでやめてください」と冷静に返しましょう。
ポイントは、感情的にならず、あくまで落ち着いたトーンで自分の感情を明確に伝えることです。相手が軽い冗談のつもりで発言していた場合でも、「不快」と言われることで、自分の言動が許容されていないことに気づきやすくなります。
「プライバシーに関わることなので答えません」と会話を放棄する
「彼氏いるの?」「どんな人がタイプ?」「結婚の予定は?」など、仕事に無関係なプライベートな質問を繰り返すセクハラには会話を断つ方法が有用です。「それはプライバシーに関わることなので答えません」と、セクハラ的言動を明確に拒絶する形で伝えることで、相手にその発言が不適切であると明確に示せます。
さらに、「適切な言葉でお話できる場合のみ会話しますね」と付け加え、今後の会話の条件を提示することで、相手の態度改善を促すことも可能です。あくまでも放棄するのは仕事ではなく会話です。もし相手に反論されたとしても、不適切な発言によって就業環境を乱されているという正当な理由があるので、会話を放棄するのはやむを得ないと答えられるでしょう。
「それはセクハラですよ」とキッパリ伝える
何度も不快な発言を繰り返されたり、婉曲な対応では改善が見られなかったりする場合には、セクハラである旨を明確に伝えることも必要です。「女は愛嬌だよね」「君は色気があるから得してるよ」など、性的なニュアンスを含んだ発言を繰り返されているときは、「それはセクハラです」とキッパリと伝えましょう。
このときに重要なのは、発言の直後に冷静かつ毅然とした態度で言い切ることです。相手に悪意がなかったとしても、「セクハラ」という言葉を聞くことで、自分の言動がどう受け止められているのかを認識するきっかけになります。
セクハラをやめさせる際に注意したい言い方

セクハラに対して言い返すときは、怒りの感情に任せてセクハラ加害者を責め立てるような言い方は避けましょう。被害を受けた怒りや悔しさは当然の感情ですが、罵倒・侮辱する言葉で加害者を追い詰めると逆上させてしまい、場が混乱したり問題が拡大したりするリスクがあります。
あくまでも「セクハラをやめさせる」ことが目的であり、被害者側の「怒りをぶつける」ことが目的ではありません。大切なのは、落ち着いた態度で毅然と不快感を示すことです。感情を抑えた対応は、自分自身を守るとともに、冷静な指摘だからこそ相手に届きやすく、結果的にセクハラ行為をやめさせるきっかけになるでしょう。
やめさせる言い方をしてもセクハラが続くときの対処法

セクハラに対して言い返しても改善されない場合は、1人で抱え込まず、第三者の力を借りることが大切です。相談できる窓口や手段を知っておくことで、冷静に対処できるようになるでしょう。以下では、3つの具体策を紹介します。
別の上司や社内の相談窓口に相談する
セクハラをやめさせようとしても改善が見られない場合は、信頼のおける上司が有力な相談先となります。ただし、相談する相手は「口が堅く情報を外に漏らさない人物」を選ぶことが重要です。人選を誤ると、社内に内容が広まり、二次被害につながる恐れがあります。また、できれば行為者よりも立場が上の人物や、性別に関係なく公平な判断ができる人物を選ぶようにしましょう。
社内に信頼できる上司がいない場合は、人事部や従業員向けの社内相談窓口を活用する方法もあります。中規模以上の企業であれば、セクハラ相談窓口が設けられていることが多く、些細な違和感レベルでも従業員側からセクハラ相談が可能です。普段から信頼できる相談先や担当者を見つけておくと、いざというときに安心して行動に移せるでしょう。
外部の相談窓口を利用する
社内で相談できる環境が整っていない場合、上司や相談窓口に訴えても状況が変わらない場合は、外部の相談窓口を活用するという選択肢があります。都道府県労働局の「雇用環境・均等部(室)」や「総合労働相談コーナー」、法務省の「女性の人権ホットライン」、「みんなの人権110番」などが代表的です。
こうした機関では、電話や面談による相談が可能で、法令に基づいた情報提供や企業への助言・指導を行うこともあります。相談によって会社側から不当解雇や異動などの不利益な取り扱いを受けることは禁止されているため、安心して利用できるのも特徴です。
法的措置を検討する
社内外の相談を経てもセクハラ社員による言動が改善されない場合、法的措置を視野に入れてもよいでしょう。ただし、法的手段に踏み切るには、セクハラ行為を客観的に証明できる証拠が不可欠です。証拠として有効なのは、録音やセクハラ加害者本人とのメール、メッセージの履歴、具体的な発言や状況を記した日記・メモなどです。
また、相談内容を共有した第三者の証言や、医師の診断書も証拠になります。社内窓口や外部機関に相談する際にも役立つため、日頃から記録を残しておくことが重要です。ただし、裁判は精神的にも金銭的にも負担が大きいため、弁護士とよく相談した上で、自分が求める解決に合う選択かどうかを慎重に判断するとよいでしょう。
まとめ
セクハラを受けるのは決して自分のせいではなく、黙って耐える必要はありません。相手との関係性や場の雰囲気に応じて、セクハラをやめさせる言い方を実践してみましょう。小さな違和感の段階から声をあげることが、自分を守るだけでなく、職場全体の空気を変える力にもなります。
何度やめさせようとしてもセクハラが止まらない場合は、信頼できる口の堅い社内の人物や、外部機関に相談するのも有効です。法的措置を視野に入れる場合は、セクハラ防止の観点からも証拠を日頃から集めましょう。
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