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【事例付】パーソナルハラスメントの見極め方|法的手順と再発を防ぐ「心理的安全」の作り方

「冗談のつもりだった」「悪気はなかった」という言葉で見過ごされやすい一方、容姿や性格、私生活への不適切な言動は、「パーソナルハラスメント(パーハラ)」として深刻な問題になります。パーソナルハラスメントとは、業務と無関係な個人の特性を取り上げて否定・嘲笑・排除する行為で、本人が不快感を抱き就業環境が悪化する点が問題視されます。
当記事では、パーソナルハラスメントの定義から具体例、関連法律、効果的な防止策などを詳しく解説します。
目次
Toggleパーソナルハラスメントとは?意味・定義を紹介

パーソナルハラスメント(パーハラ)とは、容姿・性格・話し方・価値観など、業務と直接関係しない個人の特性を取り上げ、否定や嘲笑、侮辱、見下し、排除といった不適切な言動で相手の尊厳を傷つける行為を指します。
継続的または反復して行われ、本人が不快感や心理的負担を抱き、就業環境の悪化につながる点が問題とされます。上下関係の有無にかかわらず成立し得て、周囲の萎縮や業務遂行にも悪影響を及ぼします。
パーソナルハラスメントの具体的な事例
パーソナルハラスメントの事例は、業務と関係しない個人の特性や私生活を題材にして、相手が嫌がっても繰り返し否定・嘲笑・排除する言動です。代表例を整理します。
| ■ 不適切なあだ名・呼称 本人が嫌がるあだ名で呼び続ける/容姿や体型を連想させる呼び名を定着させる ■ 身体的特徴の揶揄 体型・頭髪・肌・顔立ちなどを笑う/「太った」などの発言を繰り返す ■ 性格や能力の決めつけ 「暗い」「協調性がない」など人格を否定する言葉を反復する/失敗を性格のせいにする ■ 口ぐせ・仕草の物まね 口調や方言、仕草を誇張してまねし、周囲の笑いを取る/本人の前で繰り返す ■ 出身・学歴へのからかい 出身地や方言を見下す/出身校を理由に能力を決めつける ■ 私生活の詮索・干渉 恋人・結婚予定・家庭環境・収入などを執拗に尋ねる/断っても話題にし続ける ■ 個人情報・噂の拡散 本人の同意なく家庭事情や悩みを共有する/SNS投稿を監視して職場で話題にする ■ 趣味・価値観の否定 趣味や服装、食習慣を「変」などと繰り返し貶す ■ 性的指向・性自認のからかい 決めつけや呼称で笑い者にする/本人の申告を軽視して話題化する ■ 人間関係を使った嫌がらせ 仲間外れ、陰口、業務連絡からの意図的な除外/ミスをさらして笑いを取る |
冗談のつもりでも、本人が不快と伝えた後に続く場合や、公の場で繰り返される場合は問題化しやすく、周囲の萎縮や協働の低下にもつながります。
パーソナルハラスメントに関する法律

厚生労働省の指針では、「パーソナルハラスメント」という言葉は直接的には使われていません。しかし、すべての企業に対して職場で起きる各種ハラスメントを防止するための雇用管理上の措置(方針の周知、相談窓口、事実確認、再発防止など)を求めています。
パーソナルハラスメントは、厚労省資料で対策が示されるセクシュアルハラスメント(男女雇用機会均等法)やパワーハラスメント(労働施策総合推進法)の枠組みに該当し得る行為が多く、放置すれば就業環境を害したとして労務問題化します。罰則は刑事罰という形で一律に科されるわけではありませんが、行政の助言・指導・勧告、企業名公表のほか、民事上の損害賠償などにつながる可能性があります。そのため、社内規程と運用体制の整備が重要です。
※出典:厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために(セクシュアルハラスメント/妊娠・出産等、育児・介護休業等に関するハラスメント/パワーハラスメント」
※出典:あかるい職場応援団 -職場のハラスメント(パワハラ、セクハラ、マタハラ)の予防・解決に向けたポータルサイト-「ハラスメントに関する法律とハラスメント防止のために講ずべき措置」
パーソナルハラスメントが企業に与える影響

パーソナルハラスメントを放置すると、企業には2つの大きな損失が生じます。第一に生産性の低下です。被害者はストレスで集中力が落ち、欠勤・休職やミス増加につながります。周囲も「次は自分かもしれない」と萎縮し、相談や挑戦が減って協働が弱まります。結果的に、進捗遅延や品質低下が起こり、顧客対応にも影響が出ます。心理的安全性が下がると、指摘や改善提案が出にくくなり、問題の早期発見も遅れます。
第二に人材と信用の損失です。離職が増えて採用・育成コストが膨らみ、現場の知見が抜けて引き継ぎ負担も増えます。調査や面談、配置転換に管理職と人事の時間が取られ、意思決定も遅れがちです。また、トラブルが表面化すれば、訴訟や行政対応のリスクも高まります。評判が広がると採用難や取引先の不信、ブランド毀損につながり、長期的に競争力を損うこともあるでしょう。
パーソナルハラスメントを防ぐためのポイント

パーソナルハラスメントを防ぐには、個人任せにせず組織として仕組みを整えることが欠かせません。ここでは、方針の明確化、研修、相談体制、日常のコミュニケーションの4つの観点からポイントを解説します。
組織の方針明確化と就業規則への明記
パーソナルハラスメントを防ぐ第一歩は、組織として「許容しない」姿勢をトップメッセージで明確に示すことです。あわせて就業規則などの社内規程に、禁止行為の範囲、判断の考え方、相談から調査・是正までの手順、懲戒を含む処分の基準を具体的に明記します。
ルールを文章化して共有すると認識のずれが減り、抑止効果も高まります。周知は掲示や社内ポータル、入社時説明などで継続し、実際に運用できる状態に整えましょう。
研修の実施による意識改革と正しい知識の普及
パーソナルハラスメントを防ぐには、外見や私生活など個人の属性を尊重する重要性を全従業員が理解する必要があります。特に無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)が、からかい・決めつけ・排除につながるリスクを学び、日常の言動を点検できる状態にします。
研修は入社時だけでなく定期的に実施し、管理職には相談対応や事実確認の進め方も含めて教育します。ケース検討やロールプレイを取り入れると、現場での判断力と抑止効果が高まります。
相談窓口の設置と実態把握のための調査
相談しやすい環境を作るため、社内(人事・産業医など)と社外(外部専門機関・弁護士など)の両面に窓口を設けます。相談員はプライバシーを厳守し、否定せずに傾聴し、相談したことによる不利益取扱いがないことを明確に保証します。あわせて匿名アンケートを定期的に実施し、結果を集計・共有→課題特定→対策→再調査の流れで実態を客観的に把握します。
相互尊重をベースとしたコミュニケーションの活性化
未然防止には、相互尊重を前提にした日常のコミュニケーションを整えることが重要です。プライベートに踏み込みすぎない距離感を保ちつつ、価値観や個性の違いを否定しない姿勢を共有します。
直属の上司だけに頼らず、部署横断の1on1や定例の対話機会を設け、困りごとが小さいうちに言語化できる場を増やしましょう。雑談のルールや言い換え例を用意すると、無自覚な決めつけやからかいの抑止にもつながります。
パーソナルハラスメントの防止に役立つアイ・イーシーの「コミュニケーション研修」
言った本人は冗談や励ましのつもりでも、容姿・性格・私生活への踏み込みが相手の自尊感情を傷つけ、パーソナルハラスメントになることがあります。だからこそ、「何を言うか」だけでなく、「どう言い、どう受け止めるか」を職場でそろえる視点が欠かせません。
アイ・イーシーの研修は、法令理解型研修の次の一手として行動変容に焦点を当て、グレーゾーン言動の整理、思い込みの可視化、言い換えワークやロールプレイで現場で使える伝え方を身につけます。1日間で演習多め、登壇・オンライン対応、内容はカスタマイズも可能で、職場風土の改善にもつながります。
まとめ
パーソナルハラスメント(パーハラ)は、容姿・性格・私生活など業務と無関係な個人の特性を取り上げ、否定・嘲笑・排除する行為です。不適切なあだ名、身体的特徴の揶揄、性格の決めつけ、私生活の詮索などが該当し、本人が不快感を抱き就業環境が悪化する点が問題視されます。
法的にはパワハラやセクハラの枠組みで対処される可能性があり、放置すると生産性低下や離職増加、企業の信用損失につながります。防止には、組織方針の明確化と就業規則への明記、研修による意識改革、相談窓口の設置と実態調査、相互尊重をベースとしたコミュニケーション活性化が重要です。
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