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マタハラとはどんな行為?言動の事例付きで簡単に解説
マタハラ(マタニティハラスメント)は女性労働者が妊娠や育児を理由に、職場から不当な扱いを受けることを指します。男性労働者が同じく産休や育休を取得しようとしたときに受けるハラスメントは、パタハラ(パタニティハラスメント)と呼びます。2017年には男女雇用機会均等法によってマタハラが禁じられた一方で、いまだにマタハラ被害は存在するため、適切なマタハラ対策はどの企業にとっても必要です。
この記事ではマタハラとはどのような行為なのかについて、また、統計からみた実態やマタハラとなる言動、裁判事例、対策方法を詳しく解説します。
マタハラ(マタニティハラスメント)の定義とは
マタハラとは「マタニティハラスメント」の略であり、女性労働者が妊娠・出産・育児を機に職場から受ける不当な扱いを指します。妊娠や出産、育児そのものや、産休・育休などの制度を希望・利用したことを理由とする嫌がらせで就業環境を害されると、マタハラと認定されます。
・「マタニティハラスメント」の詳細な意味
・マタニティ:妊娠中の、母性 ・ハラスメント:嫌がらせ、人を悩ませること |
妊娠や出産、育児の領域で発生するハラスメントは、当初は女性労働者が妊娠・出産時に発生するケースがほとんどでした。これが「母性」「妊娠中の」という意味を持つ「マタニティ」という言葉が用いられてきた理由です。
現在では男性の育児参加が進み、男性労働者が育児領域のハラスメントを受けるケースも増えています。男性が受ける育児領域のハラスメントは「マタハラ」に対して「パタニティ(父性)ハラスメント:パタハラ」と呼ばれています。パタハラは広義のマタハラに含まれる場合があることを押さえておきましょう。
マタハラの実態
「マタハラ」は、2014年に新語・流行語大賞の候補50語に選ばれたほど注目された言葉ですが、厚生労働省の調査によると、2020年時点においても4人に1人がマタハラを受けた経験があるとされています。「マタハラ」という言葉が世間に浸透して久しいものの、残念ながらマタハラ被害は依然として存在しています。
・マタハラ被害者の割合(2020年調査)
過去5年間にマタハラを受けた経験 | 割合(%) |
何度も繰り返し経験した | 1.4% |
時々経験した | 7.2% |
一度だけ経験した | 17.7% |
マタハラ経験者の合計 | 26.3% |
以下では、企業規模別のマタハラの発生割合やマタハラ防止策実施割合を踏まえつつ、マタハラに関する現状を解説します。マタハラの加害者として挙げられることが多い職制・属性も併せて確認し、社内のマタハラ対策につなげましょう。
マタハラは企業規模にかかわらず起きる
残念ながら、マタハラはどの企業でも発生する可能性がある問題です。ただし、企業規模によってマタハラが起こる割合(発生頻度)が異なる点に留意しましょう。
・企業規模別のマタハラ発生割合(2020年)
企業規模 | マタハラが起きた割合(%) |
99人以下 | 24.6% |
100~299人 | 33.4% |
300~999人 | 30.8% |
1,000人以上 | 25.2% |
マタハラ自体は企業規模に関係なく発生していますが、マタハラが起きた割合を見ると、特に中堅企業(従業員規模100~999人ほど)で起こりやすいことが分かります。マタハラの発生を防ぐためには、職場におけるマタハラの実態を把握した上での対策が必要です。
次に、企業別のマタハラ防止策実施割合について確認しましょう。
・企業規模別のマタハラ防止策実施割合(2022年)
企業規模 | 妊娠・出産・育休などに関するハラスメント防止策の実施割合(%) |
10~29人 | 76.3% |
30~99人 | 88.6% |
100~299人 | 94.2% |
300~999人 | 98.7% |
1000~4999人 | 100% |
5000人以上 | 100% |
従業員規模1,000人以上の大きな企業では、調査を受けた全企業がマタハラ・パタハラを防ぐ対策を行っています。一方で、企業規模が小さいほどマタハラ対策が十分ではない企業が多いため、まだマタハラ対策ができていない企業は対策を早急に始める必要があります。
マタハラの加害者
社内のマタハラ対策を万全にするためには、妊娠出産期や育児期にある従業員に対し、マタハラをしてしまう従業員について考えることも大切です。ここでは、マタハラ加害者の属性や性別の割合について確認しましょう。
・マタハラ加害者の割合(2020年)
マタハラ加害者の属性 | 割合(%) |
上司(役員以外) | 62.7% |
会社の幹部(役員) | 30.4% |
同僚 | 20.5% |
派遣元・出向元の従業員・役員 | 4.2% |
部下 | 3.0% |
顧客等(患者やその家族などを含む) | 2.7% |
取引先など他社の従業員・役員 | 2.3% |
その他 | 1.1% |
厚生労働省の調査によると、マタハラ加害者として挙げられる属性で最も多いのは上司、続いて会社の幹部、同僚となっています。特に上司がマタハラ加害者になる割合が飛び抜けて高いことを押さえておきましょう。
また、2015年に行われたマタハラNetによる調査では、男女を問わずマタハラ加害を行う可能性があると示されています。さらに、人事部門の人間が加害者になるケースも13%程度と少なくありません。性別を問わず、特に管理職や人事部門の社員に向けたマタハラに関する啓発が必要であると言えるでしょう。
【タイプ別】マタハラとなる行為・言葉
厚生労働省では、マタハラを「制度等の利用への嫌がらせ型」「状態への嫌がらせ型」の2種類のタイプに分類しています。
制度等の利用への嫌がらせ型 | ①解雇その他不利益な取扱いを示唆するもの ②制度等の利用の請求等または制度等の利用を阻害するもの ③制度等を利用したことにより嫌がらせ等をするもの |
状態への嫌がらせ型 | ①解雇その他不利益な取扱いを示唆するもの ②妊娠等したことにより嫌がらせ等をするもの |
ここでは、上記のマタハラに関する2つのタイプについて、それぞれ詳しく解説します。
制度等の利用への嫌がらせ型
制度等の利用への嫌がらせ型とは、妊娠や出産、育児に関する制度の利用を希望する労働者に対し、制度の利用を阻害するような言動で就業環境を害するタイプのマタハラです。下記のような制度の利用を妨害した場合、制度等の利用への嫌がらせ型のマタハラと見なされることに留意しましょう。
・産前休業 ・育児休業 ・子どもの看護休暇 ・妊娠中や出産後の健康管理に関する措置 ・軽易な業務への転換 ・労働時間の制限、時間外労働(残業)や休日労働、深夜業の制限 ・所定労働時間の短縮措置(時短勤務) ・始業時刻変更などの措置 ・危険有害業務の就業制限 など |
制度等の利用への嫌がらせ型のマタハラにおける具体例としては、下記のようなものが挙げられます。
・育休取得を相談した労働者に「出産や育児で休みを取るなら退職してもらう」と言う。 ・妊婦健診のため休みを申請した労働者に「勤務時間外に通院して」と言う。 ・育児のため時短勤務をしている労働者に「楽でいいね」と言う。 |
業務の分担や安全への配慮の観点から見て、業務上の必要性に基づく言動であると判断できるものは、ハラスメントに該当しません。しかし、変更の打診や相談の域を超えて「強要」と判断できる言動に至った場合は、ハラスメントと見なされる可能性が高いことを押さえておきましょう。
状態への嫌がらせ型
状態への嫌がらせ型とは、労働者の妊娠や出産、育児中であることなど状態に関する言動で、当事者の就業環境を害するタイプのマタハラを指します。状態への嫌がらせ型のマタハラにおける具体例としては、次のような言動が考えられます。
・妊娠を報告した労働者に「他の人を雇用するため早めに退職してほしい」と言う。 ・妊娠中の労働者に「妊婦はつわりや体調不良で休みがちなので、重要な仕事は任せられない」と言う。 ・妊娠中の労働者に「妊娠するなら繁忙期や影響が大きい時期を避けてほしかった」と本人に何度も繰り返し言う。 |
大きな問題になったマタハラの事例
実際に起こったマタハラ事案の中には、訴訟まで発展したり広く報道されたりするなど、大きな問題となった事例も少なくありません。
ここでは、特に大きな問題になったマタハラ事例について詳しく解説します。マタハラではないとされた事例も併せて確認し、どのような理由で大きな問題へと発展したのか把握しておきましょう。
【制度等の利用への嫌がらせ型の事例】ツクイほか事件
介護サービスを提供しているツクイに介護職員として勤務していた原告Xは、妊娠したことを理由に業務軽減の希望を上司Yに伝えました。しかし、Yは業務軽減に応じず、「万が一何かあっても自分は働きますちゅう覚悟があるのか」「べつに私、妊婦として扱うつもりないんですよ」と発言しました。さらに、妊娠中のXに入浴介助や車いすを抱えての階段昇降業務を行わせます。XはYの上司であるB本部長に業務軽減や産休取得を依頼し、ようやく希望した業務軽減や産休取得を得られました。
Xは産休・育休の取得後、マタハラを受けたとして、ツクイおよびYに慰謝料の支払いを求める訴訟を起こしました。
裁判では、Yの言動は「妊娠を理由に業務軽減を申し出ることは許されない」と受け止められかねないものであり、Xの人格権を侵害したと判断されました。また、ツクイは従業員であるXの健康に配慮する義務を果たしたとは言えず、Yへの指導も不十分であったとし、裁判所はYおよびツクイに対し慰謝料35万円の支払いを命じています。
【状態への嫌がらせ型の事例】大阪市役所事件
大阪市役所に勤務する被害者Xは、妊娠した際に上司Yから妊娠時期に関する不快な発言が繰り返されたとして市に告発しました。「タイミングが最悪」「職場に迷惑がかかるのが分からないのか」などのマタハラに当たる発言があったことが認められ、上司Yには停職3か月の懲戒処分が下されました。
また、上司Yはほかの職員に対しても「土下座して謝れ」などと怒鳴るなどパワハラを繰り返していたことが判明しています。パワハラ対策が十分でない職場では、マタハラも発生しやすい事例と言えるでしょう。
【マタハラでないとされた事例】ジャパンビジネスラボ事件
語学スクール運営会社であるジャパンビジネスラボに勤務していた原告Xは、産休・育休から復帰する際に保育園が見つかっていませんでした。Xは就労を継続するために、ジャパンビジネスラボと話し合い正社員から契約社員への転換を決めます。その後、保育園が見つかったXは正社員への復帰を希望しましたが、ジャパンビジネスラボは希望に応じませんでした。
関係が悪化した後、Xが「社内での無断録音」「社用メールの私的利用」などを行ったこともあり、ジャパンビジネスラボはXとの雇用契約を更新せず「雇止め」としました。Xは「契約社員への転換」「雇止め」のどちらも許されないとし、訴訟を起こすと同時に記者会見を開きました。一方のジャパンビジネスラボは記者会見でXに虚偽の発言があったとして、Xを反訴しました。
この訴訟は、最終的に最高裁がX側の上告を棄却したため、高等裁判所の判決である「Xの敗訴」が確定しています。
正社員から契約社員への転換については、Xの状況などから合理的な理由があるとして、マタハラには該当しないと判断されました。また、雇止めの直接的な原因は記者会見で虚偽の発言を行うなど「Xの言動により信頼関係が損われたこと」であり、マタハラには当たらず適法であるとも認められています。
マタハラ防止のために企業が押さえておくべき法律
マタハラの発生を防止するには、企業側が法律で定められたルールをしっかりと守ることが大切です。主に下記の3つのルールがあるため、十分に理解した上で社内のマタハラ対策の整備に取り組みましょう。
出産や育児を理由とした 不利益な取扱いの禁止 | 妊娠や産休・育休取得を理由に、解雇や雇止め、退職勧奨、雇用形態変更の強要、降格・減給、不利益な査定・配置変更をしてはならない。 |
産休・育休から戻った社員の 現職復帰の原則 | 産休・育休から社員が復職する場合、「原職」または「原職相当職」への復帰が原則である。 |
軽易な業務への転換などの 配慮 | 妊娠中の社員から軽易な業務への転換や時間外労働などの制限を請求された場合、適切な措置を講じるなど配慮する義務がある。 |
ここでは、これらのルールの根拠となる3つの法律について解説します。
男女雇用機会均等法
男女雇用機会均等法とは、性別による不合理な差別を禁止し、セクシャルハラスメント(セクハラ)やマタハラを規制することを目的として1985年に制定された法律です。
男女雇用機会均等法に違反した場合、事業主は厚生労働大臣からの報告要求や行政指導を受ける可能性があります。行政指導には法的拘束力はないものの、従わない場合は公表処分となるケースもあることを押さえておきましょう。
育児 ・ 介護休業法
育児・介護休業法とは、子育て・介護と仕事との両立を図れるよう、育児休業や介護休業、看護休暇などの制度について定めた法律のことです。
2022年から施行された改正法では、育児休業を取得しやすい雇用環境の整備や制度などに関する個別周知・意向の確認などが義務付けられています。有期雇用労働者の育児休業取得要件が緩和された点や、出生時育児休業(産後パパ育休)が新設された点も押さえておきましょう。改正後の育児休業制度の詳細を確認しておくことも大切です。
労働基準法
労働基準法とは、労働条件の最低基準を定めた法律であり、労働基準法の基準に満たない労働契約は無効とする「強行的直律的効力」を有する法律でもあります。
労働基準法では、妊娠中や出産前後の従業員が希望した場合、企業側は時間外労働や深夜業の制限、軽易業務転換などの措置を講じることが求められています。産前産後休業・育児時間の制度や、解雇制限・解雇の無効といったルールも定められているため、内容を再確認した上で適切な対応を取れるよう環境を整備しておきましょう。
職場でマタハラを起こさないために企業がするべき対策
改正男女雇用機会均等法および改正育児・介護休業法では、職場でのマタハラ・パタハラを防ぐため、企業側に下記の5つの対策を義務付けています。
・事業主の方針の明確化および周知・啓発 ・相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備 ・職場におけるハラスメントへの事後の迅速かつ適切な対応 ・職場における妊娠・出産等に関するハラスメントの原因や背景となる要因を解消するための措置 ・併せて講ずべき措置 |
※出典:厚生労働省「職場における妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメント対策やセクシュアルハラスメント対策は事業主の義務です!!」
ここでは、上に挙げた企業側が講じるべき5つのマタハラ・パタハラ対策について詳しく解説します。それぞれの項目に関する実際の企業の対策事例も併せて確認し、自社の企業規模や職場の環境に合ったマタハラ・パワハラ対策を考えましょう。
事業主の方針の明確化および周知・啓発
マタハラを防ぐためには、「ハラスメントはあってはならない」「ハラスメント加害者に対して厳正な対処を行う」と事業主が明確化することが大切です。
例えば、労使で協力・協議して策定した「ハラスメントを根絶する」基本方針を事業主名義で発信したT社では、従業員も強いインパクトを受けたとされています。従業員がマタハラ防止へ意識を向けられるような、強く明確なメッセージを発信することが重要であると言えるでしょう。
※出典:あかるい職場応援団「職場のパワーハラスメント対策取組好事例集」
マタハラ防止に向けた基本方針は、従業員が繰り返し確認できるよう、社内掲示板や社内報、従業員のポータルサイトに掲示するなど定期的に周知することも重要です。管理職やマネジメント職にはハラスメント研修を実施し、組織全体でマタハラに気付ける体制や予防できる体制を整えましょう。
マタハラ相談・対策ができる体制の整備
マタハラへの悩みを実際に抱えている場合だけでなく、発生の恐れがある場合やマタハラに該当するか判断に迷う場合でも、従業員が迷わず相談できる窓口を設置することも大切です。相談には原則2名以上で対応するなど、相談対応に関する規定も作成しておきましょう。
相談窓口への従業員の認知度や関心はそれほど高くないケースも多いため、相談窓口の存在を周知したり利用のハードルを下げたりする施策を行うことが重要です。例えば、相談窓口の案内を従業員向けポータルサイトに常に掲載しておくなど、従業員が相談窓口を利用しやすい工夫を行っている企業も多く見られます。
また、マタハラはセクハラやパワハラなどと複合的に生じるケースも少なくありません。さまざまなハラスメントの相談を総合的・一元的に受け付けられる体制を整えましょう。
例として、厚生労働省からハラスメント対策を積極的に行っている企業として認められたZ社では、セクハラ、パワハラ、マタハラを1つの窓口で総合的に対応しています。また、常にイントラネットの中で相談窓口の案内を掲載しており、担当者変更の都度更新して利用のハードルを下げています。
ハラスメントが起きたときの迅速な対応
ハラスメントが発生した場合は決して問題を放置せず、事実関係を正確かつ迅速に確認する必要があります。事実確認ができた場合は、被害者には配慮の措置を、加害者には就業規則などに基づく措置を迅速かつ適正に行いましょう。
ハラスメントに迅速に対応するためには、解決処理に関するプロセスを具体的かつ明確に決めておくことが大切です。例えば、Z社では顧問弁護士や事実認定委員会、懲戒委員会が関与するなど、第三者が客観的に判断し迅速な解決を図る体制が構築されています。対象の従業員に適切な措置・ケアを行って再発を防止し、職場環境の改善に努めましょう。
ハラスメントの原因を解消する措置
マタハラは「業務体制に偏りがある」「業務量が多い」など、人手不足・人材不足の職場で起こりやすい傾向があります。妊娠・出産・育児を担う従業員が利用できる制度・措置を周知して理解を求めつつ、ハラスメントの原因になり得る問題の解消に向けた措置も並行して講じるようにしましょう。
例えば、妊娠中や子育て中の従業員の周囲にいるメンバーに業務負担が偏るケースであれば、新たに人材を採用して業務量を調整することが考えられます。妊娠中・子育て中の従業員以外も活用できる在宅勤務制度や時間休制度を導入するなど、誰もが働きやすい環境を目指す企業も少なくありません。
例として、キユーピー株式会社では、転居を伴わない総合職制度、配偶者異動制度(配偶者が転勤になった場合、同じ勤務地に異動できる制度)、コアタイムのないフレックス制度などを導入しています。同時に男女ともに育休を取得しやすい環境を作り、共働きが当たり前になった時代に合った社内制度を構築することで、2023年にはプラチナくるみん認定(※)を獲得しました。
※出典:厚生労働省 女性活躍・両立支援に取り組む企業の事例集「キユーピー株式会社」
※子育てを積極的にサポートしている企業の中でも、特に高水準の取り組みをしている企業として厚生労働省の定めた基準を満たした企業に与えられる認定
併せて講ずべき処置
マタハラの相談ができる体制が整っていても、「相談内容が漏れてしまう」「相談したことで不利益が生じる」などのリスクがあると従業員が相談をためらう可能性があります。相談者や被害者・加害者のプライバシーを守る措置を講じ、その旨を従業員に周知してください。
また、相談や事実関係の確認に協力したことなどを理由として、従業員が不利益な扱いを受けないようにするのも重要です。マタハラを解決するために行動した従業員が不利益を受けないことを、社内で周知しましょう。
まとめ
厚生労働省の調査では、労働者の4人に1人がマタハラを受けた経験があり、特に性別を問わず直属の上司が加害者になるケースが多いと判明しています。したがって、特に管理職に向けてマタハラ研修を行うなど、対策を行う必要があります。
マタハラはあってはならない行為であると経営者がトップダウンで宣言をし、マタハラをはじめとしたハラスメント防止研修を行ってください。また、マタハラを相談できる窓口の設置や、ハラスメントが起きたときに迅速に対応できる体制づくりも大切です。ほかにも、長時間労働や業務量の偏りを是正し、万人が働きやすい環境を作れば、マタハラを未然に防げるでしょう。
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