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こんなクレーム対応はNG!正しいクレーム対応の方法を解説

クレーム対応

クレーム対応は企業にとって重要な業務の1つです。顧客が商品やサービスに不満を持った際、適切な対応ができるかどうかは、企業の信頼に直結するので、正しいクレーム対応の仕方を担当者全員が知っておく必要があります。

当記事では、クレームが発生する原因や種類、効果的な対応方法を詳しく解説します。さらにクレーム対応時に避けるべき行動や、メールでの対応方法も紹介するので、ぜひクレーム対応時の参考にしてください。

クレームはなぜ発生する?

クレームの種類

クレームは基本的に顧客が商品やサービスに対し、満足していないときに発生します。顧客の想定よりも品質が悪かったり、サービスが悪く期待を裏切ってしまったりした場合です。

クレームは企業側が顧客の不満を引き起こすことにより発生しますが、すべてのクレームが企業側に原因があるわけではありません。時には顧客の勘違いによって発生するクレームもあります。

以下では、顧客の勘違いも含めたクレームの種類について解説します。

クレームの種類

クレームの種類は、主に下記の4つが挙げられます。

・品質不良
商品の破損や、注文とは違う品を受け渡したことにより発生するクレームです。約束の日時を守れないなどサービスの遅延により発生するクレームも、品質不良に含まれます。

・接客態度
接客態度に関するクレームは、顧客に対するスタッフの態度や言葉遣いに問題がある場合に発生します。商品をぞんざいに扱ったり無愛想に受け答えしたりするほか、問い合わせに早急に回答せずたらい回しにするなど、不適切な対応をしてしまうことが主な原因です。

・システム上の問題
企業側のシステムや都合を理由に、顧客の期待を裏切ってしまったときに発生するクレームです。企業側のルールを押し付けて、顧客からの要望を「対応できない」と拒否した場合などに発生します。

・顧客の勘違い
顧客の勘違いは、顧客側の確認漏れや認識違いなどによって発生します。ただし、企業側の説明不足や誤解を招く案内が原因で勘違いが起きるケースもあるため、顧客が間違っていると一方的に決めつけないよう注意が必要です。

また、クレーマーの中には、不当な要求で企業側を困らせる「モンスタークレーマー」もいます。モンスタークレーマーとは、実損以上の返金を企業側に請求したり、クレームに対して適切な対応をしているのに何時間も居座り業務妨害したりする存在です。

モンスタークレーマーに対しては、毅然とした態度で対応しましょう。企業側が弱気な対応をすると、要求がエスカレートする可能性があります。企業側に原因があるクレームは真摯に受け止める一方、モンスタークレーマーによる不当な要求は受け入れずにはね返すなど、正しい対応方法を知っておくことが大切です。

【電話・対面の場合】クレーム対応の流れ

クレームを傾聴する女性

クレーム対応は、基本的な流れを身につけていないと適切に対処できず、顧客の不満をより大きくさせる可能性があります。スムーズに顧客の理解を得られるよう、どのような流れで対応するべきか事前に把握しましょう。

ここでは、電話・対面時のクレーム対応を5つの流れにそって解説します。

相手の話を最後まで聞く

クレームが入った際は、まずは相手の話を最後まで聞くことが大切です。最後までじっくりと話を聞くと相手が不満に思っている点や、企業側にどのような対応を求めているのかスムーズに把握できます。

感情的になっている人に対しても、真剣に話を聞いて意見を受け止める姿勢を示し、落ち着いてもらえるように意識しましょう。「ほかに気になる点はございませんか?」などの質問を投げかけて積極的にクレーム内容を聞くのも、顧客の不満やイライラを軽減させるのに効果的です。

顧客の中には、不満や自分の言い分をとにかく伝えたい思いで、クレームを入れる人もいます。会話を早く終わらせたい雰囲気を出したり、雑な対応になったりしないように注意してください。

お詫びをする

顧客からの問い合わせがクレーム内容であることを把握した後は、お詫びをしましょう。ただし、この段階ではクレームの原因が自社にあるのか顧客側にあるのか、詳細は不明です。全面的に自社に非があるような発言はせず、まずは下記のように期待にそえていない現状を謝罪してください。

・この度はお手数をおかけし、誠に申し訳ございません。
・ご不快な思いをさせてしまい、申し訳ございません。
・スタッフによる不適切な対応があったとのこと、心よりお詫び申し上げます。

クレームの原因が特定できていないまま非を認めるような発言をすると、誤解を招く可能性があります。まずは一言謝罪を伝えるだけに留め、状況の把握や対応状況の確認に進みましょう。

事実確認をする

続いて、クレームを解決できるように、必要な情報や不明な点を顧客に質問し事実確認を行います。「どのようなご不便をおかけしましたか?」などの質問をして、確認したい事柄に対する具体的な回答を得られるように意識しましょう。

一度に多くを聞き出そうとせず、簡潔に短く質問するのがポイントです。「いつ・どこで」といった基本的な情報や、どのような問題点を感じたのかを、可能な限り正確に把握できるように工夫してください。

質問によって得た回答や事実確認のキーワードになるような相手の言葉は、すべて記録するのも大切です。クレーム解決につながる重要な内容は、特に強調して記録すると詳細の把握に役立ちます。

解決策を伝える

解決策を伝える際は、一方的に押し付けないように注意しましょう。顧客の意向を汲み取りながら、下記のように提案するのがおすすめです。

・○○のような対応を考えております。いかがでしょうか?
・○○もしくは○○と考えておりますが、いかがでしょうか?

解決策の内容は、常識の範囲内に留めるように意識してください。誠意を見せるのは大切ですが、過度に顧客を立てないよう注意が必要です。

自社に非がなく、交換や返金といった顧客の要望をお断りする場合には、特に慎重な対応が求められます。顧客の勘違いや誤りを指摘する言葉や専門用語は使わずに、分かりやすい言葉で説明するのが大切です。共感する姿勢を忘れずに、顧客からの要望をお断りしましょう。

お詫びと感謝を伝える

解決策に同意が得られたら、最後に改めてお詫びを伝えてください。貴重な時間を使って問い合わせいただいたことも併せて感謝すると、気持ちのよい挨拶となり自社への好印象につなげられます。

・貴重なご意見をいただき、ありがとうございます。
・ご指摘を真摯に受け止め、サービス改善に努めます。ありがとうございました。
・お忙しい中ご連絡いただき、ありがとうございました。

顧客の中には商品やサービスの質だけではなく、自身のクレームへの対応も評価して、結果的にリピーターとなるケースも珍しくありません。お詫びと感謝を伝えて対応を終えるまで、丁寧に向き合う意識をもつのがポイントです。

【メールの場合】クレーム対応メールの例文

クレーム対応マニュアル

クレームのメールが来た際は、メールでの対応が必要です。記載要素は基本的に電話・対面での対応と同じですが、相手が企業なのか個人の顧客なのかにより多少異なる点もあります。

なお、それぞれのメールで共通するポイントは下記の3つです。

・本文の内容が分かるよう、件名は具体的に書く
・敬称のつけ忘れや誤字に注意して、メールの冒頭に宛名を記載する
・末尾に担当者名・連絡先を記載する

以下では、企業向け・個人向けのほか、自社に非がない場合のクレーム対応メールの例文を紹介します。

企業向けのクレーム対応メール

企業向けのメールでは、なぜ不備があったのか原因を記載するのがポイントです。原因が特定できていない場合は調査中であることを記載し、分かり次第回答する旨を伝えてください。

企業向けのクレーム対応メールの例文は、下記の通りです。

平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
株式会社○○の○○と申します。

この度は、ご注文いただいた弊社製品に不足があり、ご迷惑をおかけしております。 誠に申し訳ございません。
不足分は本日中に発送し、○日頃に貴社に到着する見込みです。

本件につきましては、弊社の○○の工程で不足が発生したことが判明しております。今後このようなご不便をおかけすることがないよう、再発防止に努める所存です。

改めまして、この度は多大なるご迷惑をおかけし誠に申し訳ございませんでした。

注意点として、お詫びのメールはクレームについての記載に留め、ほかの要件をくわえないことが挙げられます。ついでとして別件を記載すると、謝罪が軽い印象になるため注意が必要です。

個人向けのクレーム対応メール

個人向けのメールも、企業向けの内容と大きな違いはありません。お詫びや対応方法などを記載した上で、再発防止やサービス改善に努める内容につなげましょう。

平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
株式会社○○の○○と申します。

この度はご購入いただいた弊社商品の○○に不備があったとのこと、ご不便をおかけし誠に申し訳ございません。
至急、代わりの商品を手配いたします。
つきましては、お受け取り可能なご都合のよい日時をお伺いできれば幸いです。

○○様から頂いた貴重なご指摘を真摯に受け止め、社内で共有し再発防止に努めていく所存です。

ご迷惑をおかけいたしましたこと、重ねてお詫び申し上げます。
今後もご愛顧のほど、心よりお願い申し上げます。

お詫びの上で詳細な説明が必要と判断した場合は、専門用語を使わず分かりやすい言葉を用いるのがポイントです。具体例を出すなど、誤解を招く内容にならないように注意してください。

こちらに非がない場合のクレーム対応メール

自社に非がなく顧客の勘違いによるクレームの場合でも、まずは期待にそえていないことや、不快な思いをさせている現状に対し謝罪しましょう。続いて、事実関係や自社に非がないことを具体的に説明し、顧客の要望に答えられない旨を伝えます。

平素は格別のお引き立てを賜り、心より御礼申し上げます。
株式会社○○の○○と申します。

この度は、弊社サービスをご利用いただき誠にありがとうございます。
サービスに関する十分なご説明ができておらずご不便をおかけしていること、大変申し訳ございません。

ご指摘いただいたサービスにつきましては、ご予約ページに記載しております通り、先着順での対応とさせていただいております。
そのため、大変恐れ入りますが受付番号の変更はできかねます。
何卒ご理解いただきますようお願いいたします。

この度いただいたご指摘は社内で共有し、サービスに関する詳細をより分かりやすくお伝えできるよう対策する所存です。
今後とも変わらぬご愛顧のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。

顧客の要望をお断りする内容になるため、言葉遣いには十分注意が必要です。終始やわらかく丁寧な印象の文面になるよう心がけてください。

クレーム対応時のNG行動

クレームで怒る様子

クレームの対応方法次第では、顧客の納得を得るどころか状況を悪化させてしまう可能性が否定できません。クレーム対応時にはどのような言動を避けるべきなのか事前に把握し、実践に役立てましょう。

ここでは、クレーム対応時のNG行動を4つ紹介します。

相手の話を遮る

クレーム対応中は一方的に責められたり、きつい言葉を言われたりする可能性がありますが、話の途中で反論してはなりません。相手の話を遮るのは禁物です。最後まで話を聞く「傾聴」を心がけましょう。

傾聴とは、相手に共感しながら意見を受け止める姿勢で話を聞くことです。共感を示しつつ相手の話を聞くと、感情的になっている顧客にある程度落ち着いてもらえます。

話の途中で「はい」や「さようでございますか」といった相づちを入れるのは有効です。対面の場合は、頷いたり体ごとしっかりと相手と向き合ったりすると、より聞く姿勢を示せます。

相手の言葉を否定する

クレーム対応では、基本的に相手の話を受け止め不満を感じている点に対し、謝罪する姿勢をもつのが大切です。相手の言葉に対して否定で返すと、話を受け止める姿勢にはならないため注意しましょう。たとえば、要望に添えないことを伝えたい場合は、「できかねます」と言った上できちんとお断りする理由を説明する必要があります。

また「○○でなければ、○○できません」などの言葉遣いは二重否定にあたります。より強い拒絶を感じさせてしまうため、「○○していただければ、○○が可能です」といった肯定を意識した言い回しを心がけましょう。

相手を待たせる

クレーム対応で相手を待たせる行為は、不満や怒りをさらに大きくさせる原因となります。話をうまく聞き出せなくなったり、解決策を受け入れてもらうのが困難になったりする可能性があるため、早急な対応を心がけましょう。

下記のような場面では顧客をそのまま待たせずに、早い段階で折り返しの連絡を提案するのが基本です。

・確認に時間がかかる
・すぐに回答できない
・担当者が不在

折り返しの連絡も遅くなると、相手の不満や怒りが大きくなる可能性があります。可能な限り早めに折り返す、もしくはどの程度で折り返しの連絡ができるのか、あらかじめ伝えるのが大切です。

NGワードを使う

誤った言葉遣いや伝え方は、相手の神経を逆なでしたり誤解を招いたりするため注意が必要です。特に下記のような言葉は、注意すべきNGワードにあたります。

ビジネスシーンに適さない言葉 ・(少々の意味で)ちょっと
・でも
・だから
・それはですね
間違った敬語 ・よろしかったでしょうか?
・了解しました
・なるほど
疑う言葉 ・本当ですか?
・そうなんですか?
曖昧な言葉 ・多分
・おそらく
・だと思います
否定する言葉 ・お言葉ですが
・何度も申し上げておりますが
・そうはおっしゃられても
言い訳に感じる言葉 ・私の担当ではありません
・こちらにも事情がありまして

間違った敬語は、丁寧に対応しようとするあまり使用してしまうケースが多い言葉です。相手を不快にさせる原因になるため、正しい言い回しを身につけましょう。

上手なクレーム対応のポイント

丁寧なクレーム対応

クレーム対応をスムーズに行うには、下記のポイントを意識してください。

・相手の気持ちに共感する
共感する姿勢を示すと、顧客の気持ちに寄り添おうとしているのを伝えられます。適度な相づちやメモをとる、聞いた話を要約するなども効果的です。

・平常心で対応する
感情的になっている相手に慌てて対応しようとすると、適切な判断や回答ができません。平常心を保つように心がけることで、重要な内容を聞き逃さず落ち着いて対応できます。

・クレーム発生時の体制を整えておく
クレーム対応の最終責任者や重要事項の対応者などの体制を整えておくと、スムーズな対処に役立ちます。クレームに対してすぐに回答できる範囲や、管理者の確認が必要な事項なども取り決めておきましょう。

・対応後は振り返りをする
クレーム対応が適切であったか、よりよい対応方法はなかったかなどの振り返りも重要です。上司やクレーム対応経験が豊富な第三者の意見を聞くと、クレーム対応スキルの向上につなげられます。

また、クレーム対応の参考として、カルビーのお客様相談室の取り組みを知るのもおすすめです。カルビーでは、クレームは「処理する」ものではなく、顧客と「コミュニケーションをとる機会」だという認識をもっています。質問への回答のみで対応を済ませず、対応する中で顧客の真意を知ることを重視している方針です。

一人ひとりに寄り添ったコミュニケーションで状況を把握し、それぞれに合ったお詫びをすることで、丁寧で誠実さが伝わる対応になっています。結果的に多くのファンの獲得につながっているカルビーのクレーム対応方針は、顧客対応を行うさまざまな現場の参考として役立ちます。

※出典:THE CALBEE「カルビーお客様相談室のファンづくり」

実際のケースで学ぶ ハードクレーム対応研修

アンガーマネジメントを活用した クレーム対応研修

まとめ

クレーム対応は企業にとって顧客満足度を高める重要な機会です。適切な対応を行い、顧客の信頼を得ることができればリピーターになってもらえる可能性もあります。クレーム対応時は、顧客の気持ちに寄り添い、迅速かつ丁寧に対応することが大切です。

また、対応後の振り返りを通じてスキルを向上させ、さらなるサービス改善に努めましょう。クレームを「処理」するのではなく、顧客との「コミュニケーションの機会」と捉えて正しい対応方法を身につけると、企業の成長につながります。

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