企業研修

研修報告書の書き方!すぐに使えるテンプレートや書くポイントも

新人研修報告書

この記事は2024.5.7に公開した記事を再編集しています
2025年6月25日更新

企業が研修を行うのは、単にやって満足するだけでなく、研修内容を業務に活かしてほしいためです。したがって、研修の理解度はどの程度なのか、参加者がどのような知識を得て仕事に活かせるのか、研修の投資対効果は高いのか、などを確認する目的で、研修報告書が活用されます。研修報告書がただの感想文にならないよう、研修受講者には書き方を伝えて学びを言語化してもらうことが大切です。

この記事では研修報告書を書く目的や書き方のポイント・テンプレートおよび例文を解説します。HR担当者および研修報告書の書き方に悩んでいる方はぜひご一読ください。

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研修報告書とは

報告書を上司に提出する女性社員

研修報告書とは、研修受講者が研修の概要や学んだこと、所感などをまとめた文書です。企業によっては「研修レポート」など、別の呼び方を使う場合もあります。

研修報告書には、研修を受講した側が書くものと、実施した側が書くものの2種類あります。研修の主催者側が作成する報告書は「研修実施報告書」と呼ばれ、研修の企画・運営内容や参加者の反応、改善点などを記録します。基本的に「研修報告書」と言う場合は、受講者が作成する「研修受講報告書」を指すのが通例です。

提出先は、受講者側の場合は人事担当者や上司、実施した側の場合は管理部門や経営層となるのが一般的です。研修報告書のフォーマットや書類の名称は企業によって異なるものの、研修をただ実施しただけで終わらせないために必要な書類という点は共通しています。

研修報告書を書く目的

研修報告書を書く主な目的は、以下の3つです。

・研修の効果検証
研修は目的ではなく手段であり、研修を通して受講者自身の知識・スキルを向上させることが重要です。そのため、研修実施者は研修によってどのような効果が得られたかを検証する必要があります。研修報告書を通して受講者側の理解度や成果、研修内容と受講者のレベルにズレはないかなどを確認し、課題があれば改善することで、研修の質のさらなる向上が可能です。

・管理職や教育担当者との研修内容の共有
研修報告書作成の目的の1つとして、研修で得た知見を、管理職や教育担当者をはじめ組織全体で分かち合うことが挙げられます。研修受講者だけではなく、研修に参加していない人とも情報共有ができれば、組織全体の成長が促進されるでしょう。

・研修受講者の行動変容
研修で得た学びは、実務で活かされてこそ意味があります。研修報告書は研修内容を実務でどのように活かすかの宣言書にもなり、管理職に共有されれば行動変容のサポートもしやすくなります。

研修報告書の書き方

書き方と記された付箋

研修報告書の書き方は、読み手に内容が伝わりやすいよう一定の形式が定着しています。ここでは、一般的な構成に沿って、研修報告書を効果的にまとめる方法を順に解説します。

研修の概要・内容を箇条書きで列挙する

研修報告書では、まず研修の概要を簡潔に示します。以下のように、概要は箇条書き形式で記載しましょう。

提出日:20XX年○月○日
所属部署:営業部 第一課
氏名:愛石太郎
研修名:新入社員ビジネスマナー研修
実施日:20XX年△月△日(1日間)
実施場所:本社会議室
主催者:人事部
講師名:株式会社○○ 研修講師 佐藤氏

研修の概要情報を冒頭に記載することで、誰が・いつ・どこで・何の研修を受けたのかが一目で把握できるため、読み手にとっても親切です。

続いて、研修内容についても箇条書きで記載します。以下はビジネスマナー研修の例です。

・ビジネスマナーの基本とその重要性
・第一印象が与える影響と改善ポイント
・清潔感ある服装や髪型の具体例
・社会人としての正しい挨拶や言葉遣い
・敬語の使い方と電話応対の実習
・名刺交換の手順と実技練習
・研修内容の振り返りと質疑応答

このように、概要・内容の両方を箇条書きにすることで、報告書が読みやすくなり、確認や共有もスムーズになります。実習やディスカッションがあった場合は、項目を追加して記載しましょう。

学びや成果などの所感をまとめる

所感の欄では、研修で得た学びを振り返り、今後の業務への応用方法を具体的に記載します。たとえば、「報連相の重要性を理解した」「相手の立場に立った言葉選びを学んだ」「クレーム対応時の冷静な対処法を習得した」などの内容が挙げられます。

その上で、「ミス発生時には、事実を整理して早急に上司へ報告・相談するよう徹底する」「顧客対応では感情的にならず、まず相手の話を最後まで聞くよう意識する」といった実務での活用場面も具体的に書きましょう。

研修を通して見えた自身の課題として「緊張すると声が小さくなる」と気づいた場合は、「朝礼や会議で意識的に発言の声量を上げる」など改善に向けた取り組みを書くと、成長への前向きな姿勢が伝わります。単なる感想にとどまらず、今後の業務への意欲や取り組み方を示すことが大切です。

研修報告書のテンプレート・例文

CASE STUDYと書かれたイメージ画像

研修報告書に記載する内容は研修テーマなどによって変わりますが、項目や流れは基本的に共通しています。研修を受講または実施した際に使える研修報告書のテンプレートは以下の通りです。

【研修受講者向けのテンプレート】

報告書作成日20XX年○月○日
氏名愛石太郎
研修日時20XX年△月△日
研修名~~~~
研修内容・~~~~
・~~~~
・~~~~
研修に対する学び・~~~~

【研修担当者向けのテンプレート】

報告書作成日20XX年○月○日
氏名愛石花子
研修日時20XX年△月△日
研修名~~~~
研修内容・~~~~
・~~~~
・~~~~
研修の成果・~~~~
今後の改善点・~~~~

なお、必ずしも上記のテンプレートに沿って記載する必要はありません。企業内でテンプレートが決まっている場合はそれに従ってください。

研修受講者の多くは、研修報告書を書くことに慣れていません。特に新入社員向けの研修の場合、ビジネス文書に関するマナーにまだ自信がない受講者も多く、テンプレートを渡されただけでは戸惑ってしまいます。研修を実施する側は、受講者側に対して研修報告書の書き方をあらかじめレクチャーしておくのがおすすめです。

以下でケース別の研修報告書の書き方・例文を詳しく紹介するので、参考にしてください。

新入社員研修の研修受講報告書の書き方

新入社員研修の受講者は、以下のようにレポートを記入するとよいでしょう。

報告書作成日20XX年○月○日
氏名愛石太郎
研修日時20XX年△月△日
研修名新入社員向けビジネスマナー研修
研修内容・ビジネスマナーの基本
・職場で信頼される言葉遣い
・電話応対の基本
・社会人としてのルールとマナー
・仕事の進め方
・職場での接遇の基本動作
研修に対する学び・例文1
今回の研修では、社会人の基礎となるビジネスマナーを教えていただきました。名刺交換やビジネス敬語、資料作成に関するマナーは学生時代には意識していなかった部分も多く、大変学びの多い研修でした。今後の業務では、今回の研修での受講内容を一つひとつ徹底し、社会人としてふさわしい振る舞いを身に付けられるよう励んでいく所存です。

・例文2
社会人として働く上で欠かせない各種マナーについて幅広く学べました。私が所属する○○部門では電話応対や名刺交換をする機会が多いことが予想されるため、今回の研修での学びをしっかりと活かせるよう励んでいく所存です。

「研修に対する学び」の項目では、研修を通して何を学び、どこでどのように活かすかを具体的に記載するとよいでしょう。

マネジメント研修の研修受講報告書の書き方

マネジメント研修を受講した場合のレポートの記入例は以下の通りです。

報告書作成日20XX年○月○日
氏名愛石太郎
研修日時20XX年△月△日
研修名マネジメント研修
研修内容・現在の環境に合ったマネジメントとは
・リーダーに求められる能力
・リーダーシップの種類
・リーダーに必要な思考法
・マネジメントの重要性
・チームビルディング
・労務管理とコンプライアンス
研修に対する学び今回の研修では、リーダーシップには種類があり、人によって最適なリーダーシップが異なることが分かりました。私は支援型のリーダーであり、部下からの提案・指摘を汲み取りながらチームをまとめることに長けていると自覚できたのが大きな学びでした。今回の学びをコミュニケーションやコーチングに反映させつつ、持続的に成長できるチームの構築を目指します。

管理職向けの高度な研修でも、新入社員研修の場合と同じく、「何を学び、どう活かすか」を書くという点は変わりません。

研修担当者向けの研修受講報告書の書き方

研修担当者のレポートも、受講者側と同じく研修の種類によって記載すべき内容が変わります。しかし、研修を通して得た知識・スキルや所感をベースに、テンプレートに沿って記載する点は同じです。今回は、コミュニケーション研修を実施した場合のレポート作成例を紹介します。

報告書作成日20XX年○月○日
氏名愛石花子
研修日時20XX年△月△日
研修名コミュニケーション研修
研修内容・業務におけるコミュニケーションの重要性
・上司・部下との向き合い方
研修の成果ケーススタディを実施して、社内でよい人間関係を構築することの重要性や上司・部下との向き合い方を解説しました。X月X日までに受講者30人全員のレポートの提出が完了したことを確認しました。研修後のアンケートでは、研修の実施内容に対する満足度は70%とおおむね好評であり、満足と答えた受講者全員がコミュニケーションに関する不安が軽減したと回答しています。
今後の改善点研修内容に満足していない30%の受講者については、今回実施したケーススタディが、自分のケースと当てはまらないと感じている人の割合が多い傾向があります。今回準備したケーススタディは事例が限定的だったため、今後は取り扱う事例を増やし、より多くの受講者にとって有意義な研修となるよう改善に取り組む所存です。

研修担当者は特に研修の成果報告を求められるため、報告書では研修後のアンケートや参加者の報告書を鑑み、定量的な成果に基づいた客観的な書き方をするのがポイントです。

わかりやすく書く力研修

【研修報告書】書き方のポイント

POINTと書かれた用紙

研修報告書は、単に内容を並べるだけでなく、読み手にとって分かりやすく配慮された構成が求められます。ここでは、伝わる報告書に仕上げるための具体的な書き方のポイントを紹介します。

研修の目的や成果を明確にする

研修報告書では、研修の目的や期待される成果を明確に記載しましょう。研修のねらいや受講の背景を冒頭で示すことで、報告書全体に一貫性が生まれ、読み手も意図を把握しやすくなります。

また、得られた結果や実務への効果も具体的に記述しましょう。たとえば、「クレーム対応研修を通じて、顧客の不満を受け止めつつ冷静に対応する方法を習得し、現場ではクレーム発生時に相手の感情に寄り添った言葉を選ぶよう意識するようになった」など、実務への活用例を盛り込むと、研修報告書の説得力が高まります。目的・結果・効果の三点を意識して記載することで、読み手に価値が伝わる研修報告書になるでしょう。

読み手に伝わりやすい表現にする

研修報告書を読み手に伝わりやすくするには、「結論ファースト」を徹底し、その後に理由や具体例を加える書き方が効果的です。たとえば「クレーム対応には初期対応の速さが重要だと学んだ」と最初に記載することで、何を伝えたいかが明確になり、内容の理解が深まります。文章は「一文一義」を心がけて60文字程度を目安に短くまとめ、冗長な修飾語や曖昧な表現は削除しましょう。

また、「基本的に」「とても」「しっかりと」などの言葉は具体的な数値や行動に置き換えるようにします。「多くの学びがあった」よりも「3つのポイントを習得した。特に○○の場面で活用したい」と、「とても勉強になった」よりも「名刺交換の流れを繰り返し練習できたことで自信がついた」と書くほうが説得力が増します。何を書くべきか迷った際は、読み手が上司かチームかを想定して研修内容を整理するとよいでしょう。

定量情報も使って客観的に述べる

研修報告書は単なる感想文ではなく、客観的に内容を伝えるビジネス文書です。伝えたい内容に説得力を持たせたいときは、定性的な感想に加えて、数字などの定量情報を積極的に取り入れる書き方が有用です。

たとえば、「グループワークで活発な意見交換があった」ではなく、「6人グループで1時間のディスカッションを行い、5つの改善提案が出た」という記載にすると、読み手に状況が具体的に伝わります。数字を用いることで、情報の客観的な裏付けとなり、研修報告書の信頼性が高まるでしょう。

読みやすいレイアウトにする

視覚的に整理されたレイアウトは、研修報告書の内容の理解度と信頼性を高める一助となります。行長は30~40文字程度に収め、長文は適宜改行して段落を分けることで、読み手の負担を減らせます。テキストの開始位置や箇条書きのインデントを揃えると視線の流れが整い、内容が伝わりやすくなります。

また、余白や行間を適切に取り、詰め込みすぎないこともポイントです。図表を使う場合は、キャプションを添えて内容を補足しましょう。さらに、フォントサイズや見出しのデザインを統一し、研修報告書全体に一貫性を持たせると、よりプロフェッショナルな印象になります。

A4サイズ1枚に内容をまとめる

研修報告書は、長すぎると読む側の負担となり、短すぎると意欲が伝わらない恐れがあるため、A4サイズ1枚に収めるのが理想的とされています。この「1枚で伝える」スタイルは、トヨタ自動車において企業文化として定着しており、日々の業務報告や提案書も「紙1枚」にまとめて行われています。限られたスペースに情報を整理する過程で、物事の本質を深く考え抜く力を養うことが目的です。

研修報告書をA4サイズ1枚にまとめる際は、情報を「What(何を)・Why(なぜ)・How(どうやって)」で構成し、見出しや箇条書き、図表を活用して要点を明確に伝えるようにしましょう。また、枠や余白を意識することで読みやすさも向上します。A4サイズ1枚に収めるという制約により、本質を見極めて要点を明確に伝える力も養われるでしょう。

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まとめ

研修報告書は研修によってどのような効果が得られたかを検証するために、受講者と研修担当者の双方が書くものです。成果につながる研修をするためにも、研修中にこまめにメモを取っておき、研修の目的を意識して客観的に分かりやすく書くことが大切です。特に研修担当者は定量的なデータに基づいて報告書を書き、次回以降の研修の改善につなげましょう。

ただし、特に新入社員の場合は研修報告書を書きなれておらず、テンプレートを渡されてもどうすればよいのか判断に困るケースがあります。その場合は書き方をあらかじめレクチャーしておく、書き方の例を伝えるといったやり方が効果的です。

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