DX人材で経営課題を解決する!採用の秘訣や育成事例を解説

時代の変化に取り残されないため、日本企業は現在DXによる変革を求められています。もし2025年までにDX推進に成功しなければ、日本社会全体で12兆円の経済的損失が生まれるとされます。意思決定の遅さや技術力不足による競争力の低下といった経営課題をDXによって解決するのに必要な人材が、DX人材です。

この記事では経営者の方に向けて、DX人材が求められる背景や必要となるスキル、大きく不足しているDX人材を確保する方法について解説します。

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DX人材とは

DX人材とは、組織がDX推進をはかる上で欠かせない、さまざまな職種の人材の総称です。DXの推進というと、エンジニアなどIT関連の技術者が人物像として思い浮かぶ方も多いのではないでしょうか。ただし、組織全体でDX推進に取り組む場合、技術系スキルと広範なビジネススキルの双方を有した人材も必要です。

具体的なDX人材として、下記の業務を担う方があげられます。

人材の類型役割
ビジネス
アーキテクト
DXの取組みにおいて、ビジネスや業務の変革を通じて実現したいこと(=目的)を設定した上で、関係者をコーディネートし関係者間の協働関係の構築をリードしながら、目的実現に向けたプロセスの一貫した推進を通じて、目的を実現する人材
データ
サイエンティスト
DXの推進において、データを活用した業務変革や新規ビジネスの実現に向けて、データを収集・解析する仕組みの設計・実装・運用を担う人材
サイバー
セキュリティ
業務プロセスを支えるデジタル環境におけるサイバーセキュリティリスクの影響を抑制する対策を担う人材
ソフトウェア
エンジニア
DXの推進において、デジタル技術を活用した製品・サービスを提供するためのシステムやソフトウェアの設計・実装・運用を担う人材
デザイナービジネスの視点、顧客・ユーザーの視点等を総合的にとらえ、製品・サービスの方針や開発のプロセスを策定し、それらに沿った製品・サービスのありかたのデザインを担う人材

※出典:経済産業省「デジタルスキル標準」

DXプロジェクトを円滑に進めるためには、主導したり進捗を管理したりするビジネスアーキテクトが必要です。直接プログラミングを行うことがなくとも、セキュリティやデザインなど重要な要素を担う層もDX人材に含まれます。

DX人材が求められる背景

DX人材は、企業の規模を問わず多くの業界で求められています。DX人材が求められる背景として、2025年の崖問題があげられます。

2025年の崖問題とは、DX推進が行われなかった場合に予測される大々的な経済損失のことです。経済産業省の予測によると、損失額は最大12兆円にも及ぶと考えられています。

※出典:経済産業省「DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」

手掛けた人材が退職してブラックボックス化した既存システムが増えると、企業は収集したデータを十分に活用できません。仮に問題なく運用できたとしても、部門ごとに独立して使用されていたり、メーカーの製品サポートが終了したりすれば組織全体のDX推進を阻害します。経済損失のリスクを軽減するためには、DX人材による組織のDX推進が必要です。

また、消費行動や働き方の変化も影響を与えています。オンラインサービスの充実や新型コロナウイルス感染拡大により、人々の消費行動や働き方が大きく変化しました。リモートワークの導入や通信販売、ストリーミングなど、企業にはオンライン上での消費行動や働き方に対する適応が求められています。

DX人材に求められるスキルや能力

DX人材には、下記のスキルや能力が求められます。

・ITに関する基礎知識
・AIなど最新技術の知識
・UIやUXに関する知識
・マネジメント能力
・事業を企画・構築する能力
・何度も試行錯誤できる能力

DX推進は多くの人材が関わるため、必ずしもプログラミング能力が求められるとは限りません。ただしいずれの業務を担当する場合も、ITに関する基礎知識は必要です。

企画やデザインを担う場合はAIなど最新技術や機能・サービスの情報に敏感であり、ユーザー目線でUI/UXを考えられる人材も求められます。

また、プロジェクトの中心人物ともなると、メンバーをまとめるマネジメント能力や企画力などがなければ務まりません。加えて、DXをこれから推進しようとする企業には未知の物事が起こるため、失敗を恐れず試行錯誤できる能力もあればなお望ましいと言えます。

【事例付き】不足するDX人材を確保する方法

情報処理推進機構(IPA)が発表した資料によると、日本はアメリカと比べてDX人材の量が大幅に不足していることが分かります。調査に対して不足していると回答している企業は、「やや不足している」も含めると80%以上に及びます。

アメリカとの比較は、下記の通りです。

【DX人材の量】

人材の類型役割役割
やや過剰である1.3%18.3%
過不足はない9.6%55.1%
やや不足している33.9%19.3%
大幅に不足している49.6%3.3%

※出典:情報処理推進機構「DX白書2023」

【DX人材の質】

日本アメリカ
過不足はない6.1%50.8%
やや不足している34.4%37.5%
大幅に不足している51.7%7.6%

※出典:情報処理推進機構「DX白書2023」

日本の特徴は、人員数そのものが不足しているのみならず、質に対しても大幅な不足を認識している企業が多いことです。上記の通り、調査ではDX人材の質について日本企業の半数が「大幅に不足している」と回答しています。

オンラインサービスやIT技術を活用した業務が浸透しつつある現在において、DX人材の不足は大きな課題です。見方を変えると、早急にDX人材を増やしたり質を向上させたりすることに努めれば、企業のサービス・業務ともに成長が期待できます。

DX人材を採用する|効果的な採用の秘訣

DX人材を獲得する方法の1つは、採用です。DX人材を採用するメリット・デメリットは、下記の通りです。

DX人材を採用するメリット・方向性をブレさせずにDX推進できる
・自社の事業や仕事内容に合ったDX推進ができる
・社内にノウハウを蓄積できる
DX人材を採用するデメリット・新卒採用は教育できる人材が必要
・中途採用はコストがかかりやすい
・社内の知識や経験のみでは限界がある
・DX人材が不足しており採用難易度が高い

新卒採用の場合、社内に人材育成を担える人材や受け入れ体制が必要です。ただし時間をかけて教育すれば、自社の方向性や理念を理解した人材がDX推進に関わることとなり、途中でブレが生じる心配はありません。各事業部や職種の仕事内容、抱える課題を理解した上でDX推進に取り組むため、現場のニーズにマッチしたソリューションを選択できます。

ただし社内の知識や経験のみでは、技術革新に限界が生じるおそれがあります。定期的に新しい知識や技術を取り入れられるよう、体制の整備が必要です。加えて、日本では現状DX人材が大きく不足しており、優秀なDX人材を採用する難易度は企業にとって高いと言えます。

すでにDX人材の採用・育成に取り組んでいる企業の成功事例として、味の素のケースを紹介します。味の素では、社員が知識や技術を身に付けられるように、DX人材用の部門が設置されました。

※出典:味の素株式会社「味の素グループのデジタルトランスフォーメーション(DX)」

中には、入社して間もなく重要なデータマネジメント業務を任されている人材もいます。味の素の成功事例から、DX人材が学んだり働いたりしやすい環境を整えた企業には、狙い通りの求職者が集まることが分かります。

DX人材をアウトソーシングする

2つ目の人材確保の方法は、アウトソーシングサービスを利用することです。DX人材をアウトソーシングするメリット・デメリットは、下記の通りです。

アウトソーシングするメリット・社内の人的リソースを割かずに済む
・プロの知識や技術を借りられる
・コスト削減が期待できる
アウトソーシングするデメリット・セキュリティ上の不安がある
・社内にノウハウが蓄積できない
・コスト削減できない場合もある

ITのプロに外部委託することで、社内の人的リソースをDX推進に割かずに済みます。改めて人材を育成したり採用したりする必要がなく、本来のコア業務に集中してもらえるため、生産性を下げる心配がありません。育成や採用に関する、コスト削減にもつながります。

一方で、外部に委託すると情報漏洩などセキュリティ上の不安が生じます。また、社内にノウハウが蓄積されない点にも注意が必要です。事前に目的の共有や定義づけが不十分な場合、誤った施策に時間やコストをかけるおそれもあり、必ずしもコストパフォーマンスに優れるとは限りません。

長期的に見ると、一時的なコストがかかりつつも社内にノウハウを蓄積できる採用や人材育成のほうがメリットは大きいと言えます。DX人材不足の課題解決にもつながります。

DX人材の育成|育成のコツは?

DX人材を増加させるためには採用のみに頼らず、育成環境を整え、既存の従業員のリスキリングに取り組むのも大切です。リスキリングとは、新たな業務や職種を担えるよう、社内の人材に新しいスキルを獲得させることを指します。DX人材を育成するメリットとデメリットは以下の通りです。

育成するメリット・社員のスキルを底上げできる
・採用コストがかからない
・方向性をブレさせずにDX推進できる
・自社の事業や仕事内容に合ったDX推進ができる
・社内にノウハウを蓄積できる
育成するデメリット・時間がかかる
・教育コストがかかる

DX人材を育成するメリットは、現在DXについてのスキルが不足している層のスキルを底上げできる点です。競争力を失いつつある事業の人材をリスキリングし、適切な部署に再配置すれば、自社の方向性に合った形でDX推進が可能になります。

また、すでにDXスキルを持っている人材を採用するのは高コストですが、社内の人材を育成すれば社内でノウハウを蓄積しながら、採用コストも削減できます。

ただし、デメリットとして教育に費用も時間もかかるため、リスキリングのプランを立て、長期的に人材育成に努めることが重要です。

社内に教育できる人材がいる場合は、DX部門を任せる候補者をつけて、OJTで業務に取り組みつつ学ばせる方法が効果的です。知識やスキルを身に付けさせるのみならず、座学で自社の方向性や目的を共有して個々のマインドセットを行いましょう。

キリンホールディングスによる自社独自の取り組みは、DX人材のリスキリングに成功した事例の1つです。「キリンDX道場」と名付けた教育プログラムを、自社グループ従業員を対象に開講しました。

※出典:キリンホールディングス株式会社「DX人材育成プログラム「キリンDX道場」を7月から開校」

社内のデジタル・ICT部門やパートナー企業と作成したカリキュラムにより、自社の方向性にブレを生じさせることなくDX人材を育成できる制度を整えています。

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DX人材を確保するための企業の課題

DX人材を確保するためには、企業が抱えている多くの課題を解消しなくてはなりません。DX人材に関する課題として、下記の5つがあげられます。

・DXの必要性を経営層が認識できていない
・DXに向けた経営戦略がない/足りない
・デジタルビジネスやサービスに取り組もうとしていない
・デジタル人材のモチベーションを高める取り組みがない
・どのようなスキルがある人材を育成すればよいのか分からない

現場がDXの必要性を実感していても、経営層が認識できていなければ、予算や人材をさけません。従業員にDX推進の意識を浸透させるのみならず、経営層も必要性を認識して、効果的な経営戦略を検討することが大切です。

現状が安定している場合、デジタルビジネスへの取り組みに躊躇しやすくなります。しかし商品開発に加えて求人でもデジタルサービスが浸透しつつある現代では、時代に取り残されるリスクが懸念されます。

デジタル人材の確保やモチベーション向上にもつながるように、経営層や組織全体がDX推進に積極的に取り組み、体制を整えましょう。

上記の課題を解決するためには、外部講師を招いて研修を受けることをおすすめします。新しい技術や知識を自社の従業員が身に付けられれば、より効果的なDX人材の増加につながります。

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まとめ

2025年の崖問題や、消費行動・働き方の変化により、企業にとってDX推進および、推進のためのDX人材確保は急務です。ただし、日本においてDX人材は不足しており、DX人材は新規採用が難しい現状があります。したがって、DX人材のリスキリングが重要になっています。

リスキリングするにせよ、新規採用やアウトソーシングをするにせよ、DX人材の確保には経営層が意識を変え、従業員を含めて全社的にDX推進戦略を立てることが重要です。また、たとえDX人材のリスキリングや新規採用に成功したとしても、デジタル人材のモチベーションを高める取り組みがなければ、離職を招きます。まずは研修などを活用して、自社の従業員に基礎的な知識を身につけてもらうところから始めましょう。

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