企業研修

「形だけ」の研修はもう終わり!社員の意識が変わるコンプラ研修の作り方

コンプライアンス研修とは?

この記事は2023.11.7に公開した記事を再編集しています
2025年10月27日更新

SNSが発達した現代社会において、コンプライアンス研修の重要度も増しています。モラルの欠如した不適切発言や、粉飾決算・データ偽装などの違法行為といったコンプライアンス違反が原因で倒産する企業は増加傾向にあります。コンプライアンスの失墜は、アルバイトや新入社員だけでなく、管理職や幹部の行動によっても多数発生するため、すべての社員に対してコンプライアンス研修は必要です。

この記事ではコンプライアンス研修とは何か、目的やテーマ・ネタの例、ネタの探し方や研修を成功させる方法について解説します。

コンプライアンス研修とは

コンプライアンス研修とは、法令や社会規範を遵守する重要性や、違反することで生じるリスクを社員に周知し、理解を深める取り組みです。コンプライアンスとは、直訳すると「法令遵守」を意味します。企業におけるコンプライアンスは、経営理念や就業規則のほか、法律、社会規範、社会道徳まで広く含む概念です。

コンプライアンス研修は、多くが以下のような目的を持って実施されます。

・各企業が目指すコンプライアンスの意図を明確にする
・企業運営に必要な法令やルール、マナーを共有する

企業コンプライアンスは業種によって重要となる法令や規範が異なります。自社の社員が何を守るべきなのか明確にし、浸透させるのが、コンプライアンス研修を実施する目的です。

コンプライアンス研修を実施すると、次のようなメリットがあります。

・社会通念や経営理念が社員に浸透する
・コンプライアンスを遵守する対象者に自覚が生まれる
・コンプライアンス違反によるリスクが回避できる

コンプライアンス研修の実施によって、社会人としてのマナーから各企業の経営理念、リスク管理まで全社員を対象とした社内共通認識を持てます。その結果、コンプライアンス違反の危険性を減らすことが可能です。

コンプライアンス研修が必要な理由

コンプライアンス研修は、下記のような理由から近年では特に重要とされている社員研修の1つです。

コンプライアンスの範囲が広くなっている
コンプライアンスの範囲は一定ではなく、社会の変化によって範囲が拡大します。コンプライアンスへの認識不足から、自覚のないまま違反するケースも多発しています。
SNSなどにより瞬時に不祥事が拡散される
SNSの普及により、情報伝達のスピードが格段に早くなり、コンプライアンス違反が起こるとあっという間に不祥事が拡散されます。
コンプライアンス違反が原因の倒産が増えている
粉飾や汚職、産地偽造といった業法違反や法令違反、脱税など、コンプライアンス違反による倒産が増加しています。

特に、SNSの発達を原因とするコンプライアンス違反の発覚・拡散は、企業に大きな打撃を与えるため、コンプライアンス研修の重要性が増しています。

SNSはさまざまな情報をリアルタイムで入手できるのがメリットです。しかし、情報伝達の早さから、従業員の問題行動や、ジェンダーギャップを感じさせるコメントなどがSNSによってあっという間に広がり、炎上する事例が多発しています。

ひとたび情報がSNS上に広がると、消去するのは不可能です。企業は、いつ発生するか分からず、対応の遅れが企業経営に大きなダメージとなる可能性のあるコンプライアンス違反に向き合わなければなりません。

『コンプライアンス違反とは?具体的な事例や発生する理由を解説』について詳しくはこちら

コンプライアンス研修の対象者

コンプライアンス研修は、経営者や幹部だけでなく、すべての従業員を対象とする必要があります。

不祥事やトラブルは、組織のどの階層からでも起こり得るため、全員が共通の認識を持つことが大切です。特に経営層は企業文化を方向づける立場として率先して模範を示し、管理職は現場で部下に意識を浸透させる役割を担います

また、一般社員や新入社員も日常業務で法令や社内ルールを実践する中心的な存在であり、早期からの教育が求められます。派遣やパート、海外拠点の従業員も含め、組織に属するすべての人に研修を行うことで、全社的なコンプライアンス体制を築くことができます。

『管理職研修はなぜ必要?役職や能力別におすすめの研修内容を解説』について詳しくはこちら

コンプライアンス研修の目的

『purpose』と書かれた板を持つ手

コンプライアンス研修は、形式的に実施するのではあまり意味がありません。社内におけるコンプライアンスへの意識不足を防ぐために、はっきりとした目的を掲げた研修を展開するのが効果的です。

コンプライアンス対策は、大きく分けて3つの目的で実施されます。下記では、コンプライアンス研修の3つの目的を解説します。

法令や社会的なルールを教育する

社員のコンプライアンス違反を防ぐために、まずは法令や社会的なルールを認識してもらうのが大切です。特に新入社員は、社会規範やマナーへの理解が不足しています。コンプライアンス教育により、社会人としてふさわしい行動を意識づけることが可能です。

また、コンプライアンス研修は、企業の一員として適切な情報発信を指導する場でもあります。個人でSNSを利用する場合とは異なるSNS運用が必要なこと、顧客情報や社内機密情報の管理に注意が必要なこと、などを指導する機会として有効です。

コンプライアンス違反のリスクマネジメントをする

コンプライアンス研修は、コンプライアンス違反のリスクマネジメントをする役割があります。コンプライアンス違反が発生すると、社員個人だけの問題では収まりません。所属する企業が社会的責任を負うだけでなく、対応によっては企業イメージに重大な損害を及ぼす可能性もあります。

コンプライアンス研修は、実際にコンプライアンス違反が発生した状況を想定して、実際と同様の対応を演習する貴重な機会です。具体的なシミュレーションによって、コンプライアンスに対する社員への自覚を促します。

企業の価値を向上させる

コンプライアンス研修には、企業の価値を向上させる効果があります。企業に所属するメンバー全員がコンプライアンスに共通の価値観を持てば、安全管理の徹底や不正撲滅への意識が高い環境が生まれます。

コンプライアンスへの意識が低い企業では、正確性や安全性、透明性といった意識が社員やアルバイトに浸透しません。アルバイト社員によるいわゆる「バイトテロ」が原因で店舗が閉店に追い込まれるなど、意識の違いが企業ブランドを失墜させるといった事例が多発しています。

また、企業全体のコンプライアンス意識が欠如した結果、粉飾決算や助成金などの不正受給、談合、商品性能の偽装などが起き、経営陣が逮捕される事例も複数存在します。大手自動車メーカーのリコール隠しや、大手光学機器メーカーの500億円超の粉飾決算などは、有名な事例です。

企業を挙げてコンプライアンス意識を高めれば、築いてきた社会的な信頼を失うことなく、企業価値を上げられます。

経営理念や価値観を共有するため

コンプライアンス研修は、単に法令遵守を学ぶ場にとどまらず、経営理念や組織の価値観を社員に浸透させる役割も果たします。経営理念とは、創業の精神や企業使命、社会的役割を明文化したものであり、従業員の行動を導く「羅針盤」となります。研修を通じて「この行動は理念に沿っているか」と自ら問い直す習慣を持つことで、日常業務において自然と理念を意識した行動が取れるようになります。

また、行動規範やクレドを取り入れることで、経営理念を抽象的な言葉ではなく、日常の行動指針として理解しやすくなります。たとえば「お客様第一」という理念を、具体的に「必ず挨拶をする」「約束は守る」といった行動に落とし込むことで、社員は迷うことなく実践できます。こうした共通の行動ルールを持つことで、職場全体に一体感が生まれ、社員が「自分はこの組織の一員だ」という意識を持ちやすくなります。

風通しの良い職場環境を作るため

コンプライアンス研修を行い、ルールや倫理観を全社員が共通認識として持つことは、風通しの良い職場環境づくりに直結します。職場で「何が正しい行動か」が明確になれば、従業員は安心して意見を述べたり、疑問や懸念を共有したりできるようになります。このような透明性の高い環境では、潜在的な問題も早期に発見されやすく、トラブルを未然に防ぐ効果が期待できます。

意見を尊重し合える雰囲気は従業員の信頼感や帰属意識を高め、働きがいにもつながります。結果として、組織全体の協力体制が強化され、生産性や創造性の向上にも寄与します。

コンプライアンス研修のテーマ・ネタの例

『CASE』と書かれたブロック

コンプライアンスの内容は年々増加しています。研修で取り上げるべきテーマも多岐にわたるのが実情です。ここからは、効果的なコンプライアンス研修を実施するために、どのようなテーマ選びが求められているかを解説します。

自社にとって重要な法令をテーマにする

業種によって必要となる法令は異なります。コンプライアンス研修では、自社にとって特に重要な法令をテーマにすることが大切です。

テーマを選ぶ理由企業運営に必要となる基本的な法令知識を学ぶため
主な研修内容・個人情報保護法
・労働基準法
・知的財産法
・著作権
・下請法

コンプライアンスを意識した体制を作るには、法令への理解が不可欠です。複雑になりがちな法令について、個別対応ではなく体系的に法令を学ぶ機会が必要になります。社員やアルバイトに興味を持ってもらうため、基本的な法令知識を伝える研修のほか、各部署に関連のある法令を学ぶ場を設けるのもおすすめです。

ハラスメント対策をテーマにする

コンプライアンス研修では、ハラスメント対策をテーマに取り上げることも重要です。ハラスメントには、さまざまな種類が存在します。企業に所属するメンバー1人ひとりが認識し、ハラスメントを防ぐと同時に、ハラスメントが企業に与える損害についても学ぶ場を作ります。

テーマを選ぶ理由企業運営にダメージを与えるようなハラスメントについて認識を深めるため
主な研修内容・ハラスメントの種類
・ハラスメントがもたらす影響
・ハラスメント予防
・ハラスメントが発生した場合の対処法
・ハラスメント行動チェック

ハラスメントは、加害者が自覚を持たないまま発生し、問題が深刻になるケースが少なくありません。ハラスメント研修では、参加者がイメージしやすい事例学習をメインとし、日常の行動から意識づけをするようなカリキュラムを設けるのがおすすめです。

ハラスメント予防研修


SNSコンプライアンスや情報セキュリティをテーマにする

コンプライアンス研修では、SNSへのコンプライアンスや情報セキュリティへの認識は欠かせないテーマの1つです。安易なSNS投稿や機密情報の取り扱いは、思わぬリスクに発展する可能性があります。

テーマを選ぶ理由SNSの不適切な投稿や情報漏洩のリスクを理解し、モラルや情報リテラシーを高めて炎上を防止するため
主な研修内容・不適切なSNS投稿や情報漏洩の危険性を知る
・具体的な不適切投稿の事例を検討する
・個人情報や機密情報の種類、保護の重要性を学ぶ
・炎上や情報流出が起きた場合の対応を理解する

企業内の機密情報や、顧客などの個人情報が瞬時に共有できる社内システムを利用している企業は少なくありません。テレワークの普及に伴い、社内セキュリティの保護下から離れて業務を進めることが増えたため、情報漏洩の危険性は増しています。在宅勤務を取り入れている企業では特に、社員1人ひとりが情報管理への関心を高められる個人情報保護研修が意味を持ちます。

また、SNSは今や身近な情報共有の手段です。気軽に投稿できるからこそ、投稿内容には十分にコンプライアンスを意識する必要があります。たとえば、アルバイト社員が業務用冷蔵庫内にふざけて入った光景を撮影し、SNS上に投稿した事例では、店舗が閉店に追い込まれています。また、企業の取締役が女性への差別発言をSNS上で行い、解任されるなど、SNSのコンプライアンス違反はアルバイトや新入社員だけの問題ではありません。若い世代だけでなく、管理職や幹部に対してもSNSコンプライアンス研修は必要です。

情報セキュリティ&メールのマナー研修


自社の規定や社内ルールをテーマにする

自社の規定や社内ルールをテーマにすることも、コンプライアンス研修の主眼です。社内規定や就業規則は、企業内の労働者にとっての指針であり、労使間のトラブルが生じないように定められています。

テーマを選ぶ理由社内ルールを共有し、労使間のトラブルを回避する
主な研修内容・企業理念や就業規則、服務規律、賃金規定などの社内ルールを共有する
・規定が守られなかった場合のリスクを知る
・社員やアルバイトとしての権利を確認する

労働時間や賃金規定、人事、服務規律など、どのような規定があるのかを共有することは、労働者個人の権利と義務を明確にします。その結果、社員としての自覚が生まれ、社内のコンプライアンス強化にもつながります。

コンプライアンス研修のネタ選びの方法

『選び方』と書かれた用紙

コンプライアンス研修に取り上げるべき研修テーマは幅広く、どのような内容を研修に選ぶべきか迷う状況も多くあります。コンプライアンス研修の題材選びに困ったら、以下のような点を考慮して選択することが大切です。

同業他社の事例から選ぶ

コンプライアンス研修の題材を、同業他社の事例から選ぶのは手軽で確実な方法です。同業他社であれば、同じような問題やリスクを抱えているためです。関心のあるテーマを研修の題材にすると、受講者の学習意欲が高まり、効果的な学びが得られます。

また、特に起こりそうな事例を交えて研修すると、実務に応用しやすいというメリットがあります。社員のコンプライアンス意識を高められるように、身近な事例から学ぶ機会を作るのがおすすめです。

省庁や関係団体から探す

コンプライアンス研修の題材として、省庁や関係団体からテーマを探すのも得策です。省庁や関係団体では、コンプライアンスに関する情報がホームページで公開されています。

まずは、どのようなコンプライアンス違反事例が掲載されているのかを確認してみましょう。自社でも起こり得るような内容を研修に取り入れると、受講者に分かりやすく、関心を持たれるような研修内容を組むことができます。

専門家からアドバイスを受ける

専門家のアドバイスを受けることは、効果的なコンプライアンス研修への近道です。やみくもに研修を実施しても、有効な研修にはつながりません。研修を主催する会社やコンサルタントなどの専門家に相談すると、専門家ならではの意見を交えたアドバイスがもらえます。

専門家を交えると、企業の実情に合ったポイントから研修のテーマを組めるのがメリットです。また、経営者視点では得られない最新の研修内容や、有効な研修方法などの情報を得られる場合もあります。

コンプライアンス研修の流れ

step1~step3と書かれた画用紙

コンプライアンス研修は、受講者の理解度を把握することから始まり、目的の明確化、カリキュラムの策定、基礎知識の共有、実践的なケーススタディ、成果の振り返りと評価へと進みます。体系的な流れを踏むことで、効果的な学習と定着が可能になります。

以下では、コンプライアンス研修の流れについて解説します。

受講者の意識・認識レベルの把握

コンプライアンス研修を効果的に進めるためには、受講者が現時点でどの程度知識を持ち、どのような意識を抱いているのかを把握することが大切です。事前調査を通じて従業員の強みと弱みを見極めることで、研修の内容をより実践的かつ重点的に設計できます。

具体的な調査方法としては、全社員を対象としたアンケートやオンラインテストの実施が挙げられます。また、上長と部下との面談を通じて、実務で直面している課題や意識の差を確認することも有効です。調査結果を分析すれば「知識不足の分野」「改善が必要な企業文化」などが明らかになり、研修の目的や重点を定める基礎データとして活用できます。

研修の目的と優先事項の明確化

受講者の意識や認識レベルを把握したら、研修のゴールを明確にし、重点的に扱う課題を整理しましょう。テーマを決める際には「違反があった場合の重大性」「過去の発生頻度」「リスク顕在化の可能性」「法令上の義務」「従業員の関心度」といった要素を考慮し、優先順位を設定します。

たとえば、発生件数が多く影響も深刻なハラスメントは、管理職を対象に重点的に取り上げる必要があります。また、SNS利用や情報管理などは、全社員に共通して扱うべきテーマとなります。自社の業務に関わる法改正があれば速やかに研修に盛り込み、最新の知識を共有することも不可欠です。優先事項の整理を行うことで研修の方向性が定まり、実効性の高いカリキュラム設計につながります。

研修内容・カリキュラムの策定

研修の目的や対象者が明確になったら、それに基づき具体的な研修内容を設定します。従業員の知識・意識レベル調査を参考に、重点的に扱うべきテーマを選び、対象層ごとに必要な学習項目を整理しましょう。

たとえば、管理職にはハラスメント対応やリスク管理を重視し、一般社員には日常業務での基本行動を中心に据えるなど、役割に応じた設計が効果的です。また、外部講師の活用やeラーニングの導入など実施方法を柔軟に取り入れることで、内容を深めつつ幅広い層に展開できます。段階的に学ぶ流れを整えることで、研修効果を最大化できるでしょう。

コンプライアンスの基礎知識の共有

研修の冒頭で行うべきは、法令遵守や企業倫理に関する基礎知識の共有です。コンプライアンスの意義を理解することで、受講者は「なぜ守らなければならないのか」という根本的な動機づけを得られます。また、過去に違反が発生した背景や典型的なリスク事例を学ぶことで、自分の業務に当てはめて考えやすくなります。

基礎知識を全員が共通認識として持つことは、その後のケーススタディや実践的な演習に臨む上での土台となり、組織全体の意識水準をそろえる効果もあります。

ケーススタディや対処法の実践

研修で学んだ知識を実際の業務に結び付けるためには、ケーススタディを通じた実践が大切です。想定される違反事例や職場で起こり得るシーンを取り上げ、「自分ならどう判断するか」「どのように行動すべきか」を考えさせることで、単なる知識を実践的なスキルへと昇華できます。

また、参加者同士で意見交換を行うことで、自身の常識や価値観を相対化し、新たな気づきを得ることも可能です。正しい行動や対処法を繰り返し検討することで、無意識のうちに適切な対応が取れる状態を目指します。実践型の研修は、現場で生きるコンプライアンス意識を育てます。

研修結果の振り返りと評価

コンプライアンス研修は実施して終わりではなく、効果を検証し改善につなげるプロセスが欠かせません。研修後にはアンケートで理解度や満足度、改善要望を把握し、テストで知識の定着度を確認します。また、研修前後の行動や意識の変化、コンプライアンス違反の減少といった業務上の成果を比較することも有効です。これらの調査結果を分析することで、次回以降のカリキュラム内容や重点課題を見直す材料となります。

理解不足が見られた場合は、追加研修やフォローアップを行い、知識と意識の定着を図りましょう。コンプライアンスの徹底は継続的な取り組みが前提であり、振り返りを通じてPDCAサイクルを確立することが、違反防止と健全な組織文化の維持につながります。

コンプライアンス研修を成功させるためのおすすめのやり方

若い男性のセミナー講師

コンプライアンス研修を実施する時は、事前準備が必要です。一般的に以下のようなフローで実施します。

1.コンプライアンスに対する意識を調べる
社員がコンプライアンスに対してどの程度の意識を持っているのかを確認します。社員の関心度を理解することで、より有効な研修内容の実施が可能になります。
2.研修に盛り込むべき内容を決める
意識調査をもとに、コンプライアンス違反のリスクがあるテーマを洗い出し、優先的に研修に盛り込みます。同時にコンプライアンスへの関心が高い分野もピックアップしておくと研修に役立ちます。
3.研修のカリキュラムやスケジュール、予算を決定する
研修内容が定まったら、部署、役職、階層に合わせた研修カリキュラムを決定し、研修資料を作成します。年単位のスケジュールを立てたり、関係各所と予算をすり合わせたりすることも重要です。
4.研修を実施する
研修カリキュラムやスケジュールに合わせて、コンプライアンス研修を計画的に実施します。
5.振り返りを行う
研修を終えた後は、アンケートやフィードバックの体制を整えて研修内容を振り返ります。

コンプライアンス研修を成功させるには、形式的な研修を実施するのではなく、組織全体が研修による成果を実際の業務に生かすことが大切です。

受講者が「やらされている」といった受け身の印象を受けると、コンプライアンス研修の効果が得られません。ここからは、研修を成功させるためのおすすめの実施方法を紹介します。

社内規定やルールの整備を事前に行う

コンプライアンス研修を成功させるためには、事前に社内規定やルールを整備することが重要です。従業員が判断に迷わないよう、細かな事項まで明文化するように心がけます。また、形骸化している規定やルールがないかを確認し、内容を明確にします。

社内のコンプライアンスを管理する体制を構築すると、スムーズな運用が可能になります。定期的な研修プランも立てやすくなり、従業員への教育体制をしっかりと確立できるのがメリットです。

対象者別に異なるテーマで研修を行う

コンプライアンス研修は、従業員の部署、階級、役職など対象別に異なるテーマで研修を実施すると、より効果を発揮します。コンプライアンスは対象者によって必要となる内容が異なるためです。

新入社員には、コンプライアンスの基本的な定義や社内ルールを伝え、コンプライアンス対策に広く関心を持ってもらうことが重要です。一方、中堅社員には管理職を見据えたコンプライアンスへの意識づけが必要になります。対象者に合わせて社外の講師や社外研修を活用するのも方法の1つです。

コンプライアンス基礎研修

リスクマネジメント研修

受講者に当事者意識を持たせる

コンプライアンス研修では、受講者に当事者意識を持ってもらうことが重要な目的です。受講者が研修内容に興味を持てないと、実務の場で効果が発揮できず、コンプライアンス違反が発生する危険性が高まります。

研修では、受講者が日々の業務に役立つような身近なテーマを選定するのが必須です。曖昧なテーマでは、受講者の学習意欲は高まりません。また、研修のゴールを明確にする点も大切です。研修後はフィードバックやフォロー体制を作り、コンプライアンス学習を研修時間のみで終わらせない工夫が必要になります。

e-ラーニングも活用する

コンプライアンス研修を成功させるために、気軽にできるe-ラーニングによるオンライン研修を活用するのは効果的な方法です。研修を受ける時間や場所を選ばず、手の空いたタイミングで手軽に受講できるのが受講者にとってのメリットです。また、e-ラーニングは何度も見直せることから、教えられる側は負担なく研修内容を振り返れます。

e-ラーニングによるコンプライアンス研修は、実施する側にもメリットがあります。受講者が学習を進めるごとにレベルを確認でき、受講進度の確認や、受講結果の集計も簡単です。

舞台創造シミュレーション研修

コンプライアンス研修の成果を評価する方法

コンプライアンス研修の成果を評価するには、客観的な数値を活用しつつ、行動や意識の変化を総合的に把握することが大切です。数字だけで完全に成果を測れませんが、以下の指標を用いることで研修の効果をある程度確認できます。

■ 研修受講率・完了率
対象者のうち何%が研修を受講し、最後まで修了したかを確認します。受講率の低さは、組織全体の意識浸透に課題があるサインとなります。

■ 理解度テストの平均点・合格率
研修終了後に実施するテストにより、知識の定着度を把握できます。選択式で基礎理解を測り、記述式やレポート課題で応用力や思考力を評価するのが効果的です。

■ ヒヤリハット・内部通報の件数の変化
研修前後で比較することで、意識や行動の変化を確認できます。通報件数が一時的に増える場合もありますが、これは社員が声を上げやすくなった証拠であり、長期的には違反件数の減少につながると考えられます。

定量的な数値と定性的な分析を組み合わせ、継続的にモニタリングと改善を行うことで、研修の実効性を高められます。

まとめ

社会全体の道徳意識が高まり、SNSなどでコンプライアンス違反が速やかに拡散する現代社会では、企業価値を維持し、高めるためにコンプライアンス研修が欠かせません。

研修の際には事例を挙げて伝えると伝わりやすくなります。同業他社の事例や省庁・関係団体に掲載された事例を探し、資料を作りましょう。外部の専門家からアドバイスを受けたり、講師として招聘したりするのもおすすめです。

コンプライアンス研修を行うときには、受講者に「やらされている」という印象を与えないのが重要です。事前に社内ルールを整備するほか、当事者意識を持たせ、対象者ごとに異なるテーマの研修を行ってください。研修の際にe-ラーニングも併用すれば、教える側・教えられる側双方の負担を減らせます。

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