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自分事化できるかどうかで成果は決まる|社員が主体的に動く組織づくり

仕事に対して「やらされている感覚」を抱いたまま働いていると、モチベーションの低下や成長の停滞につながることがあります。こうした状態を改善する考え方として、近年注目されているのが「自分事化(心理的オーナーシップ)」です。
自分事化とは、与えられた仕事を単なる作業としてではなく、自分が主体的に取り組むべき課題として捉える姿勢を指します。当記事では、仕事を自分事として捉える意味やメリット、自分事化が進まない理由、組織として取り組むべき具体的な促進ポイントについて解説します。
目次
Toggle仕事を「自分事」として捉える(自分事化・心理的オーナーシップ)とはどういう意味?

仕事の自分事化とは、業務や課題を「自分が主体となって取り組むべきもの」と捉える当事者意識を持つ状態を指します。
自分事化は「心理的オーナーシップ」とも呼ばれ、主体性や自発性を持って仕事に関わる姿勢を意味します。具体的には、担当業務を単なる指示された作業としてではなく、自分が責任を持って成果を出す対象として認識する状態です。「当事者意識を持つ」「主体的に行動する」「責任感を持って関与する」といった考え方が近い概念です。
近年は環境変化の激しいVUCA時代の到来や働き方の多様化によって、自分事化が重視されています。変化の大きい社会では、従業員一人ひとりが主体的に考え行動することが、組織の生産性向上や課題解決力の強化につながります。一般社員だけでなく管理職を含め、組織全体で仕事を自分事として捉える姿勢が大切です。
自分事化のメリット

仕事を自分事として捉えられるようになると、個人の意識や行動が変わり、組織全体の成果にも良い影響を与えます。ここでは、自分事化によって企業や組織にもたらされる代表的なメリットを解説します。
モチベーションを維持・向上でき従業員エンゲージメントが高まる
自分事化が進むと、社員のモチベーションを維持・向上させやすくなり、従業員エンゲージメントの向上にもつながります。
自分の仕事を組織や顧客に価値を提供する重要な役割として認識できると、仕事への取り組み方が受け身から主体的へと変化します。成果が自分の成長や組織の成功に結び付いていると感じられるため、外部からの評価や報酬だけに依存しない内発的な動機づけが生まれ、困難な課題にも粘り強く取り組む姿勢が生まれます。
また、自分の仕事が会社やチームに貢献しているという実感が高まることで、企業への愛着や帰属意識も強まり、従業員エンゲージメントの向上や離職率の低下にもつながるでしょう。
社員の成長スピードが加速する
自分事化が進むと、社員が主体的に学び行動するようになり、成長スピードが加速します。
業務を自分の課題として捉える社員は、与えられた仕事をこなすだけでなく、より良い成果を出す方法を自ら考えるようになります。仕事に必要な知識やスキルを自発的に学び、実践と振り返りを繰り返すことで、経験からの学習が効率的に進むでしょう。
主体的な学習姿勢は個人の成長だけでなく、周囲のメンバーにも良い影響を与え、チーム全体のスキル向上にもつながります。
課題解決力が高まりイノベーションが生まれる
自分事化が進んだ組織では、課題解決力が高まり、新しい価値やアイデアが生まれやすくなります。
業務を自分の問題として捉える社員は、日常業務の中で見つかった小さな課題にも積極的に向き合います。誰かの指示を待つのではなく、自分で改善方法を考えて行動するため、業務プロセスの効率化やサービス品質の向上が進みやすくなります。
また、主体的に考えて行動する社員が増えると、現場から多様な意見やアイデアが出やすくなります。その結果、既存のやり方にとらわれない新しい取り組みが生まれやすくなり、組織全体のイノベーション創出にもつながります。
自分事化できない理由

仕事を自分事として捉えられない背景には、個人の意識だけでなく、組織環境やマネジメントの課題が関係している場合が多くあります。
まず、業務の目的や目標が明確でない場合、社員は「なぜこの仕事をするのか」を理解できず、指示された作業をこなすだけの状態になりがちです。問題が起きた際に「会社の方針が悪い」「上司の判断が悪い」と責任を外部に求める他責思考が強い場合も、自分事化は進みにくくなります。
また、失敗を責められる職場では、社員は挑戦を避け、無関心や消極的な行動に陥りやすくなります。無関心は上司と部下の対話やチーム内のコミュニケーション不足につながり、仕事の背景や組織の方向性が共有されなくなると当事者意識が生まれにくくなります。
こうした複数の要因が重なることで、社員が仕事を他人事として捉える状態が生まれます。
自分事化させるためのポイント

社員が仕事を自分事として捉えるためには、個人の意識だけでなく、組織としての仕組みづくりやマネジメントの工夫が欠かせません。
単に「主体的に行動してほしい」と伝えるだけでは、従業員の行動は変わりにくいものです。目標の共有、対話の機会、振り返りの習慣、そして主体的に行動できる環境を整えることで、社員は自分の役割や仕事の意味を理解しやすくなります。
ここでは、自分事化を促進するために企業が取り組むべき具体的なポイントを解説します。
目指すゴールを明確にする
自分事化を促すためには、組織やチームが目指すゴールを明確にしましょう。
目標が曖昧なままでは、社員は「何を目指して働くのか」を理解できず、指示された作業をこなすだけになりやすくなります。そこで注目されているのが、米Googleや米LinkedInなどが採用している目標管理手法「OKR(Objectives and Key Results)」です。日本企業ではメルカリなどが導入していることでも知られています。
OKRでは、まず組織の目標(Objective)を設定し、達成度を測る指標として複数の主要結果(Key Results)を定めます。企業の目標から部門、個人へと目標を連動させることで、社員は「自分の仕事が組織の成果にどうつながるのか」を理解しやすくなります。目標と日々の業務が結び付くことで、社員の当事者意識を高める効果が期待できます。
日常的に対話する場をつくる
社員の自分事化を進めるためには、上司と部下、チームメンバー同士の対話を日常的に行うことが重要です。
目標や組織の方向性が共有されていても、十分なコミュニケーションがなければ社員は仕事の意味を理解しにくくなります。企業の理念や目的を繰り返し対話することで、社員一人ひとりが自分の役割を考えやすくなります。
代表的な事例として、味の素グループの「ASVマネジメントサイクル」があります。ASV(Ajinomoto Group Creating Shared Value)は、事業を通じて社会的価値と経済的価値の創出を目指す考え方です。同社では対話や振り返りを通じて、従業員が企業の志(パーパス)と自分の仕事を結び付けて考える仕組みを整えています。継続的な対話は、従業員の当事者意識やエンゲージメントを高める要因です。
※参考:味の素株式会社「従業員の「自分ごと化」から社会の課題を解決!味の素グループの「ASVマネジメントサイクル」とは?」
振り返りとフィードバックを習慣化する
自分事化を定着させるためには、業務の振り返りとフィードバックを習慣化することが重要です。
社員が主体的に行動しても、結果を振り返る機会がなければ学習や成長につながりにくくなります。業務終了後に「何がうまくいったのか」「改善できる点は何か」を整理することで、経験を次の行動に生かせるようになります。
また、上司やチームからのフィードバックも欠かせません。成果や取り組みを適切に評価し、改善点を共有することで、社員は自分の行動が組織にどのような影響を与えているかを理解できます。こうした振り返りのサイクルを継続することで、社員は自分の役割を主体的に考えるようになり、仕事を自分事として捉える意識が高まります。
自ら動ける環境を用意する
社員の自分事化を促すには、主体的に行動できる環境を整えることも大切です。
すべての判断を上司が決める環境では、社員は指示待ちの姿勢になりやすくなります。一方で、一定の裁量を与え、自分で考えて行動できる余地をつくることで、社員は仕事に対する責任感を持ちやすくなります。
こうした取り組みを進めている企業の一例がリコーです。同社では社員が主体的にアイデアを出し、新しい価値を創出できる環境づくりを進めています。創造的な働き方を支援する場や仕組みを整えることで、社員が自由な発想で挑戦できる環境を整備しています。裁量とサポートのバランスを取ることで、社員の主体性を引き出し、自分事化を促進できます。
自分事化を促進するために通信講座・研修を活用しよう
社員の自分事化を促進するためには、組織内の取り組みに加えて、通信講座や研修を活用することも有効です。
特に、仕事に対する「やらされ感」を減らし、主体的に働く姿勢を育てる研修として、アイ・イーシーの『「やらされ感」を「やりがい」に変えていく ジョブクラフティング研修』があります。この研修では、自分の仕事の意味を再発見し、業務の進め方や役割を主体的に捉え直す方法を学びます。仕事への向き合い方を変えることで、主体性や従業員エンゲージメントの向上が期待できます。
まとめ
仕事の自分事化とは、業務を自分が主体となって取り組む課題として捉える当事者意識を持つことを意味します。
自分事化が進むと、社員のモチベーションや学習意欲が高まり、課題解決力の向上や新しいアイデアの創出にもつながります。一方で、目標が曖昧な組織環境やコミュニケーション不足、挑戦を許さない職場文化などがある場合、自分事化は進みにくくなります。
企業には、目標の明確化や日常的な対話、振り返りとフィードバックの仕組み、主体的に行動できる環境づくりなどの取り組みが求められます。さらに、主体性を引き出すための研修や学習機会を活用するのもおすすめです。
組織と個人の双方が意識的に取り組むことで、社員が仕事を自分事として捉え、より高い成果を生み出す組織づくりにつながるでしょう。
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