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ストレングスファインダーで分かる34の資質|企業の活用事例も解説
ストレングスファインダーは、エンゲージメントのレベルや仕事の生産性の向上、他社理解の促進など、さまざまな利点をもたらすツールであり、多くの企業が導入しています。また、ストレングスファインダーは個人の特定の才能や強みを示し、それらが特定のキャリアパスや職種にどのように適しているかについて洞察を得られるツールでもあります。
当記事では、ストレングスファインダーのメリットや資質の種類、導入事例などについて詳しく紹介します。
ストレングスファインダーとは?
ストレングスファインダー(正式名称:クリフトンストレングス)は、アメリカのギャラップ社によって開発されたオンライン才能診断ツールです。このツールは、個人の才能(強みの源泉)を特定するために設計されています。ユーザーはウェブサイトで177の質問に答え、その回答に基づいて自分の特徴的な才能が明らかになります。
ストレングスファインダーは、才能を34の異なる資質に分類し、最も顕著な5つを診断結果として提示します。ストレングスファインダーの才能の定義は、「無意識に繰り返し現れる思考、感情、行動のパターン」です。34の異なる資質もこの定義を基にしており、個人の特徴そのものと見なされます。なお、追加料金を支払うことで、34資質すべての順位を知ることも可能です。
ストレングスファインダーの歴史は、創設者ドン・クリフトンの、第二次世界大戦からの帰還と心理学に対する興味から始まります。ドン・クリフトンは、人間の弱点ではなく、強みに焦点を当てる研究の必要性を感じ、この考えを発展させました。クリフトンは、ネブラスカ大学リンカーン校で研究を開始し、後にクリフトンストレングス・テストを考案します。ドン・クリフトンのアプローチは、人々の能力の発見と育成に重点を置き、数百万人が自分の生まれ持った才能を理解するのに役立ちました。
また、クリフトンは、ネブラスカ大学でネブラスカ人事研究財団を設立し、成功した学生とそうでない学生の特性を研究しました。この研究は、後に彼が開発するストレングスファインダー(クリフトンストレングス)の基盤となりました。
ストレングスファインダーを個人が受けるメリット
ストレングスファインダーは、個々の社員が自身の強みと能力を深く理解するための強力なツールです。ここでは社員がストレングスファインダーを受けるメリットについて、4つ解説します。
自己理解が深まる
ストレングスファインダーを通じて個々の強み、才能、独自の思考や行動パターンを明確にできるため、自己理解が深まります。社員は自分の特性や能力をより深く認識し、それらが日々の業務や職場での対人関係にどのように影響を及ぼすかを理解できるでしょう。
自己理解が深まると、仕事においては以下のようなメリットがあります。
・自分の強みを生かし、業務をより効果的かつ効率的に遂行することが可能になる ・個人のスキル開発に対する意識が高まり、より適切な職務遂行やキャリアの進展を図ることができる ・自分自身の行動や反応をより良く理解し、それが他人との相互作用にどのように影響するかを考えられるようになる |
自己肯定感が上がる
ストレングスファインダーは各個人の独特な強みや才能を明確にし、肯定的な視点から自己評価を促進するため、自己肯定感も上がりやすいです。ストレングスファインダーは、参加者に自分の内在する才能や能力を認識させることに焦点を当てています。このプロセスを通じて、社員は自分自身の特性をより良く見るようになり、自己の価値をさらに高く評価できるようになれるでしょう。
自己肯定感が高まると、仕事においては以下のようなメリットがあります。
・自分の能力に自信を持ち、新しい課題や難しい業務にも前向きに取り組めるようになる ・ストレスや挑戦的な状況に対してもポジティブな態度で対応しやすくなり、職場環境全体に好影響を与える ・自分の意見やアイデアに自信を持って表現しやすくなり、チームビルディングやチーム内のコミュニケーションにおいても積極的になる |
他者への理解が深まる
ストレングスファインダーを受け、その結果をチームで共有しあうことで、多様な才能や考え方が可視化され、他のメンバーの才能や強みの理解が深まります。結果として、同僚や上司、部下の行動や反応の背後にある動機や強みを理解することが容易になるでしょう。
他者への理解が深まると、仕事においては以下のようなメリットがあります。
・チーム内でのコミュニケーションがスムーズになり、協力的な職場環境が促進される ・他者の視点や能力を生かしあえ、より創造的かつ多角的な問題解決が可能になる ・多様性を尊重する姿勢を身につけられ、その結果、組織全体としての協調性、共感力、社員の満足度が高まることが期待される |
自らのキャリアを考えるきっかけになる
ストレングスファインダーを利用することは、社員が自らのキャリアを考える重要なきっかけにもなります。キャリアを考える際に重要なのは、自分が好きなこと(興味)、得意なこと(素質)、興味があることの3つの要素の組み合わせです。ストレングスファインダーは、特に「得意なこと」、つまり個人の資質を明らかにするのに役立ちます。
・たとえば、ある人が「相談に乗ること」が好きであり、戦略的思考に強みを持っている場合、その人はコンサルティング業界で成功する可能性もあります ・「服が好き」という興味を持つ人でも、その人の資質によっては販売職が適している場合や、服のデザイナーとしてのキャリアが適している場合もあります |
ストレングスファインダーは、このように個人の興味や好みだけでなく、その人が持つ強みや能力を考慮に入れたキャリア形成を支援してくれるツールです。
ストレングスファインダーを企業運営に生かすには?
ストレングスファインダーは、テストを受けた個人に対してメリットがあるだけでなく、企業側にも数々のメリットがあります。具体的には、多様性があるチーム作り、結束力のより強いチーム作りなどにも役立つでしょう。
以下では、ストレングスファインダーを企業内で活用するための方法について解説します。
異なる資質を持った人でチームを作る
ストレングスファインダーを利用することで、チームメンバーの個々の強みを把握できます。異なる資質を持つ人々を組み合わせてチームを構成することにより、チームの多様性と総合的な能力を高められるでしょう。
株式会社リクルートマネジメントソリューションズによると、保有知識やスキルの幅が広いと多様性を実感しやすく、仕事や人間関係が円滑に進みやすいというデータが挙げられています。
※出典:株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
「多様性のあるチームは成果が上がる?それとも下がる?会社員351名の声を調査「多様性が高いチーム」の実態調査結果を発表」
協力しやすい環境を作る
企業が1つになってビジネスを推進するためには、個々の強みを生かしつつ、協力し合うための文化や環境を育成することが重要です。ストレングスファインダーの結果を活用すれば、チームメンバーがお互いの能力を理解し、尊重する文化を構築しやすくなります。これにより、社員は自身の強みを生かすことができ、他者との連携を円滑に進めることが可能になります。
弱みを避けて強みを生かすよう習慣づける
ストレングスファインダーの分析を通じて明らかになる個人の強みに焦点を当て、それを日常の業務や意思決定のプロセスに積極的に組み込むことが重要です。弱みの克服ではなく、強みを生かすことに注力することで、個人のモチベーションと生産性を高めると同時に、効率的・効果的な業務遂行が可能となります。
チームメンバーの理解を促す
ストレングスファインダーの結果をチームメンバー間で共有し、お互いの強みや資質を理解することで、チーム内の相互理解が促進されます。
結果的に組織全体のエンゲージメントや、心理的安全性の向上にもつながる点もメリットの1つです。心理的安全性が確保された職場では、社員間の信頼が深まり、より強固なチームワークが築かれます。また、社員が自分自身を価値ある一員と感じたり、自分の貢献が認められていると感じたりすることで、モチベーションが高まり、組織への忠誠心が育つでしょう。
ストレングスファインダーで分かる資質とは?
ストレングスファインダーは、34の資質を通じて個人の天性の才能を明らかにするツールです。これらの資質は、実行力・影響力・人間関係構築力・戦略的思考力の4つの主要な領域に分類されています。
実行力の資質
「実行力の資質」は、物事を実現させる能力に長けた人々の特性を表しています。チームにおいて、目標の達成や仕事の遂行、タスクの完了は必要不可欠です。実行力の高い人は、アイデアを具体的な行動に変え、目標に向かって粘り強く取り組むことができます。
達成欲 | 仕事に対する高いスタミナを持ち、一つひとつのタスクを確実に完了させる能力。 |
アレンジ | 効率的な方法で成果を出す能力を持ち、異なる要素をうまく組み合わせる能力。 |
信念 | 強固な個人的価値観や倫理観を持ち、それに基づいて行動する能力。 |
公平性 | 誰に対しても偏見なく平等に扱うことを重視する能力。 |
慎重さ | リスクを考慮し、慎重に決定や選択を行う能力。 |
規律性 | 物事を体系的に考え、ルーティンを確立する能力。 |
目標志向 | 明確な目標を設定し、それに向かって一貫して取り組む能力。 |
責任感 | 自身の役割と責任を明確にし、忠実に果たす能力。 |
回復志向 | 問題を特定し、解決策を見出す能力。 |
影響力の資質
「影響力の資質」は、チーム内外での効果的なコミュニケーションと影響力を持つ人々の特性を指します。この資質を持つ人々は、主張を明確に伝え、他者を説得し、チームの目標達成に向けて他者を導く能力を持っています。管理能力にも長け、チームのパフォーマンスを高めるために重要な役割を果たすでしょう。
活発性 | 行動に躊躇がなく、アイデアをすぐに行動に移す能力。 |
指令性 | 自ら決断を下し、対立を恐れず主導的に行動する能力。 |
コミュニケーション | 自分の考えを言葉に表すのが得意で、物事を魅力的に表現する能力。 |
競争性 | 常に勝利を目指し、競争を好む能力。 |
最上志向 | 常により高い水準を目指し、改善に取り組む能力。 |
自己確信 | 自分の能力と判断に強い自信を持つ能力。 |
自我 | 自分の存在感と影響力を重視する能力。 |
社交性 | 人との出会いを求め、容易に人間関係を築く能力。 |
人間関係構築力の資質
「人間関係構築力」の資質を持つ人は、チーム内の人間関係を強化し、協調性と連帯感を育むことで、チーム全体の成功に大きく貢献します。人と人との絆を深め、個々人を超えたチームの協力と団結を促進する役割を担います。
適応性 | 状況の変化に柔軟に対応し、「今」に集中する能力。 |
運命思考 | 人や物事が相互に関連しているという考え方を持ち、出来事に意味を見出す能力。 |
成長促進 | 他者の潜在能力を見つけ出し、それを伸ばすことに喜びを感じる能力。 |
共感性 | 他人の感情を深く理解し、共感する能力。 |
調和性 | 意見の対立を避け、異なる視点でも一致点を見つけることに努める能力。 |
包含 | 周囲の人々を受け入れ、誰もが属する感じを持てるよう努力する能力。 |
個別化 | 個々人のユニークな特性に魅了され、多様な人々をまとめ上げる能力。 |
ポジティブ | 情熱的であり、その熱意を他人に伝え、モチベーションを高める能力。 |
親密性 | 緊密な人間関係を大切にし、ともに目標達成を目指すことに喜びを見出す能力。 |
戦略的思考力の資質
「戦略的思考力」の資質を持つ人は、戦略的な視点からチームの目標に向けたアプローチを計画し、問題解決や意思決定プロセスにおいて重要な役割を担います。チームに創造性と新たなアイデアをもたらし、良い意思決定のための情報を吸収・分析することで成功に導きます。
分析思考 | 物事の理由と原因を深く掘り下げ、影響を及ぼすすべての要素を考慮に入れる能力。 |
原点思考 | 過去をたどり、歴史から現在の状況を理解する能力。 |
未来志向 | 未来についてのビジョンを描き、それを通じてインスピレーションを得る能力。 |
着想 | 新しいアイデアを生み出し、異なる現象の間の関連性を見出す能力。 |
収集心 | 情報、アイデア、人間関係などを収集し、蓄積する能力。 |
内省 | 知的な活動に時間を割き、深い思考や議論を好む能力。 |
学習欲 | 学習意欲が旺盛で、常に新しい知識を吸収し、成長を望む能力。 |
戦略性 | さまざまな選択肢を想定し、直面する問題に対して適切な対応策をすばやく考え出す能力。 |
ストレングスファインダーの導入事例と成果物
最後にストレングスファインダーの企業での導入事例として、野村総合研究所の例・株式会社はたらクリエイトの例の2つを紹介します。自社で導入する際の1つの参考例として、ぜひ活用してみてください。
野村総合研究所の例
野村総合研究所では、多様な人材の連携と結集を目的としたダイバーシティ&インクルージョン(D&I)を推進しています。この取り組みの一環として、野村総合研究所は2020年度から新入社員研修にストレングスファインダーを導入しました。新入社員研修では、ストレングスファインダーの結果に基づいて、ギャラップ認定ストレングスコーチによるワークショップも実施しています。
メリット |
・社員間の自己理解および他者理解を促進し、多様な価値観を認め合うことで、より強固なチームを形成できた ・結果的に、社内にD&Iが浸透していった |
メリットが生まれた要因 |
・野村総合研究所が重視するD&Iの文化に沿って、個々の社員のユニークな能力や特性を尊重し、それをチーム全体の強みに転換する取り組みを行えたため |
株式会社はたらクリエイトの例
株式会社はたらクリエイトでは、社内コミュニケーションと組織の強化のためにストレングスファインダーを導入しました。スタッフ数が50人を超えるにつれ、顔と名前が一致しないという問題が生じ、社内のコミュニケーションに少しの不安感が漂い始めたためです。
また、入社時の座学研修と入社後3か月の研修で、ストレングスファインダー診断を実施し、新入社員が自分自身の強みや資質を理解し、それを職場で生かす視点を持つように促しています。ワークショップでは、スタッフが互いの強みを共有し、心理的安全性を深めることを目指しています。
スタッフは自分の「取扱説明書」を作成し、これを社内で共有することで、お互いの理解を深め、役割分担の際にも参考にしています。診断結果からは、スタッフの多くが「調和性」「最上思考」「ポジティブ」などの資質を持っており、これらの強みを生かしてクライアントとともに成長するチーム作りを目指しています。
メリット |
・スタッフ間の交流が促進され、共通点や相違点を通じて互いの理解を深めることが可能になった ・スタッフの資質特性の割合が可視化できた |
メリットが生まれた要因 |
・テストを受けて終わりではなく、活用の機会を意識的に設けたため ・一部の従業員だけでなく、全従業員に実施の機会を設けているため |
※出典:株式会社はたらクリエイト
「ストレングスファインダーの結果をもとにスタッフ一人ひとりが取扱説明書を作成。組織開発や従業員エンゲージメント向上につなげるための活用方法」
まとめ
ストレングスファインダーで明らかになる34の資質は、ドン・クリフトンの研究に基づき、世界的な成功者の才能を分析するプロジェクトの一環として開発されました。各資質は、個人の天性の強みや目標達成に必要なサポートを具体的に説明する手段として機能します。
従業員個人の強みを生かした経営を行っていきたい場合は、ストレングスファインダーの導入は大いに役立つでしょう。企業内にストレングスファインダーの考え方を浸透させるためには、テストを受け終わった後の、フォローアップ体制も重要です。
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