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【7社の事例から学ぶ】ダイバーシティマネジメントで企業が強くなる理由

ダイバーシティマネジメントとは、性別・年齢・国籍・障がいの有無だけでなく、価値観や職歴、スキルといった多様な違いを組織の力に変える経営手法です。
近年は少子高齢化による労働人口の減少やグローバル化の進展を背景に、多様な人材が力を発揮できる環境づくりが企業成長のポイントとなっています。多様性を尊重するだけでなく強みとして活用することで、イノベーションや人材獲得力の強化、企業価値の向上に直結します。
当記事では、ダイバーシティマネジメントについて、実際の成功事例とともにメリットや注意点を解説します。自社に多様性を取り入れたい経営者や人事担当の方はぜひ参考にしてください。
目次
Toggleダイバーシティマネジメントとは

ダイバーシティマネジメントとは、従業員の多様な特性や価値観を尊重し、それを組織の成長に結びつける経営手法です。
多様性には性別や年齢、人種、国籍、障がいの有無などの属性に加え、思想や価値観、職歴やスキルといった背景も含まれます。これらの違いを受け入れるだけでなく強みとして活用することで、新たな発想や幅広い視点を生み出せる環境が整います。
近年はSDGsの推進やグローバル化の進展を背景に、多様性を積極的に取り入れる動きが加速しています。ダイバーシティマネジメントを導入することで、人材の能力を最大限に引き出し、組織の持続的な成長につなげることが期待されています。
ダイバーシティマネジメントが重要な理由
ダイバーシティマネジメントが重要とされる背景には、労働人口の減少があります。少子高齢化の進行により国内の働き手が不足している昨今では、多様な人材が力を発揮できる環境づくりが欠かせません。
さらに、グローバル化の進展により、国籍や文化、言語の異なる人材が日本企業で活躍する機会も増えています。このような変化に対応しなければ、人材確保や競争力維持は企業にとって困難になるでしょう。
多様な価値観を持つ人材が協働できる仕組みを整えることは、今後の企業の持続的成長や社会全体の発展に直結するため、ダイバーシティマネジメントは不可欠だと言えます。
ダイバーシティマネジメントを取り入れるメリット

ダイバーシティマネジメントは、組織の競争力強化に直結する取り組みです。異なる背景や価値観を持つ人材を受け入れ、活躍の障壁を取り除くことで、革新的な発想の創出、人材獲得力の向上、企業価値の向上につながります。
ここでは、ダイバーシティマネジメントを行う具体的なメリットについて解説します。
イノベーションにつながる
多様な経営・現場チームは意思決定のバイアスを相互に補正し、より質の高い仮説検証につながります。経済産業省の資料によると、経営層の性別・年齢・国籍・経歴など6要素の多様性スコアが平均以上の企業は、平均未満の企業に比べて「イノベーション売上比率」が19%高いと報告しています。
多様性は単なる構成比ではなく、発言機会の公平性や心理的安全性と組み合わさることで成果に結びつきやすくなります。採用・評価・会議運営まで一貫してダイバーシティを目指すことで、新規事業や新サービスの創出確率を高められます。
人材を獲得しやすくなる
労働人口が縮小する中で、採用対象を広げることは経営課題です。採用市場でもD&I重視企業への好感度は高く、就活生調査では「好感が持てる」が合計約83%に達します。さらにニューロダイバーシティの取り組みでは、従来の面接で見逃していたIT適性人材の採用に成功した事例が海外・国内で蓄積されています。
柔軟な働き方、合理的配慮、スキル評価基準の可視化を整えることで、女性、シニア、外国籍、障がいのある人材など多様な候補者母集団を広げ、離職率の低下や定着の改善にもつながります。
企業価値が高まる
多様性はレピュテーションや資本市場での評価にも影響します。SDGsや人的資本の開示要請が強まる中、客観指標を用いたダイバーシティの目標設定と進捗開示は、投資家・求職者・取引先からの信頼の獲得に有効です。
取締役会・管理職の多様化、包摂的な制度運用、心理的安全性の確保を進めることで、社会的要請への適合と中長期の企業価値向上を両立できます。
ダイバーシティマネジメントの施策と成功事例

ダイバーシティマネジメントを成果につなげるには、制度と風土の両方が大切です。採用・配置・評価・育成・働き方・コミュニケーションを一体で設計し、心理的安全性と公正な運用を実現しましょう。
ここでは、具体的な施策と国内企業の成功事例を取り上げ、効果が生まれた仕組みと再現ポイントを紹介します。
外国人材活用のため社内ルールを整備|株式会社ICHIGO
株式会社ICHIGOは、日本の駄菓子やスナックを世界187か国へ届けるサブスクリプションサービス「TOKYOTREAT」を展開し、短期間で大きな成長を遂げた企業です。
その成長を支えているのが、従業員の6~7割を占める外国人材の積極的な採用です。SNS映えするデザインや英語での発信を担うのは外国人スタッフであり、日本人バイヤーが選ぶ菓子のセレクトと組み合わせることで、現地の嗜好を的確に反映させています。社員は米国、カナダ、インドネシア、韓国など多国籍に広がり、多様な視点を融合させた商品開発を可能にしています。
もっとも、文化背景が異なる社員同士の働き方を調整するには大きな労力を要しました。出社時間の感覚や業務ルールの捉え方に違いがある中で、同社は英語と日本語を共通語とし、研修を重ねて相互理解を進めました。結果として、柔軟かつスピーディーな意思決定が可能な組織文化を形成し、競合他社との差別化に成功しています。
外国人材を単に採用するだけでなく、社内ルールを整備し文化的差異を尊重した組織運営を実践したことが、グローバル市場での成功要因となっています。
多様性をコミュニケーションで構築・イノベーションを創造|BIPROGY株式会社
BIPROGY株式会社は、長年にわたりダイバーシティ&インクルージョン(D&I)を経営戦略の中核に据えてきました。2013年にダイバーシティ推進室を設置して以来、女性活躍推進や仕事とライフイベントの両立支援を進めています。です。
特徴的なのは、トップメッセージの発信やSNSを通じた社員の意見投稿など、双方向のコミュニケーションを積極的に取り入れ、組織全体で風土改革を推進している点です。
また、経営戦略「Vision2030」では「多様性の受容と獲得」を基本原則に掲げ、社員一人ひとりが多様な役割やスキルを発揮できる仕組みも整備しました。管理職研修や1on1面談を通じて、多様な個性を生かすマネジメントを浸透させています。
さらに、テレワーク制度や時間給の導入など柔軟な働き方を可能にし、女性リーダー育成プログラムや復職支援制度なども整備するなど、誰もが安心してキャリアを描ける環境が整っています。その成果として、女性管理職比率は業界平均を上回る水準に達し、男性の育休取得率も上昇しました。
BIPROGYは、D&Iをコミュニケーションで根付かせ、イノベーションを生み出す土壌を築いた先進的な企業の一例です。
ダイバーシティマネジメントで離職率を低下|株式会社スタイル・エッジ
スタイル・エッジは、離職増による機会損失を解消するため、「働きやすい環境づくり」と「人事考課制度の刷新」を同時に推進しました。
まず、社内託児所を設置し、短時間勤務・時差勤務など柔軟な働き方を整備。結果として「くるみん」「えるぼし」認定を取得し、健康経営の取り組みも強化しました。次に、評価の不一致を是正するため、人事考課を「数字・能力・態度」の3軸に定量化し、上長と人事部長が同席する面談と四半期ごとの中間面談で目標と進捗をすり合わせる運用に変更しました。
これらの施策により、離職率の改善と人材の確保に成功し、結果として増え続けるクライアント需要に質・量で対応できる体制が整い、サービス品質の維持につながりました。評価の透明化と働き方の多様化によって、定着と生産性を同時に高めた事例です。
ダイバーシティマネジメントにより生産性が向上|カルビー株式会社
カルビーは「一人ひとりの成長が会社の成長」という方針のもと、トップ自らがダイバーシティを経営課題として明確化し、数値目標(女性管理職比率など)に強くコミットしました。
2010年にダイバーシティ委員会を発足し、全社横断のフォーラムやタウンホール・ミーティング、「松塾」による双方向対話で理解・納得・行動を促進。工場でも、育児勤務者の声を起点にシフトを再設計し、多能工化と人員配置の最適化を実施しました。
その結果、2013年度は製造原価を2012年対比で2.1%削減、年間生産額は約28%増加し、残業時間も約20%削減を達成。復職した女性オペレーターが工程改善・品質管理の仕組み化を牽引し、品質向上と稼働率改善が全社に波及しました。制度整備と現場の対話により、生産性と品質を同時に高めることができた事例です。
多様な人材のコミュニケーションがイノベーションの源泉|コクヨ株式会社
コクヨは、多様な人材が交わる「場」と柔軟な制度設計を組み合わせ、コミュニケーションを起点に価値創造を加速しています。
たとえば、大阪本社1階のダイバーシティオフィス「HOWS PARK」では、障がい当事者らとの対話を重ねたインクルーシブデザインを実装しています。働き方も「コクヨ式ハイブリッドワーク」で3タイプから選択でき、上長と話し合いながら最適化します。さらには物流現場にもフレックスを拡大し、現場起点の自律性を高めています。
制度と空間を連動させた取り組みが、心理的安全性と越境対話を促し、継続的なイノベーションの土台となっています。
自由度を高めるマネジメントで自律した社員を育成|サイボウズ株式会社
サイボウズは、2005年に組織課題が顕在化したことを契機に、「一人ひとりがそもそも違う」という前提で働き方を再定義しました。
まず2007年、残業なし等を選べる「選択型人事制度」で「働く時間」の選択肢を拡張し、2010年には在宅勤務を導入。働く時間と場所を選べるようにした上で、2018年に本人が「働く時間・場所・成果」を宣言し会社が条件を提案する「新働き方宣言制度」へ進化させました。
2024年には「100人100通りの働き方」を「100人100通りのマッチング」に改称し、個人の希望とチーム目標の両立を明確化。毎年の評価期に、部長・本部長が全員と対話し、貢献内容・働き方・給与を透明なレンジで希望を擦り合わせます。
自由と説明責任をセットにし、強制ではなく対話で理想を共有する運営により、当事者意識と自律性を高め、チームの生産性と持続的成長につなげています。
グローバル競争に勝ち抜くためのダイバーシティ施策|株式会社NTTデータ
NTTデータは、グループビジョン「Trusted Global Innovator」の下、「Bloom the Power of Diversity」を全世界共通のDEIステートメントとして掲げ、「多様な人財活躍」と「働き方変革」を経営戦略に位置づけています。2008年に設置した推進組織は2021年に「DEI推進室」へ改称し、グローバル会議での女性活躍セッションや社員有志の活動を通じて、自他尊重を基調に価値創造を加速させています。
働き方では、スーパーフレックスやテレワーク上限撤廃、リモートワーク手当など制度を段階的に整備し、2023年度のリモートワーク利用率は63.2%にのぼりました。カフェテリア型福利厚生や育児・介護支援も拡充しており、グローバルに通用する人材基盤と柔軟な就労環境を両輪で整え、継続的な競争力とイノベーション創出につなげています。
ダイバーシティマネジメントに失敗しないための注意点

多様性を力に変えるには、制度導入だけでなく土台の整備が不可欠です。全員が同じ方向を向く理念共有、異論を歓迎する心理的安全性、無自覚な偏見を抑える仕組みをバランスよく設定しましょう。
ここでは、ダイバーシティマネジメントを行うときに注意したい点を解説します。
働く目的や企業理念は統一する必要がある
ダイバーシティは「何でも受け入れる」ことではなく、多様な人材が共通のビジョンに沿って協働することです。方針の衝突や意思決定の遅延を引き起こさないために、理念をしっかり伝えることが大切です。
まず、ビジョン・ミッション・バリュー(VMV)を採用・オンボーディング・評価に一貫反映し、日常の1on1や全社ミーティングで具体的に伝えましょう。たとえば「顧客価値最優先」を掲げるなら、優先順位づけやKPI設定、表彰基準も同軸にそろえて運用する必要があります。
経営層からも、自らが言葉と行動で示し、現場の疑問を双方向で解消する仕組みを用意します。理念の「理解」「納得」「行動」を繰り返し促し、文化に定着させることが成功の前提です。
心理的安全性を確保する必要がある
価値観や背景が異なるほど、誤解や摩擦は生じやすくなります。創造的な議論を成果に結びつけるには、安心して発言・試行錯誤できる心理的安全性が不可欠です。
たとえばサイボウズでは、誰もが「小さな違和感」を共有できる場づくりと、質問責任・説明責任の徹底で、立場を超えた対話を促進しています。実務では、下記を取り入れるのが有効です。
| ・発言ルールの明文化(遮らない・否定の前に要約する) ・1on1での定期的なリフレクション ・失敗学習の可視化(ポストモーテム・勉強会) ・匿名・限定公開も選べる意見窓口 ・管理職向けの傾聴・フィードバック研修 |
あわせて、会議体の目的と意思決定基準を事前共有し、反対意見の提出期限や採択条件を明確化すると、発言のハードルが下がります。
ハラスメントやバイアスを防ぐ工夫が必要になる
多様性のある職場では「この程度なら大丈夫」という思い込みが、無自覚なハラスメントやアンコンシャス・バイアスを生みやすくなります。予防には、定義と境界を全員が共通理解することが必要です。
まず、ハラスメントの種類とNG言動の具体例、相談経路・救済フローを就業規則とポータルで明示し、初動対応の時系列をチェックリスト化します。役職別研修でロールプレイとケース診断を実施し、評価面でも多様性配慮の行動指標を加点要素として組み込み、言動の是正を促しましょう。
あわせて、匿名通報と第三者窓口、再発防止のフォローアップをセットで設計し、「起きにくく、起きても早く止められる」体制を常に更新しておくことも大切です。
ダイバーシティマネジメントについて学びたいならアイ・イーシー
ダイバーシティマネジメントに必要な制度や行動について学びたい方は、ぜひアイ・イーシーの「多様性を職場に活かす ダイバーシティマネジメント研修」をご活用ください。
まず経営課題としてのD&Iとバイアスを整理し、管理職の役割(第4章)を再確認した後、具体的なマネジメント方法についてカードワークとグループワークで学びます。心理的安全性を高め、分断とハラスメントを防ぎつつダイバーシティマネジメントを推進したい管理職・経営層におすすめの講座です。
まとめ
ダイバーシティマネジメントは、多様な人材が能力を発揮できる環境を整えることで、企業の競争力を高める取り組みです。国内外の事例でも、外国人材の活用や柔軟な働き方の導入を通じて、離職率低下や生産性向上といった効果が確認されています。
ダイバーシティマネジメントを進める上で大切なのは、制度導入にとどまらず心理的安全性や理念の共有、ハラスメント防止などの仕組みを組み合わせることです。 多様性を単なるスローガンにせず経営戦略に組み込み、全社員が安心して意見を出し合える環境を構築すれば、長期的な企業価値向上につながります。
今後の日本企業にとって、ダイバーシティマネジメントは選択ではなく必須の経営課題です。ダイバーシティマネジメントについて知りたい方は研修も活用しながら、学びを深めましょう。
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