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第3回:光とは何か? 赤い光と青い光の違いとは?

KNOW-HOW

光は電磁波の一種

 

 光とは、なんでしょうか?

 

 そう聞かれても答えようがなく、「光は目に見えるもので、太陽からの光とか室内の照明の光とか、そういうものでしょう? 光がなければ、真っ暗になって、なにも見えなくなってしまいます。」というような解答になってしまう方がほとんどではないでしょうか。

 

 確かに、光は目に見えるものという感覚があります。しかし光の中には、実は目に見えないものもあるのです。私たちの目に見える光のことを「可視光」と呼びます。日常生活での「光」という言葉は、普通は可視光のことを意味するので、上記のような答えが出てくるのです。

 

 「光とはいったい何なのか?」という問いに対して、一言で答えるならば、「光は電磁波と呼ばれるものである」となります。そして「可視光は電磁波の一種」ということになります。電磁波は名前から想像されるように、電気と磁気に関係しています。電気的な力を及ぼす空間のことを、電場(または電界)と言います。同様に磁気的な力を及ぼす空間のことを、磁場(または磁界)と言います。そして電磁波というのは図のように、電場と磁場が振動しながら進む波のことを言います。つまり電磁波は、電気的な力と磁気的な力を合わせ持っているのです。

 

 

いろいろな種類の電磁波がある

 

 電磁波は電場と磁場が振動している波ですが、その波が1秒間に何回振動するかを表すものが「振動数」です。「周波数」とも言いますが、ここでは「振動数」を使うことにします。そしてこの振動数の違いによって、様々な種類の電磁波が存在します。光(可視光)も、電磁波の中のある一定の振動数の範囲にあるものを指すわけです。

 

 また上の図を見てわかるように、電磁波の特徴として、波の進む方向、電場の方向、磁場の方向の3つがお互いにすべて垂直になっています。この関係を維持したまま、波は進みます。そして波の進む速さは振動数に関係なく、どんな電磁波でも同じ速さです。その速さは「光速」と呼ばれていて、光はこの宇宙で最も速いスピードで進みます。どのくらい速いかというと、1秒間に30万kmも進みます。これは1秒間で地球を7周半も回ることができる速さです。あまりに速いので、普段、私たちは光に速さがあるようには感じていません。音が伝わるのに時間がかかることは、雷や花火の音と光の関係など、日常生活で経験するかもしれませんが、光は瞬間的に届くと感じているはずです。しかし実際には速さがあるので、たとえば、太陽から地球まで光が届くのには8分程度かかります。私たちが見ている太陽は、常に8分前の太陽なのです。もっと遠い星、たとえば北極星などは、およそ400年も前に発せられた光を私たちは見ているのです。

 

 1回の振動の間に波が進む距離のことを「波長」といいます。下の図でいうと、波の山と山の間の距離が波長になります。また、1秒間に何回振動するかが振動数だったので、(振動数)×(波長)は1秒間に波が進む距離、すなわち、波の速さになります。電磁波の場合は、波の速さが光速で一定なので、振動数がわかれば、波長は自動的に決まります。逆に、波長がわかれば振動数が決まります。ですから、電磁波の種類を特定するときには、振動数か波長のどちらかを使えばいいのです。

 

色の違いは振動数の違い

 

 振動数の単位はHz(ヘルツ)で表されます。1秒間に1回振動する場合を1 Hz、100回振動する場合を100 Hzと表します。可視光はどれくらいの振動数かというと、驚くほど高い振動数です。1秒間に大体430兆~ 750兆回くらい振動しています。つまり、何百兆Hz(何百THz:テラヘルツ)という振動数です。

 

 私たちは、目の中の網膜で光を検出して脳に伝えています。このとき、こんな高い振動数を直接振動として感じているわけではなく、振動数に応じた刺激を脳が学習して、振動数の違いを色の違いとして認識しています。たとえば、赤という色は450兆回くらい、緑という色は550兆回くらい、青という色は700兆回くらいの振動をしています。虹の七色と呼ばれている色を振動数の低い順に並べると、赤、橙、黄、緑、青、藍、紫となります。

 

 

 この図では色と振動数の大体の対応を示してありますが、色というのは人間の感覚の問題なので、どの振動数の範囲が何色という決まったものはありません。もちろん、「色は何種類あるのですか」などというのは答えようのない質問です。光の振動数は物理的な実体ですが、色というものは振動数の違いを脳が学習して作り上げたものです。あなたが感じている緑と、別の人が感じている緑は全然違う可能性もあります。

 

振動数が高い方が、エネルギーも高い

 

 さて、振動数が高いものと低いものでは、どちらのエネルギーの方が高いでしょうか? 分子の振動と同じく、電磁波も振動数が高い方がエネルギーは高いのです。ですから可視光の中では、赤のエネルギーが最も低く、紫のエネルギーが最も高くなります。日常の感覚では、赤の方が熱くて、青の方が冷たいというイメージがありますが、本当は逆で、青い光の方がエネルギーは高いのです。赤系の色には火や太陽などからくる暖かいイメージを持ち、青系の色を見ると氷や水などを連想するので、逆の感覚を持ってしまっているのだと思います。それでも、ガスの炎で最も温度の高い部分は青い部分だと、聞いたこともあるのではないでしょうか。

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