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飛行機はなぜ飛ぶのか
~観察力と発見力が高まるサイエンス思考~

KNOW-HOW

サイエンス思考とは?

 

「サイエンス思考」とは、物事を科学的、特に、物理的な視点で考えることと、私は感じています。

 

物理的な思考で大事なことのひとつは、問題としている現象の「素過程は何か」を考えることです。「素過程」というのは、どんどん原因を突き詰めていったときの大本を支配している過程のことをいいます。これは、物事の本質を見抜く力にも繋がります。物理の問題でいうと、大きな物体で起きている現象を、分子・原子・電子などのレベルまで細かく原因を突き詰めていき、その小さな(ミクロな)世界で何が起きているかを見極めることになります。

 

もうひとつ大事なことは、「多数あったときに何が起きるか」を考えることです。素過程はあくまでも大本での出来事であって、それらが集団としてものすごく多くあったときに、どんな効果が大きく(マクロに)現れるかを考えるのです。

 

「マクロ(巨視的)」は「ミクロ(微視的)」の反対語で、私たちが実際の生活で経験する現象は「マクロな現象」といいます。「ミクロな素過程」と「マクロな集団効果」、このふたつをバランス良く考えることが重要なのです。

 

このように、抽象的に説明してもわかりづらいと感じる方が多いでしょう。「サイエンス思考とはどんなものか」ということは、理系の内容を学ばないと絶対に“実感としては”わかりません。理系的内容の中身を学ばずに、サイエンス思考の方法だけ身に付けることはできません。実感としてわかってもらうために、身の周りの素朴なQuestionを例にとり、具体的な事柄をいろいろと紹介していきます。回を追うごとにサイエンス思考というものが徐々にわかってくると思います。楽しみにしていてください。

 

著者紹介

江馬 一弘(えま かずひろ)

 

上智大学理工学部機能創造理工学科教授

東京大学工学部卒業、同大学院工学系研究科中退、東京大学助手・講師を経て現職。専門分野は光物性、非線形光学、超高速光エレクトロニクス。著書に『人に話したくなる物理』他、Newton 別冊の監修などに携わる。

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