新聞やテレビ、ニュースサイトで報道されるたびに注目を集める就職内定率のデータを見てみましょう。
企業側からでなく学校側から調査した前年10月、12月、卒業年2月、4月の各1日現在での就職内定率(4月は就職率)の推移を大卒に関して図に掲げました。これは、文科省と厚生労働省が共同で調査している結果です。
最近の動きを見ると、2008年のリーマンショック以降の経済低迷で、2011年3月卒業生の前年10月1日現在の内定率は57.6%とかつてない低水準となり、学生の就職難が大きな社会問題となりました。その後、3カ年続けて、同時期の内定率は改善していますが、なお、リーマンショック前の水準には到達していません。なお、就職が厳しい状況にあると判断できます。
報道される場合には、普通は、特定の月のデータについてのみ、前年より高まっているかどうか、あるいは過去のピーク時と比べて高いか低いかが報じられるのみであり、また、グラフ化されるとしても3~8年分ぐらいの結果であることが多いのですが、ここでは、データが得られる限りの1996年以降の18年分のすべての調査月の推移を示しています。
こうした網羅的なデータを見ると2つの重要な特徴が浮かび上がります。
第1に、就職が内定しない人は多くなっても、就職が決まらない人は内定が決まらない人ほど多くはなりません。内定率の年毎の変動は大きいのですが、4月時点の実際の就職率の変動幅は内定率ほど大きくないことからそれが分かります。2013年までの実績では、10月1日現在の内定率は良いときと悪い時とで16%ポイントの差がありますが、4月1日現在の就職率は6%ポイントの幅に収まっています。
第2に、10月1日から4月1日までの6カ月間の動きがかつてと今とでは異なっています。すなわち、グラフを見ても分かりますが、10月1日の内定率と4月1日の就職率とのレベル差がかつての20~25%ポイントから最近の30~35%ポイントへとだんだんと大きくなってきています。採用側がなかなか内定を出さないのか、それとも応募者側の要求水準が高くなって、本命企業の内定が出るまで、なかなか内定が出たと思わないのか、いずれにせよ、内定が最後まで決まりにくくなってきている訳です。これが、就職戦線をこれまで以上に厳しいものと感じさせる大きな要因の1つだといえるでしょう。