若者を中心に社会貢献意識が高まってきているといわれます。ここでは、この社会貢献意識の内容を探るため、NHK「日本人の意識」調査により、社会的活動と関連のある4つの問における社会活動への参加意識の推移を見ました。
NHKの放送文化研究所では1973年から継続して5年おきに、全国の16歳以上の国民5,400人に対する「日本人の意識」調査(個人面接法による)を行っています。2008年の有効回答数は3,103人(回答率57.5%)です。調査結果については、「現代日本人の意識構造 (NHKブックス)」として刊行されています。
この調査は基本的に選択肢から1つを選んで回答させる方式を取っています(択一回答)。ここで取り上げた社会活動と関連のある4つの問に関しても同様です。例えば、現在の余暇活動として、「世の中のためになる活動」を回答した人は、”主として”その活動を行っている者であり、当然、回答率はそれほど大きくはなりません。この点に注意して以下を読んで下さい。
よく調べてみると、社会活動意識は低下しているとしか見れない結果もあります。生活目標として、「みんなと力を合わせて、世の中をよくする」という回答を選んだ者は1973年時点では14%近くいましたが、1988年までに7%以下に急落し、その後、横ばいでしたが、2008年には6%以下に低下しました。さらに余暇活動として現在、社会活動をしていると回答した比率は、この35年間ほとんど変わらず2%以下です。一方、余暇活動で将来は社会活動をしたいとする比率は1980年代までよりは上がっていますが、現状はほぼ横ばいです。
社会活動意識が明確に上昇していると見られるのは、理想の仕事として、「世の中のためになる仕事」を選んだ者の比率です。企業の社会貢献やいわゆるソーシャルビジネスへの関心は高まっているといえるでしょう。
無償や余暇で社会活動をするのはキツイが、給与をもらいながら社会に役立つこともできれば、それに越したことはないという訳です。世の中のためになる仕事をしたい人は増えていますが、私生活を犠牲にしてまで世の中のためになる活動には傾斜できないという意識も強いといえるでしょう。
人々の間に薄く広がる社会貢献意識をどれだけうまく集めて力に出来るのかが問われているのかもしれません。