2012年の民間企業の管理職の女性割合は以下の通りです(平成25年版男女共同参画白書による)。
・係長相当職 14.4%
・課長相当職 7.9%
・部長相当職 4.9%
管理職のうちでもレベルが高くなると女性比率は小さくなる傾向にあります。上に立つ重要な仕事ほど女性に任せられないという考えがあるという結果になっています。
図の中で管理職割合の推移を課長相当職の割合で追ってみると、1989年の2.0%から12年の7.9%へと約4倍に拡大していますが、比率自体は海外の水準に比べて、なお、非常に低いと言わざるをえないでしょう。
もっとも分野によっては女性の活躍範囲が広まっています。図には管理職以外の女性比率をいろいろ掲げてみました。働いている者(就業者)の女性比率は42.3%であり、女性の社会進出に伴い86年の39.8%から上昇傾向にありますが上昇幅は大きいとは言えません。
産業別に見ると製造業就業者(工場労働者)の女性比率は86年当時はほぼ就業者比率と同じ4割だったのが、現在は3割以下とかなり低下してきています。アジア等への企業の海外進出に伴い組立型の女性型工業が縮小しているためだと考えられます。
職業別には、多くの専門職で女性比率が上昇しています。小中学校の教員では1990年代に入って女性比率が50%を超えたのが目立っています。この他、医師、研究者の女性比率は教員に比べると10%台となおかなり低いレベルですが、それでも、着実に上昇しつつあります。
国民の代表としての活動を見ると、国の審議会等委員、参議院議員、衆議院議員の順で女性比率が高くなっています。国の審議会等委員は86年の6%から10年の33.8%へと急上昇しているのが目立ちます。各指標の中では最も比率の上昇が大きな分野です。他方、選挙で当選した議員数で見ると、参議院議員は1989年の反消費税導入選挙におけるマドンナ・ブームで一時期2割に近づく勢いでしたが、近年はやや伸び悩んでいます。衆議院議員では、2009年の政権交代選挙では民主党が若い女性を多く当選させ、女性当選者が54人と1割をはじめて超えました。ところが2012年総選挙では民主党が惨敗し女性比率も7.9%へと低下しています。
この他、海外旅行者の女性比率は90年代に入って急拡大したのち一時期低下しましたが最近は復活しつつあります。図には掲げていませんが、海外在留邦人の女性比率は1999年から女性が男性を上回っており、また、2013年5月末にアフリカに派遣されている海外青年協力隊員は650人ですが、そのうち女性が328人と過半数を占めています。海外での女性の活躍が目立っています。
スポーツでも女性選手の活躍が目立ちます。オリンピックの女性金メダリストは1984年ロサンゼルス大会、1988年ソウル大会ではゼロ、1992年バルセロナ大会、1996年アトランタ大会では1個、そして2000年シドニー大会で2個、2004年アテネ大会で9個、2008年北京大会で5個、2012年ロンドン大会で4個と着実に地歩を高めており、図の中でも最も華々しい女性比率上昇となっています。
このように、いろいろな面で女性の活躍が目立ってきていることからも、国会議員の比率もそうですが、管理職の女性比率をもっと上昇させた方が社会全体の活性化にむすびつくことは確実と考えられます。