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ジェネレーションギャップとは?Z世代と昭和世代で生じる仕事の問題
ジェネレーションギャップとは、異なる世代間で生じる価値観や行動様式の違いのことです。これにより、職場でのコミュニケーションや仕事の進め方にずれが生じ、さまざまな問題を引き起こす可能性があります。特にZ世代と昭和世代の間では、技術の進化や価値観の変化に伴い、仕事への取り組み方やコミュニケーションスタイルに顕著な違いが見られます。
当記事では、ジェネレーションギャップの原因とその影響、そしてこのギャップを埋めるための効果的な対策について学びましょう。
ジェネレーションギャップとは?
ジェネレーションギャップとは、世代間で生じる価値観や常識、知識、考え方の違いを意味する言葉です。世代によって当たり前だと思う感覚が異なるため、同じテーマで会話していても受け取り方にずれが生じます。
株式会社ネクストレベルが運営するミライのお仕事では、「ジェネレーションギャップを感じたことがあるか?」というアンケート調査が行われました。その結果、78.9%の若手社員が先輩に対してジェネレーションギャップを感じたことがあると回答しています。一方で、先輩社員も74.2%が「ある」と回答し、約7割が異なる世代に対してジェネレーションギャップを感じていることが分かります。
※出典:PR TIMES「男女564人に大調査!職場で「ジェネレーションギャップ」を感じた瞬間トップ10|株式会社ネクストレベル」
そのため、年齢が異なる相手に対して「同じように考えるはずだ」と思って接していると、気持ちが通じず「理解し合えない」と関係に悪影響を及ぼす可能性があります。
ジェネレーションギャップが生じる原因
ジェネレーションギャップは、どちらが正しい・間違えているという問題ではありません。考え方の違いを受け入れて対処するには、すれ違いが生じる原因を知ることが大切です。
世代によって考え方が異なる理由として、以下の3つが挙げられます。
技術革新が進んでいるため
テクノロジーは日々進歩しているため、世代によって身近に感じるものが異なります。生まれたときからパソコンやインターネットがあった世代と大人になってから取り入れた世代では、テクノロジーの活用方法や考え方が異なるのは当然です。紙媒体での保管に安心感を覚える世代もいれば、クラウドでの保存が安全だと考える世代もいるでしょう。技術に対する知見の個人差はあるとは言え、テクノロジーの受け入れ方には世代差が見られます。
著しく進歩する技術に若者のほうが高い適応力を示します。若者は情報の吸収が早いため、業務で新たな技術を取り入れる際の柔軟性にも、ジェネレーションギャップが顕著に表れるでしょう。
各世代で価値観が異なるため
価値観の形成は育ってきた環境や社会情勢に影響されるため、世代によって違いが生じます。一世代前では常識だとされていたことが、近年では受け入れられない考え方になっているケースもあります。
例えば、組織への忠誠や仕事を第一に考えることが大切という環境で育った世代は、仕事優先で予定を組むのが当たり前だと考えるかもしれません。一方で、私生活を充実させることも必要という環境で育った世代は、プライベートを優先した行動を取るでしょう。
それぞれ自分が育った環境での常識や価値観に基づいて行動するため、相手の言動に対して驚いたり隔たりを感じたりするのは避けられません。
コミュニケーションスタイルが異なるため
現代では対面、手紙、電話、メール、SNSなどさまざまなコミュニケーションツールがあり、世代によって好むコミュニケーションスタイルが異なります。
特に若い世代は、SNSやチャットアプリなどデジタルでのコミュニケーションツールを使いこなし、直接話すのと同じ感覚で利用します。一方でデジタルツールがなかった時代を知っている世代は、対面や電話でやり取りすることに誠実さを感じるかもしれません。SNSやチャットアプリの利用に抵抗感を抱いてしまうでしょう。
この感覚の違いによって、「どうしてオンライン会議ではいけないのだろう」「大事なことをメールで済ませるなんて」など、すれ違いが生じます。自分が重視するスタイルが正しいと考えてしまうと、ジェネレーションギャップにより相手の行動が理解できなくなります。
ジェネレーションギャップが起こりうる世代ごとの特徴
同じ世代だと似たような考え方や行動様式、価値観が形成されます。個々の違いはあるとは言え、世代別の傾向を把握しておくとジェネレーションギャップに対処する際に役立つでしょう。
ここでは、4つの世代の特徴と一般的な傾向を解説します。
X世代|1965~1979年
X世代とは、1965~1979年に生まれた、団塊世代の子どもたちにあたる世代です。子どもの頃はテレビがあり、成人後にインターネットが普及しています。高度経済成長期からバブル期、X世代後半であれば就職氷河期を経験し、物質的な豊かさや品質の高さを重視する傾向があります。社会の著しい変化を見てきたため、会社への帰属意識を持ちつつも、終身雇用にこだわらず個人の働くスタイルや家族との結びつきを大事にする人が多いでしょう。
また、比較的若い頃からデジタルに慣れ親しんできた世代です。デジタル技術に抵抗が少なく、アナログとデジタルを使い分けて、テレビや雑誌、SNSなど幅広い媒体を利用します。
Y世代|1980~1995年
1980~1995年に生まれた世代をY世代と言います。ゆとり教育を受けて育ったゆとり世代も含まれ、ミレニアル世代と呼ばれることもあります。子どもの頃からインターネットがあり、IT革命の中で成長しているため、インターネットやスマートフォン、SNSを使いこなせるのが特徴です。ただし親はデジタルネイティブではないため、親と同様に雑誌や新聞などアナログ媒体に対して抵抗が少ないでしょう。
物への執着が少なく、「体験」に価値を見いだす傾向があります。X世代以上に個々のあり方やプライベートな時間を大切にし、自身のライフスタイルを確立することを大事にします。
Z世代|1996~2012年
1996~2012年までのY世代の次に生まれた世代がZ世代です。生まれたときからインターネットやデジタルデバイスが普及していたため、最初のデジタルネイティブと言えます。オンラインでのコミュニケーションに慣れていて、自分のことをSNSで発信するのに抵抗がありません。承認欲求が強く、他人からの評価に敏感な傾向があるでしょう。インターネットでさまざまな考え方に触れてきたため、多様性や自分らしさを大切にします。
また、不安定な社会で育ってきた背景から、現実主義な傾向があり、無駄を省いて何事も効率的に行うことを好みます。コスパやタイパ(タイムパフォーマンス)を重視する行動様式が見られるでしょう。
α世代|2013年~
α世代は2013年以降に生まれ、2024年時点ではまだ社会には出ていない子どもたちを中心とする世代です。義務教育でプログラミングを学んだり授業でタブレットを用いたりするなど、完全なデジタルネイティブとして育っています。
デジタルツールが当たり前のものとして存在し、高いデジタルリテラシーが育まれていくでしょう。幼い頃からインターネットでさまざまな情報に触れているため、Z世代のように多様性や個人の価値観を受け入れられる世代になると考えられます。
仕事上のジェネレーションギャップあるある・事例
実際に、職場ではどのようなジェネレーションギャップが生じているのでしょうか。株式会社ネクストレベルによるギャップを感じる瞬間を調査したアンケートでは、以下のような結果が出ています。
【若手に感じる価値観の違い※TOP3抜粋】
順位 | 項目 | 割合 |
1位 | 連絡がLINEやメールばかり | 29.0% |
2位 | 打たれ弱い | 28.7% |
3位 | 仕事よりプライベート優先 | 25.5% |
※出典:PR TIMES「男女564人に大調査!職場で「ジェネレーションギャップ」を感じた瞬間トップ10|株式会社ネクストレベル」
まず、先輩社員が年下の若手社員に対して感じるジェネレーションギャップの第1位は、連絡手段にLINEやメールが用いられる点です。ほかにも、仕事中にスマホを触る、電話対応や掃除など雑務をしない、仕事への意欲が低い、社外での付き合いをしない、などが挙げられています。
一方で、若手社員は年上の社員に対して以下のようなジェネレーションギャップを感じています。
【先輩に感じる価値観の違い※TOP3抜粋】
順位 | 項目 | 割合 |
1位 | セクハラ・パワハラなどの時代錯誤 | 36.8% |
2位 | 飲み会が好き | 32.3% |
3位 | 根性・ガッツで仕事をする | 27.0% |
※出典:PR TIMES「男女564人に大調査!職場で「ジェネレーションギャップ」を感じた瞬間トップ10|株式会社ネクストレベル」
若手社員が世代による価値観の違いを最も感じる瞬間は、セクハラ・パワハラに該当する言動です。また、デジタル形式の便利な方法を使わずアナログを好む、知らない言葉を使ってくる、ITスキルが低い、愛社精神が強いといった言動に価値観の違いを感じています。
これらの結果を踏まえ、仕事上で生じやすい3つの世代間ギャップを解説します。
※出典:PR TIMES「男女564人に大調査!職場で「ジェネレーションギャップ」を感じた瞬間トップ10|株式会社ネクストレベル」
業務・コミュニケーションにおける世代間ギャップ
職場でのジェネレーションギャップとして、あるあると言えるのが連絡手段やコミュニケーションに対する考え方の違いです。
よくあるのは、若手社員が報連相をメールやLINEなどを用いて行い、先輩社員が戸惑うという例です。デジタルツールが普及する前から社会に出ていた世代は、大切な連絡は口頭で行うべきと考える人が多いでしょう。一方でデジタルネイティブの世代は、LINEやメールは相手の都合がよいときに見てもらえ、内容を文面に残せる効率的な手段という認識があります。
また、若手世代は「コミュニケーションは業務に支障が出ない程度でよい」と考える人が多く、休憩時や雑談の際に壁を感じてしまう先輩世代も少なくありません。
ワークライフバランスにおける世代間ギャップ
仕事とプライベートにおける優先順位のつけ方も、世代間のギャップが表れやすい部分です。仕事を優先して予定を組む、周囲の人が残っていたら自分も残業する、何よりも出世を目指すといった価値観は、若い世代ではあまり見られなくなっています。予定が入っていたら仕事は断る、定時で退社する、キャリアを積んで管理職になるよりプライベートを充実させることが大事という人が多いでしょう。
年収アップやスキルアップよりも、ワークライフバランスの維持・安定が仕事をする上で大切と考えているため、仕事への姿勢にギャップが生じます。
プライベート時間における世代間ギャップ
プライベート時間の使い方は、世代によって違いがあります。休日に上司とゴルフに行ったり飲み会に参加したりするのは、ある世代にとっては当たり前かもしれません。一方で、若手世代は公私をきっちりと分け、無理をしてまで業務時間外に職場の人と過ごすことはしない人が多いでしょう。気が乗らなければきっぱりと断れます。
上司の誘いは絶対という環境で過ごした世代と、私生活は干渉されないのが常識という世代では、プライベートでの誘いに対する反応がすれ違うのは当然です。
ジェネレーションギャップによって生じる仕事上の問題
ジェネレーションギャップは考え方の違いにすぎないとは言え、すれ違いを放置していると業務に支障をきたしてしまいます。仕事上のジェネレーションギャップが引き起こす問題として、以下の4つが挙げられます。
コミュニケーションの不足
ジェネレーションギャップによって話が噛み合わず、意思疎通が図れなくなる場合があります。自身の価値観を基準にコミュニケーションを取ろうとすると、言いたいことが伝わらず誤解が生まれるかもしれません。
世代が違うから理解できないと考えて距離を置いてしまうと、さらなるコミュニケーション不足が生じます。情報共有が十分に行えず、チームワークやプロジェクトの進行に支障が出る恐れがあります。
モチベーションの低下
世代によって仕事を評価する視点が異なると、評価されない世代は仕事へのモチベーションを失う恐れがあります。例えば、成果主義のもとでは、さまざまな業務に時間を割き会社に貢献するという努力を見てもらえないかもしれません。
また、若手社員の価値観を最初から否定してしまうと、若手社員は委縮して本来のパフォーマンスを発揮できなくなります。意見を出しても取り合ってもらえない、努力が評価されないと感じ、仕事への意欲が下がってしまうでしょう。
イノベーションへの支障
異なる価値観や考え方に対する理解の欠如は、イノベーションの創出を妨げます。イノベーションは、異なる視点や新しいアイデアの融合で生まれます。ジェネレーションギャップに捕らわれて拒否感を強めていると、新しい考え方や社会の変革に遅れをとってしまうでしょう。
競争社会を生き残るには、時代の波に乗り、常にアップデートすることが欠かせません。イノベーションへの支障は、企業の存続にも関わります。ジェネレーションギャップは単なる人間関係の問題ではなく、組織の成長に影響を及ぼす重要な課題と言えます。
ハラスメントのリスク
ジェネレーションギャップは、ハラスメントが発生するリスクを高めます。自分の常識に基づいて発言すると、ほかの世代にとってはハラスメントとなる可能性があります。
例えば、定時退社を咎めたり、根性で仕事をこなすよう指導したりすると、パワハラと見なされるかもしれません。自分がされてきたのと同じ方法で指導しても、現代ではハラスメント問題に発覚する恐れがあるため注意が必要です。
また、ハラスメントを恐れて行うべき指導ができなくなるという弊害も生じます。現代の価値観では、どの程度まで言ってよいのか分からなくなるかもしれません。指摘すべきことが言えず、業務に支障をきたします。
ジェネレーションギャップをなくす取り組み
ジェネレーションギャップを埋めるには、互いに歩み寄ることが大切です。どちらの考えが正しいかを決めるのではなく、双方の理解を深めましょう。
ここでは、異なる世代を理解し、ジェネレーションギャップを解消するための4つの方法を紹介します。
世代間のコミュニケーションを活発化させる
異なる世代を理解するには相手の話をよく聞くことが大切です。自分にはない考え方であっても最後まで話を聞き、相手がどう感じるのか知ることを目標としましょう。話を聞いた上で質問し、何を伝えたいのか理解を深めます。
円滑なコミュニケーションを取るためには、定期的なミーティングを設けて、意見や経験を共有する機会を増やすのが大切です。業務上支障となっていることや感じていることを忌憚なく話せる雰囲気を作るなら、相手の考え方を知り、理解する助けとなるでしょう。
世代間での知識・スキル共有の場を作る
世代によって異なる知識を共有する場を設けましょう。若手世代のIT知識や先輩社員が培ってきたノウハウなど、どの世代にも知識やスキルの強みがあり、学べる点がたくさんあります。相手には自分の持っていない知識があることを知り、互いを尊重する気持ちも培えます。
また、足りない知識・スキルを互いに補い合えば、知識の有無によって生じるジェネレーションギャップを埋められるでしょう。社員全体のスキルが向上し、生産性も高まります。
多様性・個性・異なる価値観を受け入れる
さまざまな世代の意見や異なる価値観、個性の違いを尊重する環境作りが大切です。企業風土や文化に捕らわれず、各世代の意見や新しいアイデアを取り入れるようにします。プロジェクトチームには異なる世代のメンバーを配置し、各世代の声を反映させるのもよいでしょう。
組織として多様性を受け入れる雰囲気があるなら、社員一人ひとりが価値観の違いを尊重する姿勢を保ちやすくなります。双方が理解しようと努めることで、ギャップが生じた際も大きな問題になるのを避けられるでしょう。
教育・トレーニングを継続的に行う
研修やワークショップを定期的に行い、世代に関わらず社員全体が新たな知識や技術、最新のビジネストレンドを取り入れられるようにしましょう。異なる世代の社員が共通の教育を受けることで、世代間のギャップを埋めて相互理解を促進できます。
一例として、株式会社資生堂ではユニークなトレーニング制度であるリバースメンタリングを実施しています。リバースメンタリングとは部下が指南役となり上司へ教育を施す制度です。上司が若い世代から新たなスキルを得られる、上司と部下のコミュニケーションの機会となる、部下のエンゲージメントが高まるといった利点があります。実際に、株式会社資生堂では役員のITスキルの向上や異なる世代間でのコミュニケーションの活性化といった成果が見られています。
まとめ
ジェネレーションギャップは、世代間の価値観や行動様式の違いから生じる問題です。職場においても、異なる世代が共存することでコミュニケーション不足やモチベーション低下、さらにはイノベーションの阻害、ハラスメントのリスクが高まる可能性があります。
しかし、世代間の理解を深め、コミュニケーションの場を設ければ、このギャップを埋めることが可能です。お互いの価値観を尊重し、スキルや知識を共有し合えば、企業全体の成長にもつながるでしょう。世代を超えて協力し合う姿勢が、これからの職場に求められています。
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