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なぜIQよりもEQが重要なのか|人生を幸福に導く心の知能指数の高め方
ビジネスでは、知能指数を示すIQだけでなく、EQも必要だと言われています。心の知能指数を表すEQが高い人は、自身の感情をコントロールしたり、他人の感情を推察しながらコミュニケーションを取ったりする能力が高い傾向にあります。
企業の生産性を高めるためには、従業員のEQに着目することが大切です。当記事では、EQを高める方法やメリット、EQが高い人の特徴について詳しく解説します。
EQ(心の知能指数)とは?
EQは「心の知能指数」を示す指標であり、感情をコントロールする能力です。EQはメンタルヘルスの問題と密接に関わり、良好な人間関係を築くために重要な役割を果たすと言われています。
EQは「Emotional Intelligence Quotient」の略語で、1990年代に提唱された考え方です。EQ理論は、ビジネスシーンにおける感情の扱い方についての研究で、この研究により、自分の感情をうまく扱う力があると仕事に与える影響も大きいことが明らかになりました。
高いEQは、スムーズな組織運営や対人関係に欠かせない能力であり、IQとの関連性も含めて注目されています。
EQとIQとの違い
IQとは知能指数であり、発達や知能の程度を示す指標です。IQは、学んだ知識を用いて状況に対処する力や、合理的思考を知能検査によって測定します。知能指数の平均である100を基準に算出した数値で、発達や知性の程度が分かります。
感情をコントロールするEQと、頭の良さを測るIQは、互いに影響を及ぼす関係です。高いIQを持っていてもEQが低い場合、ビジネスで成功できるとは限りません。IQを十分に発揮する方法として、人間関係を良好に保てる高いEQが必要です。
EQの高い人は、自分の気持ちを制御し、他人の感情を察する能力が高いので、ビジネスでも成功しやすい傾向にあります。
EQが重要視されるのはなぜ?
EQの高い人は、トラブルを起こしにくく、周囲の士気を上げます。ビジネスシーンでEQが重要視される理由は、チームの生産性向上にEQの高い人材が欠かせないためです。
多様な価値観が存在する現代では、課題に対する広い視野と柔軟なアプローチが必要です。EQの高い人は自分の感情をうまく扱い、周囲との調和を大事にするため、問題解決への道のりがスムーズになります。
また、EQの高い人は、話す人に安心感を与え、チームの雰囲気を良好に保ちます。すぐに相談できる人がいたり、課題を議論できたりする職場は、心理的安全性が高い環境です。EQの高い人を組織のリーダーにすると、低い人が導く組織よりも優れた業績結果を出すという研究結果もあります。
EQを高めるとどのようなメリットがある?
EQは、自分の感情のコントロールや、周囲の人の気持ちを察するために必要な能力です。ここからは、EQを高めるとビジネス上でどのようなメリットがあるのか解説します。
リーダーシップが向上する
EQを高めると、リーダーシップが向上するメリットがあります。リーダーシップとは、目標の達成に向けて組織をまとめ、率いる力です。良いリーダーは、組織をポジティブな雰囲気に保ち、メンバーの意欲を引き出します。リーダーシップを取るためには、メンバーの感情に配慮し、全員が存分に力を出せる環境を作ることが重要です。
EQの高いリーダーは、メンバーの感情・行動に敏感で、適切なアドバイスやフォローができます。管理職向けのEQ研修を行った企業では、研修後、ハラスメントやコミュニケーションの課題に改善が見られました。リーダーのEQが高まると、一般社員からリーダーに対する信頼感や安心感が生まれ、組織を良い方向へと動かします。
ホスピタリティが向上する
EQの高まりは、ホスピタリティの向上につながります。ホスピタリティとは、「相手を思う心」であり、顧客や従業員の立場に立った行動を意味します。IT技術が発達する現代では、ビジネスにおいてホスピタリティを高めることが非常に重要です。
ホスピタリティが向上すると、相手の立場や環境に気付き、心地よい関係を築けます。ホスピタリティは飲食業や宿泊業のみならず、すべてのビジネスシーンにおいて大切にしたい考え方です。
ホスピタリティを向上させるためには、相手の感情を察知するアンテナが欠かせません。EQが高まると、相手の感情やその場の雰囲気に配慮できるので、ホスピタリティも高まります。
早期退職を防げる
EQの高いリーダーがいると、メンバーの早期退職を防げます。EQの高い人はハイレベルなソーシャルスキルを持ち、良好な人間関係を築きやすいと言われています。ソーシャルスキルとは、社会の中で適切にふるまい、他者とうまく関わる技術です。
高度なソーシャルスキルを持つ人は、対人関係のトラブルに対するアプローチを得意とします。リーダーのEQを高めると、ソーシャルスキルが向上し、人間関係が原因となる離職を防げます。人材育成の観点や人材流出を防ぐためにも、リーダーや従業員一人ひとりのEQを高めることが重要です。
自律的な組織になる
EQが高まると、組織内の自主性が向上し、自律的な組織になります。EQが高い組織は、メンバーの心理的安全性が確保されており、安心してコミュニケーションが取れます。
心理的安全性が高い組織は、自分自身が受け入れられていると感じ、自由な発言や議論が交わせるようになるのが特徴です。心理的安全性が確保された職場は風通しが良く、明るい雰囲気なので、自発的に業務改善に取り組むメンバーも増加します。課題をメンバーで共有し、コミュニケーションを取りながら改善していけるため、自律的な組織となります。
あるメーカーでは、EQマネジメント研修によって、従業員がモチベーション高く働ける組織に変わりました。EQの高まりによって、感情をうまく使ったマネジメントが成果を挙げ、自ら判断・行動する組織になります。
EQを構成する4つの要素
EQは感情にまつわる4つの能力から構成されています。ここからは、EQを構成する要素について詳しく説明します。それぞれの具体例も示すため、EQを向上させたいときや、EQを高めてビジネスに活用したいときの参考にしましょう。
感情の識別
感情の識別とは、「自分や相手の感情を知る」ことで、EQを高めたり、他者とコミュニケーションを取ったりするための第一歩です。感情の識別能力を高めるには、冷静に心の中で感情を探ることや、相手をよく観察すること、感情を表現する語彙力などが必要です。
自分の感情を識別するには、冷静に「自分は今どのような感情なのか」と問いかける必要があります。人は、例えば激しい怒りやパニック状態に陥った際、自分の感情をうまく捉えられません。早期に気持ちを落ち着け、「自分は今怒っている」「自分は今パニックに陥っている」など、感情を把握するための働きかけが重要です。
感情の利用
感情の利用とは、識別した感情をコントロールし、ふさわしい状態に変えていく力です。
自分の感情に対しては、物事に対する視点を変えたり、目標を設定したりすると、感情を利用する力を発揮できます。例えば、失敗で落ち込んでいるとき、「次につながる失敗だ」と思うと、気持ちを立て直すことができます。
他人の感情に対しては、共感の姿勢が重要です。共感は、相手の気持ちを自分のもののように感じ、感情を共有する力を言います。相手への共感によって、自分の感情をその場の状況に合った形に変容できます。
感情の理解
感情の理解とは、感情が生まれた原因や、感情の変化を察知する力です。感情は、状況の変化や日常生活の中で起こる出来事によって生まれますが、いくつかの感情が同時に発生する場合もあります。
例えば、新しいプロジェクトのリーダーを任されたとき、喜びと同時に不安や緊張を感じたとします。ある感情が沸いたときに、正反対の感情や複数の感情が入り混じった気持ちを抱くケースも少なくありません。感情の変化によって、鼓動が早くなったり、体が火照ったりする人もいるでしょう。さまざまな状況下で起きる心の変化に目を向けられる冷静さを身につけることで、感情への理解が深まります。
また、自分の感情だけでなく、相手の感情の変化について推察することも大切です。他人の感情は、言葉や態度から察知できます。例えば、業績が伸び悩む部下の元気がないとき、状況や表情から、沈んだ気持ちや焦る気持ちを読み取れます。相手と柔軟にコミュニケーションが取れる方は、感情を理解する能力が高い傾向にあります。
感情の調整
感情の調整とは、「識別」「利用」「理解」のプロセスを経た感情を、実際の行動に合わせて変える働きです。
例えばクレームが発生した際に、腹立たしい・不安だと感じている、と知覚するのが「識別」のプロセスです。「利用」のプロセスでは、自分の怒りや混乱を鎮め、クレームを訴える相手の話に耳を傾けます。「理解」のプロセスは、相手の立場を知り、求めているものを知る過程です。最後の「調整」では、怒りや不安を抑え、自分の中から素直さや相手を思いやる感情を引き出して、一連の感情を前向きなものやモチベーションへとつなげます。
感情の調整がうまくいくと状況が改善し、物事がスムーズに進みます。コミュニケーションで成功する人は、状況に合わせて感情をコントロールするのが得意だと言えます。
EQが高い人はどんな人?
EQが高い人にはいくつかの特徴が見られ、ビジネス上で良い影響を及ぼします。ここから解説するのは、EQが高い人の特徴です。ビジネスの場面においてEQの高い人の特製が生かせる事例も紹介するため、業務を進める上での参考にしましょう。
柔軟性がある
EQが高い人は、環境や状況に適応し、臨機応変に動けます。
職場には、さまざまな年齢や価値観を持った人がいます。転勤などによって、頻繁に職場環境が変わる人も少なくありません。柔軟性があると、従来の価値観やルールにとらわれず、周りの人や環境を理解できます。環境が変わっても状況にふさわしい行動を取れる人は、ビジネスシーンで重宝されます。
EQの高い人は、状況に合わせて自分の感情をコントロールし、柔軟に動けるため、社会での評価が高くなる傾向です。
共感力が高い
共感力の高さは、EQの高さと関連があると言われています。共感力とは、相手の状況や感情を想像し、その人の気持ちに寄り添う力です。共感力が高い人は「職場での良好な人間関係を築ける」「信頼のおけるリーダーになれる」「顧客のニーズを把握できる」といった特徴を持ちます。
EQが高まると、相手の感情に寄り添った言動ができるため、さまざまなビジネスシーンで人間関係が円滑になります。
傾聴力がある
EQの高い人には傾聴力があり、人との信頼関係を結ぶのが得意な傾向にあります。
傾聴力とは、相手の話に耳を傾け、話の内容や相手の感情、話の意図を理解する力を意味します。イメージとしては、心理カウンセラーが患者の話を聞き、言葉や身振りから症状・原因を理解するのが傾聴です。傾聴力があると、相手の立場を理解できるので、課題の解決や状況の改善につながります。
傾聴力のある人は、相手の言葉や態度から話の本質を引き出すのが得意です。気持ちに寄り添ってくれる人には多くの信頼が寄せられるため、良い人間関係を継続できます。
ストレスに強い
EQが高い人は、自分の感情コントロールに長けており、ストレスに強いのが特徴です。
ストレスへの強さは「ストレス耐性」と呼ばれ、ビジネスにおいて大切な能力です。過度なストレスは、メンタルヘルスの問題や早期離職を引き起こすため、職場全体でストレス対策に取り組む必要があります。
EQが高いと、ストレスを感じたときに「苦しい」「つらい」という気持ちを素直に受け止め、対処できます。EQが高い人の中には、ストレスへの対処として「今を乗り切れば楽になる」と考えたり、周囲にヘルプを求めたりするといった行動を取れる方も多いでしょう。EQが高いと感情の処理や制御がうまいため、ストレス耐性が向上します。
粘り強さがある
粘り強さは、明確な目的意識と意欲から育まれるため、EQと密接に関係しています。粘り強く仕事に取り組める人は、その場の感情に流されず、目標を持って仕事に向き合っています。
EQが向上すると、感情のコントロールがうまくなり、「退屈さ」や「不安」を感じたときもポジティブな感情へと調整することが可能です。前向きな気持ちで業務を進められる人は逆境に負けず、仕事を最後までやり遂げる粘り強さを持っています。
ポジティブ思考を持っている
EQの高い人は、ネガティブな感情を抱いた際も、ポジティブな気持ちに切り替えるのが得意です。ポジティブ思考はモチベーションを高く維持でき、ビジネスチャンスを逃しません。
EQの高い人がネガティブな感情に陥ったときは、感情を制御し、状況の把握に努めます。例えば、大きなミスをして落ち込んだときも、自分の感情と向き合い、最終的には「同じミスを繰り返さないようダブルチェックしよう」と考え、行動します。EQの高い人の特徴は、周囲とうまく協働して状況を改善し、思考をポジティブに切り替えられることです。
EQを高める方法は?
EQを高め、ビジネスシーンで活用するためには、研修やトレーニングが必要です。ここからはEQの高め方について、すぐに実践できるものや、組織で取り組むのに適した方法を紹介します。
自分のEQを確認する
EQを高めるために、まずは自分のEQを知りましょう。EQは、インターネットで無料診断できるツールが数多く存在します。無料診断ツールは、簡単な質問に答えるだけで手軽にEQを把握できるのが特徴です。
より正確に測定したいときは、専門家による検査を受けるのがおすすめです。検査は、簡易なタイプからたくさんの項目に答える詳細なものまであるため、自分に合った種類を選んで測定できます。
「EQ(こころの知能指数)「EQI 行動特性検査」」はこちら
EQは、人生のどの時点からでも意識の変化やトレーニングによって少しずつ高められる指標です。EQを高める取り組みを続けた後に再検査すると、EQの向上を感じられる場合もあります。
研修を受ける
組織全体のEQを高めるために、研修はおすすめの方法です。EQの高い組織は、コミュニケーションが活発で、生産性が高いという特徴があります。自社の組織がコミュニケーションの課題を抱えている場合や、メンタルの不調を訴える社員がいる場合、EQ研修によって改善できる可能性があります。
EQ研修で対象となる人は、マネジメント層など組織を率いる人員です。研修内容は、感情マネジメントに関する講座、リーダーシップについての講座など、自分の感情の強み・弱みを認識し、ビジネスに生かすものとなっています。研修によっては、年間を通したフィードバックを受けられるプログラムや、オンライン講座もあるため、自社に合ったものを選びましょう。
なお、EQ研修はリーダーシップ研修や心理的安全性を高める研修につなげると、より効果を期待できます。リーダーシップ研修は、チームの信頼関係を築けるリーダーを育成するための取り組みです。心理的安全性を高める研修は、活発な意見交換や議論ができる環境を目指して実施する研修です。いずれも、職場の人間関係を良い方向に導き、職場環境改善や生産性向上を目指せるでしょう。
個人でトレーニングを続ける
EQは、個人でできるトレーニングによって高めることができます。具体的なトレーニング方法は、人と関わる中でできるものと、1人でできるものがあります。
人と関わる中でできるトレーニングは、人の良いところを探す、人の話を最後まで聞く、自分の感情を伝えるよう習慣づける、といった方法です。相手を理解し、ポジティブな関係にしていこうとする働きかけは、EQを高める上で重要です。
1人でできるトレーニングは、感情を言葉にするトレーニングと言い換えられます。ノートに負の感情を書き出したり日記をつけたりすると、自分の感情が見え、頭の中を整理できます。
まとめ
EQ(心の知能指数)とは、感情をコントロールする力がどのくらい備わっているかを表す指標のことです。ビジネスで成功するためには、発達や知能の指標を表すIQだけでなく、EQを高める必要があります。
EQを高めるためには、研修を行ったり、自主的に感情をコントロールする訓練を行ったりしましょう。EQが高い人は人間関係を良好に保てる上、仕事に対するモチベーション維持にも長けており、企業の生産性向上にも寄与します。
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