ここまで、手帳を有効に活用する方法をご紹介してきました。今回と、最終回となる次回では、「自分のタイプから手帳の方向性を決める」という軸で、手帳の活用法を紹介していきます。前編となる今回は「スケジュールがパンク型」と「発想力欠乏型」です。
実戦でどんどん使うためには、まずは、自分のニーズに合った使い方を中心にしてみましょう。あなたが今、切実に改善したいと思っていることに役立つような使い方です。漠然と「便利になるかもしれない」ではなく、はっきりと「効果が現れれば嬉しい」という使い方にねらいを絞り込んで、明確な方向性を与えるのです。
ビジネスのシーンで手帳が「使えている」状態を味わってみましょう。いつも自分の手元にあって、必要な情報が日々書き加えられ、自分を導いてくれる存在になっている――それは手帳があなたの分身になっている状態です長続きする手帳づくりのベースとなるポイントは以下の通りになります。
①シンプルであること(細かなルールやこうあるべきという考えにとらわれすぎない)
②自由であること(入口をオープンにしていろんな発想を試してみる)
③楽しいものであること(楽しいことを書く、楽しめる作業にする)
ぜひ、手帳をあなたの仕事に役立ててください。
●「ブロックする日」を決めて自分のためだけに使う
次のようなことに思い当たるあなたは「スケジュールがパンク型」です。
「いつも忙しくて仕事に追われている」
「約束の期日までに仕事終えられない」
「会議やアポに遅刻してしまう」
「なかなか自分の時間が作れない」
さて、どんな手帳の使い方をすれば、こうした状況を解消できるでしょうか。手帳はスケジュール欄に注目して選びます。今、人気の高いのが、週間予定表がバーチカル型になっているものです。時間軸がタテに刻まれていて、一番下にメモ欄があったりします。これに加えて月間予定表でスケジュールを管理します。
まず月間予定表には、あらかじめ決まっている大きな予定を書き込みます。イベント、会議、出張、締切など。スペースが限られているので、略称などを使って簡潔に記入しますが、重要な予定は目立つようにします(とくに締切)。一方、細かな予定は週間予定表で管理するので不要です。月間予定表では1ヵ月の仕事の流れや濃度を一覧します。
ここでポイントとなるのは、ブロックする日をつくることです。ブロックする日とは、予定を入れない日。マーカーなどで囲んで、予定を入れないようにしましょう。もし外部からアポが入ってきたら、その日はすでにアポが埋まっているとして、別の日にすればいいのです。基本的にその日はないものとして、スケジュールを組みます。そうすれば、その日は自分のためだけに自由に使うことができるのです(予備日としても使えます)。
●自分とのアポを絶対に守る
週間予定表では1日のスケジュールを管理します。それとともに、1週間の流れを一目で俯瞰することができます。予定の記入は「何時に・どこで・誰と・何をするか」が明確にわかるように書きます。時間軸に合わせて予定を記入し、開始時間から終了時間まで線を引きます。始まりから終わりまで、視覚的にスペースを確保することが大切です。そうすれば、次の予定も時間の余裕を持って入れることができるのです。
週間予定表のポイントは、ここでも自分で使いたい時間帯をあらかじめキープすることです。それは自分とのアポです。すでに決定済みなので動かさないようにしましょう。
仕事に追われるというのは、スケジュールが自分のものになっていないということです。他人の都合で動かされている、その時間を自分に取り戻すことが第一歩となります。また、期日に遅れる、遅刻してしまうというのは、時間の読みが甘いことに原因があります。なぜ甘くなるのかというと、予定の終了時間を最初から意識していないからです。時間がずれこむと、その分、あとにどんどんしわ寄せがきます。
終了時間の読みをしっかりすること、万一遅れてもその分を吸収できるような余裕あるスケジューリングを行うことが、ポイントになってきます。
●ものを見る目を変えて気がついたことをメモする
「どうもいいアイデアが出ない」「企画を立てる時に詰まってしまう」「『頭が硬いなあ』とよく呆れられる」「ひらめきがない」そんなあなたは「発想力欠乏型」です。手帳のノート(メモ)ページを活用しましょう。たとえば、週間予定表が左ページにあって、右ページがノート(メモ)ページになっている手帳なら、スケジュールや日付と関連した使い方ができます。気になったこと、ふと思いついたことをメモするのに向いています。
ただ、手帳の上でアイデアをふくらませたり、考えをまとめたりするには、スペースが足りません。その場合は、独立したノート(メモ)ページがまとめてたくさんある手帳を選びます。1日1ページを基本にした手帳なら、スケジュールや日付と関連させながら、アイデアを展開させることも可能になります。
発想力を鍛えるためには、まず、インプットを意識的に行います。とにかく何でも手帳にメモすることからはじめるのです。最初から「アイデアを」などとは考えません。ふと気になったこと、心に引っかかったことをメモしていくのです。
今朝、家を出てから会社に着くまで、何か変わったことはありませんでしたか? もし、何もなかったら、明日は何か発見するようにしてください。そうして、ものを見る目を少しずつ変えていくのです。その変化が、やがて手帳に表れてきます。
●キーワードからの連想をビジュアル化する
同じように、誰かとの会話で気になったこと、読んだ本で感銘を受けた言葉など、気がついたことはどんどん書いていくようにします。ただし、数を集めることが目的ではありません。あくまであなたのアンテナに引っかかってきた情報であることが大切です。アンテナが敏感になると、やがてアウトプットも変わってくるでしょう。
また、アイデアを生み出したり練ったりする時には、手帳の上でビジュアル化することが有効です。近年、「マインドマップ」が人気ですが、同じようにキーワードから連想されるものをどんどん線でつなげていくのです。なるべく自由な発想で思いつきをどんどん並べてつないでいくと、やがて新しい何かが見えてきます。
ポイントは、とにかく書いてみるということです。書き出すことが、次のひらめきを生む呼び水になります。手を使って書く、図解にしてみる、時にはイラストも描いてみる、それを日々蓄積して、何度も見返す、これが大切です。
また、気になる写真などのビジュアル資料、新聞・雑誌の記事の縮小コピーなどを貼り込んだりファイリングしたりして、空き時間に眺めることも、発想力の刺激になります。