そもそもスケジュール管理とは何のために行うのでしょうか? 予定を忘れないため、ダブルブッキングしないため、スムーズに行動するため。いずれも正しいですが、究極的には、時間を生み出すためにスケジュール管理を行うのです。
私たちはいつも時間に追われています。忙しい、忙しいと言いながら、いつも時間が足りなくなっています。いや、そんなことはない、私は暇を持て余している、という人もいるかもしれません。この前の連休は何にもやることがなくてだらだらと過ごしてしまった――でも、それもうまく時間を使えていないということです。時間はそこにあるのに、なかなかムダなく使うことができません。それは大げさにいえば、うまく生きられないということです。
それを何とかコントロールしようとするのが、手帳によるスケジュール管理なのです。ですから、与えられた仕事の予定をこなすためではなく、自分の時間をつくるためにスケジュールを見ていかなければなりません。逆にいえば、それができるのが手帳によるスケジュール管理なのです。
自分の時間をつくりだすためには、自分の時間をスケジュール欄に確保します。単純ですが、効果は絶大です。漠然と予定をこなしていると、これがなかなかできません。ついつい仕事をだらだらと続けて残業してしまったり、つまらない時間の過ごし方をしてしまったりするのです。
スケジュール欄に余裕を持って予定を入れる、というのもひとつの手段ですが、さらに積極的に、自分とのアポイントをとってしまいましょう。この日のこの時間帯は自分とのアポ、これをやる、と決めて記入してしまうのです。もちろん、業務時間内なら自分の仕事をする、業務時間外なら遊びでも勉強でもやりたいことをする、ということです。
自分のやりたいことが時間がなくてできないという人は、どんどん割り込んでくる「他人のアポイント」を断れずに、自分の時間を奪われてしまうのです。言い換えれば、他人と約束したために、自分と約束できないということです。
他人とのアポイントがあるのに、そこに別の人のアポイントを入れることはできないでしょう。それと同じで、すでに「自分との」アポイントがあれば、誰のものであれそこにはアポイントは入れられないのです。
もし手帳がなければ、自分のアポイントは「しょうがない、またいつでもできる」と後回しになってしまうでしょう。それではいつまで経っても自分の時間を主体的に生み出すことはできません。
最近はスケジュール管理を、デジタルツールの連携やグループウェア(企業内のコンピュータネットワークを活用した情報共有のためのシステム)、社内SNS、クラウド(ネットワーク経由で、様々なサービスを利用すること)などを活用して行うケースも増えています。
このように携帯電話やスマートフォンなどのモバイル端末と、コンピュータのデータを自動的に同期させるシステムは、非常に便利です。さらにチームのメンバーでスケジュールを共有でき、設定やアプリ次第では外出先からモバイルで閲覧もできるグループウェアは、ネットワークのメリットを最大限に活用できます。たとえば、チームでの会議なども、面倒な調整なしで簡単に設定できるのです。
職場でこういったシステムが導入されている関係上、どうしてもスケジュール管理はグループウェアで行わなければならないという人も少なくありません。しかし、当然のようにプライベートなスケジュールまでまとめて管理するわけにはいかないでしょう。
かつては仕事用とプライベート用の2種類の手帳を使い分けている人もいました。しかし、もはや仕事と私生活を別のものととらえたり、仕事が主で私生活は従とするのは、時代遅れだといえます。近年は、「ワークライフバランス」(仕事と家庭や地域生活の調和によって、人生のそれぞれの段階に応じた多様な生き方を選択・実現できるライフスタイル)に代表されるように、仕事と私生活を一体として自分の人生をとらえていく考え方が、主流になりつつあるのです。
では、こうしたデジタルツールと手帳のスケジュール管理をどのように連携・両立させればいいのでしょうか。グループウェアや社内SNSによるスケジュール管理が行われているのであれば、業務上のスケジュールはそちらに任せることになります。手書きの手帳と完全に同じ状態を維持するのは手間がかかりすぎますし、転記ミスのリスクもあります。基本的に、スケジュール管理は一元化して行うのが鉄則です。
そのうえで、手帳のスケジュール管理はより個人的なカラーを強めます。すなわち、仕事のスケジュール管理そのものはグループウェアで行い、そこから重要なものをピックアップして手帳に転記。手帳でのスケジュール管理は、個人的な視点から仕事の展開をチェックしたり、自分の時間を確保したりするために使うのです。
手書き文字とデジタルデータでどんなふうにスケジュールの見え方が違ってくるのかということも、興味深い点なのではないでしょうか。