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創考喜楽

スピーチの構成
簡単な組み立てをマスターしよう

COLUMN

 初めに、スピーチのアウトラインを示しておきましょう。最初に人をお度犯すようなことを言ったり、不思議なことを言い出して爆笑を誘ったりする手があります。ズバリと結論を提示して、それからゆっくりと経過説明に入るやり方もあります。複雑に組み立てて、巧妙に自説を展開する方法もあります。

 

漢詩の絶句の構成法の「起承転結」がよく知られています。

 

起=テーマの提起部分(スピーチの切り出し)

承=提起されたテーマを受ける部分

転=テーマを大きく展開する部分

結=しめくくりの部分

 

基本的絵無難な3段構造

 

スピーチになれないうちは、ごく基本的で部安奈、3段校正で組み立てるのがいいでしょう。

 

 

日本の古典芸能の脚本構想に「序破急」という考え方があります。

序=導入部分

破=展開部分

急=終結部分

 

これはそのままスピーチ3段構成に当てはまります。

 

 

①切り出し=初めてのあいさつや自己紹介などの定型の部分です。

②展開=テーマを提示し、展開する、スピーチの本論・中身です。

③結び=締めくくりのあいさつ。ここも定型の部分です。

 

 

切り出しと結びは、単純なスタイルと決まり文句でまとめることのできるほぼ決まった型があります。そのパターンさえ覚えれば、応用は比較的簡単です。

 

 

例:3段構成の朝礼のスピーチ「笑顔は財産」

 

 

①切り出し=皆さん、おはようございます。今朝は、笑顔についてお話しします。

 

 

②展開=先日、茨城県の笠間の陶器店で、笹間焼の小さな花瓶を買ってきました。お店の奥さんの笑顔につられて、つい買ってしま ったのです。 奥さんは、けっしてお愛想笑いではなくて、ご本人がなにやらうれしくてならないというようにニコニコしているのです。思わず  「奥さん、何かいいことがあったんですか」と尋ねると、「いつも笑っていなさい、と母に教えられたのです。どんなに苦しいときでも、笑顔でいなさい、と」とおっしゃった。そうおっしゃりながら、とても柔らかい表情で笑っているのです。こんないい話を聞い たのでは、何か買わざるを得ません。私は、買い求めた笹間焼の小さな花瓶を見るたびに、笑顔は、たいへんな財産です。自分の気持ちだけでなく、周りの人の気持ちまで明るく引き立てます。皆さん、できることならニコニコ笑って過ごしましょう。

 

 

③結び=今朝の、笑顔についてのお話、参考になりましたでしょうか。では、今日一日、お互い笑顔で過ごそうではありませんか。

 

 

 

スピーチをドラマティックにする工夫

スピーチをドラマティックに展開するために少し工夫を加えてみます。3段構成はそのままでも、問いかけ、実践させ、ほめ、励ますことで、スピーチが躍動します。

 

例:3 段構成の転任歓迎会での自己紹介と謝辞

 

 

①切り出し=このたび、長野支社からこちらの管財部に転任してまいりました大林健一と申します。どうぞよろしくお願いいたします。本日は、私どものためにこのような盛大な歓迎会を開いていただきまして、ありがとうございました。お礼を申し上げます。

 

②展開=私は、長野の現地採用で、3年間、営業を担当しておりました。管財の仕事は素人同然でしので、ご迷惑をおかけすることと思いますが、よろしくお願いいたします。なお、信州方面にお出かけの際は、ひと言おかけください。いろいろと楽しくてお得な情報をお知らせすることができます。また、際の話になりますが、冬にはスキー旅行にお誘いください。

 

③結び=以上、簡単ですが、自己紹介とお礼のごあいさつとさせていただきます。大林健一です。どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

 

 

※あいさつする人が複数いるとして、同じ決まり文句を使うケースがありますが、遠慮しないで決まり文句を使いましょう。繰り返してもおかしくないのが、決まり文句のいいところです。

 

 

 

スピーチを刺激的にする切り出しの工夫

3段構成のうち、切り出し部分に工夫を加えるだけで、ずいぶんと刺激的な事項紹介になります。

 

例:「転任歓迎会での自己紹介」も切り出しに工夫を加えた例

 

 

はじめまして。信州の山からやってまいりました大林健一です。皆さん、よろしくお願いいたします。信州らしく「大きな林」の、「健康一番」の大林健一です。元気にがんばります。

 

 

3段構成スピーチを際立たせるテクニック

 

 実際のスピーチでは、切り出しは、元気よく。展開は、少し派手に。結びは、ゆっくりと。これが3段構成のスピーチを際立たせるテクニックです。切り出しは「序=導入部分」です。最初にウジウジしたり、ボソボソと話し始めたのでは、印象がよくありません。明るく元気にきりだすことで、興味をかき立てます。

 展開は「破=展開部分」です。大げさなくらい派手に振る舞ってちょうどいいでしょう。強調し、引き込み、まくし立て、考え込むなど、ドラマティックに運びます。

 結びは「急=終結部分」です。一転、落ち着いておいさつをします。大声で元気に締めてまとめます。自分の気持ちも3段構成に合わせて、リードし、ドラマティックに盛り上げ、おさめます。

 

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