スピーチのテーマが設定され、役割が与えられ、話材もそろって、いよいよ、実際にスピーチ原稿を作る段階です。
「健康法について」のテーマで「自分の健康法を紹介してください」と注文が来たとします。さっそく、スピーチ原稿の下書きをしましょう。こんな作り方があります。
1.アイデアを箇条書きする
自分の体験、希望、どこかで得た知恵、データなど、なんでもいいから引き出しの中にあるアイデア(思いつき、考え)を、まずはつながりや統一は無視して、どんどん書きだします。ほんのメモ程度に、箇条書きの容量で書きだします。
「水泳、全身運動で負担なし」「魚になる夢」「目標設定をしない」「乳児、妊婦、高齢者も」「水着の魅力」といった具合です。
2.アイデアにつながりを見つける
バラバラに並べた項目を眺めていると、なんとなくつながりが生まれ、やがてストーリーが見えてきます。不要な部分は切り捨て、伝えたいことだけを残します。「週1回、近くのスイミングクラブで続けている水泳」「平泳ぎオリンピック金メダリスト北島康介選手に憧れた」「水泳は、乳児にも、妊婦にも、高齢者にも負担のない全身運動」「目標設定はしないで、長く、楽しみながらつづける」「夢は魚になること。魚のように自由に、ゆっくりと泳ぎ回りたい」
3. ストーリーをまとめ上げる
次に、バラバラの項目を順序よく並べて、一遍のストリーに仕立てます。ていねいな手つきで、やさしくまとめるのがコツです。話の進行とともに、内容をスムーズに把握してもらえるかどうかが、大切なポイントです。
「私の健康法は、近くのスイミングクラブで続けている水泳です。水泳は、あまり負担のない全身運動ですから、乳児も妊婦も高齢者も楽しめるスポーツです。始めたきっかけは、子どものころに憧れた世界の北島選手のことを思い出したからです。あんなふうに泳いでみたい、と思ったのです。泳ぎ初めてすぐに、早く、遠く、きれいになどの無理な目標設定はあきらめました。そして、楽しんで、長く続けることを願いながら週1回、のんきに泳いでいます。いま、私の夢は魚になること、魚のように自由に、ゆっくりと泳ぎ回ることです。このところ心身ともに調子がいいのは、水泳健康法のお陰だと思っています」
これでもけっこうまとまっていますが、もうひと工夫加えて、より楽しいスピーチに仕上げます。
4.切り出しと結びに工夫を加える
インパクトのある切り出しにするために「私はいま、毎週1回、魚になっています」とひと言加えてみます。こう切り出したら「おやッ」と思わせ、関心を引くことでしょう。さらに、結びで、夢をぶち上げて、華麗に締めてみます。「もう1つ、水泳からつかんだ夢があります。できれば水の中だけでなく、ふだんもまた自由に、ゆっくりと生きていくことです」
きれいにまとまりました。
5.実際のシーンに合わせて整える
予定の時間に過不足なく収まるでしょう。聞き手は「世界の北島選手」だけで了解してくれるでしょうか。もっと元気な呼びかけはいりませんか。水泳教室の具体的な紹介、案内は必要ないでしょうか。実際のシーンや役割に合わせて、さらに整えて、ベストな原稿にまとめ上げてください。