2028年までに対応必須!ストレスチェック義務化で中小企業がすべきこと7選

ストレスチェックシートと聴診器

働く人のメンタルヘルス対策として導入されたストレスチェック制度は、これまで従業員数50人以上の事業場に限って義務化されてきました。しかし近年では、中小企業や小規模事業場においても、メンタルヘルス不調による休職や離職が経営リスクとして顕在化しています。こうした背景から、国は従業員数50人未満の企業にもストレスチェックを義務化するため、今後は企業規模を問わず対応が求められる可能性が高まっています。

当記事では、ストレスチェック制度の基本や小規模企業が導入する際の具体的な手順、実施後の対応、注意点などを分かりやすく解説します。将来的な義務化を見据え、早めに準備を進めたい企業担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

2028年頃にはストレスチェックの義務が全企業に拡大

「義務化」と書かれたブロック

2028年頃をめどに、これまで努力義務とされてきた従業員数50人未満の事業場においても、ストレスチェックの実施が義務化されます。これは、働く人のメンタルヘルス不調を未然に防ぎ、安心して働き続けられる職場環境を整備することを目的とした動きです。

現在、労働安全衛生法では、常時50人以上の労働者を使用する事業場に対して、年1回のストレスチェック実施が義務付けられています。一方、50人未満の事業場については「当分の間、努力義務」とされてきました。

しかし、近年は中小企業においてもメンタルヘルス不調による休職や離職が経営リスクとして顕在化しており、企業規模にかかわらず対策が必要とされています。

こうした背景から、国は職場のメンタルヘルス対策を一層推進するため、50人未満の事業場にもストレスチェックを義務化する方針を示しています。

※出典:厚生労働省「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律について(報告)」

ストレスチェックとは

ストレスチェックとは、労働者が質問票に回答し、その内容を集計・分析することで、現在のストレス状態を把握するための制度です。仕事量や人間関係、心身の自覚症状などについて尋ねる設問で構成されており、医療行為ではなく、簡易的な検査として位置付けられています。

この制度は、労働安全衛生法の改正により、従業員数50人以上の事業場で年1回の実施が義務化されています。最大の目的は、結果を本人に通知することでストレスへの気付きを促し、メンタルヘルス不調を未然に防ぐ点にあります。

また、個人結果だけでなく、集団分析を通じて職場全体の傾向を把握し、業務量の見直しや人員配置の改善など、職場環境の改善につなげることも重要な役割です。

ストレスチェックの対象者

ストレスチェックの対象者は、「常時使用する労働者」に該当する人です。具体的には、期間の定めのない労働契約で働く人に加え、契約期間が1年以上の有期契約労働者や、更新により1年以上の雇用が見込まれる人、すでに1年以上継続して働いている人も含まれます。また、1週間の労働時間が、同じ業務に従事する通常の労働者の4分の3以上であることも要件です。

派遣労働者については、派遣先ではなく派遣元に実施義務があります。また、ストレスチェック自体に受検義務はありませんが、制度を有効に機能させるためにも、対象者全員が受けることが望ましいとされています。

※出典:厚生労働省「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル(素案)」

従業員数50人未満の企業がストレスチェックを導入する方法

「ストレス管理」と書かれた木製ブロック

ストレスチェックが全企業に義務化される流れを受け、これまで実施してこなかった従業員数50人未満の企業でも、制度導入への対応が必要になります。ここでは、導入にあたって事業者が行うべき基本的なステップを、順を追って解説します。

※出典:厚生労働省「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル(素案)」

事業者による方針の表明

ストレスチェック導入の第一歩は、事業者が制度の実施方針を明確にし、従業員に向けて表明することです。ストレスチェックは、メンタルヘルス不調者を選別する制度ではなく、従業員自身の気付きや職場環境改善を目的とした予防的な取り組みである点を、はっきり伝える必要があります。

特に従業員数が少ない事業場では、「結果が会社に知られるのではないか」「評価に影響するのではないか」といった不安が生じやすいため、プライバシー保護や不利益取り扱いを行わない姿勢を明示することが重要です。経営者自身の言葉で制度の目的や意義を伝えることで、従業員の理解と協力を得やすくなり、受検率の向上にもつながります。

関係労働者の意見の聴取

ストレスチェック制度を円滑に導入するためには、事前に関係労働者の意見を聴くことが欠かせません。実施体制や方法について、現場の実情に合っているかを確認することで、形だけの制度になるのを防げます。

従業員数50人未満の事業場でも、実施体制や方法について関係労働者の意見を聴取し、社内で合意形成を図る必要があります。ただし、必ずしも正式な委員会を設置する必要はなく、定例ミーティングや朝礼、既存の会議の場を活用する方法でも問題ありません。

幅広い立場の従業員から意見を集めることが重要であり、社内ルール案を示した上で意見を募る方法も有効です。

社内ルールの作成・周知

関係労働者の意見を踏まえた上で、ストレスチェック制度に関する社内ルールを作成し、従業員に周知します。社内ルールには、実施体制や方法、記録の保存、個人情報の管理、不利益取り扱いの防止などを具体的に定めることが望まれます。

特に大切なのは、個人のストレスチェック結果は本人にのみ通知され、本人の同意なく会社が把握しない点を明確にすることです。これにより、従業員が安心して正直に回答しやすくなります。

ルールは必ずしも厳密な規程形式でなくても構いませんが、文書化し、イントラネットへの掲載や書面配布などで確実に周知することが必要です。事業場の規模や実情に応じて内容を調整し、実行可能な形に整えましょう。

実務担当者の選任

ストレスチェック制度を実際に運用するためには、事業場内で実務を担う担当者を選任する必要があります。実務担当者は、委託先の外部機関との連絡調整や実施スケジュールの管理などを担当します。

従業員数50人未満の事業場では、プライバシー保護の観点から、ストレスチェックの実施自体は外部機関に委託することが推奨されています。そのため、実務担当者が個人の健康情報を直接取り扱うことはありません。

10人以上50人未満の事業場では、衛生推進者や安全衛生推進者を実務担当者とするのが一般的です。一方で、10人未満の場合は事業者自身が役割を担うケースもあります。

ストレスチェックの委託先の選定・契約

ストレスチェックを外部委託する場合は、委託先の選定が制度の質を左右します。選定にあたっては、事前に外部機関からサービス内容の説明を受け、実施体制や方法、料金体系、情報管理体制などを確認します。

特に確認すべき点は、実施者が必要な資格を有しているか、調査票や高ストレス者の選定方法が国の基準に沿っているか、基本料金とオプション料金の区別が明確かといった点です。また、集団分析や面接指導がどこまで含まれているのかも重要な判断材料です。

複数の外部機関を比較し、自社の規模や予算、運用体制に合った委託先を選ぶことで、無理のない制度運用が可能になります。

医師の面接指導の依頼先の選定

高ストレス者から申し出があった場合、医師による面接指導を実施する義務があります。そのため、ストレスチェック導入時点で、面接指導の依頼先をあらかじめ決めておく必要があります。

従業員数50人未満で、産業医がいないなどの要件を満たす事業場は、地域産業保健センターを利用することで、医師の面接指導を無料で受けることが可能です。地域産業保健センターは全国に設置されており、小規模事業場を優先的に支援しています。

一方で、ストレスチェックを委託した外部機関が、面接指導をオプションサービスとして提供している場合もあります。費用や利便性を比較した上で、自社にとって適切な依頼先を選択しましょう。

実施時期と対象者・調査票の選定

最後に、ストレスチェックの実施時期や対象者、使用する調査票を決定します。ストレスチェックは年1回の実施が原則であり、集団分析を行うため、できるだけ同時期に実施することが望まれます。定期健康診断と併せて行うかどうかも含め、自社の運用しやすい時期を検討しましょう。

対象者は「常時使用する労働者」が基本となります。調査票については、厚生労働省が推奨する「職業性ストレス簡易調査票(57項目)」の使用が一般的です。回答方法は、紙とウェブのいずれも選択可能であり、従業員のIT環境や働き方に応じて適した方法を選ぶことが、受検率向上のポイントとなります。

ストレスチェックを実施・結果を反映する流れ

「STEP1」~「STEP5」と書かれた付箋

ストレスチェックは実施して終わりではなく、結果を適切に扱い、職場環境の改善につなげてこそ意味があります。特に従業員数50人未満の企業では、一人ひとりの影響が大きいため、制度を正しく活用することが大切です。

ここでは、調査票の配布から結果の保存、職場改善までの一連の流れを解説します。

※出典:厚生労働省「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル(素案)」

調査票の配布・回収・受検勧奨

ストレスチェックの調査票は、原則として委託先の外部機関が配布・回収します。実施前には、実務担当者から従業員に対し、実施時期や委託先、回答方法などを事前に周知しておきましょう。事前説明が不足すると、不安や誤解から受検率が下がる原因になります。

ストレスチェックはできるだけ全員が受検することが望まれます。そのため、未受検者に対しては、外部機関からのリマインドや、事業者による穏やかな受検勧奨を行いましょう。ただし、業務命令のような形で強制してはなりません。

また、業務時間中に受検できるよう配慮することも大切です。外国人労働者がいる場合は、多言語の調査票や通訳の活用など、理解を助ける工夫が求められます。

ストレスチェック結果の通知

ストレスチェックの結果は、実施者である外部機関から、他者に内容が分からない形で、必ず本人に直接通知されます。通知される内容には、個人のストレスプロフィールや、高ストレス者に該当するかどうかの評価、面接指導が必要かどうかが含まれます。

高ストレス者と判定された場合には、併せて医師の面接指導を受けるための申出勧奨が行われます。また、セルフケアのためのアドバイスや、面接指導以外の相談窓口の案内が付されることも望ましいとされています。

事業者が個人結果を受け取ることは、本人の同意がない限り認められていません。そのため、封書や個別通知など、プライバシーに十分配慮した方法で通知する必要があります。対象者が周囲に分かってしまうことのないよう、配布方法にも注意が必要です。

面接指導の実施

高ストレス者から面接指導の申し出があった場合、事業者は遅滞なく医師による面接指導を実施しなければなりません。申出先は事業者本人でも、外部機関を経由する形でも構いませんが、申し出があった事実は事業者に伝わる点を、あらかじめ本人に説明しておく必要があります。

面接指導の日程は、できる限り就業時間内に設定することが望ましく、管理者の理解も欠かせません。実施場所についても、誰が面接指導を受けているか特定されないよう、時間帯や場所に配慮することが求められます。

事業者は、面接指導を担当する医師と連携し、円滑に実施できる体制を整えましょう。小規模事業場では、地域産業保健センターの活用も有効な選択肢となります。

医師からの意見聴取

面接指導を実施した後、事業者は、就業上の措置の必要性について、医師から意見を聴取しなければなりません。法令では、面接指導後おおむね1か月以内に意見聴取を行うことが求められています。

医師の意見書には、通常勤務が可能か、就業制限が必要か、休業が必要かといった就業区分や、具体的な措置内容、職場環境改善に関する意見が示されます。具体的には、労働時間の短縮や業務内容の調整、配置転換などが提案される場合があります。

これらの意見は、人事労務管理と密接に関わるため、必要に応じて管理者や人事担当者と連携しながら慎重に対応することが大切です。個人情報の取り扱いには、特に注意しましょう。

就業上の措置の実施

医師の意見を踏まえ、必要があると判断された場合、事業者は就業上の措置を講じなければなりません。措置の内容は、労働時間の短縮や業務負荷の軽減、就業場所の変更など、当該労働者の状況に応じて検討します。

就業上の措置を決定する際は、必ず本人の意見を聴き、十分に話し合った上で進めることが大切です。また、管理監督者にも措置の目的や内容を説明し、協力を得る必要があります。

措置後は、医師の意見書に示された期間を目安に、状況を確認しながら段階的に通常勤務へ戻すなど、柔軟に対応を行いましょう。

面接指導以外の相談対応

高ストレスと判定されても、必ずしも面接指導を受けるとは限りません。そのため、面接指導以外にも相談できる窓口を用意し、従業員に周知しておくことが望まれます。

たとえば、厚生労働省が運営する「こころの耳」では、電話やSNS、メールによる無料相談を利用できます。また、委託先の外部機関が提供する相談サービスや、社内の相談窓口があれば、それらも併せて案内すると効果的です。

大切なのは、相談内容が会社に知られず、匿名性が確保されていることを明確に伝える点です。高ストレス者だけでなく、誰でも相談できる環境を整えることで、メンタルヘルス不調の予防につながります。

ストレスチェックおよび面接指導結果の保存・報告

ストレスチェックの個人結果は本人の同意がない限り事業者が取得・閲覧できないため、個人結果の保存は実施者(外部機関等)が担う運用が一般的です。保存期間は5年間とすることが望まれます。

一方、面接指導結果については、事業者が記録を作成し、5年間保存する義務があります。記録には、実施日、医師名、勤務状況、心理的負担の状況、医師の意見など、必要最小限の事項を記載します。

なお、診断名や詳細な症状などの医学的情報を事業者が取得することは認められていません。従業員数50人未満の事業場では、労働基準監督署への結果報告は不要ですが、保存義務は守る必要があります。

データの分析と職場環境改善

ストレスチェックの本来の目的は、個人対応だけでなく、職場環境の改善にあります。そのため、事業者は委託先の外部機関に依頼し、集団ごとの集計・分析を行うよう努めなければなりません。分析には、厚生労働省が示す「仕事のストレス判定図」を用いる方法が一般的です。

ただし、小規模事業場で受検者数が10人未満の集団については、個人が特定されるおそれがあるため、分析結果の提供を受けてはなりません。

集団分析の結果に加え、日常の職場観察や従業員の意見も踏まえ、業務量の見直しや作業環境の改善などに取り組みましょう。継続的な改善こそが、ストレスチェック制度を生かす最大のポイントです。

従業員数50人未満の企業がストレスチェックを導入するメリット

「メリット」と書かれた木製ブロック

従業員数50人未満の企業にとって、ストレスチェックは「義務への対応」にとどまらず、経営リスクを下げる有効な施策でもあります。ここでは、ストレスチェックを導入するメリットを解説します。

従業員のストレス傾向を確認できる

ストレスチェックを実施する最大のメリットは、従業員のストレス傾向を客観的に把握できる点です。どの従業員にストレスが蓄積しやすいのか、仕事量や人間関係、職場環境など、何が主な要因になっているのかを早期に把握できます。

特に小規模企業では、日常的に顔を合わせていることで不調に気付きにくいケースも少なくありません。数値や分析結果として可視化することで、感覚や思い込みに頼らない判断が可能になります。また、ストレス要因が明確になれば、ハラスメントの芽を早期に把握したり、離職につながりやすい兆候に対処したりすることも可能です。

メンタルヘルスの不調を早期発見できる

ストレスチェックは、メンタルヘルス不調を早い段階で把握するための有効な手段です。高ストレス状態が続くと、心身の不調や業務上のミス、欠勤の増加などにつながるおそれがありますが、初期段階では本人も自覚していないことがあります。

ストレスチェックの結果を通じて本人が状態を認識し、必要に応じて医師の面接指導や相談につなげることで、不調の深刻化を防ぎやすくなります。これは、メンタルヘルス不調が原因となる労災リスクを下げる点でも重要です。

早期対応ができれば、休職や長期療養に至る可能性を抑えられ、従業員本人にとっても企業にとっても負担の少ない対応が可能です。

職場の安全衛生を保つ機能を強化できる

ストレスチェックのデータを活用することで、職場の安全衛生体制を強化できます。個人結果だけでなく、集団分析を行うことで、部署や業務ごとのストレス傾向が見えやすくなり、職場環境の課題を具体的に把握できます。

たとえば、業務量の偏りや長時間労働、人間関係の問題など、目に見えにくい要因も数値として整理されるため、改善策を検討しやすくなります。業務分担の見直しや作業環境の改善など、実行可能な対策につなげることができます。ストレスチェックは健康管理だけでなく、安全衛生全体の質を高める仕組みとして機能し、安定した職場運営を支える役割を果たします。

思わぬ休職や退職を防ぎやすくなる

ストレスチェックを導入することで、企業が予想していなかった休職や退職を防ぎやすくなります。メンタルヘルス不調は、表面化するまで気付きにくく、ある日突然の休職や退職につながるケースも少なくありません。

ストレスチェックを通じて、本人の状態や職場の課題を早期に把握できれば、業務調整や相談対応など、段階的な対応が可能になります。その結果、従業員が無理を重ねる前に手を打つことができます。

小規模企業にとって、急な人員減少は経営への影響が大きいため、人材を守る視点は極めて重要です。ストレスチェックは、安定した人員体制を維持し、採用や教育のコスト増加を抑えるための有効な手段と言えます。

ストレスチェックを実施しなかった場合の罰則

ストレスチェックは、従業員数50人以上の事業場では法律で義務付けられていますが、実は「実施しなかったこと」自体に対する直接的な罰則は定められていません。ただし、ストレスチェックを行わず、職場でメンタルヘルス不調が発生した場合、事業者は労働者の健康と安全を守る「安全配慮義務」に違反したと判断される可能性があります。

また、ストレスチェックを実施したにもかかわらず、労働基準監督署への報告を怠った場合や、虚偽の報告を行った場合には罰金が科されることがあります。

今後、50人未満の企業にも義務化が進むことを踏まえると、「罰則がないから実施しない」という判断はリスクが高いと言えます。法令順守と従業員の健康確保の両面から、早めに適切な対応を進めましょう。

ストレスチェックを行うときの注意点

「注意点」と書かれたブロック

ストレスチェックは、従業員の心身の健康を守るための制度ですが、運用を誤るとかえって不信感を招くおそれがあります。特に注意すべきなのが、個人情報の取り扱いと、不利益な取り扱いの防止です。

ここでは、事業者が押さえておきたい2つの注意点について解説します。

プライバシーの保護

ストレスチェックや面接指導で扱われる情報は、労働者の心身の状態に関する「要配慮個人情報」に該当します。そのため、事業者には特に慎重な取り扱いが求められます。ストレスチェックの実施者や実施事務従事者には、労働安全衛生法に基づく守秘義務が課されており、違反した場合は刑罰の対象となります。

事業者が個人のストレスチェック結果を不正に入手したり、提供を強要したりすることは禁止されています。仮に提供を受けた場合でも、情報は適切に管理し、社内で共有する範囲は必要最小限にとどめなければなりません。プライバシーへの配慮を徹底することは、法令順守だけでなく、従業員が安心して制度を利用するための前提条件です。

不利益取り扱いの禁止

ストレスチェック制度では、労働者が安心して受検や相談ができるよう、不利益な取り扱いが法律や指針で厳しく禁止されています。具体的には、医師による面接指導の申し出を行ったこと、ストレスチェックを受けなかったこと、結果の事業者への提供に同意しなかったことなどを理由に、不利益な扱いをすることは認められていません。

また、面接指導の結果を理由として、解雇や雇い止め、退職勧奨、不当な配置転換や役職変更を行うことも禁止されています。就業上の措置を講じる場合であっても、必ず医師の意見を踏まえ、労働者の実情を考慮した対応が必要です。

ストレスチェックに使える補助金

「補助金」と書かれた封筒と現金

ストレスチェックの導入にあたって、費用面が不安になる中小企業は少なくありません。ストレスチェックの負担を軽減する制度として、「団体経由産業保健活動推進助成金」があります。この助成金は、事業主団体などを通じて産業保健サービスを提供する仕組みで、ストレスチェックの実施や集団分析も対象です。

ここでは、助成金の支給金額や要件、申請の流れについて解説します。

※出典:厚生労働省「団体経由産業保健活動推進助成金のご案内」

支給金額

団体経由産業保健活動推進助成金では、労働者数50人未満の事業場における医師や保健師などによるストレスチェックの実施および集団分析に対して助成が受けられます。

ストレスチェック関連の助成上限額は、原則として60万円です。なお、助成金は予算の範囲内で先着順に受け付けられるため、申請時期が遅れると受付が終了している場合があります。実際に利用を検討する際は、早めに情報を確認し、計画的に準備を進めましょう。

支給要件

この助成金を利用するには、いくつかの要件を満たす必要があります。まず、助成対象となるのは、中小企業等の健康づくり支援を行う事業主団体などを通じて産業保健サービスを受ける事業場であることが前提です。

また、助成対象期間内にサービスを利用し、定められた手続きに沿って申請を行う必要があります。詳細な要件や対象サービスの範囲は年度ごとに定められているため、必ず最新の手引きや公式案内を確認しましょう。

申請の流れ

補助金の申請をするためには、まず事業主団体などが実施計画を作成し、労働者健康安全機構へ提出する必要があります。計画が承認されると、その期間内に産業保健サービスが提供されます。

サービス提供後、費用の支払いを含む実績をまとめ、助成金支給申請を行います。申請方法は、郵送、Googleフォーム、jGrants(電子申請)のいずれかが選択可能です。実施計画の提出期限や支給申請期限が設定されており、期限を過ぎると申請できません。特に、原則先着順である点を踏まえ、早めに団体や関係機関へ相談し、余裕を持って手続きを進めましょう。

職場のストレス状況を改善するにはアイ・イーシーの研修もおすすめ

ストレスチェックは実施するだけでなく、結果を具体的な改善につなげることが大切です。

アイ・イーシーでは、従業員のストレス低減や管理職の適切な対応力向上につながる研修を提供しています。従業員向けの「ストレスフリーに!疲労回復研修」では、疲労やストレスの仕組みを理解し、日常で実践できる予防・回復法を学べます。

また、管理職向けのラインケア研修では、部下の変化への気付きやコミュニケーション方法を習得できます。研修を活用することで、ストレスチェック後の対策を実効性のある取り組みへと発展させることが可能です。

ストレスフリーに!疲労回復研修について詳しくはこちら

ストレスを減らし、成果を出すメンタルヘルス(ラインケア)研修について詳しくはこちら

まとめ

ストレスチェック制度は、従業員のメンタルヘルス不調を未然に防ぎ、安心して働ける職場づくりを進めるための重要な仕組みです。今後、従業員数50人未満の企業にも義務化されることを踏まえると、小規模事業場であっても早めに制度への理解と準備を進めておくことが、経営上のリスク低減につながります。

導入にあたっては、事業者による方針表明や社内ルールの整備、外部委託先の選定、面接指導体制の確保など、段階的な対応が欠かせません。制度を正しく運用することで、従業員の定着や生産性向上にもつながります。将来的な義務化に備え、ストレスチェックを「負担」ではなく「投資」と捉え、効果的な対策を進めましょう。

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