現代社会では、働き過ぎや睡眠不足、精神的な不安や悲しみ、恐怖感といったマイナスの感情が引き起こされる機会が増大しています。これらのストレスは、意識のないうちに蓄積し、健康を支えている機能に悪影響を及ぼします。さらに、このストレスが過剰になると、昼間作動する自律神経の一つである交感神経が過度に緊張してくるため、心と体の健康にさまざまな弊害をもたらすのです。
この交感神経優位の状態を緩和させる効果のある音楽が、モーツァルトが作曲した数々の名曲です。モーツァルトの音楽の持つ特性によって、リラックスモードを誘導する副交感神経を刺激して、交感神経優位の状態にブレーキをかけることができます。これにより、交感神経優位の状態によって発生するさまざまな病気が、モーツァルトの音楽を聴き入ることで予防できる可能性が高いのです。
今日、音楽療法という音楽の力を活用して、人間のさまざまな病気の輿望や治療を行う方法が、多くの医療施設で取り入れられています。今回提供する私の音楽療法は、モーツァルトの音楽の中でも、高周波音とゆらぎ音、倍音などが効果的に含まれている名曲を聴き入るというシンプルな方法です。そのため、どなたでも簡単に実践できますし、副作用もありません。「この病気を防ごう、治そう」という強い気持ちをもち、脳にエネルギーを与えてくれる効果音を受容することに集中しながら、能動的に聴き入ってください。
本連載では、モーツァルトの音楽療法を身に付け、ストレス軽減、免疫力や集中力の向上、花粉症の撃退やダイエットの効果にまで影響を与えることを目指します。
著者紹介
和合 治久(わごう はるひさ)
1950年長野県生まれ。東京農工大学大学院修了後、京都大学にて理学博士取得。埼玉医科大学・同大学院前教授・初代学科長、埼玉医科大学短期大学名誉教授。中国・長春中医薬大学客員教授、首都大学東京および新渡戸文化短期大学などで講師を兼務。「21世紀の音楽療法を考える」「音楽療法元年」「心と体が安まる周波数 528Hz CDブック」「最恐ストレスからあなたの自律神経を守り抜くCDブック」「粘膜力でぜんぶよくなる」「免疫力を高めるアマデウスの魔法の音」など著書多数。国際個別化医療学会顧問、日本臨床音楽研究会理事、日本作家クラブ評議員、公益社団法人「虹の会」理事などを務める。専門は比較免疫生物学、免疫音楽医療学で、人間を含めた動物の健康維持機構を研究している。
文部大臣賞、日本応用動物昆虫学会賞、日本レコード大賞企画賞(監修CD)を受賞。