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【大気汚染】見えない空気は 汚れがたくさん

KNOW-HOW

命を育む気体と、壊す気体

 

大気とは、地球をとりまく空気のことです。

 

この空気が汚染されていることを大気汚染といい、地球環境の大きな問題として注目されています。では、空気とはなんでしょうか。あまりにも身近過ぎて、なかなか注目することのない空気ですが、これは、固体や液体に対して、気体と呼ばれているものであり、空気は数種類の気体が混ざりあって構成されています。

 

人間は酸素を吸い、二酸化炭素を吐いて生きています。動物もまたそうして生きています。この酸素や二酸化炭素は、気体の中でも広く知られている有名なものです。また、水素、窒素、メタンなども、学校の授業で習った覚えがあると思います。他にも、地球上には様々な気体が存在するのですが、地球の大気、つまり、空気は、このうちの三種類が主な成分として構成されています。

 

構成比率の多い順に、約79%の窒素、約21%の酸素、そして、約0.04%程度の二酸化炭素が、空気の中に含まれているのです。これらの気体がバランスよく含まれている空気の状態が、人間や動物など、生き物が生命活動を維持するうえでの要件となります。

 

大気汚染とは、この空気の中に、生き物の健康に害を及ぼす成分が含まれることで発生するものです。そうなると、生命を育む空気が、一転して、生命に悪影響を与えることになってしまうのです。

 

炎の中から生まれる大気汚染の犯人

 

大気汚染の原因となる物質はどのようなものでしょうか?汚染物質は、火山噴火などによって自然に発生する場合と、工場や自動車などから排出されるなど人為的に発生する場合とがあります。これらの原因物質には、ガス、エアロゾル(※1)、粒子などさまざまなものがありますが、今回は、人為的に発生する汚染物質について学んでいきます。

 

大気汚染の原因物質は、工場の排煙や自動車の排気ガス、または有害物質の燃焼によって発生するといわれています。身近な物が燃えるときには二酸化炭素が発生します。物が燃えるという現象は、炭素に酸素が化合し、その結果、二酸化炭素を発生させているのです。多くの場合には、このときに水なども発生させます。

 

また、燃やす物に硫黄や窒素などが含まれている場合には、別の物質が発生します。たとえば、硫黄が含まれている場合には、硫黄に酸素が化合して硫黄酸化物(SOx:ソックス)、窒素が含まれている場合には、窒素に酸素が化合して窒素酸化物(NOx:ノックス)が発生します。こうして生み出される硫黄酸化物や窒素酸化物が、大気汚染の原因物質となるのです。そして、光化学スモッグ(※2)の原因となり、喘息などの健康被害を及ぼしたりし、人体や自然に悪影響を与えます。

 

 

これら以外にも、物を燃やすと、いろいろな汚染物質がでてきます。たとえば、塩素を含んだプラスティックを燃やすとダイオキシン(※3)が発生することはよく知られています。

 

※1 エアロゾル
空気中をただよう微粒子。ディーゼル車から放出される煤煙など。喘息などの健康被害の面からエアロゾルに注目が集まっていたが、昨今では、黒色系のエアロゾルで地球の温暖化を、白色系のエアロゾルで地球の冷却化をまねくとされている。

 

※2 光化学スモッグ
石油や石炭などの燃料を燃焼させたときに生じる霧で、特に環境にも健康にも著しい影響があるもの。

 

※3 ダイオキシン
塩化物を比較的低温で焼却すると大量に発生する化合物。毒性が強く、皮膚・内臓障害を起こし、催奇形性・発癌性がある。

 

汚れのない空気の中で暮らすために

 

大気汚染の深刻化による影響としては、ぜん息、気管支炎、アレルギーといった生物の健康面への影響や、地球温暖化、酸性雨など、地球環境への影響があります。生物以外への影響としても、都市において、陶板壁画などが汚れを被り、元の姿をとどめられなくなるなど多くの文化遺産も破壊しています。また、大気汚染による汚染物質は、やがて雨で流され、川や湖、海へと流れ込み、貴重な水産資源に壊滅的な打撃を与えることも懸念されます。

 

大気汚染の進行を食い止めるためには、その原因物質を取り除かなければいけません。まずは、原因物質の代表格としてあげられた硫黄酸化物や窒素酸化物の場合を考えてみましょう。
【酸性雨】自然や生き物を傷つける怖い雨 で取り上げましたが、雨は地上に落ちてくるまでの間に、空気中の二酸化炭素が溶け込むため、pHが5.6程度の酸性となります。これよりも酸性が強い雨のことを酸性雨といいます。pHの値がこれよりも強くなる場合は、硫黄酸化物や窒素酸化物などの酸性物質が溶け込むからなのです。

 

これらは大気中への放出量が減るようにさまざまな技術開発がされてきました。その結果、硫黄酸化物は排気ガスからかなり取り除くことができるようになりました。しかし、窒素酸化物のほうは、まだまだ取り除くことが難しいとされています。それは、空気の約8割が窒素であり、空気中で物を燃やす、すなわち高温化させると、窒素と酸素が結びつき、どうしても窒素酸化物が発生してしまうからです。酸性雨対策のひとつとして、これからは、大気中に放出する窒素酸化物の量を減らす技術の開発が待たれています。

 

もちろん、私たちが身近なところから大気汚染対策をおこなうことも重要です。環境再生保全機構や日本自動車連盟(JAF)が指針を提唱する「エコドライブ」などは、その代表的なものとして実践していきましょう。たとえば、ちょっとした移動くらいならば公共交通機関を利用したり、自家用車を使う場合でもアイドリング・ストップを実行するのも効果的です。また、近年普及してきた、天然ガス自動車やハイブリッドカー、電気自動車などの低公害車を積極的に利用するのもよいでしょう。

 

 

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