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【酸性雨】自然や生き物を傷つける怖い雨

KNOW-HOW

酸性雨ってどういうこと?

 

酸性雨とは、文字通り「酸性の雨」のことですが、酸性とはどのような状態のことでしょうか。

 

あまり濃くない水溶液は、酸性・中性・アルカリ性の三種類に分類されます。これらの種類を測る指数として、pH(ピーエイチ)という「ものさし(単位)」が利用されています。pHは0から14までの数字で示し、その中間であるpH7が中性となります。そして、この数値が7より小さいほど酸性が、大きいほどアルカリ性が強いというように分類されるのです。

 

酢やレモンのように酸っぱいものは、普通酸性です。下の図の通り、pHは2~3程度となります。また、石鹸水のように少し苦いものは、アルカリ性になります。この場合のpHは10程度です。

 

 

どのようにして雨が酸性になるのか

 

雨が酸性になるメカニズムは、スウェーデンの土壌学者オーデンなどの研究により徐々に解明されてきました。二酸化炭素は水に溶けると炭酸水になり、酸性を示します。上空で降りはじめたときには中性の雨であっても、地面に落ちてくるまでの間に空気中の二酸化炭素が溶け込み、酸性へと変わってしまうのです。そのため、雨として地上に降ってくる水溶液のpHは7ではなく、5.6程度の値となっており、この段階ですでに、雨は弱い酸性となります。

 

ただ、自然に生まれる程度の弱い酸性であれば、地球環境に大きな被害はもたらしません。問題となるのは、さらに強い酸性となった雨なのです。そして、強い酸性雨が生まれるメカニズムには、私たちの生活が大きく関わってきています。

 

私たちの生活が酸性雨を生み出している

 

酸性雨は、大気中に過剰に放出された窒素酸化物や硫黄酸化物という成分によって引き起こされます。これらの成分は、上空で太陽光線からのエネルギーを受けて酸化し、これが空気中の水分と結びついて、硝酸や硫酸の雨、つまり、酸性雨になって降ってくるのです。

 

この酸性雨を引き起こす窒素酸化物(※1)や硫黄酸化物(※2)はどこから放出されてくるのでしょうか。それは私たちの生活と密接に関わっている自動車や工場だったのです。ちょっとした買い物へと利用する自動車、あるいは、昼夜を問わず稼動している工場や火力発電所などが、この窒素酸化物や硫黄酸化物を過剰に放出し、結果として酸性雨を生み出しているのです。

 

現在の社会では、快適な生活を送るために自動車などを過度に利用しています。そこから大量の窒素酸化物や硫黄酸化物が吐き出されており、地球環境にとっての問題となっているのです。

 

 

※1 窒素酸化物(NOx:ノックス)
窒素が酸素と結合して酸化物になったもの。上空高くの空気中で太陽からのエネルギーを受け、水分と結合すると硝酸になる。

 

※2 硫黄酸化物(SOx:ソックス)
硫黄が酸素と結合して酸化物になったもの。上空高くの空気中で太陽からのエネルギーを受け、水分と結合すると硫酸になる。

 

酸性雨を防ぐためにできること

 

酸性雨の原因になる物質は、化石燃料の消費によって空気中に出ていくので、まずはそれをおさえることが大切です。化石燃料を消費しないようなライフスタイルを作ることを心がけましょう。たとえば、自動車は、エンジンでガソリンを燃やして走っているため、このときに、酸性雨の原因となる物質を空気中に出しています。また、火力発電所では、電気の発電のために石油、天然ガス、石炭などの化石燃料を使っており、このときにも原因物質を放出しています。これらをできるだけおさえるような生活をおこなわなければいけません。

 

生活レベルで考えてみれば、生活する中で省エネルギーを考えながら行動するということが必要です。燃料電池や風力発電、その他の新エネルギーの開発も、酸性雨の予防には大きな役目を果たすでしょう。また、空気中に酸性雨の原因物質を放出しないような技術の開発が必要ですし、利用するエネルギーを酸性雨の原因物質を出さないようなエネルギーに替えていくことも、対策になります。

 

これらの実現のためには、まずは自分の行動によってどれだけの影響が出ているのかということを、しっかりと確認することが大切です。

 

 

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