電話のメモは、スピーディーに書くことが求められるため、ついつい乱暴な走り書きになりがちです。とくに数字などは、あとで読み返した時にわからなくならないように注意しましょう(めったにないことですが、メモ用紙に「16」とだけ書いたら、あとで「16」なのか「91」なのかわからなくなったという話もあります)。
自分のペースで正確にメモするためには、重要点を復唱しながらメモするといいでしょう。ポイントは5W1H、すなわち、「When(いつ)」「Where(どこで)」「Who(誰が)」「What(何を)」「Why(どうして)」「How(どのように)」を漏らさないようにすることです。
意外に忘れがちなのが、電話を受けた日時の記録です。いくつかの案件で予定変更が相次いだ時など、どのメモが最新なのか混乱する場合があります。ふだんから、電話を切った段階でその日時を書き込むことを習慣づけるようにしましょう。
議事録や講演メモをとるのは、なかなか難しいものです。一生懸命メモをとったのに、あとで見返してみるともうひとつよくわからないということはないでしょうか。
それは話のスピードに書くスピードが追いつかない、ということが根本的な原因です。重要なポイントだけメモしようとしても、1センテンスを聞き終わって理解した段階で、話は次のセンテンスに進んでいきます。あせってなんとか追いつこうとすると、ほとんど主語となるキーワードを書くだけで終わってしまうのです。そのキーワードがどうしたのか、述部がなければあとで見返してもさっぱりわからない、ということになります。
実は、どちらかといえば、主語よりも述語の方が大事です。述語がはっきりしていれば、主語はあとから思い出してあてはめることもできますが、主語から述語を思い出そうとしても、述語の可能性があまりにも広いために難しくなるからです。
重要なのは、できるだけいろんなことをメモしようとするのではなく、重要なポイントを漏らさず正確にメモしようとする姿勢です。量ではなく質です。話の骨子がしっかり押さえられていれば、あとから肉付けすることは比較的簡単です。会議や講演が終わったらできる限り早いうち、記憶が新しいうちに、メモに補足を書き加えていけばいいでしょう。
メモのスピードをアップするには、記号や略語を使うことが効果的です。
OKは◎、NGは×。△はまあまあ(イマイチ)。ビックリや強調は「!」で疑問点は「?」。こういった記号は日常的にもよく使われているでしょう。たとえば「ターゲットは若い女性でいいのだろうか」を「ターゲットは若い女性?」とメモすれば時間は大幅に短縮できます。ターゲットを丸で囲んだTなどにすればさらに簡単になります。
「←」「→」「↓」「↑」などの矢印記号なども、上手に使いたいものです。図の中でキーワード同士の関係を表す場合、「→」は「順番」「因果関係」「結論」などを表しますが、単純に「行く」を表してもいいでしょう。「←」は「来る」。厳密に使い分ければ迷うこともありません。
また、「↑」「↓」なら、データ・数字の上昇傾向、下降傾向をパッとメモするときにも使えます。これに「?」記号を付加すれば、「ほんとうに上がって(増えて)いる?」、「!」をつければ「注目すべき上昇」というような意味も表せるでしょう。「円↑?」なら「円高って本当?」または「円高になる?」です。そのほか、★や☆の意味、丸で囲むのと四角で囲む違いなども、自分なりに定義して使うと便利です。
よく使う表現や固有名詞なら略語にするのもいいでしょう。たとえば「要確認」なら「YK」、至急処理なら「SS」。「要確認」を手書きで書くのは画数が多い分、かなり時間がかかります。「YK」と書けば所要時間はほとんど10分の1以下でしょう。二重マルなどでぐりぐりと囲んでおけば、略語であることと重要であることが一目でわかります。
ただ、やたらになんでも略語化すると、あとで何がなんだかわからなくなってしまいます。ある程度よく使うものに限定しましょう。ちなみに、英文ビジネスメールで使われる略語には次のようなものがあります。こうしたものもメモに活用できるでしょう。いろいろと工夫してみてください。
・ASAP[as soon as possible]=できるだけ早く
・@[at]=…で、…所属
・nx[next]=次
・cfm[confirm]=確認する
・N.A.[not available/aplicable]=入手不能・入手困難・資料なし
・REQ[request]=依頼・要請
・RFP[request for proposal]=提案の要請
・RFQ[request for quotation]=見積りの依頼